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安楽死・尊厳死：オランダ

安楽あんらく死し・尊厳そんげん死し：オランダ

◆立岩たていわ真しん也・有馬ありま斉ひとし　2012/10/31　『生死せいしの語かたり行おこない・１――尊厳そんげん死し法案ほうあん・抵抗ていこう・生命せいめい倫理りんり学がく』，生活せいかつ書院しょいん，241p.　ISBN-10: 4865000003　ISBN-13: 978-4865000009　［amazon］／［kinokuniya］　※ et. et-2012.

　第だいⅣ章しょう　「ブックガイド・医療いりょうと社会しゃかい」より　立岩たていわ真しん也
　　オランダ　2001/01 ［連載れんさい05］
　　※註でその後ごに出でたものを紹介しょうかいしています（↓）。

◆児玉こだま真美まみ　2016/05/25　「オランダでは、安楽あんらく死し要件ようけん外がいの高齢こうれい者しゃ向むけに「自殺じさつピル」の実験じっけん開始かいし？」
　http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara2/65181171.html

◆児玉こだま真美まみ　2015/09/12　「オランダのNVVE、高校こうこうで安楽あんらく死し教育きょういくをスタート」
　http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara2/64818083.html

◆児玉こだま真美まみ　2015/08/11　「JAMAにベルギーとオランダの安楽あんらく死し実態じったい調査ちょうさ、カプランがコメンタリーで「すべり坂ざか」用心ようじん」
　http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara2/64769616.html
　→安楽あんらく死し・尊厳そんげん死し：ベルギー

◆児玉こだま真美まみ　2015/02/20　「オランダの医師いしの３割わりが認知にんち症しょう、精神せいしん障害しょうがい、「もう生いきてたくない」への安楽あんらく死しに容認ようにん姿勢しせい＆機動きどう安楽あんらく死しチームへの要望ようぼうは急増きゅうぞう中ちゅう」
　http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara2/64503802.html

◆児玉こだま真美まみ　2014/10/11　「2013年ねんのオランダの安楽あんらく死者ししゃ、前年ぜんねんから15％増ぞう」
　http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara2/64310605.html

◆児玉こだま真美まみ　2014/02/20　「オランダ安楽あんらく死し運動うんどうのパイオニア精神せいしん科か医いが「ここ2年ねんで安楽あんらく死し法ほうは脱線だっせんしてしまった」」
　http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara2/63889845.html

◆児玉こだま真美まみ　2014/02/05　「オランダの安楽あんらく死しクリニックで精神せいしん障害しょうがい者しゃ9人にんに安楽あんらく死し（2013) 」
　http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara2/63864139.html

◆2014/01/15　「安楽あんらく死しは「納得なっとくして迎むかえる死し」　オランダの現状げんじょうを本ほんに」
　朝日新聞あさひしんぶんデジタル　[文ぶん]北野きたの隆一りゅういち　 [掲載けいさい]2014年ねん01月がつ15日にち
　http://book.asahi.com/booknews/update/2014012200015.html?iref=comtop_list_cul_b01

　写真しゃしん：オランダの安楽あんらく死しと在宅ざいたくケアの現状げんじょうについて語かたるシャボットあかねさん（左ひだり）とヤープ・シュールマンズ医師いし＝１１日にち、台東たいとう区く花川戸はなかわど
　表紙ひょうし画像がぞう：著者ちょしゃ：シャボットあかね　出版しゅっぱん社しゃ：日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ　価格かかく：￥ 1,995

　オランダで認みとめられている経口けいこう薬やくや注射ちゅうしゃによる「安楽あんらく死し」について、同国どうこく在住ざいじゅうの通訳つうやくシャボットあかねさん（６６）が、都内とないや川崎かわさき市しで講演こうえんした。シャボットさんは今月こんげつ、「安楽あんらく死しを選えらぶ　オランダ・『よき死し』の探検たんけん家かたち」（日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ）を出版しゅっぱん。同国どうこくの現状げんじょうや具体ぐたい的てきな事例じれいを、安楽あんらく死しの処置しょちに携たずさわることの多おおい家庭かてい医いとともに語かたった。
　シャボットさんによると、同国どうこくの「安楽あんらく死し法ほう」は２００２年ねんに施行しこうされた。患者かんじゃからの要請ようせい▽絶望ぜつぼう的てきで耐たえ難がたい苦くるしみがある▽他たに合理ごうり的てき解決かいけつ策さくがない▽独立どくりつした医師いしによるセカンド・オピニオン――など６要件ようけんを満みたせば、緩和かんわケアの一環いっかんとして、医師いしが処置しょちできる。薬くすりを投与とうよしたり、注射ちゅうしゃしたりする方法ほうほうで患者かんじゃの生命せいめいを終おわらせるが、刑法けいほうの自殺じさつ幇助ほうじょ（ほうじょ）罪ざいや嘱託しょくたく殺人さつじん罪ざいに問とわれない。
　安楽あんらく死しが認みとめられた背景はいけいとして、シャボットさんは、個人こじんの自己じこ決定けっていの尊重そんちょうや、関係かんけい者しゃが納得なっとくできるまで対話たいわを尽つくす国民こくみん性せいを挙あげる。
　安楽あんらく死しの是非ぜひを判断はんだんし、処置しょちを担になう医師いしの多おおくは、家庭かてい医いと呼よばれるかかりつけの医師いしだ。患者かんじゃの心身しんしんの状態じょうたいや病歴びょうれき、家族かぞく環境かんきょう、生活せいかつ環境かんきょうなど全体ぜんたい像ぞうをつかんだうえで判断はんだんする。
　１２年度ねんどに同国どうこくで報告ほうこくされた安楽あんらく死しは４１８８人にん。このうち家庭かてい医いが処置しょちをしたのは３７７７人にんに及およぶ。安楽あんらく死しを求もとめた人ひとのうち、３２５１人にんが末期まっきがんなどの患者かんじゃ。ただ、末期まっきの重病じゅうびょう以外いがいでも、「絶望ぜつぼう的てきで耐たえ難がたい苦くるしみ」と医師いしに理解りかいされれば、安楽あんらく死しが認みとめられる場合ばあいも少数しょうすうだがあるという。
　１１日にちの台東たいとう区くでの講演こうえん会かいでは、オランダ人じん家庭かてい医いのヤープ・シュールマンズさん（５２）も経験けいけんを語かたった。昨年さくねんは３０人にんをみとり、うち１人にんは安楽あんらく死しだった。
　乳にゅうがんが骨ほねに転移てんいし余命よめいが長ながくないと知しった女性じょせいは「死しぬまで待またず、自分じぶんで終おわらせたい」と希望きぼう。別べつの医師いしのセカンド・オピニオンでも認みとめられ、意思いし表明ひょうめいの５日にち後ごに安楽あんらく死しの処置しょちをした。シュールマンズさんは「有効ゆうこうな治療ちりょう法ほうがない場合ばあい、治療ちりょうよりも生活せいかつの質しつを保たもつことが大切たいせつな場合ばあいもある」と述のべた。
　シャボットさんも、自身じしんが要件ようけんを満みたす状況じょうきょうになったら、安楽あんらく死しを選えらびたいと家庭かてい医いに文書ぶんしょで伝つたえた。「安楽あんらく死しのほとんどは、自宅じたくで家族かぞくや愛あいする人ひとたちに囲かこまれて納得なっとくして迎むかえる死し。自己じこ責任せきにんの名なのもと、孤独こどくのまま死しを選えらぶ自殺じさつとは対極たいきょくにある」と強調きょうちょうする。」

