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役員賞与の税務は変わるのか? 2005年07月27日 | 大和総研 | 齋藤 純

役員やくいん賞与しょうよ税務ぜいむわるのか?

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2005ねん07がつ27にち

法人ほうじん税法ぜいほうじょうながらく損金そんきん算入さんにゅうとされてきた役員やくいん賞与しょうよについて、その取扱とりあつかいが見直みなおされるのではないかという議論ぎろんがある。

はなし発端ほったんは、6がつまつ成立せいりつした「会社かいしゃほう」。会社かいしゃほうでは、これまで利益りえき処分しょぶんによる支給しきゅう一般いっぱんてきであった役員やくいん賞与しょうよ(委員いいんかいとう設置せっち会社かいしゃのぞく)を、役員やくいん報酬ほうしゅうなどとともに、「職務しょくむ執行しっこう対価たいか」として財産ざいさん整理せいりしている。商法しょうほうにあった利益りえき処分しょぶんあん規定きてい会社かいしゃほうには存在そんざいせず、今後こんご役員やくいん賞与しょうよは、定款ていかんさだめがないかぎり、株主かぶぬし総会そうかい決議けつぎ支給しきゅうすることとなる。

そこでまずうごいたのが、企業きぎょう会計かいけいである。現在げんざい役員やくいん賞与しょうよ会計かいけい処理しょりは、その支給しきゅう手続てつづきにおうじて、「処分しょぶん利益りえき減少げんしょう」と「費用ひよう処理しょり」にかれているが、これを費用ひよう処理しょり一本いっぽんする方針ほうしんした。役員やくいん賞与しょうよ業績ぎょうせき連動れんどうがた役員やくいん報酬ほうしゅう類似るいじすることなどから、会社かいしゃほうおなじく、役員やくいん賞与しょうよ職務しょくむ執行しっこう対価たいかにあたるとしている。

そして、はなし冒頭ぼうとう法人ほうじん税法ぜいほう取扱とりあつかいにもどる。会社かいしゃほう企業きぎょう会計かいけいが、役員やくいん賞与しょうよ職務しょくむ執行しっこう対価たいかというかんがかた明確めいかくにしたことをけて、法人ほうじん税法ぜいほう役員やくいん賞与しょうよ損金そんきん算入さんにゅうとする前提ぜんていくずれるのではないかというわけだ。たしかに、役員やくいん賞与しょうよ損金そんきん算入さんにゅうとされるのは、商法しょうほう規定きてい利益りえき処分しょぶんによることをもとめていたことと関係かんけいするようである。とすると、会社かいしゃほう施行しこうは、役員やくいん報酬ほうしゅう同様どうように、役員やくいん賞与しょうよ損金そんきん算入さんにゅうみとめられることとなりそうである。

しかし、法人ほうじん税法ぜいほう役員やくいん賞与しょうよ損金そんきん算入さんにゅうとしているのは、商法しょうほう利益りえき処分しょぶんという支給しきゅう手続てつづきを要求ようきゅうしていたことのみを根拠こんきょとしているわけではない。政府せいふ税調ぜいちょう報告ほうこくしょ判例はんれいとうでは、利益りえき有無うむかかわらず支給しきゅうされる役員やくいん報酬ほうしゅうとはちがい、役員やくいん賞与しょうよ利益りえきがあることを前提ぜんてい支給しきゅうされるため、必要ひつよう経費けいひにはあたらないといったかんがかたしめされている。このことからすると、会社かいしゃほう制定せいていにより役員やくいん賞与しょうよ支給しきゅう手続てつづきがわるということだけでは、法人ほうじん税法ぜいほう見直みなおしにはつながらない可能かのうせいこうそうである。

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