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ポルシェ911カレラGTS/911カレラ4 GTS/911タルガ4 GTS/911カレラ【海外試乗記】 やはりポルシェは“最新が最良” - webCG クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

ポルシェ911カレラGTS(RR/8AT)/911カレラ4 GTS(4WD/8AT)/911タルガ4 GTS(4WD/8AT)/911カレラ(RR/8AT)

やはりポルシェは“最新さいしん最良さいりょう 2024.07.10 試乗しじょう 藤野ふじの 太一たいち 「ポルシェ911」にいよいよハイブリッドモデルが登場とうじょう。パフォーマンス重視じゅうしの「T-ハイブリッド」システムを搭載とうさいした「GTS」シリーズは、どのようなはしりを実現じつげんしているのか? 大幅おおはば改良かいりょうけた「カレラ」ともども、その仕上しあがりをスペインより報告ほうこくする。

まずは「GTS」シリーズから

「911 はふたたまれわります。おそらく水冷すいれいエンジンを採用さいようしたときよりもおおきなステップなのです」

スペイン・マラガで開催かいさいされた、ポルシェ911(タイプ992)の後期こうきがた参照さんしょう)、通称つうしょう“992.2”の国際こくさい試乗しじょうかい。そのプレゼンテーションの冒頭ぼうとうで、広報こうほう担当たんとうしゃはそうべた。

おもえば、ポルシェのスポーツカーはハイブリッドとも無関係むかんけいではない。2010ねんにはタイプ997をベースとしたハイブリッドのレースカー「GT3 Rハイブリッド」をはしらせていた。その、ハイブリッドスーパースポーツカー「918スパイダー」を発売はつばい。FIA 世界せかい耐久たいきゅう選手権せんしゅけん(WEC)にはプロトタイプレースカー「919ハイブリッド」を投入とうにゅうし、現在げんざいもLMDh(ルマン・デイトナ・ハイブリッド)車両しゃりょうの「963」でシーズンに参戦さんせんちゅうだ。プレゼンのでもなに特定とくてい技術ぎじゅつについての言及げんきゅうがあったわけではないが、今回こんかいのハイブリッドシステムはモータースポーツから知見ちけんをもとに設計せっけいしたものと紹介しょうかいされていた。

911というポルシェのコアモデルにハイブリッドを搭載とうさいするにあたり、最大さいだい課題かだいとなったのはやはり重量じゅうりょうだったようだ。1600kgをることを開発かいはつ目標もくひょうにさまざまなアイデアやアプローチをこころみ、従来じゅうらいモデルからの重量じゅうりょうぞうやく50kgにおさまっているという。ちなみに新型しんがたカレラGTSのカタログじょう空車くうしゃ重量じゅうりょう(DIN)は1595kg。

なぜGTSからハイブリッドにしたのかといういには、このような理由りゆうべた。「GTSはカレラや『カレラS』との差別さべつすすみ、独立どくりつせいたかめたモデルになっています。911カレラのラインナップにおいて、カレラGTS はもっと高性能こうせいのうもっともスポーティーなモデルです。そして地域ちいきによって多少たしょうはありますが、おおくのおきゃくさまがカレラSよりもカレラGTSを選択せんたくしてくださっています。ですからGTSにハイブリッドを搭載とうさいして、992.2のはじまりからライフサイクルの全体ぜんたいにわたって運用うんようしたいとかんがえました」

これまでGTSといえば、“おくれて登場とうじょうする高性能こうせいのうバージョン”という存在そんざいだったが、992.2ではそうしたあつかいをえ、またその性能せいのう向上こうじょうぶんをハイブリッドでカバーしようというわけだ。システムの名称めいしょうは「T-Hybrid」で、“T”とはターボのというから、エコであることよりパワーを付加ふかするものという位置いちづけなのだ。ニュルブルクリンクきたコースでのテストでは、先代せんだいモデルのタイムを8.7びょう上回うわまわる7ふん16びょう934をマークし、0-100km/h加速かそく従来じゅうらいモデルの3.4びょうから3.0びょうにまで短縮たんしゅくしているというから、もはやそのはやさはうたがいようがない。