◆2014/01/10　市民しみんから見みた“望のぞむ”看取みとり～安楽あんらく死しを選えらぶオランダ～
　平成へいせい26年ねん1月がつ10日とおか（金かね）午後ごご7時じ～9時じ　くにたち市民しみん芸術げいじゅつ小しょうホール

第だい１部ぶ　基調きちょう講演こうえん「よき死しを探検たんけんするオランダ人じん」
シャボットあかねさん　オランダ在住ざいじゅう　通訳つうやく　コーディネイト　執筆しっぴつ業ぎょう
新刊しんかん『安楽あんらく死しを選えらぶ―　オランダ「よき死し」の探検たんけん家かたち」（日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ）。『自みずから死しを選えらぶ権利けんりーオランダ安楽あんらく死しのすべて』（徳間書店とくましょてん）

第だい2部ぶ「市民しみんから見みた“望のぞむ”看取みとり」
シャボットあかね・藤原ふじわら瑠美るみ（ホスピタリティ☆プラネット）
山本やまもと秀子ひでこ（在宅ざいたくケアを考かんがえる会かい代表だいひょう）

オブザーバー秋山あきやま正子まさこ（白しろ十じゅう字じ訪問ほうもん看護かんごステーション統括とうかつ所長しょちょう・
新田にった國夫くにお（医療いりょう法人ほうじん社団しゃだんつくし会かい理事りじ長ちょう）

コーディネーター山路やまじ憲夫のりお（白梅学園しらうめがくえん大学だいがく教授きょうじゅ）

申もうし込こみ：国立こくりつ市し在宅ざいたく療養りょうよう推進すいしん連絡れんらく協議きょうぎ会かい　事務じむ局きょく　042-569-6213

cf.立岩たていわ真しん也・有馬ありま斉ひとし　2012/10/31　『生死せいしの語かたり行おこない・１――尊厳そんげん死し法案ほうあん・抵抗ていこう・生命せいめい倫理りんり学がく』，生活せいかつ書院しょいん，241p.　ISBN-10: 4865000003　ISBN-13: 978-4865000009　［電子でんし書籍しょせき］／［amazon］／［kinokuniya］　※ et. et-2012.

　「［…］オランダ安楽あんらく死し関連かんれん本ほん情報じょうほう。以下いかざっと並ならべていく。それにどれだけ意味いみがあるか正直しょうじきわからない。だが、意外いがいにも多おおくの本ほんがここ数すう年ねんの間あいだに出だされ、そしてそのほとんどが今いまは買かえないということを知しっていただいてよいようにも思おもう。
　まず、ジャネット・あかね・シャボット『自みずから死しを選えらぶ権利けんり――オランダ安楽あんらく死しのすべて』（シャボット［1995］）。著者ちょしゃは日本にっぽん生うまれのオランダ在住ざいじゅうの人ひとで、実際じっさいにそこに住すんで時間じかんをかけて取材しゅざいをして書かかれた本ほんである。病気びょうきでなく肉体にくたい的てきな苦痛くつうはなく精神せいしん的てき苦痛くつうだけを理由りゆうに自殺じさつ幇助ほうじょを求もとめ、精神せいしん科かの医師いしで、著者ちょしゃの親戚しんせきでもあるシャボットの幇助ほうじょを得えて死しんだ人ひと――これは、少すくなくとも社会しゃかいに知しられたケースとしては最初さいしょだった――の死しに至いたる経緯けいいについての詳くわしい記述きじゅつもある。
　『安楽あんらく死し――生なまと死しをみつめる』（ＮＨＫ人体じんたいプロジェクト編へん［1996］）にも現地げんち取材しゅざいにもとづいたかなり詳くわしい紹介しょうかいがある。「自分じぶんでは何なにもできなくなり、すべてを他人たにんに頼たよらなければならないという状態じょうたいで……屈辱くつじょく感かんに耐たえられないという患者かんじゃ」（［133］）が安楽あんらく死しを選えらぶという部分ぶぶんが私わたしは気きになって、『私的してき所有しょゆう論ろん』の注ちゅうでこの前後ぜんごを含ふくめ引用いんようしたことがある（［1997:168］第だい四よん章しょう注ちゅう12★）。
　生井いくいの本ほんにもそんな部分ぶぶんがある。長ながくなるが引用いんようする。［…］」

◆2014/01/02
　http://www.nrc.nl/nieuws/2014/01/02/in-the-netherlands-nine-psychiatric-patients-received-euthanasia/
　「In 2013, the end-of-life clinic in The Netherlands, where patients can request euthanasia when they have run out of options, helped nine psychiatric patients end their lives or commit assisted suicide. These were all people of sound body. The clinic, which was founded at the beginning of 2012, received approximately 286 euthanasia requests from psychiatric patients last year. This is approximately one third of the total number of requests.」

◆2014/01/01　「オランダで「安楽あんらく死し専門せんもんクリニック」が話題わだい「日本にっぽん」でも開業かいぎょうの日ひは近ちかい？」　BLOGOS　記事きじ弁護士べんごしドットコム　2014年ねん01月がつ01日にち 13:45
　http://blogos.com/article/77102/
　「医師いしによる「安楽あんらく死し」が合法ごうほうとされているオランダで、「安楽あんらく死し専せん門もんのクリニック」が話題わだいになっている。クリニックは行政ぎょうせいの中心ちゅうしん都市としデン・ハーグにあり、患者かんじゃの自宅じたくに医師いしを派遣はけんして、投薬とうやくによる「安楽あんらく死し処置しょち」をするサービスを行おこなっているという。
　同国どうこくでも、安楽あんらく死し処置しょちを行おこなった医師いしが刑事けいじ罰ばつを免まぬかれるためには、「患者かんじゃの苦痛くつうが永続えいぞく的てきで、耐たえがたい」など、様々さまざまな条件じょうけんをクリアする必要ひつようがある。それでも、あるレポートによれば、2005年ねんから2010年ねんにかけて死亡しぼうした患者かんじゃのうち、安楽あんらく死しを要請ようせいした人ひとの割合わりあいは4.8％から6.7％に増ふえ、安楽あんらく死しを容認ようにんする医師いしの割合わりあいも37％から45％となった、と報告ほうこくされている。
　日本にっぽんでも「いかに死しぬか」への意識いしきは高たかまりつつある。安楽あんらく死しを望のぞむ声こえも時折ときおり聞きかれるが、こうした「安楽あんらく死し専門せんもんクリニック」が日本にっぽんで開業かいぎょうされる可能かのう性せいはあるのだろうか。金子かねこ玄げん弁護士べんごしに話はなしを聞きいた。

