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賃金80万円の払いすぎが解消 2005年08月02日 | 大和総研 | 鈴木 準

賃金ちんぎん80まんえんはらいすぎが解消かいしょう

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2005ねん08がつ02にち

  • 調査ちょうさ本部ほんぶ 常務じょうむ執行しっこう役員やくいん リサーチ担当たんとう 鈴木すずき じゅん

あらためて指摘してきするまでもなく、雇用こよう過剰かじょうかん相当そうとう程度ていど解消かいしょうした。日銀短観にちぎんたんかん雇用こよう判断はんだんDIは2004ねん12月短観たんかん以降いこう過不足かふそくがほぼゼロである。パートタイム以外いがい労働ろうどうしゃである毎月まいつき勤労きんろう統計とうけい一般いっぱん労働ろうどうしゃは2005ねん1がつ以降いこう前年ぜんねんプラスであり、これは7ねん4ヵ月かげつぶり。2005ねん4がつには、長期ちょうきてき構造こうぞうてき増加ぞうかつづけているパートタイム労働ろうどうしゃ減少げんしょうする現象げんしょうもみられた。2005ねん4がつ以降いこうは、コア賃金ちんぎんである所定しょていない給与きゅうよが4ねん5ヵ月かげつぶりに前年ぜんねん増加ぞうかてんじている。日本にっぽん経団連けいだんれん調査ちょうさの2005ねんなつのボーナスも、前年ぜんねん3.6%ぞうだった。半年はんとしまえ定率ていりつ減税げんぜい縮減しゅくげんについて、おおくの論者ろんしゃはその悪影響あくえいきょう過大かだい見込みこみすぎたのではないか。

ただし、中小ちゅうしょう企業きぎょう労働ろうどう分配ぶんぱいりつ地域ちいき経済けいざい動向どうこうから、依然いぜんとして家計かけい部門ぶもんたいする慎重しんちょう見方みかたくずすべきではないという意見いけんもある。たしかに、毎月まいつき勤労きんろう統計とうけい一般いっぱん労働ろうどうしゃには正社員せいしゃいん以外いがい多数たすうふくまれている。労働ろうどうりょく調査ちょうさによると、パート・アルバイトだけでなく派遣はけん社員しゃいん契約けいやく社員しゃいんふくめた正規せいき雇用こようやその雇用こようしゃめる割合わりあいは、依然いぜんとして増加ぞうか上昇じょうしょうしている。しかし、労働ろうどう市場いちば構造こうぞう変化へんかである正規せいき社員しゃいん比率ひりつによって労働ろうどう需給じゅきゅう評価ひょうかすることは、もはや適切てきせつでない可能かのうせいがあるだろう。

ここでは、賃金ちんぎん調整ちょうせい終了しゅうりょうしたことをもうひとしめしておこう。法人ほうじん企業きぎょう統計とうけいほうもちいて作成さくせいした下図したずひょうは、よこじく人員じんいん1にんたりの付加ふか価値かちがくを、たてじく人員じんいん1にんたりの人件じんけんを、製造せいぞうぎょうについてプロットしたものである。ここでは、かりやすく、いずれも名目めいもくがくをみている。図表ずひょうは1970ねんQ1以降いこう2005ねんQ1までだが、傾向けいこうせんは1970ねんQ1から1990ねんQ1までのトレンドである。需要じゅようびたり、生産せいさんせい向上こうじょうしたりして付加ふか価値かち増加ぞうかすると、人件じんけん増加ぞうかすることがかる。景気けいきわるくなると付加ふか価値かち増加ぞうかまって人件じんけんだけが増加ぞうかするが、それはなんらかのかたち調整ちょうせいされてトレンドせんもどる。ちなみに、トレンドせんかたむきはおよそ0.7である。

しかし、1990年代ねんだいのトレンドせんからの乖離かいり尋常じんじょうなものではなかった。トレンドせんからもっとはなれたのは1999ねんQ2でやく80まんえんだった。つまり、生産せいさんせいとの見合みあいでみて、企業きぎょう1人ひとりたりどしりつ平均へいきん80まんえん賃金ちんぎんはらいすぎていた。だが、2005ねんQ1には、とうとうトレンドせん回帰かいきした。製造せいぞうぎょう図表ずひょう掲載けいさいしていないが、同様どうようにトレンドせん回帰かいきしつつある局面きょくめんにある。

マクロてきに(加重かじゅう平均へいきんでみて)こうした状況じょうきょういたったということは、やはり、構造こうぞうてき中期ちゅうきてき課題かだいであった過剰かじょう雇用こよう解消かいしょうしたといってよい。なお、当面とうめん短期たんきてき景気けいき循環じゅんかんをどう見通みとおすべきか、ここからはあきらかにならない。また、一転いってんして今度こんど労働ろうどうりょく雇用こよう不足ふそくだというはなしうたがわしい。

 

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