ロールプレイングゲーム

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ロールプレイングゲームえい: role-playing game, 略称りゃくしょうRPG)とは、参加さんかしゃ各自かくじてられたキャラクター(プレイヤーキャラクター)を操作そうさし、一般いっぱんにはおたがいに協力きょうりょくしあい、架空かくう状況じょうきょうにてあたえられる試練しれん冒険ぼうけん難題なんだい探索たんさく戦闘せんとうなど)をえて目的もくてき達成たっせい目指めざゲームである[1]たいするものとしては、将棋しょうぎストラテジーゲームひとしのようにプレイヤーが特定とくていのユニット(人物じんぶつ、コマなど)にてられないゲームである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

ロールプレイングゲームとは、元々もともとミニチュアゲームから派生はせいしたもので、アメリカ考案こうあんされた、テーブルゲームである。シミュレーションにおいて、プレイヤーが操作そうさしていた戦車せんしゃ戦闘せんとう軍団ぐんだんといったユニット(ゲームじょうのコマ)を、兵士へいし個人こじんえ、そこに仮想かそう人格じんかくとしての信条しんじょう個性こせい能力のうりょく付加ふかすると、ロールプレイングゲームへとつながるながれになる[2]

日本にっぽんではコンピュータゲームのRPGと区別くべつするため、テーブルトークRPGともばれる。英語えいごけんでは、ライブアクションRPGコンピュータRPG区別くべつするため、「Tabletop role-playing game(テーブルトップロールプレイングゲーム)」または「Pen-and-paper role-playing game(ペンアンドペーパーロールプレイングゲーム)」などと呼称こしょうする[3]。RPGのGは「Game(ゲーム)」をすため、「RPGゲーム」と表現ひょうげんすると厳密げんみつには重言じゅうげんになる。

今日きょうでは、ロールプレイングゲームからの派生はせいぶつとして、コンピュータもちいて同様どうようのゲームを再現さいげんしたことにはじまるコンピュータゲーム一種いっしゅコンピュータRPG人気にんきである[4]。コンピュータRPGは、コンピュータをもちいるというシステムてき制約せいやくから、自由じゆう制限せいげんされるものの、本来ほんらいのロールプレイングゲーム同様どうように、個性こせいてきなキャラクターをあやつって、架空かくう世界せかいあそぶというゲームの本質ほんしつ維持いじされている[4]

なお、初期しょきのロールプレイングゲームは大半たいはんファンタジー題材だいざいった架空かくう世界せかい舞台ぶたいとし、モンスターとの戦闘せんとうかいして経験けいけん取得しゅとくすることでキャラクターが成長せいちょうし、成長せいちょうすることで探索たんさく行動こうどう範囲はんいひろげるというものであったため、現在げんざいにおいてもRPGとえばそういうものとおもわれがちである[5]。この傾向けいこうはコンピューターRPGにおいてとく顕著けんちょなものとなっている。

実際じっさいには、SFホラーをはじめとして多彩たさいなジャンルが題材だいざいとしてえらばれている。システムめんても、とくにテーブルトークRPGではキャラクターの成長せいちょうはむしろ戦闘せんとうによらずミッションやクエストのクリアをもってもたらされるものがおおいなど、キャラクターの成長せいちょう方法ほうほうひとつをっても作品さくひんにより多彩たさいである(さらには、『トラベラー』のようにキャラクターが成長せいちょうしない作品さくひんもある)。このように、ロールプレイングゲームを形成けいせいする要素ようそ自体じたい初期しょきのものにくらべて様々さまざま分化ぶんかしている[5]

ロールプレイングの意味いみ[編集へんしゅう]

ロールプレイング(role-playing)とは、想像そうぞうじょうのある役柄やくがらえんじることである[6]。ロールプレイング(role-playing)を英和えいわ辞典じてんくと、役割やくわり演技えんぎ翻訳ほんやくされる[7]。しかし、ゲームとしてのロールプレイングの意味いみは、えいえい辞典じてん説明せつめいとおり「pretending to be someone else(だれかのふりをする)」をしめ[8][9]ものであり前者ぜんしゃとはことなる。ゲームデザイナーのゲイリー・ガイギャックスは、「ロールプレイとは、想像そうぞうじょうのある役柄やくがらえんじること」「自分じぶん現在げんざい(または未来永劫みらいえいごうけっしてなることができない何者なにものかをえんじること」であるとしている[6]。テーブルトークRPGでは、プレイヤーは、たんなる無名むめいの「戦士せんし」や「魔法使まほうつかい」ではなく、名前なまえ仮想かそう人格じんかくなどが付与ふよされたプレイヤーキャラクター担当たんとうする。ゲームによっては、「ライフパス」(出自しゅつじ人生じんせい遍歴へんれきしめ要素ようそ)や「性格せいかく」「属性ぞくせい」(あるいはシステムによっては「くせ」や「趣味しゅみ」といったところまで)といったルールにより、仮想かそう人格じんかくにシステムてき裏付うらづけをあたえる工夫くふうがなされる[10]おなじ「戦士せんし」であっても、豪胆ごうたん人物じんぶつ細心さいしん人物じんぶつ明朗めいろう快活かいかつ人物じんぶつなぞめいたかげのある人物じんぶつといった千差万別せんさばんべつ個性こせい表現ひょうげんすることにより、キャラクターは差別さべつされ、一層いっそうきとし、仮想かそう世界せかいでの冒険ぼうけんたのしみを増加ぞうかさせるのである[11]。またプレイヤーが温厚おんこう慎重しんちょう性格せいかくであるのにもかかわらず、こうずな戦士せんしえんじたり、狡猾こうかつ魔術まじゅつえんじたりすることは、それがキャラクターに合致がっちしているかぎり、「上手じょうずなロールプレイ」であるとなされる[12]

