ヨトウガ

ヨトウガ
	ヨトウガの蛹さなぎ（左ひだり）と成虫せいちゅう（右みぎ）
分類ぶんるい
学名がくめい
	Mamestra brassicae; (Linnaeus, 1758)
和名わみょう
	ヨトウガ（夜盗やとう蛾が）
英名えいめい
	Cabbage Moth,; Cabbage armyworm

ヨトウガ（夜盗やとう蛾が、Mamestra brassicae）は、チョウ目めヤガ科かヨトウ亜あ科かの昆虫こんちゅう。幼虫ようちゅうは極きわめて多食たしょく性せいで、イネ科か以外いがいのほとんどの植物しょくぶつを食害しょくがいする。三さん齢よわい以降いこうの幼虫ようちゅうは、日にち中ちゅうは土中どちゅうや株かぶの地ち際ぎわに潜ひそみ、夜間やかんに地上ちじょう部ぶに出でてきて食害しょくがいするため、ヨトウムシ（夜盗虫よとうむし）の名前なまえがある^[1]。屋久島やくしま以北いほくの日本にっぽん各地かくち、朝鮮半島ちょうせんはんとう、東ひがしアジア～南みなみアジア～ロシア、ヨーロッパに分布ぶんぷする。

形態けいたい[編集へんしゅう]

成虫せいちゅうは、体長たいちょうが約やく15～20mm、翅の開張かいちょうは約やく45mm。体からだ色しょくは灰はい褐色かっしょく～黒褐色こっかっしょくで、不鮮明ふせんめいな白色はくしょくの斑紋はんもんがある。

卵たまごの直径ちょっけいは約やく0.6mmのやや扁平へんぺいな球形きゅうけい。色いろは乳白色にゅうはくしょく。卵たまご塊かたまりで産うみ付つけられる。

ヨトウムシとも呼よばれる幼虫ようちゅうは、刺とげ毛げはなく表面ひょうめんは平滑へいかつ。体からだ色しょくは、頭部とうぶは黄き褐色かっしょくで不明瞭ふめいりょうな暗くら褐色かっしょくの斑紋はんもんがあり、胴どう部ぶは灰はい黒色こくしょく、暗くら褐色かっしょく、暗くら緑色みどりいろなどで数すう多おおくの小ちいさな黒点こくてんがある。老齢ろうれい幼虫ようちゅうの体長たいちょうは40～50mmほどになり、土中どちゅうで蛹さなぎ化かする。

蛹さなぎは、土中どちゅうで体長たいちょうが約やく18～22mm。褐色かっしょく。

生態せいたい[編集へんしゅう]

一般いっぱんに年としに2回かい発生はっせい、地域ちいきによっては3回かい発生はっせいする。蛹さなぎで越冬えっとうし、4月がつ下旬げじゅんから羽化うか、すぐに交尾こうび、産卵さんらんする。卵たまごは夜間やかんに、数すう十じゅう～数すう百ひゃく個この塊かたまりで葉はの裏うらに産うみ付つけられる。産卵さんらんは、高温こうおん少雨しょううの場合ばあいに活発かっぱつになる。

孵化ふかした幼虫ようちゅうは葉は裏うらに群生ぐんせいして食害しょくがいし、食害しょくがいを受うけた葉はは表皮ひょうひのみが残のこる。3齢よわい頃ごろになると個体こたいごとに分散ぶんさんし、日にち中ちゅうは土中どちゅうや株かぶの地ち際ぎわに潜ひそみ、夜間やかんに活動かつどうする。6月がつ下旬げじゅんに幼虫ようちゅうは6齢よわいまで生育せいいくし、葉はに穴あなを開あけながら暴食ぼうしょくする。この齢よわいの幼虫ようちゅうの食害しょくがいが90%程度ていどを占しめる。その後ご、地中ちちゅうにもぐって蛹さなぎ化か、夏眠かみんする。ただし、冷涼れいりょうな地域ちいきでは、断続だんぞく的てきに幼虫ようちゅうが発生はっせいする。

9月～10月がつに羽化うかし、10月～11月がつに幼虫ようちゅうが発生はっせいする。その後ご、地中ちちゅうで蛹さなぎ化か、越冬えっとうする。

被害ひがい[編集へんしゅう]

非常ひじょうに広こう食しょく性せいで、食欲しょくよくは極きわめて旺盛おうせいで、イネ科か以外いがいのほとんどの植物しょくぶつを食害しょくがいする^[1]。ヨトウガの幼虫ようちゅうによる大おおきな被害ひがいが知しられている作物さくもつには、アブラナ科か（キャベツ、ハクサイ、ダイコン、コマツナ）、マメ科か（エンドウ）、アカザ科か（テンサイ、ホウレンソウ）、キク科か（レタス、ゴボウ）、ナス科か（ジャガイモ、ナス、ピーマン、トマト、タバコ）、ユリ科か（ネギ）、ウリ科か（キュウリ）、セリ科か（ニンジン）、バラ科か（イチゴ）などが挙あげられる。日本にっぽんでは野草やそうではあるが欧米おうべいでは園芸えんげい植物しょくぶつとして栽培さいばいされているケシ科かのタケニグサ（英名えいめい；PlumePoppy=羽毛うもうケシの意味いみ）も食しょく草そうとして食たべている。

害虫がいちゅうとしてのヨトウムシは5 - 11月ごろにかけて見みられ、孵化ふかしたばかりの幼虫ようちゅうは集団しゅうだんで葉は裏うらなどに潜ひそんでいる^[1]。三さん齢よわい以降いこうは分散ぶんさんし、日にち中ちゅうは土どの中なかにいて、夜間やかんに出でてきて葉はを食たべる食しょく性せいがある^[1]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

^ ^a ^b ^c ^d 金子かねこ美よし登とう『有機ゆうき・無む農薬のうやくでできる野菜やさいづくり大だい事典じてん』成美せいび堂どう出版しゅっぱん、2012年ねん4月がつ1日にち、243頁ぺーじ。ISBN 978-4-415-30998-9。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

一色いっしょく周知しゅうち監修かんしゅう、六浦むつうら明あきら・山本やまもと義よし丸まる・服部はっとり伊い楚すわえ子こ　『原色げんしょく日本にっぽん蛾が類るい幼虫ようちゅう』　保育ほいく社しゃ、1965年ねん。
梅谷うめたに献けんじ二に・岡田おかだ利とし承うけたまわ編へん　『日本にっぽん農業のうぎょう害虫がいちゅう大だい事典じてん』　全国ぜんこく農村のうそん教育きょういく協会きょうかい、2003年ねん、ISBN 4-88137-103-7。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

ヨトウガ（ヨトウムシ） - 島根しまね県けん
ヨトウガ - 農のう研けん機構きこう

[金子2012-1] 金子かねこ美よし登とう『有機ゆうき・無む農薬のうやくでできる野菜やさいづくり大だい事典じてん』成美せいび堂どう出版しゅっぱん、2012年ねん4月がつ1日にち、243頁ぺーじ。ISBN 978-4-415-30998-9。

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