○積極せっきょく的てき安楽あんらく死しは、形式けいしき的てきには「殺人さつじん」になる
　「わが国くにでは、現行げんこう法ほう上じょう、安楽あんらく死し専門せんもんクリニックの開業かいぎょうは困難こんなんでしょう」
　どうしてだろうか？
　「『安楽あんらく死し』には、『間接かんせつ的てき安楽あんらく死し』、『消極しょうきょく的てき安楽あんらく死し』、『積極せっきょく的てき安楽あんらく死し』の3類型るいけいがあります。投薬とうやくによる安楽あんらく死し処置しょちは、このうち積極せっきょく的てき安楽あんらく死しにあたります。
この積極せっきょく的てき安楽あんらく死しは、直接的ちょくせつてきに患者かんじゃの生命せいめいを短縮たんしゅくすることから、形式けいしき的てきには殺人さつじん罪ざい（刑法けいほう199条じょう）ないし嘱託しょくたく・承諾しょうだく殺人さつじん罪ざい（刑法けいほう202条じょう後段こうだん）に該当がいとうします。
　このため、現行げんこう法ほう上じょうで合法ごうほう的てきに積極せっきょく的てき安楽あんらく死しを行おこなうためには、何なんらかの理由りゆうによって『違法いほう性せいがない（違法いほう性せいが阻却される）』と認定にんていされる必要ひつようがあります」

○裁判さいばんで「違法いほう性せいがない」と判断はんだんされる基準きじゅんは？
　積極せっきょく的てき安楽あんらく死しについて、「違法いほう性せいがないと判断はんだんされるための基準きじゅん」はあるのだろうか？
　「名古屋なごや高裁こうさい・昭和しょうわ37年ねん12月22日にち判決はんけつは、以下いかに挙あげる6つの要件ようけんがあれば『違法いほう性せいが阻却される』と判断はんだんしました。この裁判さいばん例れいは以後いご、基準きじゅんとして機能きのうしています。
（1）病者びょうしゃが現代げんだい医学いがくの知識ちしきと技術ぎじゅつから見みて不治ふじの病やまいにおかされ、しかもその死しが目前もくぜんに迫せまっていること
（2）病者びょうしゃの苦痛くつうが甚はなはだしく、何人なんにんも真しんにこれを見みるに忍しのびない程度ていどのものとなること
（3）もっぱら病者びょうしゃの死し苦くの緩和かんわの目的もくてきでなされたこと
（4）病者びょうしゃの意識いしきがなお明瞭めいりょうであって意思いしを表明ひょうめいできる場合ばあいには、本人ほんにんの真摯しんしな嘱託しょくたく・承諾しょうだくのあること
（5）医師いしの手てによることを原則げんそくとし、医師いしにより得えない場合ばあいには特別とくべつの事情じじょうがあること
（6）その方法ほうほうが倫理りんり的てきにも妥当だとうなものとして認容にんようしうるものであること」
ずいぶん古ふるい判決はんけつだが、基準きじゅんはいまでも変かわらないのだろうか？
「比較的ひかくてき新あたらしいものでは、横浜よこはま地裁ちさい・平成へいせい7年ねん3月がつ28日にち判決はんけつが、次つぎの4要件ようけんにより、違法いほう性せい阻却要件ようけんを判断はんだんしています。
（a）患者かんじゃが耐たえ難がたい肉体にくたい的てき苦痛くつうに苦くるしんでいること（b）患者かんじゃの死期しきが迫せまっていること
（c）患者かんじゃの肉体にくたい的てき苦痛くつうを除去じょきょ・緩和かんわするために方法ほうほうを尽つくし、他たに代替だいたい手段しゅだんがないこと
（d）生命せいめいの短縮たんしゅくを承諾しょうだくする患者かんじゃの明示めいじの意思いし表示ひょうじがあること」
日本にっぽんにも安楽あんらく死しについての基準きじゅんは存在そんざいするものの、あくまで、こうした条件じょうけんが全すべて満みたされたごく例外れいがい的てきな場合ばあいにのみ、問題もんだいがなくなるという判断はんだんのようだ。実際じっさいに医師いしが処置しょちを行おこなうためには、安楽あんらく死しが社会しゃかい的てきに容認ようにんされたうえで、法律ほうりつやガイドラインが整備せいびされるなど、超こえるべき様々さまざまなハードルがあるということだろう。

○オランダとは社会しゃかい的てき背景はいけいが違ちがう
安楽あんらく死しが広ひろがるオランダでの動うごきを、金子かねこ弁護士べんごしはどうみているのだろうか？
「オランダでは、1980年代ねんだいから積極せっきょく的てき安楽あんらく死しを巡めぐる議論ぎろん・実態じったい調査ちょうさを踏ふまえて、2001年ねん4月がつには安楽あんらく死しを合法ごうほう化かする刑法けいほう改正かいせいに至いたりました。
　ただし、そこに至いたる社会しゃかい的てき背景はいけいとして、ホームドクター制度せいどの充実じゅうじつ、インフォームドコンセントの徹底てってい、医療いりょう保険ほけん制度せいどの整備せいび等とうが存在そんざいすることを見逃みのがしてはいけません」
　やはり、社会しゃかいの前提ぜんていが違ちがう点てんが大おおきいのだろう。日本にっぽんでも今後こんご、安楽あんらく死しを巡めぐる議論ぎろんが進すすむ可能かのう性せいはあるのだろうか？金子かねこ弁護士べんごしは次つぎのように締しめくくっていた。
　「社会しゃかい的てき背景はいけいが異ことなるわが国くにでは、オランダでの実例じつれいをそのまま斟酌しんしゃくすることはできませんが、患者かんじゃの自己じこ決定けってい権けんの尊重そんちょうの風潮ふうちょうは年々ねんねん高たかまっています。立法りっぽう化かの必要ひつようも含ふくめ、積極せっきょく的てき安楽あんらく死しを巡めぐる議論ぎろんの深化しんかが望のぞまれるところです」
　【取材しゅざい協力きょうりょく弁護士べんごし】金子かねこ玄げん（かねこ・げん）弁護士べんごし
第だい一東京弁護士会成年後見委員会副委員長、日弁連にちべんれん高齢こうれい者しゃ事業じぎょう対策たいさく本部ほんぶ委員いいん。相続そうぞく・遺言ゆいごん・後見こうけん等とうの高齢こうれい者しゃに関かんする業務ぎょうむ全般ぜんぱんには特とくに力ちからを入いれている。医療いりょう問題もんだいにも明あかるく、病院びょういん・歯科しかクリニック等とうの医療いりょう関係かんけいの顧問こもん先さきの相談そうだんも手掛てがけている。
事務所じむしょ名めい：慶福けいふく法律ほうりつ事務所じむしょ５」

　※注記ちゅうき：「医療いりょう保険ほけん制度せいどの整備せいび等とう」が具体ぐたい的てきに何なにを指さしているのか不明ふめいだが、以下いかのような指摘してきもある。

◇「［…］オランダの安楽あんらく死しについては他たに多数たすう文献ぶんけんがあるが略りゃく。私わたしのホームページに幾いくつかを掲載けいさい。その中なかで、オランダの一般いっぱん医いは保険ほけん機関きかんからの支払しはらいにより収入しゅうにゅうを得えており、その額がくは登録とうろく患者かんじゃの人数にんずうに応おうじた定額ていがくになっているため、費用ひようのかかることを行おこなわないのが得とくになる仕組しくみになっていること、この番組ばんぐみでこうした制度せいどを捉とらえる視点してんが欠如けつじょしていることを指摘してきする伊藤いとう［1996:44］が重要じゅうようである。」（立岩たていわ『ＡＬＳ』p.427）