2018ねんのデビューからやく5ねんはんて、後期こうきモデルへと移行いこうした8代目だいめ「ポルシェ911」(タイプ992)。今回こんかい改良かいりょうではパワートレインが刷新さっしんされ、「GTS」シリーズにはマイルドハイブリッドシステムが採用さいようされた。写真しゃしんはRRの「911カレラGTS」。
2018年のデビューから約5年半を経て、後期モデルへと移行した8代目「ポルシェ911」(タイプ992)。今回の改良ではパワートレインが刷新され、「GTS」シリーズにはマイルドハイブリッドシステムが採用された。写真はRRの「911カレラGTS」。拡大かくだい
インテリアでは、「911」の伝統でんとうてきなデザインは踏襲とうしゅうしつつ、インターフェイスを大幅おおはばにデジタル。インフォテインメントシステムも改良かいりょうされ、操作性そうさせいわる改善かいぜんはかられた。
インテリアでは、「911」の伝統的なデザインは踏襲しつつ、インターフェイスを大幅にデジタル化。インフォテインメントシステムも改良され、操作性の改善が図られた。拡大かくだい
今回こんかい改良かいりょうより、クーペモデルの乗車じょうしゃ定員ていいん2人ふたり変更へんこう無償むしょうオプションで2+2のシートを用意よういするかたちとした。
今回の改良より、クーペモデルの乗車定員を2人に変更。無償オプションで2+2のシートを用意するかたちとした。拡大かくだい
ハイブリッドモデルであることをしめすボディーサイドのロゴ。ポルシェは「T-Hybrid」を、「モーターレースで知識ちしき基礎きそ設計せっけいした、ちょう軽量けいりょうパフォーマンスハイブリッド」と説明せつめいしている。
ハイブリッドモデルであることを示すボディーサイドのロゴ。ポルシェは「T-Hybrid」を、「モーターレースで得た知識を基礎に設計した、超軽量パフォーマンスハイブリッド」と説明している。拡大かくだい
急速きゅうそく商品しょうひんのブラッシュアップをすすめるポルシェ。2023ねん11月の「パナメーラ」のフルモデルチェンジを皮切かわきりに、「マカン」のフルモデルチェンジ、「タイカン」の大幅おおはば改良かいりょう、そして「911」の大幅おおはば改良かいりょうと、ビッグニュースがつづいている。
急速に商品のブラッシュアップを推し進めるポルシェ。2023年11月の「パナメーラ」のフルモデルチェンジを皮切りに、「マカン」のフルモデルチェンジ、「タイカン」の大幅改良、そして「911」の大幅改良と、ビッグニュースが続いている。拡大かくだい
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さらばアナログメーター

試乗しじょうのスタート地点ちてんであるホテルに用意よういされたGTSをじっくりとながめてみる。フロントバンパーの左右さゆうに5ほんずつはいされた縦長たてながのフラップがをひく。これは内側うちがわにもべつのフラップがそなわっており、ブレーキまわりやアンダーフロアでの空気くうき整流せいりゅう、またウエットモードには雨水あまみずながれなども統合とうごう制御せいぎょするという。高速こうそく巡航じゅんこうなど必要ひつようなパワーが最小限さいしょうげん場合ばあいは、フラップをめてエアロダイナミクスを最適さいてき。サーキット走行そうこうなど冷却れいきゃく効果こうかたかめる必要ひつようがあるシーンでは、フラップをひらきラジエーターに空気くうきおくむ。ドライバーが任意にんい操作そうさするものではなく、あくまで自動じどう作動さどうする。

フロントまわりをじっとていると、なにかがりないがする。LEDのドライビングライトがなくなっている。あたらしくなったマトリクスLED ヘッドライトにビルトインされたのだ。リアまわりでは、リアグリルのフィンのかず左右さゆうに5まいけい10まい従来じゅうらいモデルよりも大幅おおはばらし、よりリアウィンドウと一連いちれんのものにえるようになった。テールランプはポルシェのロゴをかこむようにデザインされている。

