左ひだり氏し春秋しゅんじゅう

春秋しゅんじゅう左ひだり氏し傳でん

《左ひだり氏し春秋しゅんじゅう》，別名べつめい《春秋しゅんじゅう左ひだり氏し傳でん》。傳つて魯太ふとし史し左ひだり丘おか明あきら所作しょさ，故こ曰左氏し。左ひだり丘おか明あきら者しゃ，魯君子くんし也，孔子こうし友之ともの。或ある曰長於孔子こ，以故孔子こうし嘗引其言以自見み。丘おか明あきら又また作さく《國語こくご》。

綜述

孔子こうし作さく《春秋しゅんじゅう》，以記事きじ為ため條じょう貫つらぬけ，以大義たいぎ微ほろ言げん為ため經緯けいい。然しか《春秋しゅんじゅう》文ぶん簡，記き何なん年ねん何月なんがつ何人なんにん何事なにごと而已，微ほろ言げん而不佐さ以實事じつごと，則のり言げん不具ふぐ，義よし不ふ顯あらわ，孔子こうし既すんで沒ぼつ。丘おか明あきら懼弟子でし各かく執と其辭，曲きょく孔子こうし之の意い，故こ撰せん春秋しゅんじゅう十じゅう二に君くん、二に百ひゃく四よん十じゅう年ねん之これ史し事ごと，綜諸侯しょこう之これ籍せき典てん，以為《左ひだり氏し春秋しゅんじゅう》。至いたり戰國せんごく，《左ひだり氏し》流布るふ天下でんか，虞おそれ卿きょう、韓かん非ひ、荀子皆みな嘗稱之の，而直名めい之の以「春秋しゅんじゅう」。秦はた燔書，以諸侯こう國史こくし遭燬，賴よりゆき魯中儒生じゅせい壁かべ藏ぞう之の，得とく存そん至いたり漢かん世よ。漢かん興きょう，稍やや稍やや而出，長ちょう沙すな傅でん賈誼、東平とうへい侯こう張ちょう蒼あお皆みな習之，誼よしみ亦また嘗為之の訓くん诂。又また河かわ間あいだ獻けんじ王おう好こう古文こぶん，河間こうま國こく亦また嘗立《左ひだり氏し》博士はかせ焉。

至いたり魯恭王おう發はつ孔子こうし宅たく，破やぶ壁かべ得どく《左ひだり氏し》古文こぶん簡本，帝みかど使し藏ぞう于長安ながやす秘ひ閣かく，常人じょうじん不ふ得とく見み。武たけ帝みかど尊みこと儒術，好このみ《公おおやけ羊ひつじ春秋しゅんじゅう》，故こ漢かん之の春秋しゅんじゅう博士はかせ，唯ただ立たて公おおやけ羊ひつじ氏し，左ひだり氏し、榖こく梁りょう氏し皆みな不ふ得とく立りつ，私わたし傳でん民間みんかん。

逮於哀あい、平ひらた，劉りゅう歆繼つぎ其父向むかい，發はつ校こう秘ひ府ふ之これ書しょ，得とく《左ひだり氏し》焉，寶たから愛あい之の，以為過か於諸經けい，奏そう哀あい帝みかど立りつ於學官かん，遭諸博士はかせ力ちから排はい，不ふ成なり。是ぜ時じ，丞相じょうしょう蕭しょう望もち之の亦また得とく授左氏し焉。

歆佐王おう莽，始はじめ立りつ古文こぶん經けい，黜今こん文ぶん經けい，左ひだり氏し與あずか《古文こぶん尚書しょうしょ》、《周しゅう官かん》並なみ得とく立りつ。莽好古道ふるみち，故こ終おわり莽之世よ，古こ文學ぶんがく大盛おおもり。

漢かん中興ちゅうこう，復ふく立りつ今こん文ぶん，罷やめ古文こぶん。然しか左ひだり氏し傳習でんしゅう已やめ盛もり，至いたり不可ふか制せい。故こ東京とうきょう之の世よ，服ふく虔けん、賈逵、馬うま融とおる等とう皆みな好こう左ひだり氏し，虔けん作さく《左ひだり氏し傳でん解かい誼よしみ》、逵作《春秋しゅんじゅう左ひだり氏し傳でん解かい詁》。

