BYDシール（RWD）／シールAWD（4WD）【試乗しじょう記き】 巻まき起おこる旋風せんぷう

攻せめた価格かかく設定せってい

ミドルサイズSUVの「ATTO 3」とコンパクトな「ドルフィン」がライバルを圧倒あっとうする高たかいコストパフォーマンスで日本にっぽんのBEV市場いちばに旋風せんぷうを巻まき起おこしたBYD。そんないま注目ちゅうもくの新規しんきブランドが最新さいしんBEVの第だい3弾だんとして投入とうにゅうするのが、日本にっぽんのトップモデルとなるミドルサイズセダンのシールだ。“ドルフィン（イルカ）”とともに、海洋かいよう生物せいぶつの名前なまえがつけられた“シール（アザラシ）”だが、むしろこのクルマのほうがイルカのイメージにピッタリではないかと思おもえる流麗りゅうれいなフォルムの持もち主ぬしである。

エンジン車しゃなら「メルセデス・ベンツCクラス」や「BMW 3シリーズ」とほぼ同等どうとうの全長ぜんちょう×全幅ぜんぷく×全高ぜんこう＝4800×1875×1460mmのセダンボディーに、82.56kWhの大だい容量ようりょうバッテリーを搭載とうさい。最高さいこう出力しゅつりょく313PSのリアモーターで後のち輪わを駆動くどうするスタンダードな「シール」と、トータル出力しゅつりょく530PSの前後ぜんごモーターで4輪りん駆動くどうを構成こうせいする「シールAWD」が用意よういされ、一いち充電じゅうでん走行そうこう距離きょりは前者ぜんしゃが640km、後者こうしゃが575km（いずれも申請しんせい中ちゅうのWLTCモード計測けいそく値ち）を誇ほこりながら、価格かかくを528万まん円えんと605万まん円えんに設定せってい。さらに導入どうにゅう記念きねんキャンペーンで最初さいしょの1000台だいは33万まん円えん安やすい特別とくべつ価格かかくとし、無料むりょうの特典とくてんも用意よういされるなど、これまで以上いじょうにお買かい得どく感かんが高たかいのには驚おどろくばかりだ。

では肝心かんじんの出来栄できばえは期待きたいどおりなのか、日本にっぽん上陸じょうりくを果はたしたばかりの2グレードを早速さっそく試ためしてみることにする。

日本にっぽんでは2024年ねん6月がつ25日にちに発売はつばいされた「BYDシール」。最初さいしょの1000台だいに限かぎってRWD車しゃ（写真しゃしん）が495万まん円えん、4WD車しゃが572万まん円えんで販売はんばいされる。

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ボディーサイズは全長ぜんちょう×全幅ぜんぷく×全高ぜんこう＝4800×1875×1460mm。クーペのようなサイドビューだが、れっきとしたセダンである。

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「オーシャンエックスフェイス」と名なづけられたフロントマスク。グリルレスであることを生いかし、ボンネットまでが滑なめらかな面めんで構成こうせいされている。

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ドアハンドルは必要ひつようなときだけ飛とび出だすタイプ。普段ふだんは見みえない黒くろい部分ぶぶんに「BYD」ロゴが隠かくれている。

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上級じょうきゅうモデルにふさわしい上質じょうしつなインテリア

BEVらしいグリルレスデザインのフロントマスクを採用さいようするシール。「テスラ・モデル3」とも「ポルシェ・タイカン」とも違ちがう表情ひょうじょうは「オーシャンエックスフェイス」と呼よばれ、髭ひげ（ひげ）のようにも見みえる4本ほんのLEDポジショニングライトのおかげで、ひと目めでシールと分わかる個性こせいを手てに入いれている。クーペのようなエレガントさが自慢じまんのサイドビューは格納かくのう式しきのドアハンドルにおかげですっきりとした印象いんしょうを与あたえる一方いっぽう、フロントフェンダーやサイドスカートのアクセントがユニークだ。

