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ニューエコノミーの本質 2005年07月08日 | 大和総研 | 成瀬 順也

ニューエコノミーの本質ほんしつ

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2005ねん07がつ08にち

  • 成瀬なるせ じゅん

米国べいこく経済けいざいは2004ねん7~9がつまで、6四半期しはんきちゅう5四半期しはんき実質じっしつ4%をえるこう成長せいちょうつづけてきたが、以後いご2四半期しはんき連続れんぞくで3.8%成長せいちょうへと減速げんそく。このまま3%だい前半ぜんはん、つまり潜在せんざい成長せいちょうりつみの巡航じゅんこう速度そくどへとソフトランディングする可能かのうせいたかまってきた。ソフトランディングという言葉ことば使つかうと、そんなことは不可能ふかのうだ、という異論いろん頂戴ちょうだいすることがおおい。たしかに、巡航じゅんこう速度そくどでの成長せいちょう永久えいきゅう持続じぞくすることはないだろう。ただし、従来じゅうらいくらべれば、成長せいちょうりつ振幅しんぷくちいさくなり、巡航じゅんこう速度そくどでの成長せいちょうたも期間きかん長期ちょうきするものとかんがえられる。

構造こうぞうてき要因よういんとしては、在庫ざいこ管理かんり技術ぎじゅつ進歩しんぽげられる。通信つうしん環境かんきょう整備せいび、コンピュータの活用かつよう、サプライチェーン・マネジメントの徹底てっていにより、すじ在庫ざいこ把握はあくスピードは格段かくだんがり、在庫ざいこ補充ほじゅうまでの日数にっすう短期たんきした。うまでもなく、景気けいきにサイクルをもたらす最大さいだい要因よういん在庫ざいこ循環じゅんかんである。在庫ざいこ循環じゅんかんちいさくなれば、おのずと景気けいき振幅しんぷくちいさくなろう。

さらに、今回こんかい局面きょくめんにおける限定げんていてき要因よういんとして、慎重しんちょう企業きぎょう経営けいえいげられる。ITバブル崩壊ほうかいからいまあいだがないため、いくら景気けいきくなっても、まえ需要じゅようえても、企業きぎょう在庫ざいこ雇用こよう設備せつびのいずれをも積極せっきょくてきやそうとはしなかった。そのおかげいま景気けいきがやや減速げんそくしたからとって、在庫ざいこ雇用こよう設備せつび急激きゅうげきらす必要ひつようがないのである。在庫ざいこつね適正てきせい水準すいじゅんけてほろ調整ちょうせいされつづけ、リストラは日常にちじょうてきなものとなり、設備せつび投資とうし石橋いしばしたたいてわたるような、ゆったりとしたペースでおこなわれている。

一昔ひとむかしまえ「ニューエコノミー」という言葉ことば流行はやったが、当時とうじは、ITの活用かつようによって労働ろうどう生産せいさんせいびが飛躍ひやくてきたかまり、こう成長せいちょう&ていインフレというバラ色ばらいろ世界せかいつづくかのようにかたられた。それが定義ていぎだとすれば、ニューエコノミーなど間違まちがいだったことになってしまう。しかし、ニューエコノミーの本質ほんしつは、ITの活用かつようによって景気けいき振幅しんぷくちいさくなり、巡航じゅんこう速度そくどでの成長せいちょう&ていインフレを長期ちょうきできる、ということではないだろうか。労働ろうどう生産せいさんせいりつたかまりにおもきをくと違和感いわかんがあるが、生産せいさんりょう労働ろうどう投入とうにゅうりょうのコントロールが的確てきかくになり、景気けいき減速げんそくにもまずまずのびをつづけていることを評価ひょうかすべきだろう。とすれば、いまになってようやく、ニューエコノミーを享受きょうじゅできる局面きょくめんがやってきたとえよう。

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