インテリアは基本きほんてきには従来じゅうらいモデルを踏襲とうしゅうする。おおきくわったのは、ドライバーの眼前がんぜん最後さいごまでのこされていた中央ちゅうおうのアナログメーターがなくなり、12.6インチの曲面きょくめんディスプレイになったこと。視認しにんせいたかめ、またハイブリッドシステムに対応たいおうする表示ひょうじ実現じつげんするにはこれが必要ひつようだったという。レブカウンターを中央ちゅうおうはいした、伝統でんとうてきなポルシェの5れんメーターにインスパイアされたレイアウトなど、最大さいだい7種類しゅるい表示ひょうじ可能かのうとなっている。もうひとつおおきくわったてんは、エンジンスタート/ストップボタンがそなわったことだ。992.1では始動しどうに、キーのかわりにノブをひねる所作しょさがれていたが、それがなくなった。時代じだいながれるというわけだ。

大幅おおはば改良かいりょうけた「911」のフロントマスク(写真しゃしんは「カレラGTS」)。過去かこのモデルではバンパーやエアダクトないはいされていたフロントドライビングライトを、ヘッドライトに統合とうごう。より大型おおがた冷却れいきゃくベントを配置はいちすることが可能かのうとなった。
大幅改良を受けた「911」のフロントマスク(写真は「カレラGTS」)。過去のモデルではバンパーやエアダクト内に配されていたフロントドライビングライトを、ヘッドライトに統合。より大型の冷却ベントを配置することが可能となった。拡大かくだい
左右さゆうのエアダクトにはいされたアクティブ冷却れいきゃくエアフラップ。状況じょうきょうおうじて空気くうきながれを自動じどう制御せいぎょし、ラジエーターへの流量りゅうりょう最適さいてきたもつほか、のフラップやアンダーボディーのアダプティブフロントディフューザーとともに、エアロダイナミクスの向上こうじょうにも寄与きよする。
左右のエアダクトに配されたアクティブ冷却エアフラップ。状況に応じて空気の流れを自動制御し、ラジエーターへの流量を最適に保つほか、他のフラップやアンダーボディーのアダプティブフロントディフューザーとともに、エアロダイナミクスの向上にも寄与する。拡大かくだい
おおきくデザインが変更へんこうされたリアまわり。ダークカラーで統一とういつされたロゴやエンブレムるいは、「GTS」シリーズ伝統でんとう意匠いしょうだ。
大きくデザインが変更されたリアまわり。ダークカラーで統一されたロゴやエンブレム類は、「GTS」シリーズ伝統の意匠だ。拡大かくだい
あらたに採用さいようされた12.6インチのフルデジタルメーターパネル。表示ひょうじレイアウトはぜん7種類しゅるいで、ディスプレイ全体ぜんたいにナビ画面がめんうつすこともできる。
新たに採用された12.6インチのフルデジタルメーターパネル。表示レイアウトは全7種類で、ディスプレイ全体にナビ画面を映すこともできる。拡大かくだい

最高さいこう出力しゅつりょくは541PS、最大さいだいトルクは610N・m

パワートレインの中心ちゅうしんとなるのは、単体たんたい最高さいこう出力しゅつりょく485PS、最大さいだいトルク570N・mを発生はっせいするしん開発かいはつの3.6リッター水平すいへい対向たいこうエンジンだ。こう電圧でんあつシステムの採用さいようにより、エアコンをベルト駆動くどうではなく電動でんどう駆動くどうにすることでコンパクト搭載とうさい位置いちを110mmひくめたことで、上部じょうぶにパルスインバーターとDC-DCコンバーターなどをおさめている。

これにわせる電動でんどうターボチャージャーも、タービンのかず従来じゅうらいの2つから1つのシングルターボとすることで軽量けいりょう実現じつげん。タービンのじく部分ぶぶん電気でんきモーターがまれており、瞬時しゅんじにブーストあつたかめることが可能かのうとなっている。この電気でんきモーターはジェネレーターとしても機能きのうし、最大さいだい11kW(15PS)のパワーを発生はっせいする。

ハイブリッド駆動くどうのメインとなるのは8だんPDKのケースにまれた永久えいきゅう磁石じしゃく同期どうきモーターで、アイドル回転かいてんすうから最高さいこう出力しゅつりょく40kW(54PS)、最大さいだいトルク150N・mでエンジンをサポート。400Vの電圧でんあつ作動さどうし、最大さいだい1.9kWhの電力でんりょくたくわえる駆動くどうようのリチウムイオンバッテリーは、もともと12Vのバッテリーを搭載とうさいしていたフロントトランクない配置はいちされる。いっぽう、12Vバッテリーは軽量けいりょうのためうすいたじょうのリチウムイオンバッテリーに代替だいたいされ、ボディー後部こうぶ搭載とうさいされている。