◆『私的してき所有しょゆう論ろん　第だい２版はん』

　「オランダで行おこなわれている安楽あんらく死しや自殺じさつ幇助ほうじょのほとんどは、がんの末期まっき患者かんじゃで、自分じぶんでは何なにもできなくな<0290り、すべてを他人に頼らなければならないという状態で余命予測の二、三日以内の人で、最長でも二、三週間の屈辱感に耐えられないという患者です」（インタヴューに対するオランダ人の回答――後藤猛［1996:133］に掲載。オランダの安楽あんらく死しについて、この文章ぶんしょう所収しょしゅうのＮＨＫ人体じんたいプロジェクト編へん［1996］、Chabot［1995］。【その後ごオランダで安楽あんらく死しした人ひとによる著作ちょさくとしてネーダーコールン［2000］［2001］、ジャーナリストによるものとして三井みつい［2003］、平沢ひらさわ［1996］等とう。法学ほうがく者しゃによるものとしてTak／甲斐かい編へん訳やく［2009］。立岩たていわ・有馬ありま［2012］で紹介しょうかいした。】
　所謂いわゆる「ペイン・クリニック」が整備せいびされ痛いたみの制御せいぎょが十分じゅうぶんな水準すいじゅんに達たっした時とき（オランダではそうだと言いう）、自己じこ決定けっていされる死しは身体しんたい的てきな苦痛くつうから逃のがれるためのものでなくなる。この時とき、その決定けっていの理由りゆうは、「屈辱くつじょく感かんに耐たえられない」といった、より「人間にんげん的てき」なものになる。市野川いちのかわ［1993b］［1994a］［1996e］（cf.小松こまつ・市野川いちのかわ［1996］、小俣おまた・市野川いちのかわ［1996］）が危惧きぐするのはこのことである（第だい７章しょう注ちゅう22・318●頁ぺーじ）。」

◆2013/04/12　「オランダ　安楽あんらく死し、自分じぶん貫つらぬきたくて紙面しめんで読よむ――世界せかいの老後ろうご　最期さいごは：中なか」
　http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201304170665.html?ref=com_fbox_u

　写真しゃしん：楽らく死しした母親ははおやアネカさんの写真しゃしんを手てにするビレミンさん＝２月がつ、アムステルダム
　「「気きが強つよくて、厳きびしい人ひとでした」。オランダ・アムステルダムの自宅じたくで、母ははアネカ・デネレさんの写真しゃしんを手てに次女じじょビレミンさん（５４）はしみじみと語かたった。２０１０年ねん３月がつ、楽らく死しする母ははをみとった。８９歳さいだった。
　独立どくりつ心しんが強つよく、夫おっとが亡なくなってから十じゅう数すう年ねん、一人暮ひとりぐらしを続つづけた。いったん「やる」と決きめれば、絶ぜっ…」→続つづきを読よむ［PDF］

◆「［…］オランダの安楽あんらく死しについては他たに多数たすう文献ぶんけんがあるが略りゃく。私わたしのホームページに幾いくつかを掲載けいさい。その中なかで、オランダの一般いっぱん医いは保険ほけん機関きかんからの支払しはらいにより収入しゅうにゅうを得えており、その額がくは登録とうろく患者かんじゃの人数にんずうに応おうじた定額ていがくになっているため、費用ひようのかかることを行おこなわないのが得とくになる仕組しくみになっていること、この番組ばんぐみでこうした制度せいどを捉とらえる視点してんが欠如けつじょしていることを指摘してきする伊藤いとう［1996:44］が重要じゅうようである。」（立岩たていわ『ＡＬＳ』p.427）

◆立岩たていわ真しん也　2001/05/25　「死しの決定けっていについて・２」（医療いりょうと社会しゃかいブックガイド・５）
　『看護かんご教育きょういく』2000-5（医学書院いがくしょいん）
◆清水しみず昭美あけみ　200110　「オランダ安楽あんらく死し法案ほうあん可決かけつと安楽あんらく死しの実態じったい――医療いりょう職しょくの倫理りんりとは」
　『Nursing Today』16-11(2001-10):070-073　※
◆田村たむら　亜子あこ　2000　「「死しの権利けんり」の現状げんじょうについて――日本にっぽん、オランダ、アメリカの比較ひかくから」，愛知県立看護大学あいちけんりつかんごだいがく・卒業そつぎょう論文ろんぶん

◆「射水いみず市民しみん病院びょういん事件じけん」から安楽あんらく死し=尊厳そんげん死しを考かんがえる学習がくしゅう会かい参加さんか者しゃ一同いちどう→北日本新聞社きたにっぽんしんぶんしゃ　「いのちの回廊かいろう」取材しゅざい班はん　2006/6/18　「抗議こうぎ・要請ようせい文ぶん」
◆2006/06/19　「射水いみず市民しみん病院びょういん事件じけん」から安楽あんらく死し=尊厳そんげん死しを考かんがえる学習がくしゅう会かい参加さんか者しゃ一同いちどう　北日本新聞社きたにっぽんしんぶんしゃに対たいする、６／８付づけ「いのちの回廊かいろう」オランダ篇へん３記事きじに関かんしての抗議こうぎ―話はなし合あい行動こうどう　 →報告ほうこく
◆（NPO）文ぶん福ぶく→北日本新聞社きたにっぽんしんぶんしゃ　2006/06/20　「いのちの回廊かいろう　生なまと死しの地平ちへい　オランダ編へん６月がつ８日にち記事きじについて　抗議こうぎ及および要望ようぼう書しょ」

1971　ポストマ医師いし安楽あんらく死し事件じけん
1973　王立おうりつオランダ医師いし会かい（KNMG）の声明せいめい
1981　検察けんさつ長官ちょうかん委員いいん会かいの設置せっち
1981　オランダ国家こっか安楽あんらく死し委員いいん会かいの設置せっち
1984　KNMGの「安楽あんらく死しに関かんする公式こうしきの見解けんかい」
1984　KNMGの「医師いしへのガイドラインの5要件ようけん」
1984　アルクマール事件じけん
1985　ハーグ下級かきゅう裁判さいばん事件じけん
1990　アメロ地裁ちさい事件じけん
1990　「安楽あんらく死し報告ほうこく届出とどけで制度せいど」の確立かくりつ、施行しこう
1991　レメリンク･レポート
1991　オランダ法務省ほうむしょうによる安楽あんらく死しの定義ていぎの公表こうひょうと「安楽あんらく死し５要件ようけん」
1993　オランダの「改正かいせい埋葬まいそう法ほう」
1994　バウドワイン・シャボット医師いし事件じけん
1994/11/16ＴＢＳ「スペースＪ」でオランダのドキュメンタリー番組ばんぐみ「依頼いらいされた死し」放映ほうえい（↓）

……
20001128　下院かいん、「患者かんじゃの明確めいかくな要請ようせいがある」などの要件ようけんを満みたした場合ばあい、安楽あんらく死しを完全かんぜんに合法ごうほうとする法案ほうあんを可決かけつ
20001129　ロろーマ法王まほうおう庁ちょうオランダの刑法けいほう改正かいせい案あんを非難ひなん