エクステリア以上いじょうに上級じょうきゅうモデルにふさわしい雰囲気ふんいきに仕立したてて上あげられているのがインテリアだ。黒くろを基調きちょうとする室内しつないは落おち着つきがあり、レザーやスエードを思おもわせる素材そざいで彩いろどられたコックピットは高級こうきゅう感かんが漂ただよっている。ATTO 3に見みられるやや奇きをてらったデザイン要素ようそがこのシールには見当みあたらず、個人こじん的てきにはこのほうが好こう印象いんしょうだ。90度ど回転かいてんする大型おおがたセンターディスプレイはシールにも搭載とうさいされ、ダッシュボードの主役しゅやくを担になう一方いっぽう、それとは別べつに10.25インチと見みやすいサイズのメーターディスプレイが備そなわるのがうれしい。

走はしりだす前まえにリアシートをのぞいてみる。足元あしもとは広ひろく、余裕よゆうで足あしが組くめるほどのスペースが確保かくほされている。荷に室しつは天地てんちがさほど広ひろいとはいえないものの、奥行おくゆきや幅はばはボディーサイズ相応そうおうといったところ。ボンネット下かにも50リッターの収納しゅうのうが用意よういされており、RWDと4WDとでサイズに差さはなかった。

駆動くどう用ようリン酸さん鉄てつリチウムイオンバッテリーの容量ようりょうは82.56kWh。あくまで申請しんせい中ちゅうの数値すうちながら、WLTCモードの一いち充電じゅうでん走行そうこう距離きょりはRWD車しゃが640km、4WD車しゃが575kmとされている。

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インテリアカラーはブラックのみの設定せってい。レザーやスエード調ちょうの素材そざいを多用たようし、全体ぜんたい的てきな質感しつかんは高たかい。15.6インチタッチスクリーンの下したにスマートフォンのワイヤレス充電じゅうでん器きが2つ並ならんで備そなわっている。

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シート表皮ひょうひはナッパレザーで、ヒーター／ベンチレーション機能きのうを装備そうび。表皮ひょうひだけでなくフレームにもこだわったとのことで、実際じっさいに座すわり心地ごこちが素晴すばらしい。

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後こう席せきは足元あしもとが広ひろいだけでなく、床ゆか面めんと座ざ面めんとの高低こうてい差さもしっかり確保かくほされている。

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1モーターでも十分じゅうぶんすぎるパフォーマンス

まずはRWDを選えらんで運転うんてん席せきへ。ナッパレザーのヘッドレスト一いち体型たいけいシートが優やさしく体からだを包つつんでくれる。試乗しじょう当日とうじつは汗あせばむほどの暑あつさだったが、シートベンチレーションが備そなわるこのシートは実じつに居心地いごこちがいい。

早速さっそくセンターコンソールにあるスタートボタンを押おし、その先さきにあるシフトスイッチを操作そうさして運転うんてんの準備じゅんびが完了かんりょう。アクセルペダルを少すこし踏ふむと、2120kgのボディーは軽々かるがると動うごき出だした。アクセルペダルの操作そうさに対たいして、鈍にぶくも過敏かびんでもなく、ちょうどいいレスポンスをみせるシールのモーターは、絶たえず加減かげん速そくを繰くり返かえす一般いっぱん道どうでも扱あつかいやすい。一方いっぽう、アクセルペダルを強つよく踏ふみ込こめば、その力強ちからづよい加速かそくが実じつにスポーティーだ。

回生かいせいブレーキはスタンダードとハイの2つから強つよさが選えらべ、スタンダードは弱よわめ、ハイならアクセルペダルだけでほぼ速度そくど調節ちょうせつが可能かのうだ。ハイでも反応はんのうに過敏かびんなところはなく、コントロールしやすいのがいい。