これらをわせたシステムの合計ごうけい出力しゅつりょくは541PS、合計ごうけいトルクは610N・mとなり、先代せんだいで61PSのアップをたしている。システムとしては、電動でんどう走行そうこうするわけではなくプラグインでもない、いわゆるマイルドハイブリッドシステムだ。

サーキットを走行そうこうする「911カレラ4 GTS」。今回こんかい改良かいりょうで、GTSシリーズのエンジンは排気はいきりょうが3リッターから3.6リッターに拡大かくだい。ウェイストゲートをたない電動でんどうのシングルターボチャージャーが搭載とうさいされた。
サーキットを走行する「911カレラ4 GTS」。今回の改良で、GTSシリーズのエンジンは排気量が3リッターから3.6リッターに拡大。ウェイストゲートを持たない電動のシングルターボチャージャーが搭載された。拡大かくだい
「911カレラGTS」のパワートレイン/ドライブトレイン。容量ようりょう1.9kWhのリチウムイオンバッテリーをフロントに搭載とうさいしており、これで駆動くどうようモーターや電動でんどうターボチャージャー、「ポルシェダイナミックシャシーコントロール(PDCC)」などを稼働かどうさせる。
「911カレラGTS」のパワートレイン/ドライブトレイン。容量1.9kWhのリチウムイオンバッテリーをフロントに搭載しており、これで駆動用モーターや電動ターボチャージャー、「ポルシェダイナミックシャシーコントロール(PDCC)」などを稼働させる。拡大かくだい
ディフューザーと一体いったいとなるようにデザインされたマフラー。エキゾーストシステムはモデルごとに個別こべつ設計せっけいされており、「GTS」シリーズにも専用せんようのスポーツエキゾーストシステムが装備そうびされる。
ディフューザーと一体となるようにデザインされたマフラー。エキゾーストシステムはモデルごとに個別に設計されており、「GTS」シリーズにも専用のスポーツエキゾーストシステムが装備される。拡大かくだい

公道こうどう実感じっかんしたみがきのかかった快適かいてきせい

最初さいしょったGTSは、オープントップの「タルガ4 GTS」だった。はじめて911の“スタートボタン”をす。GTSだからと身構みがまえていたが、意外いがい常識じょうしきてきなボリュームの排気はいきおんとともにエンジンが始動しどうする。

アクセルペダルをゆっくりみこむと、低速ていそくいきから瞬時しゅんじ加速かそくする。中央ちゅうおうのメーターをよくれば、回生かいせいにはグリーンの、アシストにはブルーのバーの表示ひょうじびる仕組しくみになっていた。タービンない電気でんきモーターも使つかって回生かいせいしているようで、アクセルをんでいても回生かいせいするシーンがある。また日常にちじょう走行そうこうでは2000~3000rpmまではアシストするものの、それ以上いじょう回転かいてんいきではエンジンにまかせてアシストをやめるので、メーターない表示ひょうじ頻繁ひんぱんうごく。いっぽうで、「スポーツプラス」モードで全開ぜんかい走行そうこうつづけるようなシーンでは、可能かのうかぎ最大さいだいのアシストをするようだ。こうした制御せいぎょ仕組しくみはとても複雑ふくざつで、今回こんかい取材しゅざいでは詳細しょうさい把握はあくしきれなかった。ちなみにセンタースクリーンには、バッテリーざんりょうのほか、バッテリー温度おんど瞬間しゅんかんのエンジン出力しゅつりょく、モーター出力しゅつりょく表示ひょうじすることも可能かのうだ。

しん開発かいはつの3.6リッターエンジンは、4000rpmをえたあたりから、いかにもポルシェの水平すいへい対向たいこう6気筒きとうらしい力強ちからづよおとはなつ。右足みぎあしちからめると7000rpmあたりまでよどみなくがり、ハイブリッドとも、ターボとも、われなければわからないかもしれない。それくらいシームレスでスムーズだ。PDKも変速へんそくショックをかんじさせず、あっという速度そくどたかまる。サスペンションはあたらしいタイヤ(銘柄めいがらは「グッドイヤー・イーグルF1スーパースポーツR」)にわせて最適さいてきされており、心地ごこちもいい。公道こうどうはしっているぶんには、よりGTカーとして快適かいてきせいたかめる方向ほうこうせい味付あじつけだとかんじていた。

