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「2030年に5兆円」の日本産食品の輸出に向け期待される官民の取り組み 2022年03月16日 | 大和総研 | 中村 昌宏

「2030ねんに5ちょうえん」の日本にっぽんさん食品しょくひん輸出ゆしゅつ期待きたいされる官民かんみん

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2022ねん03がつ16にち

新型しんがたコロナウイルスによる農林のうりん水産すいさんぎょうでの労働ろうどうりょく不足ふそく、ロシアによるウクライナ侵攻しんこう発端ほったんとした小麦こむぎとう供給きょうきゅう不安ふあん原油げんゆ価格かかく上昇じょうしょうともなうコストぞうなど、足元あしもと農林のうりん水産物すいさんぶつ食品しょくひん環境かんきょうきびしい。

このようななか日本にっぽん農林のうりん水産物すいさんぶつ食品しょくひん以下いか、「日本にっぽんさん食品しょくひん」)の輸出ゆしゅつがくが9ねん連続れんぞく過去かこ最高さいこう更新こうしんし、2021ねん政府せいふ目標もくひょうである1ちょうえんえたことはあかるいニュースである。中国ちゅうごく米国べいこくなど従前じゅうぜんより輸出ゆしゅつがくおおきいくに地域ちいき経済けいざい活動かつどう回復かいふくかい、当地とうちでの外食がいしょく需要じゅようえたことにくわえ、小売こうりてんけやEC販売はんばいとうあらたな販路はんろへの販売はんばい堅調けんちょうだったことが輸出ゆしゅつぞうにつながった。

農林水産物・食品 輸出額の推移

また、これまでの日本にっぽん政府せいふすすめてきた輸出ゆしゅつ拡大かくだいけたみの効果こうかおおきい。輸出ゆしゅつ証明しょうめいしょ円滑えんかつ発行はっこう輸出ゆしゅつさきこくとの規制きせい交渉こうしょう進展しんてんやプロモーション活動かつどうなどが、輸出ゆしゅつ後押あとおしした一因いちいんかんがえられる。2020ねん発表はっぴょうされた「食料しょくりょう農業のうぎょう農村のうそん基本きほん計画けいかく」のなかで、政府せいふ日本にっぽんさん食品しょくひん輸出ゆしゅつがくあらたな目標もくひょうとして、2025ねんちょうえん、2030ねんちょうえんかかげている。

しかし、2012ねんでは5,000おくえんたなかった日本にっぽんさん食品しょくひん輸出ゆしゅつがくが1ちょうえんえるまで9ねんようしたことをかんがえると、2030ねんの5ちょうえんのハードルはたかく、目標もくひょう達成たっせいするには政府せいふ民間みんかんともにむべき問題もんだいおおい。

たとえば、政府せいふについては、日本にっぽんさん食品しょくひん輸入ゆにゅう規制きせいとくに2011ねん原発げんぱつ事故じこのあとに導入どうにゅうされた日本にっぽんさん食品しょくひんへの輸入ゆにゅう規制きせい解消かいしょうけた交渉こうしょうすすめることが期待きたいされる。先月せんげつ21にち日本にっぽんさん食品しょくひん輸出ゆしゅつさきだい4(1,245おくえん)の台湾たいわんが、福島ふくしま茨城いばらき栃木とちぎ群馬ぐんま千葉ちばの5けんさん輸入ゆにゅう規制きせい措置そち緩和かんわ決定けっていした。一部いちぶ食品しょくひんでは輸入ゆにゅう規制きせいのこるものの、今後こんご台湾たいわんけの日本にっぽんさん食品しょくひん輸出ゆしゅつえると期待きたいされる。他方たほう、2がつ21にち時点じてんでまだ輸入ゆにゅう規制きせいのこっているくに地域ちいきは14あり、このうちの5つのくに地域ちいきではまだ輸入ゆにゅう停止ていし措置そちこうじられている。これらのくに地域ちいきでの輸入ゆにゅう規制きせい解消かいしょうけ、政府せいふによる対話たいわ推進すいしんとうのぞまれる。

民間みんかんがわでは、競合きょうごうとの『ごろかん』を実現じつげんするための収益しゅうえき体質たいしつ改善かいぜんげられよう。これまで、日本にっぽんさん食品しょくひんこう品質ひんしつつよみとしてきたが、価格かかくたかいため、一部いちぶ高級こうきゅうレストランをのぞけば販路はんろ拡大かくだいむずかしかった。日本にっぽん和牛わぎゅうなど、べれば現地げんち人々ひとびと美味おいしいと実感じっかんするとしても、豪州ごうしゅうさんのWAGYU(和牛わぎゅう血統けっとう交配こうはい割合わりあいが50%をえるもの)との価格かかくおおきいため小売こうりてんでの露出ろしゅつかぎられ、人々ひとびと日本にっぽん和牛わぎゅうべる機会きかい拡大かくだいしてこなかった。「ごろかん」の実現じつげんには価格かかくげが必要ひつようだが、日本にっぽん生産せいさんしゃ利益りえきのこるためには生産せいさんコストの低下ていか必須ひっすとなる。これまで推進すいしんしてきたビッグデータやAIの活用かつよう範囲はんいひろめ、また精度せいどたかめることが必要ひつようとなる。

輸出ゆしゅつさきこく品目ひんもく拡大かくだい」と「輸出ゆしゅつさき市場いちばでの日本にっぽんさん食品しょくひん浸透しんとう」という、「はばひろげ、ふかさを追求ついきゅうする」みが期待きたいされる。

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中村 昌宏
執筆しっぴつしゃ紹介しょうかい

金融きんゆう調査ちょうさ

主席しゅせき研究けんきゅういん 中村なかむら 昌宏まさひろ

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