◆安村やすむら勉つとむ　19970420　「オランダの安楽あんらく死し問題もんだい資料しりょう解説かいせつ」
　町野まちの朔さく他た編へん［1997:071-072］
◆オランダ最高裁判所さいこうさいばんしょ刑事けいじ部ぶ　19841127　「オランダ最高裁判所さいこうさいばんしょ刑事けいじ部ぶ1984四よん年ねん11月27日にち判決はんけつ（アルクマール事件じけん）」
　町野まちの朔さく他た編へん［1997:073-076］
◆オランダ最高裁判所さいこうさいばんしょ刑事けいじ部ぶ　19861021　「オランダ最高裁判所さいこうさいばんしょ刑事けいじ部ぶ1986年ねん10月がつ21日にち判決はんけつ（フローニンゲン事件じけん［第だい一いち次じ上告じょうこく審しん］）」
　町野まちの朔さく他た編へん［1997:076-080］
◆オランダ最高裁判所さいこうさいばんしょ刑事けいじ部ぶ　19940621　「オランダ最高裁判所さいこうさいばんしょ刑事けいじ部ぶ1994年ねん６月がつ21日にち判決はんけつ（シャボット事件じけん）」
　町野まちの朔さく他た編へん［1997:080-083］
◆オランダ　1993　「埋葬まいそう法ほう（1993年ねん12月２日にちの改正かいせい法ほうによる正文せいぶん）」
　町野まちの朔さく他た編へん［1997:083-090］
◆オランダ　　「法務大臣ほうむだいじん／福祉ふくし・厚生こうせい・文化ぶんか次官じかん「解説かいせつ」」（抄しょう）
　町野まちの朔さく他た編へん［1997:090-091］

◆「オランダで行おこなわれている安楽あんらく死しや自殺じさつ幇助ほうじょのほとんどは、がんの末期まっき患者かんじゃで、自分じぶんでは何なにもできなくなり、すべてを他人たにんに頼たよらなければならないという状態じょうたいで余命よめい予測よそくの二に、三さん日にち以内いないの人ひとで、最長さいちょうでも二に、三さん週間しゅうかんの屈辱くつじょく感かんに耐たえられないという患者かんじゃです」（インタヴューに対たいするオランダ人じんの回答かいとう――後藤ごとう猛たけし［1996:133］に掲載けいさい。オランダの安楽あんらく死しについて、この文章ぶんしょう所収しょしゅうのＮＨＫ人体じんたいプロジェクト編へん［1996］、Chabot［1995］）。所謂いわゆる「ペイン・クリニック」が整備せいびされ痛いたみの制御せいぎょが十分じゅうぶんな水準すいじゅんに達たっした時とき（オランダではそうだと言いう）、自己じこ決定けっていされる死しは身体しんたい的てきな苦痛くつうから逃のがれるためのものでなくなる。この時とき、その決定けっていの理由りゆうは、「屈辱くつじょく感かんに耐たえられない」といった、より「人間にんげん的てき」なものになる。
　立岩たていわ『私的してき所有しょゆう論ろん』第だい４章しょう注ちゅう12（p.168）

　

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■「依頼いらいされた死し」

◆1994/11/16ＴＢＳ「スペースＪ」でオランダのドキュメンタリー番組ばんぐみ「依頼いらいされた死し」放映ほうえい（↓）
　cf.
　「医師いしからＡＬＳと診断しんだんされ、治療ちりょう法ほうもなく、このままでは三さん年ねんから五ご年ねんの命いのちと宣告せんこくされたケース・ファンウェンデルデヨーテさん（63歳さい）は、自みずからの意思いしで安楽あんらく死しを選択せんたくする。オランダでは精神せいしん的てき、肉体にくたい的てき苦痛くつうから緩和かんわするための安楽あんらく死しが認みとめられており、彼かれは合法ごうほう的てきとされる安楽あんらく死しの要件ようけんを完全かんぜんに満みたしていると判定はんていを受うける。
　日ひに日ひに衰おとろえていく肉体にくたいと不安ふあんに襲おそわれ、ホームドクターとのたび重かさなる会話かいわのなかで、安楽あんらく死しを決行けっこうする日取ひどりが決定けっていする。
　自分じぶんの誕生たんじょう日びにアムステルダムの自宅じたくで妻つまが見守みまもる中なか、ホームドクターの手てにより、睡眠すいみん剤ざいで眠ねむりについた彼かれに、筋肉きんにく弛緩しかん剤ざいが注射ちゅうしゃされる……静しずかに訪おとずれる死し。
　妻つまはこの間あいだ、時折ときおりすすり泣なき、一いち度どは部屋へやを出でていくが、終始しゅうしベッドのわきにいて彼かれの手てを握にぎり、頬ほおに口くちづけをする。すべて終おわったとき「大丈夫だいじょうぶ？」とホームドクターが肩かたを抱いだき、声こえをかける。「ええ、これでよかった」と妻つまは答こたえる。
　安楽あんらく死しの日取ひどりが決定けっていしてから、彼かれはタイプに向むかい、やっと動うごく手てで妻つまに長ながい手紙てがみを書かく。「この病気びょうきになってから、ずっと死しのことを考かんがえてきた。これしかない。長ながい間あいだありがとう。」（『ＪＡＬＳＡ』034号ごう（1995/04/01）:17，誰だれによる文章ぶんしょうであるかは不明ふめい）
◆1994/11/15 『朝日新聞あさひしんぶん』東京とうきょう朝刊ちょうかん 33 頁ぺーじ３社しゃ面めん T941115M33-Z05
　オランダの「安楽あんらく死し」番組ばんぐみ、ＴＢＳであす放映ほうえい

◆1994/11/17　『朝日新聞あさひしんぶん』東京とうきょう朝刊ちょうかん 34 頁ぺーじ２社しゃ面めん T941117M34--03
　オランダの「安楽あんらく死し実況じっきょう」こう見みた　ＴＢＳに反響はんきょう５００件けん

◆1994/12/22　東京とうきょう朝刊ちょうかん 4 頁ぺーじオピニオン面めん T941222M04--01
　安楽あんらく死し―テレビ放映ほうえいをみて　黒柳くろやなぎ弥わたる寿雄よしお（論壇ろんだん）

◆1995/02/02　『朝日新聞あさひしんぶん』に番組ばんぐみの内容ないように対たいする異議いぎ掲載けいさい
　↓
　1995/02/02　『東京とうきょう朝刊ちょうかん 29 頁ぺーじ３社しゃ面めん T950202M29--01
　難病なんびょう団体だんたいが異議いぎ、新しん番組ばんぐみ検討けんとう　ＴＢＳ「安楽あんらく死し」は一いち面めん的てき（メディア）

◆加賀かが乙彦おとひこ「オランダ安楽あんらく死しドキュメンタリーへの疑問ぎもん」
　『婦人ふじん公論こうろん』1995-02:214-217

◆星野ほしの一正かずまさ　19950228　「テレビ放映ほうえいされたオランダ安楽あんらく死しに対たいする異議いぎを質ただす」（民主みんしゅ化かの法理ほうり＝医療いりょうの場合ばあい）
　『時じの法令ほうれい』1492:55-60（全文ぜんぶん↓）
　http://cellbank.nihs.go.jp/information/ethics/refhoshino/hoshino0018.htm

◆下村しもむら健一けんいち「テレビ・ジャーナリストの仕事しごと――ＴＢＳ記者きしゃ１４年ねんの経験けいけんから」
　同志社大学どうししゃだいがく社会しゃかい学会がっかい公開こうかい講演こうえん会かい
　http://www1.doshisha.ac.jp/~kasano/STUDENT/junior99/junior99-shimomura.html
　日時にちじ：１９９９年ねん７月がつ８日にち（木き）１３：００～１４：４０
　場所ばしょ：同志社大学どうししゃだいがく今出川いまでがわ校こう地ち
　主催しゅさい：同志社大学どうししゃだいがく社会しゃかい学会がっかい