ポルシェの開発かいはつしゃのひとりにそうはなすと、「それだけじゃないよ。ここをはしればすぐにわかるから」とわらう。ポルシェのスポーツカーの試乗しじょうかいには、サーキットは不可欠ふかけつだ。舞台ぶたい会員かいいんせいサーキットとして名高なだかいアスカリレースリゾート。全長ぜんちょうやく5.5kmの本格ほんかくコースだ。

スペイン・マラガのワインディングロードをはしる「911タルガ4 GTS」。オープントップのGTSとしては、同車どうしゃのほかに電動でんどうソフトトップの「911カレラ4 GTSカブリオレ」も用意よういされる。
スペイン・マラガのワインディングロードを走る「911タルガ4 GTS」。オープントップのGTSとしては、同車のほかに電動ソフトトップの「911カレラ4 GTSカブリオレ」も用意される。拡大かくだい
「911」としてはつ採用さいようされたプッシュしきのスタートスイッチ。これまでは、ダッシュボードからたレバーをひねることで、エンジンを始動しどうさせていた。
「911」として初採用されたプッシュ式のスタートスイッチ。これまでは、ダッシュボードから突き出たレバーをひねることで、エンジンを始動させていた。拡大かくだい
電動でんどうパワートレインの作動さどう状態じょうたいは、デジタルメーターにくわえて10.9インチのセンターディスプレイでも確認かくにんできる。
電動パワートレインの作動状態は、デジタルメーターに加えて10.9インチのセンターディスプレイでも確認できる。拡大かくだい
オプションで用意よういされるHDマトリクスLEDヘッドライト。3まん2000以上いじょう光点こうてんそなえ、ハイビームの照射しょうしゃ範囲はんいをピクセル単位たんい精緻せいち調整ちょうせいできる。
オプションで用意されるHDマトリクスLEDヘッドライト。3万2000個以上の光点を備え、ハイビームの照射範囲をピクセル単位で精緻に調整できる。拡大かくだい

はしる・がる・まるのすべてがハイレベル

サーキットでは、クーペボディーのカレラGTSと「カレラ4 GTS」、そしてベースグレードのカレラにつづけにる。GTSには、くるまだかを10mmげたスポーツサスペンションと可変かへんダンパーシステム(PASM)、そしてこの新型しんがたからリアアクスルステアが標準ひょうじゅん装備そうびとなっている。オプションのアンチロールスタビリティーシステムである「ポルシェダイナミックシャシーコントロール(PDCC)」は、ハイブリッドのこう電圧でんあつシステムに統合とうごうされ、システムの柔軟じゅうなんせい精度せいどたかめられた。

スポーツプラスモードでアクセルを全開ぜんかいにすると、いきをつくあいだもなく加速かそくしていく。電動でんどう恩恵おんけいはアクセルレスポンスにあらわれており、ペダル操作そうさ瞬時しゅんじ反応はんのうしてくれる。かいあたませいきわめてたかく、わずかにステアリングをむだけできがわる。PDCCをオンにしておけばロールもすくなく、何事なにごともないようにコーナーをがっていく。RRと4WDとの挙動きょどうちがいはすくなく、4WDだからアンダーステアがつよいといったこともない。ニュートラルに旋回せんかいし、がりのさいにフロントの駆動くどうりょくかんじるかかといったところだ。

ブレーキにはオプションの「ポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)」が装着そうちゃくされていたが、絶大ぜつだい信頼しんらいをおけるタッチと制動せいどうりょくをもってねらった場所ばしょにクルマをビタッとめる。けば992.1の「ターボS」ようのブレーキを使つかっているそうで、フロントは10ピストン! リアだってそのままフロントよう使つかえそうなくらいのサイズだ(日本にっぽんでのオプション価格かかくは157まん8000えん。クルマがえそうな値段ねだんではあるけれど、それでもしいとおもわせられるのがすごい)。

