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失業率3%時代の予感 2005年09月12日 | 大和総研 | 取越 達哉

失業しつぎょうりつ3%時代じだい予感よかん

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2005ねん09がつ12にち

  • こし 達哉たつや
90年代ねんだい初頭しょとうに2%であった失業しつぎょうりつは、02ねん後半こうはんには5.5%にまで上昇じょうしょうした。しかもこのあいだ景気けいき回復かいふく局面きょくめんにおいてさえ、失業しつぎょうりつ低下ていかすることはなかった。ところが2003ねん以降いこう失業しつぎょうりつ急速きゅうそく低下ていかはじめ、05ねん6がつには4.2%と、3%だいをうかがう水準すいじゅんにまで低下ていかしてきたのである(7がつは4.4%とやや上昇じょうしょう)。日本にっぽん失業しつぎょうりつふたたび、先進せんしんこくなかでも最低さいてい部類ぶるいもどってきたことになる。

失業しつぎょうりつを「15-64さい」(生産せいさん年齢ねんれい人口じんこう)と「65さい以上いじょう」にけてみると、低下ていか顕著けんちょなのは15-64さいである。65さい以上いじょう失業しつぎょうりつ過去かこすうねんおおむね2%たい前半ぜんはん推移すいいしており、全体ぜんたい失業しつぎょうりつおおきな影響えいきょうあたえていない。

そこで、2003ねん以降いこうにおける15さい-64さい失業しつぎょうりつ低下ていか背景はいけいさぐってみると、景気けいき回復かいふく反映はんえいして就業しゅうぎょうしゃ増加ぞうかはじめたこともさることながら、人口じんこうがすでに減少げんしょうはじめていることが影響えいきょうしているという結果けっかられる。日本にっぽん人口じんこうは2006ねんをピークにして減少げんしょうてんじるとられるが、15-64さい生産せいさん年齢ねんれい人口じんこうかぎってみれば、すでに96ねん以降いこう減少げんしょうはじめており、04ねんには前年ぜんねん-0.4%までマイナスはば拡大かくだいしているのである(総務そうむしょう人口じんこう推計すいけい」による)。05ねんには-0.6%、06~09ねんは-0.8%までマイナスはば拡大かくだいする見込みこみである(国立こくりつ社会しゃかい保障ほしょう人口じんこう問題もんだい研究所けんきゅうじょ日本にっぽん将来しょうらい推計すいけい人口じんこう」の中位ちゅうい推計すいけいによる)。こうした15-64さい人口じんこう生産せいさん年齢ねんれい人口じんこう)の減少げんしょう傾向けいこうつよまりは、労働ろうどう需給じゅきゅう逼迫ひっぱく要因よういんであり、今後こんご失業しつぎょうりつつよ圧力あつりょくとしてはたらつづけることになる。しかも、景気けいき回復かいふく傾向けいこうつづける公算こうさんたかまっていることをかんがわせると、失業しつぎょうりつは3%だい目指めざ可能かのうせいちいさくない。

失業しつぎょうりつ低下ていかは、賃金ちんぎん消費しょうひしゃセンチメントの回復かいふくつながるだけでなく、家計かけい金融きんゆう資産しさんにおけるリスク・アセットのたかまりをもたらす可能かのうせいがある。そうした兆候ちょうこうは、すでにあらわれつつある。

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