　「［…］これは別べつに、日本にっぽんのメディアだけが悪わるいというのではありません。以前いぜん『スペースJ』で、医者いしゃが注射ちゅうしゃを打うって患者かんじゃさんが亡なくなっていく一部始終いちぶしじゅうを撮影さつえいしたオランダの安楽あんらく死しドキュメンタリーを放送ほうそうしたことがあったのですが、その時ときも、森もり監督かんとくの場合ばあいと同おなじでした。ドキュメンタリーの中なかで安楽あんらく死しを選えらんだ患者かんじゃさんの未亡人みぼうじんに、私わたしたちはインタビューをお願ねがいしました。その時とき、世界中せかいじゅうのメディアからその方ほうにアプローチがあったそうですが、ＯＫの返事へんじを得えたのは我々われわれだけでした。インタビューの後のちで、「どうしてうちだけ受うけてくれたのですか」と尋たずねると、「手紙てがみを書かいて申もうし込こんで来きたのは貴方あなたたちだけだったから」というお答こたえでした。他たは電話でんわを繰くり返かえしかけたり、いきなりピンポーンとやってくる形かたちだったそうです。誠実せいじつなお手紙てがみをいただいたのでお受うけしたのですと言いわれたときにはびっくりしましたが、どうもこういうことは世界せかい共通きょうつうのようですね。［…］」

　

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■報道ほうどう：『朝日新聞あさひしんぶん』

▼90/01/09 東京とうきょう夕刊ゆうかん 14 頁ぺーじ２社しゃ面めん T900109E14--05
オランダで安楽あんらく死し巡めぐり論争ろんそう　医師いしが患者かんじゃの栄養えいよう補給ほきゅう停止ていし
▼90/01/13 東京とうきょう夕刊ゆうかん 14 頁ぺーじ２社しゃ面めん T900113E14--08
１５年間ねんかんこん睡すいの女性じょせいの安楽あんらく死し認みとめる　オランダの地裁ちさい
▼90/02/06 東京とうきょう夕刊ゆうかん 5 頁ぺーじみんなの科学かがく面めん T900206E05--03
オランダ政府せいふ、安楽あんらく死しの実態じったい調査ちょうさで委員いいん会かい　法制ほうせい化か論議ろんぎへのデータ収集しゅうしゅう
▼91/06/06 東京とうきょう夕刊ゆうかん 3 頁ぺーじＬＧ面めん T910606E03--02
迫せまりくる死し、ビデオに記録きろく　オランダの写真しゃしん家かエルスケン
▼93/02/10 東京とうきょう朝刊ちょうかん 3 頁ぺーじＰＧ３面めん T930210M03--01
「積極せっきょく的てき安楽あんらく死し」を容認ようにん　オランダ議会ぎかい、医師いし不ふ起訴きその法案ほうあん可決かけつ
▼93/02/26 東京とうきょう朝刊ちょうかん 31 頁ぺーじＳＫ１面めん T930226M31--04
障害しょうがい持もつ赤あかちゃんの延命えんめい放棄ほうき、年数ねんすう百ひゃく件けん　積極せっきょく的てき生命せいめい中断ちゅうだんも　オランダ
▼93/03/02 東京とうきょう朝刊ちょうかん 5 頁ぺーじＫＭ面めん T930302M05--01
先行せんこうする現実げんじつ「公認こうにん」　オランダの安楽あんらく死し法案ほうあん
▼93/03/24 東京とうきょう朝刊ちょうかん 30 頁ぺーじＳＫ２面めん T930324M30--08
安楽あんらく死しの希望きぼうをハンストで実現じつげん　オランダの６５歳さいの女性じょせい
▼93/10/02 東京とうきょう朝刊ちょうかん 29 頁ぺーじＳＫ３面めん T931002M29--07
健康けんこうな女性じょせいの安楽あんらく死し、ほう助じょの医師いしに「無罪むざい」　オランダ
▼93/12/01 東京とうきょう夕刊ゆうかん 1 頁ぺーじＰＧ１面めん T931201E01--07
安楽あんらく死し、オランダで公認こうにん　世界せかい初はつの法ほう、年明としあけ発効はっこう
▼93/12/20 東京とうきょう朝刊ちょうかん 5 頁ぺーじＯＰ１面めん T931220M05--09
安楽あんらく死し認みとめられたオランダでの生死せいし観かんの違ちがい（声こえ）
▼94/06/22 東京とうきょう朝刊ちょうかん 31 頁ぺーじＳＫ１面めん T940622M31--09
うつ状態じょうたい患者かんじゃの自殺じさつ手助てだすけ、医師いし罰ばっなし　オランダ最高裁さいこうさい
▼94/10/22 東京とうきょう朝刊ちょうかん 31 頁ぺーじ１社しゃ面めん T941022M31--06
安楽あんらく死し、臨終りんじゅうまでＴＶてれび放映ほうえい　難病なんびょうの６３歳さい、すすり泣なく妻つま…　オランダ
▼94/11/15 東京とうきょう朝刊ちょうかん 33 頁ぺーじ３社しゃ面めん T941115M33-Z05
オランダの「安楽あんらく死し」番組ばんぐみ、ＴＢＳであす放映ほうえい
▼94/11/17 東京とうきょう朝刊ちょうかん 34 頁ぺーじ２社しゃ面めん T941117M34--03
オランダの「安楽あんらく死し実況じっきょう」こう見みた　ＴＢＳに反響はんきょう５００件けん
▼94/12/22 東京とうきょう朝刊ちょうかん 4 頁ぺーじオピニオン面めん T941222M04--01
安楽あんらく死し―テレビ放映ほうえいをみて　黒柳くろやなぎ弥わたる寿雄よしお（論壇ろんだん）
▼95/02/01 東京とうきょう朝刊ちょうかん 16 頁ぺーじ第だい２家庭かてい面めん T950201M16-T04
安楽あんらく死しは患者かんじゃの決断けつだんで　オランダの状況じょうきょうを通訳つうやくのシャボットさんに聞きく
▼95/02/02 東京とうきょう朝刊ちょうかん 29 頁ぺーじ３社しゃ面めん T950202M29--01
難病なんびょう団体だんたいが異議いぎ、新しん番組ばんぐみ検討けんとう　ＴＢＳ「安楽あんらく死し」は一いち面めん的てき（メディア）
▼95/02/21 西部せいぶ朝刊ちょうかん地方ちほう版ばん福岡ふくおか２面めん S950221MFO2-06
オランダのシャボットさん、自国じこくの尊厳そんげん死し語かたる　／福岡ふくおか
▼95/04/12 東京とうきょう朝刊ちょうかん 31 頁ぺーじ１社しゃ面めん T950412M31--10
赤あかちゃん安楽あんらく死しの是非ぜひを問とい裁判さいばん開始かいし　オランダできょう
▼95/04/27 東京とうきょう夕刊ゆうかん 15 頁ぺーじ１社しゃ面めん T950427E15--07
赤あかちゃん安楽あんらく死しも刑けい免除めんじょ　殺人さつじん「有罪ゆうざい」の医師いしに　オランダ裁判所さいばんしょ

