陸奧みちのく國こく

陸奧みちのく國こく。日本にっぽん一いち令れい制せい國こく也。屬ぞく東山ひがしやま道みち。或ある稱しょう奧州おうしゅう、陸くが州しゅう。領りょう三さん十じゅう五ご郡ぐん，百ひゃく九きゅう十じゅう三さん鄉さと。國府こくふ在ざい多賀城たがじょう。就國需五十じゅう日にち，赴京需二に十じゅう五ご日にち。

沿革えんかく

初はつ稱しょう道どう奧おく，音おとみちのおく。平安朝へいあんちょう稱しょう陸奧みちのく，音おとみちのく。今こん稱しょう陸奧みちのく，音おとむつ。《古事記こじき》稱しょう道どう奧おく。《日本にっぽん書記しょき》多た稱しょう陸奧みちのく。蓋ぶた謂いい此國僻遠へきえん，王化おうか所しょ不ふ及也。孝德たかのり帝みかど末まつ，置おけ道どう奧おく國こく，屬ぞく常陸ひたち國こく。久之ひさゆき，以東いとう北新ほくしん疆入道にゅうどう奧おく國こく。析之自じ爲ため一いち國こく。養老ようろう二に年ねん，析爲陸奧みちのく、石城せきじょう、石いし背せ三さん國こく。四よん年ねん，復ふく合あい爲ため一いち國こく。其地接せっ蝦夷えぞ，置おけ陸奧むつ按察使し、鎮守ちんじゅ府ふ。按察使し、鎮守ちんじゅ府ふ將軍しょうぐん時じ兼けん國司こくし之の職しょく。延のべ曆れき二に十じゅう一いち年ねん，置おけ膽澤いさわ城しろ，爲ため鎮守ちんじゅ府ふ治ち。國司こくし、將軍しょうぐん遂とげ有ゆう別べつ。是ぜ國こく初はつ狹小きょうしょう，日にち與あずか蝦夷えぞ戰せん。疆域漸やや廣ひろ。置おけ城しろ柵しがらみ以固之の。前後ぜんご凡十じゅう五ご柵しがらみ。

調しらべ庸いさお稅ぜい

是ぜ國こく調ちょう廣こう布ぬの廿にじゅう三さん端はし。自餘じよ輸狹布ぬの、米べい、穀こく。庸いさお，廣こう布ぬの十じゅう端はし。自餘じよ輸狹布ぬの、米べい。正せい稅ぜい六ろく十じゅう萬まん三さん千せん束たば，公おおやけ廨八十じゅう萬まん三さん千せん七なな百ひゃく十じゅう五ご束たば。（中國ちゅうごく司し料りょう六ろく十じゅう四よん萬まん一いち千せん二に百ひゃく束たば，鎮官料りょう十じゅう六ろく萬まん二に千せん五ご百ひゃく十じゅう五ご束たば。）祭さい鹽竈しおがま神かみ料りょう一いち萬まん束たば，國分寺こくぶんじ料りょう四よん萬まん束たば，學生がくせい料りょう四よん千せん束たば，文殊もんじゅ會かい料りょう二に千せん束たば，救急きゅうきゅう料りょう十じゅう二に萬まん束たば。