商標しょうひょう登録とうろく[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、雑誌ざっし新聞しんぶんの「TRPG」はホビージャパンの(だい4803260ごう)、玩具おもちゃ、ゲーム関係かんけいなどの「ロールプレイング」はホビージャパンの(だい1798172ごう[注釈ちゅうしゃく 1]菓子かし・パン関係かんけいの「ロールプレイング」はロッテの(だい2155432ごう)、ゲーム関係かんけいなどの「ロールプレイドラマ」はスパイク・チュンソフト[注釈ちゅうしゃく 2]の(だい4794245ごう)、略称りゃくしょうの「R.P.G」がおもちゃ関係かんけいでバンダイの(だい1792020ごう)、「ロープレゲーム」はゲームおもちゃなどでセガ以前いぜんセガゲームス)の(だい3046648ごうだい3046649ごう登録とうろく商標しょうひょうである。

ゲームの分類ぶんるい[編集へんしゅう]

テーブルトークRPG[編集へんしゅう]

テーブルトークRPG本来ほんらいのロールプレイングゲーム)は、ジャンルてきにはテーブルゲーム(あるいはアナログゲーム)に分類ぶんるいされる。

  1. プレイヤーが一堂いちどうあつまり、
  2. ゲームマスター(審判しんぱんやく)が提示ていじするルール・状況じょうきょう・シナリオ・課題かだいしたがい、
  3. ゲーム世界せかいないでの自分じぶん代理人だいりにんであるキャラクターにどんなことをさせるかを申告しんこくしながら、
  4. のプレイヤーととも課題かだい達成たっせいけてゲームをすすめる

というスタイルが一般いっぱんてきなプレイである[13]

商業しょうぎょうてきには、1974ねん米国べいこくTSRしゃから発売はつばいされた "Dungeons and Dragons" (通称つうしょう、D&D)が、商品しょうひんとしてひろ販売はんばいされた世界せかいはつの「テーブルトップRPG」ルールシステムである[5](その前身ぜんしんであるウォーゲーム『チェインメイル』は『D&D』の原型げんけいとみなされる[2] )。

ライブアクションRPG[編集へんしゅう]

現実げんじつ世界せかいのプレイヤーたち会話かいわ身体しんたいてき行動こうどう演技えんぎおこない、架空かくう人物じんぶつ世界せかい表現ひょうげんすることで物語ものがたり演出えんしゅつする。

コンピュータRPG[編集へんしゅう]

まずロールプレイングゲームのあそかた世界せかい設定せっていたとえば『D&D』などに登場とうじょうする魔法まほうやアイテムやゲーム目標もくひょうなど)をもとつくられたアメリカせいのコンピュータRPGが1980年代ねんだい前半ぜんはん日本にっぽんでもプレイされはじめ、まもなく日本にっぽんせい製品せいひん登場とうじょう人気にんきはくした[14]。さらに、ロールプレイングゲームの入門にゅうもんてき存在そんざいであるゲームブック邦訳ほうやく紹介しょうかいされ、一時いちじブームとなった[14]。その、ゲームブックはほぼ姿すがたしてしまうが、コンピューターRPGはパソコンゲーム普及ふきゅうともない、売上うりあげてんでも内容ないようてんでもおおきく成長せいちょうするにいたった。

他方たほう、テーブルトークRPGはそれまで一部いちぶウォーゲーム愛好あいこう英文えいぶんのままでプレイしていた程度ていどで、ひろられるようになったのはコンピュータRPGやゲームブックをとおしてであった。日本語にほんごされての販売はんばいも、コンピュータRPGの国産こくさんよりおくれていたのである[4]

そのため、ロールプレイングゲームまたはRPGえばコンピューターRPGのことをすものだという認識にんしきが、日本にっぽんではひろ定着ていちゃくしている。いまやコンピューターRPGはコンピューターゲームのなかでもとく人気にんきたかいゲームジャンルである。[4]