◆20000510

◎１年間ねんかんの安楽あんらく死し、２５６５件けん＝オランダが初はつの報告ほうこく書しょを発表はっぴょう
　【ブリュッセル１０日にち時事じじ】医師いしによる安楽あんらく死しが適切てきせつなものだったかどうかを検討けんとうするオランダの８やっつの安楽あんらく死し地域ちいき審査しんさ委員いいん会かいは１０日にち、初はつの年次ねんじ報告ほうこく書しょを発表はっぴょう、１９９８－９９年度ねんど（９８年ねん１１月がつ－９９年ねん１２月がつ）に２５６５件けんの報告ほうこくを受うけたことを明あきらかにした。
　同どう報告ほうこくは安楽あんらく死しの対象たいしょうとなった患者かんじゃの９０％以上いじょうががんを患わずらっていたと指摘してき、全ぜん報告ほうこく例れいのうち３件けんを除のぞき、いずれも医師いしは規則きそくに沿そった適切てきせつな措置そちを取とったとしている。各かく審査しんさ委員いいん会かいは法律ほうりつ家か、医師いし、倫理りんり専門せんもん家かで構成こうせいされている。
　時事通信じじつうしんニュース速報そくほう［時事通信社じじつうしんしゃ］
[2000-05-11-01:03]

　

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■文献ぶんけん（発行はっこう年ねん順じゅん）

◆林はやし　かおり　199412　　「オランダ「安楽あんらく死し法ほう」の成立せいりつ」
　『レファレンス』527:81-87　※
◆森下もりした　忠ただ　　1995　　　「オランダにおける末期まっき患者かんじゃの生命せいめい中絶ちゅうぜつ」
　『判例はんれい時報じほう』1481　※
◆森下もりした　忠ただ　　1995　　　「オランダにおける生命せいめい中絶ちゅうぜつの実情じつじょう」
　『判例はんれい時報じほう』1484　※
◆Chabot, Janette A. Taudin（ジャネット・あかね・シャボット）　19950131　『自みずから死しを選えらぶ権利けんり――オランダ安楽あんらく死しのすべて』，徳間書店とくましょてん，238p.　ISBN-10: 419860231X　ISBN-13: 978-4198602314　\1426　[amazon]／[kinokuniya]　※　d01　et.et-ned. ◆山下やました　邦くに也　19950111　「オランダにおける安楽あんらく死し問題もんだいの新しん局面きょくめん――オランダ最高裁さいこうさい94年ねん6月がつ21日にち判決はんけつを中心ちゅうしんに」
　『判例はんれい時報じほう』1510:3-11
◆星野ほしの　一正かずまさ　19950228　「テレビ放映ほうえいされたオランダ安楽あんらく死しに対たいする異議いぎを質ただす」（民主みんしゅ化かの法理ほうり＝医療いりょうの場合ばあい）
　『時じの法令ほうれい』1492:55-60
◆山下やました　邦くに也　199609　　「オランダ医師いし会かいの安楽あんらく死しに関かんする新しんガイドライン（1995年ねん）」
　『香川かがわ法学ほうがく』16-2:328-301
◆平野ひらの　美紀みき　199609　　「オランダにおける安楽あんらく死しをめぐる諸しょ問題もんだい」
　『法学ほうがく政治せいじ学がく論究ろんきゅう』30:321-358
◆平野ひらの　美紀みき　199610　　「オランダにおける安楽あんらく死しの現状げんじょうとその背景はいけい」
　『日にち蘭らん学会がっかい会誌かいし』21(1):1-22
◆平沢ひらさわ一郎いちろう　19961112　『麻薬まやく・安楽あんらく死しの最前線さいぜんせん――挑戦ちょうせんするオランダ』
　東京書籍とうきょうしょせき，231p.　1553　ISBN：4-487-79291-6　［amazon］　※ b d01 ts2007a
◆宮野みやの　彬あきら　199705　　『オランダ安楽あんらく死し政策せいさく――カナダとの比較ひかく』，成文せいぶん堂どう，5,000円えん ISBN：4-7923-1439-9 ts2007a
◆山下やました　邦くに也　199706　　「オランダの新聞しんぶん報道ほうどうにみる安楽あんらく死し論議ろんぎと新しん政策せいさく――とくに地域ちいき審査しんさ委員いいん会かい構想こうそうとの関連かんれんで」
　『香川かがわ法学ほうがく』17-1:232-116
◆山下やました　邦くに也　199709　　「オランダにおける安楽あんらく死し評価ひょうか調査ちょうさと申告しんこく手続てつづきの改正かいせい等とうをめぐる動向どうこう」
　『香川かがわ法学ほうがく』17-2:432-329
◆平野ひらの　美紀みき　199803　　「オランダにおける安楽あんらく死し問題もんだいの行方ゆくえ――シャボット事件じけんを中心ちゅうしんに」
　『日にち蘭らん学会がっかい会誌かいし』22(2):19-39
◆山下やました　邦くに也　199803　　「オランダにおける医師いしと看護かんご婦ふのための安楽あんらく死しガイドライン（1997年ねん）」
　『香川かがわ法学ほうがく』17(4):800-789
◆山下やました　邦くに也　199903　　「オランダにおける自殺じさつ援助えんじょをめぐる諸しょ問題もんだい――安楽あんらく死し論議ろんぎの関連かんれんで(1)」
　『香川かがわ法学ほうがく』18-3･4:603-651
◆山下やました　邦くに也　1999　　　「オランダにおける安楽あんらく死し申告しんこく手続てつづきの改正かいせい」
　『庭山にわやま英雄ひでお先生せんせい古稀こき祝賀しゅくが記念きねん論ろん文集ぶんしゅう』
◆山下やました　邦くに也　1999　　　「オランダ・第だい二に次じコック内ない閣かくの安楽あんらく死し法案ほうあん」
　『井い戸田とだ侃ただし先生せんせい古稀こき祝賀しゅくが記念きねん論ろん文集ぶんしゅう』
◆田村たむら　亜子あこ　2000　　　「「死しの権利けんり」の現状げんじょうについて――日本にっぽん、オランダ、アメリカの比較ひかくから」，愛知県立看護大学あいちけんりつかんごだいがく・卒業そつぎょう論文ろんぶん

◆ネーダーコールン靖子やすこ　20000917　『オランダはみどり』，ながらみ書房しょぼう，259p.　ISBN-10: 4931201318　ISBN-13: 978-4931201316　2625　［amazon］　※　et-ned.
◆ネーダーコールン靖子やすこ／秋岡あきおか史ふみ解説かいせつ・編へん　20010730　『美うつくしいままで――オランダで安楽あんらく死しを選えらんだ日本にっぽん女性じょせいの「心しんの日記にっき」』，祥伝社しょうでんしゃ，249p.　ASIN: 4396410123 1600　［boople］／［amazon］　※　et-ned.
◆三井みつい美奈みな　20030720　『安楽あんらく死しのできる国くに』，新潮社しんちょうしゃ，新潮しんちょう新書しんしょ，189p.　ISBN: 4106100258　714　※　［amazon］　※　et-ned.
◆山下やました邦くに也　200603　『オランダの安楽あんらく死し』，成文せいぶん堂どう，267p.　ISBN-10: 4792317134 ISBN-13: 978-4792317133　5250　［amazon］／［kinokuniya］　※　d01.et.et-ned. ◆Tak, Peter J. P.／甲斐かい克則かつのり編へん訳やく　20090725　『オランダ医事いじ刑法けいほうの展開てんかい――安楽あんらく死し・妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ・臓器ぞうき移うつり殖ふえ』，慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく出版しゅっぱん会かい，199p.　ISBN-10: 4766415566　ISBN-13: 978-4766415568　4000+　［amazon］／［kinokuniya］　※ be.et.a08.et-ned.ot.