ここでAWDに乗のり換かえると、モーターの扱あつかいやすさはそのままに、さらにパワフルな加速かそくが楽たのしめる。試ためしにアクセルペダルを目めいっぱい踏ふみつけてやるとスポーツカー顔負かおまけの加速かそくが味あじわえる。530PSの高こう出力しゅつりょくを4輪りんで受うけ止とめる4WDだけに加速かそく時じでもグリップは十分じゅうぶん確保かくほされ、挙動きょどうは安定あんていしているから、躊躇ちゅうちょ（ちゅうちょ）なく右足みぎあしに力ちからをこめることができる。

4WD車しゃで東名とうめい高速こうそくを行いく。前後ぜんご合あわせて最高さいこう出力しゅつりょく530PSのパワートレインは数字すうじどおり力強ちからづよい。

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センターコンソールに並ならんだスイッチ類るい。シフトレバーと「P（パーキング）」ボタンの間あいだにスタート／ストップボタンが配置はいちされているのが少すこし気きになる。

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メーター用ようの液晶えきしょうパネルは10.25インチ。電池でんち残ざん量りょう94％で航続こうぞく可能かのう距離きょり606kmは驚異きょうい的てきだが、カタログスペックどおりに表示ひょうじするモード（写真しゃしん）と、直近ちょっきんの電でん費ひなどの実態じったいに合あわせて表示ひょうじするモードを選えらべるようになっている。

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センタースクリーンを縦たて向むきに回転かいてんできるのは「ATTO 3」や「ドルフィン」と同様どうよう。写真しゃしんではその動作どうさの速はやさを伝つたえられないのが残念ざんねん。

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最新さいしんのプラットフォームがもたらす爽快そうかいな走はしり

シールは、バッテリーセルを直接ちょくせつボディーに組くみ込こんだ最新さいしんのボディー構造こうぞう「CTB（セルtoボディー）」を採用さいよう。これに前まえ：ダブルウイッシュボーン、後うしろ：5リンクのサスペンションを搭載とうさいしている。RWDではフロントタイヤからの細こまかいショックを伝つたえがちだが、乗のり心地ごこち自体じたいは快適かいてきで、高速こうそくでのフラット感かんもまずまず。メカニカル油圧ゆあつ可変かへんダンパーが備そなわるAWDでは、高速こうそくではさらにフラットさが向上こうじょうする一方いっぽう、目地めじ段差だんさを通過つうかする際さいのショックを巧たくみにいなし、より快適かいてきなロングドライブが楽たのしめる。

ワインディングロードではノーズが軽かるいRWDがより軽快けいかいなハンドリングを見みせ、コーナリングが楽たのしい仕上しあがりに。一方いっぽう、AWDはしなやかなサスペンションの動うごきが好このましい。個人こじん的てきには、動力どうりょく性能せいのう、ハンドリングともにRWDで十分じゅうぶん満足まんぞくできると思おもう。一方いっぽう、降雪こうせつ地域ちいきなどに向むけたAWDという選択肢せんたくしが用意よういされるのはありがたい。

ATTO 3やドルフィンでは、アダプティブクルーズコントロールとレーンキープアシストでその動うごきに洗練せんれんさが足たりない印象いんしょうだったが、このシールでは十分じゅうぶん満足まんぞくできるレベルに仕上しあがっていた。デンマークの老舗しにせスピーカーブランド「Dynaudio（ディナウディオ）」のサウンドシステムが標準ひょうじゅんで搭載とうさいされるのも注目ちゅうもくで、性能せいのうや装備そうびのレベル、コストパフォーマンスの高たかさを考かんがえると、このシールがミドルサイズセダンセグメントで台風たいふうの目めになるのは間違まちがいないだろう。

（文ぶん＝生方うぶかた 聡さとし／写真しゃしん＝向後こうご一宏かずひろ／編集へんしゅう＝藤沢ふじさわ 勝まさる）

「ATTO 3」と「ドルフィン」よりも一いち世代せだい進すすんだ「CTB（セルtoボディー）」と呼よばれるボディー構造こうぞうを採用さいよう。バッテリーのトップカバーがフロアを兼かねることで、欧州おうしゅうプレミアムクラスと同等どうとうのボディー剛性ごうせいを実現じつげんしている。

