本格ほんかく的てきなビジュアルコミュニケーション時代じだいは到来とうらいするか

商品しょうひん・サービスの供給きょうきゅう者しゃと購入こうにゅう者しゃの間あいだでは「情報じょうほうの非対称ひたいしょう性せい」が存在そんざいすると言いわれている。商品しょうひん・サービスの供給きょうきゅう者しゃはそれらを開発かいはつ・生産せいさん・販売はんばいする過程かていにおいてその具体ぐたい的てきな内容ないようの詳細しょうさいを十分じゅうぶんに知しり得える立場たちばにある一方いっぽう、購入こうにゅう者しゃは供給きょうきゅう者しゃと同等どうとうの情報じょうほう量りょうを十分じゅうぶんに入手にゅうしゅできるとは限かぎらない。よって供給きょうきゅう者しゃと購入こうにゅう者しゃとの間あいだに所有しょゆう情報じょうほうの乖離かいり、即すなわち情報じょうほうの非対称ひたいしょうが生しょうじる。そして情報じょうほうの非対称ひたいしょう性せいを解消かいしょうするために必然ひつぜん的てきに（広義こうぎの）コミュニケーションが存在そんざいするものと考かんがえられる。
コミュニケーション手段しゅだんには目的もくてきに応おうじて、広告こうこく、販売はんばい促進そくしん、パブリシティ、人的じんてき対応たいおう（人的じんてき販売はんばい）などがある。この中なかで、直接的ちょくせつてきに購入こうにゅう者しゃ（顧客こきゃく）に接せっしながらニーズに沿そった応対おうたいをし、双方そうほうが相手あいての反応はんのうを肌はだで感かんじ取とることができ、臨機応変りんきおうへんに対応たいおうしながら総括そうかつ的てきに顧客こきゃくが抱かかえる情報じょうほうの非対称ひたいしょう性せいを解消かいしょうできるのはやはり人的じんてき対応たいおうではないだろうか。

但ただし、商品しょうひん・サービスの属性ぞくせいが分わかれば容易よういにその内容ないようや特質とくしつを事前じぜんに推測すいそく・把握はあくできる「探索たんさく財ざい」よりは、例たとえば住宅じゅうたくローン相談そうだんのように実際じっさいにサービスを利用りようしてみなければその内容ないようについて適切てきせつな評価ひょうか下くだすことが出来できない「経験けいけん財ざい」の方ほうが情報じょうほうの非対称ひたいしょう性せいが強つよく存在そんざいするケースが多おおく、人的じんてき対応たいおうは効果こうか的てきあるいは必須ひっすと考かんがえられる。他方たほう、BtoCではなくどちらかというとプッシュ型がたのセールススタイルに重点じゅうてんを置おき、顧客こきゃく企業きぎょうとのリレーションシップ維持いじに注力ちゅうりょくするBtoBの世界せかいにおいては整備せいびされた営業えいぎょう体制たいせいが重要じゅうよう視しされる傾向けいこうにあり、人的じんてき対応たいおう力りょくが根本こんぽん的てきに問とわれてくるものと推測すいそくされる。
無論むろん、人的じんてき対応たいおうにはコストの課題かだいがある。営業えいぎょう体制たいせいを構築こうちく・維持いじしていくにはコスト対たい効果こうかの点てんを十分じゅうぶんに鑑かんがみて取とり組くむ必要ひつようがある。又また、電話でんわや電子でんしメールではなく実際じっさいに顔かおを付つき合あわせる場合ばあいには、両者りょうしゃあるいは両者りょうしゃの一方いっぽうが相手あいての所在地しょざいちまで足あしを運はこばなくてはならない地理ちり的てき制約せいやくも課かせられるであろう。

そこで、遠隔えんかくでのビジュアルコミュニケーションシステムにより、地理ちり的てき条件じょうけんを克服こくふくした擬似ぎじ対面たいめんを実現じつげんし、かつ当該とうがいシステムの導入どうにゅうを前提ぜんていに経営けいえい効率こうりつの観点かんてんから組織そしき体制たいせいを集約しゅうやく化か／最適さいてき化かする施策しさくが、人的じんてき対応たいおうを重視じゅうしする企業きぎょうにとって営業えいぎょう戦略せんりゃく上じょうのポイントとなってくるかもしれない。又また、効率こうりつ化か面めんのみならず、

• これまで対面たいめんすることが想定そうていされていなかった相手あいてとの会話かいわが可能かのう（＝あらゆる"コミュニケーションパス"の確立かくりつ）。
• 従来じゅうらい電話でんわや電子でんしメールのみで十分じゅうぶんだと考かんがえられていたコミュニケーションでも、WEBページや各種かくしゅ電子でんし文書ぶんしょといった画面がめんの共有きょうゆう機能きのうも付加ふかされたビジュアルコミュニケーションシステムであれば、より意思いし疎通そつう性せいを高たかめることができる期待きたい感かんもあり。

といった、取引とりひき活性かっせい化かを誘発ゆうはつさせるポジティブな面めんでの期待きたい感かんもあるであろう。更さらには応用おうよう編へんとして、一いち次じ応対おうたい者しゃを経由けいゆして背後はいごに専門せんもん的てきな知識ちしきやノウハウを持もつ二に次じ的てきな応対おうたい者しゃを柔軟じゅうなんに会話かいわに参加さんかさせるモデルを構築こうちくしたとしよう。それはある意味いみ一いち次じ応対おうたい者しゃをコンシェルジュに見立みたてた「ネットコンシェルジュ」型がたサービスモデルと言いえる。

ただ、このようなビジュアルコミュニケーションシステムにも課題かだいはありそうだ。一点いってん目めは、電話でんわや電子でんしメールといった他ほかの遠隔えんかくコミュニケーション手段しゅだんとの活用かつようの境目さかいめが意外いがいに曖昧あいまいな点てんである。これには詳細しょうさいなターゲッティングや共有きょうゆう情報じょうほうのプレミアム性せいの追求ついきゅうといった対策たいさくが必要ひつようかもしれない。二に点てん目めは、顧客こきゃくからみて供給きょうきゅう者しゃ目線めせんでの営業えいぎょう効率こうりつ化か追求ついきゅうの側面そくめんが若干じゃっかんちらつくため、場合ばあいによっては無機質むきしつで"汗あせをかいていない"対応たいおうと解釈かいしゃくされ兼かねない可能かのう性せいがある点てんだ。これは詳細しょうさいなシナリオの設定せっていなど何なにがしかの工夫くふうが必要ひつようだろう。三さん点てん目めは、インターフェースの柔軟じゅうなん性せいや付帯ふたい機能きのうの課題かだいである。既存きそんのWEB会議かいぎツールの中なかには会議かいぎでの使用しようを念頭ねんとうに置おいたパッケージが多おおく、顧客こきゃくとのコミュニケーションへの適用てきようという点てんでインターフェースの柔軟じゅうなんなカスタマイズ性せいは重要じゅうようである。又また、付帯ふたい機能きのうとしてスケジューリング機能きのうや在席ざいせきサインなどがあればより実効じっこう性せいを増ますシステムになるであろう。そして最後さいごはセキュリティ面めんである。例たとえば会話かいわの暗号あんごう化か等とうも視野しやに入いれておく必要ひつようがあるのではないだろうか。

これらの諸しょ課題かだいの解決かいけつと共ともに、今後こんごどれだけビジュアルコミュニケーションシステムが普及ふきゅうしていくのか着目ちゃくもくしたい。