レベル4の自動じどう運転うんてんバスに乗のってみた

政府せいふは2024年ねん6月がつ18日にちに「デジタル行財政ぎょうざいせい改革かいかく 取とりまとめ2024」（以下いか、取とりまとめ）を公表こうひょうした。その中なかではデジタル技術でじたるぎじゅつ等とうを使つかった交通こうつうや教育きょういくなどの個別こべつ分野ぶんやの施策しさく、そしてそれらの実現じつげんに必要ひつようなデジタル基盤きばんやエビデンスに基もとづく政策せいさく立案りつあん（EBPM）を実現じつげんするための各かく施策しさくが取とり上あげられている。

そのうち、交通こうつう分野ぶんやでは、人手ひとで不足ふそくによる課題かだいを克服こくふくするために、デジタル技術でじたるぎじゅつを実装じっそうした自動じどう運転うんてんやドローンの事業じぎょう化か加速かそくが大おおきなテーマとなっている。特とくに自動じどう運転うんてんバスの実証じっしょう実験じっけんは、現在げんざい、全国ぜんこく各地かくちで行おこなわれており、筆者ひっしゃはこれまでも茨城いばらき県けん境さかい町まち・日立ひたち市し、岐阜ぎふ県けん岐阜ぎふ市し、東京とうきょう都と羽田空港はねだくうこう付近ふきんの自動じどう運転うんてんバスに乗車じょうしゃまたは視察しさつしてきた。これらを含ふくめて全国ぜんこく各地かくちで行おこなわれているほとんどの自動じどう運転うんてんバスは、いずれもレベル2と呼よばれる、運転うんてん手しゅが常時じょうじ運行うんこう状じょう況きょうを監視かんしして、必要ひつようならば手動しゅどう運転うんてんに切きり替かえる必要ひつようがあるものだ。

一方いっぽう、日本にっぽんで唯一ゆいいつ、運転うんてん手しゅがいない、いわゆる自動じどう運転うんてんのイメージに近ちかいレベル4で運行うんこうしているのが、福井ふくい県けん永平寺えいへいじ町まちにある自動じどう運転うんてんバスだ。この自動じどう運転うんてんバスは2002年ねんに廃止はいしされた京福電気鉄道けいふくでんきてつどう永平寺線えいへいじせんの線路せんろ跡あとを活用かつようした遊歩道ゆうほどうを走行そうこうするもので、バスはそのうち永平寺えいへいじ側がわに近ちかい約やく2㎞の区間くかん（荒谷あらや～志こころざし比ひ）で運行うんこうされている。現在げんざいは土日どにち・祝日しゅくじつの運転うんてんのみであり、10時じから15時じまでの間あいだ（12時じ台だいを除のぞく）、20分ふん間隔かんかくの運行うんこうとなっている（※１）。昨年さくねん秋あきにこのバスが自動じどう運転うんてん中ちゅうに自転車じてんしゃと接触せっしょくした事故じこがニュースになった。その原因げんいん究明きゅうめいや冬季とうき期間きかんのため一いち時じ運転うんてんを休止きゅうししていたものの、今年ことし3月がつに運転うんてんを再開さいかいした。先日せんじつ、筆者ひっしゃもこのレベル4の自動じどう運転うんてんバスに乗車じょうしゃしてきた。

しかし、この自動じどう運転うんてんバスはかなり特殊とくしゅな形かたちで運行うんこうされている。まず、走行そうこうする道路どうろはそもそも遊歩道ゆうほどうであり、歩行ほこう者しゃや自転車じてんしゃを除のぞけば、他たの一般いっぱん車両しゃりょうは入いれず、実質じっしつ、自動じどう運転うんてんバス専用せんようの道路どうろとなっている。具体ぐたい的てきには、道路どうろ表面ひょうめんには黒くろい線せんの入はいった磁気じき誘導ゆうどう線せんが埋うめ込こまれており、その上うえをバスが走はしる仕組しくみとなっている。走行そうこう速度そくどは時速じそく12km以下いかで、バスと言いっても見みた目めは6人にん乗のりのゴルフカートだ。もちろん、バスには障害しょうがい物ぶつを検知けんちするためのカメラやセンサーが備そなわっているものの、この形かたちの自動じどう運転うんてんバスを他たの地域ちいきでそのまま展開てんかいするのは難むずかしそうだ。

レベル4の自動じどう運転うんてんバスが普及ふきゅうするには一般いっぱん道どうでの走行そうこうが可能かのうになることである。それには車くるまに付つけるカメラ・センサーの高度こうど化かだけでなく、交差点こうさてんの信号しんごう機き等とうに設置せっちされたカメラ等とうの機器ききと車くるまがリアルタイムで信号しんごう機きの状態じょうたいや歩行ほこう者しゃ・他たの車両しゃりょうの位置いち情報じょうほうなどのデータをやり取とりするインフラの整備せいびが必要ひつようになるだろう。さらに、雨天うてん・積雪せきせつ時じなどは道路どうろ状況じょうきょうが変かわるので、安全あんぜんな走行そうこうには気象きしょうデータとの連携れんけいも必要ひつようだ。つまり、遅延ちえんのないデータ連携れんけいが求もとめられる。

先さきの取とりまとめにおいて、政府せいふは自動じどう運転うんてんレベル4の社会しゃかい実装じっそう・事業じぎょう化かに向むけた取組とりくみを推進すいしんするため、2025 年度ねんどに全ぜん都道府県とどうふけんでの自動じどう運転うんてん（タクシーも含ふくむ）の通年つうねん運行うんこうの計画けいかく策定さくてい又または実施じっしを目指めざすとしている。地域ちいきの交通こうつう弱者じゃくしゃを生うまないためにもこうした取とり組くみの加速かそくは歓迎かんげいされるべきであるが、自動じどう運転うんてんが直面ちょくめんする技術ぎじゅつ的てき課題かだいはまだ多おおい。暫しばらくはデータ連携れんけいを中心ちゅうしんにして本格ほんかく的てきなレベル4の自動じどう運転うんてんの実現じつげんに向むけた模索もさくが続つづくだろう。

• （※１）まちづくり株式会社かぶしきがいしゃZENコネクト・自動じどう走行そうこう(https://e-machidukuri.co.jp/maas/autonomous/)

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