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パノラミックガラスルーフはキャビン全体ぜんたいをカバー。シェードは備そなわっていないが、紫外線しがいせんカット率りつ99％、可視かし光線こうせん透過とうか率りつ4.2％の二に重じゅう構造こうぞうのため車内しゃないが暑あつくなりにくい。

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トランク容量ようりょうは400リッター。リアシートの背せもたれは40：60分割ぶんかつで前まえに倒たおせる。

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ボンネット下かにも容量ようりょう50リッターの収納しゅうのうスペースがある。フロントにモーターが積つまれる4WD車しゃでも変かわらない。

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BYDシール

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テスト車しゃのデータ

BYDシール

ボディーサイズ：全長ぜんちょう×全幅ぜんぷく×全高ぜんこう＝4800×1875×1460mm
ホイールベース：2920mm
車くるま重じゅう：2120kg
駆動くどう方式ほうしき：RWD
モーター：永久えいきゅう磁石じしゃく同期どうき式しき電動でんどうモーター
最高さいこう出力しゅつりょく：313PS（230kW）
最大さいだいトルク：360N・m（36.7kgf・m）
タイヤ：（前まえ）235/45R19 99V XL／（後ご）235/45R19 99V XL（コンチネンタル・エココンタクト6 Q）
交流こうりゅう電力でんりょく量りょう消費しょうひ率りつ：--km/kWh
一いち充電じゅうでん走行そうこう距離きょり：640km（WLTCモード、BYD計測けいそく値ち）
価格かかく：495万まん円えん／テスト車しゃ＝495万まん円えん
オプション装備そうび：なし

テスト車しゃの年とし式しき：2024年ねん型がた
テスト開始かいし時じの走行そうこう距離きょり：445km
テスト形態けいたい：ロードインプレッション
走行そうこう状態じょうたい：市街地しがいち（--）／高速こうそく道路どうろ（--）／山岳さんがく路ろ（--）
テスト距離きょり：--km
消費しょうひ電力でんりょく量りょう：--kWh
参考さんこう電力でんりょく消費しょうひ率りつ：--km/kWh

BYDシールAWD

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BYDシールAWD

ボディーサイズ：全長ぜんちょう×全幅ぜんぷく×全高ぜんこう＝4800×1875×1460mm
ホイールベース：2920mm
車くるま重じゅう：2230kg
駆動くどう方式ほうしき：4WD
フロントモーター：誘導ゆうどう式しきモーター
リアモーター：永久えいきゅう磁石じしゃく同期どうき式しき電動でんどうモーター
フロントモーター最高さいこう出力しゅつりょく：217PS（160kW）
フロントモーター最大さいだいトルク：310N・m（31.6kgf・m）
リアモーター最高さいこう出力しゅつりょく：313PS（230kW）
リアモーター最大さいだいトルク：360N・m（36.7kgf・m）
システム最高さいこう出力しゅつりょく：530PS（390kW）
タイヤ：235/45R19 99V XL／（後ご）235/45R19 99V XL（コンチネンタル・エココンタクト6 Q）
交流こうりゅう電力でんりょく量りょう消費しょうひ率りつ：--km/kWh
一いち充電じゅうでん走行そうこう距離きょり：575km（WLTCモード、BYD計測けいそく値ち）
価格かかく：572万まん円えん／テスト車しゃ＝572万まん円えん
オプション装備そうび：なし

テスト車しゃの年とし式しき：2024年ねん型がた
テスト開始かいし時じの走行そうこう距離きょり：563km
テスト形態けいたい：ロードインプレッション
走行そうこう状態じょうたい：市街地しがいち（--）／高速こうそく道路どうろ（--）／山岳さんがく路ろ（--）
テスト距離きょり：--km
消費しょうひ電力でんりょく量りょう：--kWh
参考さんこう電力でんりょく消費しょうひ率りつ：--km/kWh