試乗しじょうコースとなったアスカリレースリゾートは、全長ぜんちょう5.5kmのなかに大小だいしょう26ものコーナーをゆうする、本格ほんかくてき会員かいいんせいサーキットだ。
試乗コースとなったアスカリレースリゾートは、全長5.5kmのなかに大小26ものコーナーを有する、本格的な会員制サーキットだ。拡大かくだい
「GTS」シリーズのタイヤサイズはまえが245/35ZR20、うしろが315/30ZR21。試乗しじょうしゃにはグッドイヤーの高性能こうせいのうスポーツタイヤ「イーグルF1スーパースポーツR」が装着そうちゃくされていた。
「GTS」シリーズのタイヤサイズは前が245/35ZR20、後ろが315/30ZR21。試乗車にはグッドイヤーの高性能スポーツタイヤ「イーグルF1スーパースポーツR」が装着されていた。拡大かくだい
オプション装備そうびの「ポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)」。価格かかくは、キャリパーがイエローの場合ばあいは157まん8000えん、ハイグロスブラックの場合ばあいは170まんえんとなる。
オプション装備の「ポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)」。価格は、キャリパーがイエローの場合は157万8000円、ハイグロスブラックの場合は170万円となる。拡大かくだい
こまかいてんでは、「GTS」シリーズのリアタイヤが拡幅かくふくしているてんもトピック(305→315)。接地せっち面積めんせきひろげ、ドライビングダイナミクスとトラクションの向上こうじょうはかっている。
細かい点では、「GTS」シリーズのリアタイヤが拡幅している点もトピック(305→315)。接地面積を広げ、ドライビングダイナミクスとトラクションの向上を図っている。拡大かくだい

じゅんエンジンしゃの「カレラ」も進化しんか

ベースのカレラにると、なんだかホッとした。空車くうしゃ重量じゅうりょう(DIN)は、RRのカレラGTSが1595kg、4WDのカレラ4 GTSが1645kgなのにたいして、カレラは1520kg。最高さいこう出力しゅつりょくは394PSと400PSにもたないし、サーキットスピードではしるとそれなりにロールもする。けれど、やはりかるさをかんじるし、それは心理しんりてきにも負担ふたんちいさい。いいかえればたのしい。GTSの限界げんかい領域りょういきはもっともっととおくにある。先導せんどうしゃきの走行そうこうということもあり、今回こんかい試乗しじょうでは体感たいかんしきれなかった印象いんしょうのこった。

サーキットからホテルへの帰路きろは、「カレラ クーペ」にる。事前じぜん日本にっぽんで992.1のカレラに試乗しじょうしてからのぞんだこともあって、ちがいがよくわかった。出力しゅつりょくとしてはわずか9PSのアップだけれど、アクセル操作そうさたいするツキがいい。ちょう低速ていそくでモタつくかんじがないのだ。また992.1では、登坂とさかをゆっくりとすすみ、まるか、うごくかといった日常にちじょうてきなシーンでPDKがすこしギクシャクすることがあったが、それもない。心地ごこちもさらに改善かいぜんされ、洗練せんれんされていた。

一部いちぶには911のハイブリッドかんして懸念けねんいだきもあったようだが、心配しんぱいする必要ひつようはなさそうだ。われなければすごくよくできた自然しぜん吸気きゅうきエンジンだとおもひともいるはず。またカレラか、GTSかについては、これらはそもそもちがうものなので、従来じゅうらいどおり、もとめるはやさと予算よさんでおめになればよいかと。“最新さいしん最良さいりょう”なんて使つかふるされた表現ひょうげんもうわけないけれど、やはり911はとてもバランス感覚かんかくすぐれたクルマなのだとしみじみかんじた。