晉すすむ征せい南みなみ將軍しょうぐん杜もり預あずか，號ごう「左ひだり傳でん癖へき」，積せき數すう十じゅう年ねん之の功こう，成なり《春秋しゅんじゅう經傳けいでん集しゅう解かい》。由よし是ぜ左ひだり氏し盛もり於六朝りくちょう，而公おおやけ羊ひつじ、榖こく梁はり俱微焉。

唐とう興きょう，孔あな穎達因いん杜もり書しょ，成なり《春秋しゅんじゅう正義まさよし》，以為大だい經けい，列れつ於《五經ごきょう正義まさよし》，流布るふ天下でんか，至いたり於日本にっぽん、朝鮮ちょうせん。

宋そう因いん唐とう制せい，亦また以左傳でん為ため大だい經けい，而呂りょ祖そ謙けん好之よしゆき，為ため作さく《東ひがし萊博議ぎ》，節ふし選せん左ひだり傳でん之の言げん，以為作文さくぶん之の資し。

左ひだり氏し之の盛もり，至いたり於元もと、明あきら亦また不ふ廢はい焉。

清きよし盛もり考こう據よりどころ，注ちゅう左ひだり傳でん者しゃ十じゅう餘よ家いえ，以洪ひろし亮吉りょうきち《春秋しゅんじゅう左ひだり傳でん詁》為ため特とく。近世きんせい，則のり以楊伯駿しゅん《春秋しゅんじゅう左ひだり傳でん注ちゅう》為ため宗むね。

左ひだり氏し為ため文ぶん，富とみ於詞藻しそう，詳しょう於史事ごと，長ちょう於敘事ごと，善ぜん述じゅつ征戰せいせん、會かい盟めい之の事こと。其間國こく君くん、大夫たいふ應對おうたい之の辭やめ、交接こうせつ之の令れい，熠熠然しか也。誠まこと中華ちゅうか千せん年ねん之の要よう籍せき、文學ぶんがく之の津つ渡わたり、史學しがく之の開祖かいそ，雖史ふみ遷之これ材ざい，亦また不能ふのう過か焉。是ぜ故こ歷れき經けい千載せんざい，人にん尤ゆう寶たから愛あい之の，論述ろんじゅつ、注疏ちゅうそ之の文ぶん往往おうおう而出，入にゅう於教本きょうほん，習於學堂がくどう，雖聖人じん復ふく出で，不能ふのう廢はい也。

左ひだり傳でん別べつ號ごう「相あい斫書」，以其長ちょう於敘征戰せいせん之の事こと也。又また有ゆう「隱かくれ公こう左ひだり傳でん」之の稱たたえ，以其卷帙かんちつ浩ひろし繁しげる，人にん方かた讀隱公おおやけ便びん已やめ昏昏然しか而欲眠ねむり也，故こ有ゆう是ぜ名めい。

他た典てん

• 春秋しゅんじゅう左ひだり傳でん全文ぜんぶん
• 故鄉こきょう：《左ひだり傳でん》是ぜ否ひ僞書ぎしょ -{zh-cn:互联网档案あん馆; zh-tw:網もう際ぎわ網もう路ろ檔案館かん; zh-hk:互聯網もう檔案館かん;}-的てき存そん檔，存そん档日期き2011-07-02.
• 《四庫全書總目提要——春秋しゅんじゅう左ひだり傳でん正義まさよし》

美辭びじ妙みょう篇へん，具ぐ錄ろく於維基文庫ぶんこ︰春秋しゅんじゅう左ひだり氏し傳でん

名言めいげん精せい句く，具ぐ錄ろく於維基語錄ごろく︰左ひだり傳でん

敘事完備かんび，有ゆう條じょう不ふ紊，遂とげ列れつ正せい典てん。