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浅草・東洋館で感じたリアルの意味 2022年01月05日 | 大和総研 | 溝端 幹雄

浅草あさくさ東洋館とうようかんかんじたリアルの意味いみ

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2022ねん01がつ05にち

コロナ日本にっぽん経済けいざい社会しゃかい様変さまがわりしてから今年ことしで3ねんになった。ワクチン接種せっしゅ普及ふきゅうしたこともあり、昨年さくねんあきから新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんしゃすう低位ていいにとどまっている。今後こんご変異へんいかぶうごきには注意ちゅういすべきだが、足元あしもとでは経済けいざい活動かつどう活気かっきもどしつつある。

そうしたこともあって、先日せんじつわたし浅草あさくさおとずれた。今回こんかい漫才まんざいなどがられる東洋館とうようかんはじめておとずれた。当日とうじつはお目当めあての漫才まんざい出演しゅつえんすることにくわえて、かつてフランスばれていたこの場所ばしょ舞台ぶたいとしたビートたけしの自叙伝じじょでん映画えいがした『浅草あさくさキッド』を先日せんじつたこともあり、きゅうおとずれてみたくなったのだ。

かい受付うけつけ料金りょうきんはらい、エレベーターで4かいがる。施設しせつ全体ぜんたいてきにこぢんまりとしている。到着とうちゃく開始かいし時刻じこくよりおくれたので、会場かいじょうではすで漫才まんざいはじまっていた。おどろいたのは、演者えんじゃ客席きゃくせきとの距離きょりがとてもちかく、一体いったいかんがあって贅沢ぜいたく気分きぶんあじわえることだ。お目当めあての漫才まんざい以外いがいほか演者えんじゃ劇場げきじょうるとみなおもしろく、様々さまざま漫才まんざい漫談まんだんくことができたおかげで、予想よそうえて非常ひじょう満足まんぞくのいく時間じかんごすことができた。

これとたようなことはほかにもある。わたしほんをネットで購入こうにゅうすることがおおいが、あるほん中身なかみたくて書店しょてんおとずれると、ふとはいったほんのタイトルに興味きょうみをそそられ、ついそれをってしまうことがある。また、いまわたし在宅ざいたく勤務きんむ中心ちゅうしんだが、ある用事ようじ出社しゅっしゃすると、同僚どうりょうとの何気なにげない会話かいわなかで、別件べっけんあたらしい着想ちゃくそうられることがあった。こうした偶然ぐうぜんによってさがしていたものとことなるあたらしい価値かちつけすことをセレンディピティ(serendipity)とぶが、これがリアルな体験たいけんおおきなメリットといえるのかもしれない。

近年きんねん無形むけい資産しさん時代じだいばれており、あたらしい着想ちゃくそうることの重要じゅうようせい以前いぜんよりもたかまっている。そうした時代じだいはたらかたとしては、出社しゅっしゃしてリアルにひとほうが、あたらしい着想ちゃくそうやすいてんてきしているといえるかもしれない。コロナ日本にっぽんでも普及ふきゅうした在宅ざいたく勤務きんむは、従業じゅうぎょういん仕事しごとぶりがえにくいと日本にっぽんでは否定ひていてきとらえられがちだが、あたらしい着想ちゃくそうるというてんでも弱点じゃくてんがありそうだ。ただ、在宅ざいたく勤務きんむ職種しょくしゅによっては相性あいしょういものもあるし、はたら減少げんしょうしていくなかで、共働ともばたらき、子育こそだて、介護かいごなど家庭かてい事情じじょう斟酌しんしゃくしやすい在宅ざいたく勤務きんむは、今後こんご一層いっそうえていくだろう。出社しゅっしゃによる疲労ひろうやストレスがおおいと、それらが人々ひとびと生産せいさんせい低下ていかさせる要因よういんにもなる。在宅ざいたく勤務きんむほうしずかな環境かんきょう集中しゅうちゅうできるので作業さぎょうみやすいというひともいる。

したがって、状況じょうきょうによって勤務きんむ形態けいたい自由じゆう使つかけられるのが、生産せいさんせいたかめるために必要ひつようなことだとかんがえられる。これを制度せいどめんから担保たんぽすることは重要じゅうようだが、それ以上いじょうとく日本にっぽん場合ばあい企業きぎょうない文化ぶんかとして定着ていちゃくすることがとても重要じゅうようだろう。なぜなら、周囲しゅうい雰囲気ふんいき人々ひとびと選択せんたくおおきな影響えいきょうあたえるからだ。

コロナをより意識いしきするようになるであろう2022ねんには、たんにコロナまえもどればよいわけではない。コロナれい時代じだい一層いっそう重要じゅうようとなるリアルの意味いみについて、昭和しょうわ雰囲気ふんいき色濃いろこのこ浅草あさくさ東洋館とうようかんかんじたことは、まさにセレンディピティだった。

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溝端 幹雄
執筆しっぴつしゃ紹介しょうかい

経済けいざい調査ちょうさ

主任しゅにん研究けんきゅういん みぞはし 幹雄みきお

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