MMORPG[編集へんしゅう]

そののRPG[編集へんしゅう]

  • メールRPG - 郵便ゆうびん利用りようしてあそプレイバイメールゲームのうち、ひとつの作品さくひん世界せかいにつき1プレイヤーごと原則げんそく1プレイヤーズ・キャラクター(PC)の登録とうろくおこなってあそぶゲームを「メールRPG」とぶことがある。

テーブルトークRPG・コンピュータRPG双方そうほう存在そんざいする作品さくひん[編集へんしゅう]

コンピュータゲーム

テーブルトークRPGを原作げんさくとして、コンピュータゲームされたもの

テーブルトークRPG

コンピュータRPGを原作げんさくとして、テーブルトークRPGされたもの

同列どうれつ派生はせい

共通きょうつう原作げんさく存在そんざいしたり、メディアミックス展開てんかいされた結果けっかとして、双方そうほう存在そんざいするもの

コンピュータゲームではべつのジャンルになっているもの
  • ダンジョンズ&ドラゴンズ(アクションゲームやシューティングゲーム(NESのDragon Strike))
  • バトルテック(TRPGは「メックウォリアー」)
  • ヘビーギア(リアルタイムロボット操縦そうじゅうシミュレーション)
  • ナイトウィザード(カードバトルアドベンチャーゲーム)
  • シャドウラン(Xbox 360ではFPS

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 1985ねん8がつにホビージャパン創業そうぎょうしゃにより商標しょうひょう登録とうろくされたが、創業そうぎょうしゃが2016ねん死去しきょしたため、2020ねん9がつ株式会社かぶしきがいしゃホビージャパンが権利けんり継承けいしょうしている。
  2. ^ 2012ねん3がつ31にちまではチュンソフト

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 山北やまきたあつし、スペース・ワン・ゼロ『パワープレイ』ホビージャパン、1991ねん、4-9ぺーじ ISBN 4-938461-56-0
  2. ^ a b ロブ・ハインソー、アンディ・コリンズ、ジェームズ・ワイアット『ダンジョンズ&ドラゴンズだい4はん 基本きほんルールブック プレイヤーズ・ハンドブック』ホビージャパン、2008ねん、7ぺーじ ISBN 4-89425-050-0
  3. ^ Kim, John. “"Narrative" or "Tabletop" RPGs”. 2017ねん9がつ19にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c d わき洋平ようへい、グループSNE『しん・ウィザードリィRPG 基本きほんシステム』アスキー、1991ねん、8ぺーじ ISBN 4-89366-097-7
  5. ^ a b c 友野とものしょう『バカバカRPGをかたる』しん紀元きげんしゃ、2007ねん、10ぺーじ ISBN 978-4-7753-0541-6
  6. ^ a b ゲイリー・ガイギャックス『ロールプレイング・ゲームの達人たつじん教養きょうよう文庫ぶんこ、1989ねん、18ぺーじ ISBN 4-390-11312-7
  7. ^ しん英和えいわちゅう辞典じてん研究けんきゅうしゃ
  8. ^ 『ケンブリッジえいえい辞典じてん』ケンブリッジユニバーシティプレス
  9. ^ role-playing game Oxford Learner's Dictionaries
  10. ^ スティーブ・ジャクソン『ガープス・ベーシック 完訳かんやくばん富士見書房ふじみしょぼう、1999ねん、15-16ぺーじ ISBN 4-8291-7409-9
  11. ^ わき洋平ようへい、グループSNE『ガープスがよくわかるほん角川かどかわスニーカー・G文庫ぶんこ、1994ねん、63-64ぺーじ ISBN 4-04-461403-2
  12. ^ スティーブ・ジャクソン『ガープス・ベーシック 完訳かんやくばん富士見書房ふじみしょぼう、1999ねん、232-233ぺーじ ISBN 4-8291-7409-9
  13. ^ 菊池きくちたけし/F.E.A.R『アリアンロッドRPG 2E ルールブック①』富士見書房ふじみしょぼう、2011ねん、14-15ぺーじ ISBN 978-4-8291-4631-6
  14. ^ a b TSR,Inc.『D&Dルールサイクロペディア① プレイヤーズ』メディアワークス、1994ねん、23-25ぺーじ ISBN 4-07-301820-5

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • TSR,Inc.『D&Dルールサイクロペディア① プレイヤーズ』メディアワークス、1994ねん ISBN 4-07-301820-5
  • ロブ・ハインソーとアンディ・コリンズとジェームズ・ワイアット『ダンジョンズ&ドラゴンズだい4はん 基本きほんルールブック プレイヤーズ・ハンドブック』ホビージャパン、2008ねん ISBN 4-89425-798-X
  • わき洋平ようへいとグループSNE『しん・ウィザードリィRPG 基本きほんシステム』アスキー、1991ねん ISBN 4-89366-097-7

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]