ぶん藤野ふじの太一たいち写真しゃしん=ポルシェ/編集へんしゅう堀田ほったつよし

「911」のラインナップで、もっともベーシックなモデルとなる「カレラ」。今回こんかい改良かいりょうで、0-100km/h加速かそくは4.1びょう(スポーツクロノパッケージ仕様しようしゃは3.9びょう)、最高さいこうそくは294km/hと、改良かいりょうまえよりそれぞれ0.1びょう、1km/hの向上こうじょうたしている。
「911」のラインナップで、最もベーシックなモデルとなる「カレラ」。今回の改良で、0-100km/h加速は4.1秒(スポーツクロノパッケージ仕様車は3.9秒)、最高速は294km/hと、改良前よりそれぞれ0.1秒、1km/hの向上を果たしている。拡大かくだい
「カレラ」のタイヤサイズはまえ:235/40ZR19、うしろ:295/35ZR20が標準ひょうじゅんだが、試乗しじょうしゃにはワンサイズおおきなオプションのタイヤ・ホイールセットが装着そうちゃくされていた。タイヤの銘柄めいがらは「ピレリPゼロ」だった。
「カレラ」のタイヤサイズは前:235/40ZR19、後ろ:295/35ZR20が標準だが、試乗車にはワンサイズ大きなオプションのタイヤ・ホイールセットが装着されていた。タイヤの銘柄は「ピレリPゼロ」だった。拡大かくだい
じゅんエンジンしゃの「カレラ」でも、明確めいかく進化しんかかんじさせた今回こんかい大幅おおはば改良かいりょう使つかふるされた表現ひょうげん恐縮きょうしゅくだが、やはりポルシェは“最新さいしん最良さいりょう”なのだ。
純エンジン車の「カレラ」でも、明確な進化を感じさせた今回の大幅改良。使い古された表現で恐縮だが、やはりポルシェは“最新が最良”なのだ。拡大かくだい
ポルシェ911カレラGTS
ポルシェ911カレラGTS拡大かくだい

テストしゃのデータ

ポルシェ911カレラGTS

ボディーサイズ:全長ぜんちょう×全幅ぜんぷく×全高ぜんこう=4553×1852×--mm
ホイールベース:2450mm
くるまじゅう:1595kg(DIN)
駆動くどう方式ほうしき:RR
エンジン:3.6リッター水平すいへい対向たいこう6 DOHC 24バルブ ターボ
モーター:交流こうりゅう同期どうき電動でんどう
トランスミッション:8だんAT
エンジン最高さいこう出力しゅつりょく:485PS(357kW)/7500rpm
エンジン最大さいだいトルク:570N・m(58.1kgf・m)/2300-5000rpm
モーター最高さいこう出力しゅつりょく:54PS(40kW)
モーター最大さいだいトルク:150N・m(15.3kgf・m)
システム最高さいこう出力しゅつりょく:541PS(398kW)
システム最大さいだいトルク:610N・m(62.2kgf・m)
タイヤ:(まえ)245/35ZR20/()315/30ZR21(グッドイヤー・イーグルF1スーパースポーツR)
燃費ねんぴ:11.0-10.5リッター/100km(やく9.1-9.5km/リッター、WLTPモード)
価格かかく:2254まんえん/テストしゃ=--えん
オプション装備そうび:--

テストしゃとししき:2024ねんがた
テスト開始かいし走行そうこう距離きょり:--km
テスト形態けいたい:トラックインプレッション
走行そうこう状態じょうたい市街地しがいち(--)/高速こうそく道路どうろ(--)/山岳さんがく(--)
テスト距離きょり:--km
使用しよう燃料ねんりょう:--リッター(ハイオクガソリン)
参考さんこう燃費ねんぴ:--km/リッター

ポルシェ911カレラ4 GTS
ポルシェ911カレラ4 GTS拡大かくだい

ポルシェ911カレラ4 GTS

ボディーサイズ:全長ぜんちょう×全幅ぜんぷく×全高ぜんこう=4553×1852×--mm
ホイールベース:2450mm
くるまじゅう:1645kg(DIN)
駆動くどう方式ほうしき:4WD
エンジン:3.6リッター水平すいへい対向たいこう6 DOHC 24バルブ ターボ
モーター:交流こうりゅう同期どうき電動でんどう
トランスミッション:8だんAT
エンジン最高さいこう出力しゅつりょく:485PS(357kW)/7500rpm
エンジン最大さいだいトルク:570N・m(58.1kgf・m)/2300-5000rpm
モーター最高さいこう出力しゅつりょく:54PS(40kW)
モーター最大さいだいトルク:150N・m(15.3kgf・m)
システム最高さいこう出力しゅつりょく:541PS(398kW)
システム最大さいだいトルク:610N・m(62.2kgf・m)
タイヤ:(まえ)245/35ZR20/()315/30ZR21(グッドイヤー・イーグルF1スーパースポーツR)
燃費ねんぴ:11.1-10.5リッター/100km(やく9.0-9.5km/リッター、WLTPモード)
価格かかく:2365まんえん/テストしゃ=--えん
オプション装備そうび:--

