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道路特定財源はどう見直す? 2005年11月04日 | 大和総研 | 齋藤 純

道路どうろ特定とくてい財源ざいげんはどう見直みなおす?

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2005ねん11月04にち

小泉こいずみ首相しゅしょう検討けんとう指示しじしたことで、道路どうろ特定とくてい財源ざいげん見直みなおしが本格ほんかくしそうな機運きうんである。道路どうろ特定とくてい財源ざいげんとは、そのとおり、使途しと道路どうろ整備せいび特定とくていされた税金ぜいきんのことであり、揮発きはつぜい石油せきゆガスぜいなど6つの税目ぜいもく該当がいとうする。税収ぜいしゅう使途しと限定げんていすることによる財政ざいせい硬直こうちょくへの懸念けねんや、公共こうきょう投資とうし削減さくげんによる資金しきん余剰よじょうなどが見直みなおしの背景はいけいとなっている。

見直みなおしの基本きほん道路どうろ特定とくてい財源ざいげん一般いっぱん財源ざいげんである。財政ざいせい再建さいけんいそぎたい財務省ざいむしょうなどが主張しゅちょうするものであるが、これにたいしては、道路どうろ整備せいび受益じゅえきしゃ(ドライバーとう)が財源ざいげん負担ふたんするという“受益じゅえきしゃ負担ふたん原則げんそく”がくずれるとの反対はんたい意見いけんている。また、道路どうろ特定とくてい財源ざいげんのほとんどの税目ぜいもくでは、「暫定ざんてい税率ぜいりつ」として1.2~2.5ばい税率ぜいりつ設定せっていされているが、暫定ざんてい税率ぜいりつ道路どうろ整備せいび緊急きんきゅうすすめるためもうけられたものであり、かり一般いっぱん財源ざいげんする場合ばあい暫定ざんてい税率ぜいりつ維持いじしたままの一般いっぱん財源ざいげん理屈りくつわない。

道路どうろ特定とくてい財源ざいげんをそのまま環境かんきょうぜい転換てんかんすべきとの意見いけんもある。たしかに、温室おんしつ効果こうかガスを排出はいしゅつする自動車じどうしゃユーザーと環境かんきょう保全ほぜんのための財源ざいげん負担ふたんには関連かんれんせいがあるが、若干じゃっかん飛躍ひやくした意見いけんとの印象いんしょうける。そもそも環境かんきょうぜいは、ぜい負担ふたんしゃやめぜいかんあたえ、エネルギーの消費しょうひ抑制よくせいにつなげるものである。現在げんざい揮発きはつぜいとうとして徴収ちょうしゅうしている税金ぜいきんを「環境かんきょうぜい」という看板かんばんけかえるだけでは、温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつりょう削減さくげんには効果こうかうすいのではないだろうか。

どうも道路どうろ特定とくてい財源ざいげん見直みなおしをめぐ議論ぎろん複雑ふくざつぎたきらいがある。このままではいたずら議論ぎろん長引ながびかせることとなりかねない。そこで、一度いちど原則げんそくかえしえる必要ひつようがあるのではないだろうか。現在げんざい道路どうろ特定とくてい財源ざいげんとされている税目ぜいもくは、その根拠こんきょからおおきく3つに色分いろわけできる。

1つは、税法ぜいほうじょう道路どうろ整備せいび使用しようすることがめられている税目ぜいもく地方ちほう道路どうろぜい軽油けいゆ引取ひきとぜいおよ自動車じどうしゃ取得しゅとくぜいがあたる。こうした税目ぜいもくは、ぜい創設そうせつ趣旨しゅしからして道路どうろ整備せいび目的もくてきとしているため、一般いっぱん財源ざいげんとするのは矛盾むじゅんする。税収ぜいしゅう余剰よじょうしょうじるのであれば、税率ぜいりつ引下ひきさげやぜい廃止はいし議論ぎろんすべきであろう。

2つは、特別とくべつほうにより使途しと道路どうろ整備せいびとしている税目ぜいもくである。揮発きはつぜい石油せきゆガスぜい該当がいとうする。これはそもそもぜい使途しと特定とくていしない普通ふつうぜいであるので、道路どうろ特定とくてい財源ざいげん役割やくわりわったとすれば、一般いっぱん財源ざいげんすべきとの意見いけん正論せいろんである。かり一般いっぱん財源ざいげんするさいには、暫定ざんてい税率ぜいりつ撤廃てっぱいがセットとなろう。

そして3つが、使途しと道路どうろ整備せいびとする明文めいぶんじょう規定きていがない税目ぜいもくである。自動車じどうしゃ重量じゅうりょうぜいは、ぜい創設そうせつ経緯けいいからその大半たいはん道路どうろ整備せいびてることとされているが、明文めいぶんじょう根拠こんきょ存在そんざいしない。すでに2003年度ねんど税制ぜいせい改正かいせいにより、本州ほんしゅう四国しこく連絡れんらくきょう公団こうだん債務さいむ処理しょりやETCの普及ふきゅう促進そくしん費用ひようなどへの使途しと多様たようはかられている。一般いっぱん財源ざいげんするのであれば、こうした税目ぜいもくから優先ゆうせんして見直みなおすべきであろう。

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