色盲しきもう

常人じょうじん所しょ視し

紅べに色盲しきもう所しょ視し

綠色みどりいろ盲めくら所しょ視し

藍色あいいろ盲めくら所しょ視し

色盲しきもう者もの，辨べん色しょく之の疾やまし也。

細ほそ析其徵ちょう，有ゆう三さん，一いち曰紅色盲しきもう，不辨ふべん緋ひ與あずか綠みどり、絳與あずか青あお，視し紅べに若わか黑くろ，視し綠みどり如黃き；二に曰綠色盲しきもう，不辨ふべん紅べに與あずか碧あお、紫むらさき與あずか青あお，視し紅べに若わか黑くろ而略褐、視し綠みどり似に黃き而稍暗くら；三さん曰藍あい色盲しきもう，所しょ目め惟おもんみ紅べに青あお二に色しょく，視し綠みどり如青，視し藍あい如靛而近黑くろ。以紅綠みどり藍あい白しろ四よん色しょく論ろん，各かく所見しょけん略りゃく擬なずらえ如右圖ず。然しか症しょう多た雜ざつ合あい，故こ罹かか疾やまし者しゃ二に屬ぞく，一いち曰紅綠色みどりいろ盲めくら，一いち曰藍黃色おうしょく盲めくら。於二者しゃ外がい，偶或有ゆう全ぜん色盲しきもう，所しょ目め無彩むさい，獨どく黑くろ白しろ耳みみ。

原はら其理，蓋ぶた人目ひとめ辨べん色しょく之の所ところ賴よりゆき者しゃ，三さん椎しい形がた細胞さいぼう耳みみ，三さん者しゃ各かく司つかさ一色いっしょく，缺かけ一いち則のり一色いっしょく不感ふかん，是ぜ其所見しょけん之の光ひかり譜ふ或ある短たん於常人じん，或ある其中有ちゅうう缺かけ耳みみ。是ぜ多おお遺傳いでん之これ疾やまし也。中ちゅう醫い以其先天せんてん不足ふそく，肝きも腎じん兩りょう虧或為ため脾胃虛弱きょじゃく，水みず穀こく精微せいび之の氣化きか生せい不足ふそく，玄げん府ふ之の精氣せいき不ふ充たかし而致。

按，目もく有ゆう重じゅう損そん者しゃ，亦また或ある患之，其辨色しょく之の力ちから或ある稍やや異い，號ごう曰「後天こうてん色盲しきもう」。又また有ゆう某ぼう色しょく不能ふのう盡つき感かん之これ者しゃ，則のり辨べん某ぼう色しょく時じ銳するど時とき鈍どん，其狀類るい乎近視きんし，非ひ不ふ見み，然しか模糊もこ不辨ふべん，不可ふか謂いい曰「盲めくら」，故こ名な之の「色弱しきじゃく」。

今いま之の醫い者もの，以色盲しきもう檢けん測はか圖ず診み之これ，其圖常つね以細圓えん補綴ほてつ，或ある成文せいぶん，戓狀物ぶつ，於其成形せいけい之の關せき鍵かぎ，斑むら駁紅綠みどり，色盲しきもう遂とげ不ふ得とく辨べん之の。又また或ある另以近きん色いろ近きん乎主圖ず，常つね人見ひとみ之の，以其色しょく異こと，而知其非主ぬし，而色盲しきもう不辨ふべん，誤あやま以其亦また圖形ずけい旁つくり枝えだ，遂とげ得とく所しょ識異乎常人じん者しゃ也。

色盲しきもう，其視力しりょく不ふ減げん，故こ常つね不ふ自じ知ち耳みみ，惟おもんみ與あずか人ひと細論さいろん物色ぶっしょく方かた省しょう，西人せいじん道みち爾なんじ頓とみ兄弟きょうだい，嘗市黑くろ襪為ため母はは壽ことぶき，眾皆指ゆび為ため紅べに，訝いぶか之これ，乃細究きわむ，遂とげ知世ともよ有ゆう此疾，因いん亦また名めい曰「道みち爾しか頓ひたぶる症しょう」。

以其辨べん色しょく不ふ力ちから，醫藥いやく、繪畫かいが、驅か車くるま、化學かがく諸行しょぎょう，咸不得業とくぎょう也。又また以其先天せんてん之これ疾やまし，今いま尚なお無む可か藥やく，惟おもんみ戴色いろ鏡きょう或ある可か稍やや減げん也。

於諸しょ獸しし，則のり率りつ多た不辨ふべん紅綠こうろく，惟おもんみ靈長れいちょう目め，雌めす性せい雜ざつ合あい負ふ鼠ねずみ，袋ふくろ鼠ねずみ之の屬ぞく或ある其色覺しきかく近きん於人。然しか於爬蟲中なか，有ゆう蛇へび之これ屬ぞく，或ある可か辨べん紅べに外線がいせん於頰窩者，此非人力じんりき所しょ逮矣。

引據

色いろ

[總そう目め]
三さん原色げんしょく：紅べに·綠みどり·藍あい
五ご方ぽう正せい色いろ：青あお·赤あか·黃き·白しろ·黑くろ
五ご方ぽう間あいだ色しょく：綠みどり·紅べに·駵黃·碧あお·紫むらさき

色いろ學がく·光ひかり·光學こうがく·色盲しきもう·色弱しきじゃく·視覺しかく·眼め
色いろ (佛教ぶっきょう)
[色いろ譜ふ]