米Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ、TI)は、パワー半導体素子に窒化ガリウム(GaN)を使ったインテリジェント・パワー・モジュール(IPM)である「DRV7308」を2024年6月19日に発表した。IPMは、パワー半導体に駆動回路や自己保護機能を追加してパッケージ化したもの。最大650V、150~250Wのモーター駆動に対応する。シリコン(Si)ベースのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFETのパワー素子の製品よりも電力損失を最大50%以上低減できるという。
発熱が少ないため、ヒートシンクを小型化、またはなくすことでパワーエレクトロニクス回路の小型化につながる(図1)。家電やエアコンにおける消費電力の低減や小型化の需要を狙う。
図1 GaN IPMによる小型化のイメージ
250WモーターシステムにおけるIPMプリント基板のサイズ比較。従来のIGBT IPMでは、47mm×70mmほどの大きさの基板にヒートシンクの高さが加わる(右)。TIが開発したGaN IPMでは基板サイズを23mm×40mmに小型化しつつ、ヒートシンクも不要にできるという(左)(出所:Texas Instruments)
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GaN IPMは小型化のほか、音響ノイズの低減も期待できる。GaNパワー素子はSiパワー素子に比べて高周波スイッチングに向く。これにより、人の可聴域よりも高い周波数で駆動できるので、家電から発生する雑音を抑えられるという。
DRV7308は、同社のホームページから購入できる。価格は、1000個注文時に1個当たり5.5米ドル(約870円)。評価用モジュール「DRV7308EVM」も、250米ドル(約3万9500円)で販売する(図2)。なお、現在入手可能な製品は、量産化前のサンプル品である。量産開始の時期は、顧客の採用状況を見て判断するとしている。
図2 DRV7308EVMの外観
(出所:Texas Instruments)
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