楽天らくてんに刺激しげきされ起業きぎょう家かを目指めざす学生がくせいが増加ぞうか

フロントランナー型がたの日本にっぽん社会しゃかいの実現じつげんに向むけて、起業きぎょう家か予備よび軍ぐんだけでなく大だい企業きぎょうの社員しゃいんを含ふくめ、創造そうぞう性せいや問題もんだい設定せってい能力のうりょくに優すぐれ、新分野しんぶんやや先端せんたん技術ぎじゅつ開発かいはつへのチャレンジ精神せいしんの旺盛おうせいな人材じんざい養成ようせいが緊急きんきゅうの課題かだいとなっている。こうした中なか、昨年来さくねんらい、筆者ひっしゃの現場げんば感覚かんかくからすると、起業きぎょう家か精神せいしんに富とんだ大学生だいがくせいが着実ちゃくじつに増加ぞうかしてきており、日本にっぽん経済けいざいにとって明あかるい材料ざいりょうであると実感じっかんできるようになった。これは近年きんねんの政府せいふによる大学だいがく発はつベンチャー支援しえん策さくのほか、昨年さくねんから楽天らくてんやライブドアなどインターネット関連かんれんの新興しんこうベンチャー企業きぎょうのメディア露出ろしゅつが急増きゅうぞうしていることが背景はいけいにあると考かんがえられる。

筆者ひっしゃは仕事しごと柄がら、大学だいがく発はつ等とうベンチャー企業きぎょうのＩＰＯ支援しえんにかかわることが多おおい。その一環いっかんで、2005年度ねんどから早稲田大学わせだだいがくにおいて、大和証券だいわしょうけんグループ本社ほんしゃにより開設かいせつされた寄付きふ講座こうざ「ベンチャー起業きぎょう家か養成ようせい基礎きそ講座こうざ」の担当たんとう教員きょういんとして授業じゅぎょうを開始かいしした。大学院だいがくいんレベルでは類似るいじの講座こうざは全国ぜんこく的てきに多数たすうあるが、今回こんかいのように1－4年生ねんせいが対象たいしょうとなるのは非常ひじょうに珍めずらしい。受講じゅこう希望きぼう者しゃ数すうは事前じぜん予想よそうを大おおきく上回うわまわり、定員ていいんに対たいし競争きょうそう倍率ばいりつは8倍ばいに達たっした。授業じゅぎょう態度たいどは時間じかん延長えんちょうとなっても全員ぜんいん真剣しんけんである。授業じゅぎょう後ごには大勢おおぜいの質問しつもん者しゃに取とり囲かこまれ、強つよい熱気ねっきを感かんじた。

起業きぎょう家か講座こうざを学まなぶのは早はやいほど良よいのではないかと思おもう。なぜ起業きぎょうするのか自分じぶんの生いき方かたを十分じゅうぶん考かんがえることから始はじめなければならない。次つぎに社会しゃかいから強つよく必要ひつようとされる事業じぎょうはなにか、その構想こうそうを鍛錬たんれんする必要ひつようもある。会社かいしゃは誰だれのものか、何なにのために存在そんざいするかなど、自分じぶんが起業きぎょうする上じょうで、ステークホルダーとの係かかわりをよく理解りかいし、いかに共存きょうぞん共栄きょうえいするかを明確めいかくにすることも重要じゅうようとなる。加くわえて、成功せいこうへの意欲いよく・熱意ねついを高揚こうようするための事例じれい研究けんきゅうのほか、財務ざいむ・会計かいけい・法務ほうむ、マーケティングや知的ちてき財産ざいさん戦略せんりゃく、人材じんざいマネジメンなどのスキルを幅広はばひろく学まなぶことも欠かかせない。社会しゃかいのあらゆる分野ぶんやから、こうした課程かていで育そだった人材じんざいが注目ちゅうもくされるようになるだろう。

一方いっぽうで近年きんねん、初等しょとう・中等ちゅうとう教育きょういくの問題もんだいとして、理科りか系けい科目かもくを中心ちゅうしんとする学力がくりょくの低下ていか、家庭かていでの勉強べんきょう時間じかんの急減きゅうげん、将来しょうらいの自分じぶんの夢ゆめ・仕事しごと・社会しゃかいとの係かかわりへの関心かんしんの希薄きはく化か、など中学ちゅうがく・高校生こうこうせいの危機きき的てきな意識いしき調査ちょうさ結果けっかが続つづいている。先述せんじゅつした起業きぎょう家か希望きぼう者しゃの増加ぞうか傾向けいこうと矛盾むじゅんするような負まけの側面そくめんがあることも事実じじつである。フリーターやニートが増加ぞうかする実態じったいは、まだまだ起業きぎょう家か社会しゃかいが到来とうらいしたとは言いいがたい。今後こんご、全国ぜんこくの大学だいがくのみならず、高校こうこうや中学ちゅうがくへと起業きぎょう家か講座こうざが急速きゅうそくに普及ふきゅうしていくことに期待きたいしたい。