テストしゃとししき:2024ねんがた
テスト開始かいし走行そうこう距離きょり:--km
テスト形態けいたい:トラックインプレッション
走行そうこう状態じょうたい市街地しがいち(--)/高速こうそく道路どうろ(--)/山岳さんがく(--)
テスト距離きょり:--km
使用しよう燃料ねんりょう:--リッター(ハイオクガソリン)
参考さんこう燃費ねんぴ:--km/リッター

ポルシェ911タルガ4 GTS
ポルシェ911タルガ4 GTS拡大かくだい

ポルシェ911タルガ4 GTS

ボディーサイズ:全長ぜんちょう×全幅ぜんぷく×全高ぜんこう=4553×1852×--mm
ホイールベース:2450mm
くるまじゅう:1745kg(DIN)
駆動くどう方式ほうしき:4WD
エンジン:3.6リッター水平すいへい対向たいこう6 DOHC 24バルブ ターボ
モーター:交流こうりゅう同期どうき電動でんどう
トランスミッション:8だんAT
エンジン最高さいこう出力しゅつりょく:485PS(357kW)/7500rpm
エンジン最大さいだいトルク:570N・m(58.1kgf・m)/2300-5000rpm
モーター最高さいこう出力しゅつりょく:54PS(40kW)
モーター最大さいだいトルク:150N・m(15.3kgf・m)
システム最高さいこう出力しゅつりょく:541PS(398kW)
システム最大さいだいトルク:610N・m(62.2kgf・m)
タイヤ:(まえ)245/35ZR20/()315/30ZR21(グッドイヤー・イーグルF1スーパースポーツR)
燃費ねんぴ:11.0-10.8リッター/100km(やく9.1-9.3km/リッター、WLTPモード)
価格かかく:2615まんえん/テストしゃ=--えん
オプション装備そうび:--

テストしゃとししき:2024ねんがた
テスト開始かいし走行そうこう距離きょり:--km
テスト形態けいたい:ロードインプレッション
走行そうこう状態じょうたい市街地しがいち(--)/高速こうそく道路どうろ(--)/山岳さんがく(--)
テスト距離きょり:--km
使用しよう燃料ねんりょう:--リッター(ハイオクガソリン)
参考さんこう燃費ねんぴ:--km/リッター

ポルシェ911カレラ
ポルシェ911カレラ拡大かくだい

ポルシェ911カレラ

ボディーサイズ:全長ぜんちょう×全幅ぜんぷく×全高ぜんこう=4542×1852×--mm
ホイールベース:2450mm
くるまじゅう:1520kg(DIN)
駆動くどう方式ほうしき:RR
エンジン:3リッター水平すいへい対向たいこう6 DOHC 24バルブ ツインターボ
トランスミッション:8だんAT
エンジン最高さいこう出力しゅつりょく:394PS(290kW)/7500rpm
エンジン最大さいだいトルク:450N・m(45.9kgf・m)/1950-5000rpm
タイヤ:(まえ)245/35ZR20/()305/30ZR21(ピレリPゼロ)
燃費ねんぴ:10.7-10.1リッター/100km(やく9.3-9.9km/リッター、WLTPモード)
価格かかく:1694まんえん/テストしゃ=--えん
オプション装備そうび:--

テストしゃとししき:2024ねんがた
テスト開始かいし走行そうこう距離きょり:--km
テスト形態けいたい:トラックインプレッション/ロードインプレッション
走行そうこう状態じょうたい市街地しがいち(--)/高速こうそく道路どうろ(--)/山岳さんがく(--)
テスト距離きょり:--km
使用しよう燃料ねんりょう:--リッター(ハイオクガソリン)
参考さんこう燃費ねんぴ:--km/リッター

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「911」にはつのハイブリッドモデル 最新さいしんがた「ポルシェ911カレラ/911カレラGTS」の受注じゅちゅうがスタート

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