　

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◆2000/11/28　朝日あさひ
オランダが安楽あんらく死しを合法ごうほう化か　下院かいんで法案ほうあん可決かけつ、国くにとして初はつ
　オランダ下院かいんは２８日にち、「患者かんじゃの明確めいかくな要請ようせいがある」などの要件ようけんを満みたした場合ばあい、安楽あんらく死しを完全かんぜんに合法ごうほうとする法案ほうあんを可決かけつした。オランダでは安楽あんらく死しがすでに行おこなわれているが、刑法けいほう上じょうはまだ犯罪はんざいのままだった。上院じょういん審議しんぎを経へて、来年らいねん前半ぜんはんにも施行しこうされる見通みとおしで、国くにとしては世界せかいで初はじめて安楽あんらく死しを認みとめる。欧州おうしゅうの他ほかの国くにでも法制ほうせい化かの動うごきが出でており、患者かんじゃ本人ほんにんが死しに方かたを選えらぶ最近さいきんの流ながれに拍車はくしゃをかけそうだ。
　安楽あんらく死し事件じけんが社会しゃかい問題もんだい化かした１９７３年ねん以降いこう、オランダでは安楽あんらく死しをめぐる論議ろんぎが続つづけられてきた。９３年ねんには、
（１）患者かんじゃの明確めいかくな要請ようせいがある
（２）耐たえ難がたい苦痛くつうがある
（３）他たに救すくう手段しゅだんがない
（４）他たの医師いしと協議きょうぎする、
などの要件ようけんを満みたし、報告ほうこくを行おこなえば、医師いしは刑事けいじ訴追そついを免まぬかれることになった。
　だが、刑法けいほう上じょうは医師いしは犯罪はんざい者しゃのままで、医学いがく界かいや患者かんじゃ団体だんたいなどから改善かいぜんを求もとめる声こえが出でており、これを受うけて政府せいふが昨年さくねん夏なつに「合法ごうほう法案ほうあん」を提出ていしゅつ。要件ようけんを満みたした安楽あんらく死しを違法いほうとしないことを目指めざしていた。
　オランダでは過去かこ４年間ねんかんに、医師いしが筋肉きんにく弛緩しかん（しかん）剤ざいなどを注射ちゅうしゃする「積極せっきょく的てき安楽あんらく死し」と、患者かんじゃ本人ほんにんが調合ちょうごうされた薬くすりを飲のむ「自殺じさつほう助じょ」とを合あわせた安楽あんらく死しの報告ほうこく例れいが約やく６５００件けんにのぼる。そのうち起訴きそされたのは８件けんだけだった。
(00:23)

◆2000/11/28　「オランダが安楽あんらく死しを合法ごうほう化かへ」読売よみうり
　「【ハーグ２８日にち＝三井みつい美奈みな】オランダ下院かいんは二に十じゅう八はち日にち、医師いしによる安楽あんらく死しを認みとめる刑法けいほう改正かいせいを盛もり込こんだ安楽あんらく死し法案ほうあんを賛成さんせい多数たすうで可決かけつした。上院じょういんでの可決かけつも確実かくじつで、年内ねんないにも成立せいりつする見込みこみ。国家こっかレベルで安楽あんらく死しが合法ごうほう化かされるのは世界せかい初はつ。
　オランダではすでに安楽あんらく死しが事実じじつ上じょう、広範囲こうはんいに認みとめられているが、これまでは形式けいしき上じょう、医師いしも嘱託しょくたく殺人さつじんで書類しょるい送検そうけんされていた。また同どう法案ほうあんは十じゅう二に歳さい以上いじょうの未成年みせいねん者しゃにも安楽あんらく死しの権利けんりを認みとめており、これも世界せかい的てきに類例るいれいがない。同どう法ほう施行しこうは来年らいねん後半こうはんとみられるが、今後こんご、安楽あんらく死し合法ごうほう化かをめぐる国際こくさい的てき論議ろんぎに影響えいきょうを与あたえそうだ。
　オランダの安楽あんらく死し法案ほうあんは、〈１〉患者かんじゃの自発じはつ的てき意思いし〈２〉耐たえ難がたい苦痛くつう〈３〉治癒ちゆの見込みこみがない〈４〉担当たんとう医師いしが第三者だいさんしゃの医師いしと相談そうだん――などの条件じょうけんを満みたす安楽あんらく死しについて、医師いしの刑事けいじ訴追そつい免除めんじょを刑法けいほうで定さだめるといった内容ないよう。また、こん睡すい状態じょうたいなどで意思いし表示ひょうじが出来できなくなる事態じたいに備そなえ、患者かんじゃが事前じぜんに安楽あんらく死し希望きぼうを表明ひょうめいすれば、医師いしは原則げんそくとして、患者かんじゃの希望きぼうに従したがわねばならないことも条文じょうぶん化かされている。
　また未成年みせいねん者しゃ（オランダでは十じゅう八はち歳さいから成年せいねん）の安楽あんらく死しについても、十じゅう二に―十じゅう五ご歳さいでは親おやの同意どういが必要ひつよう、十じゅう六ろく歳さい以上いじょうは親おやの同意どういがなくても、医師いしが必要ひつようと判断はんだんすれば安楽あんらく死しできるようになる。
　オランダでは九きゅう四よん年ねん施行しこうの改正かいせい埋葬まいそう法ほうで、今回こんかいと同様どうようの条件じょうけんがあれば、安楽あんらく死しの措置そちをとった医師いしに対たいし、嘱託しょくたく殺人さつじん容疑ようぎで書類しょるい送検そうけんされるものの、刑事けいじ責任せきにんを問とわないことが法的ほうてきに可能かのうになった。以後いご、安楽あんらく死しの社会しゃかい的てきな受うけ入いれが進すすみ、年間ねんかんの全ぜん死者ししゃのうち３％が安楽あんらく死しで亡なくなっている。今回こんかいの安楽あんらく死し合法ごうほう化かについても、世論せろん調査ちょうさで９２％が支持しじしている。
　ただ現行げんこう制度せいどでは、安楽あんらく死しさせた医師いしは形式けいしき的てきとはいえ例外れいがいなく容疑ようぎ者しゃにされるため、医師いしの反発はんぱつも強つよく、無む届とどけでの安楽あんらく死しも多おおかった。
　世論せろんの支持しじがあるため、下院かいんでの審議しんぎでの焦点しょうてんは、改正かいせいの是非ぜひよりも、「子供こどもや意い表明ひょうめいができない痴ちほう老人ろうじんにも安楽あんらく死しを許容きょようすべきか否ひか」に絞しぼられた。
　労働党ろうどうとうを中心ちゅうしんとする連立れんりつ与党よとうは当初とうしょ、「患者かんじゃの自己じこ決定けってい権けん」尊重そんちょうの立場たちばから、十じゅう二に歳さい以上いじょうの子供こどもも親おやの同意どういなしに安楽あんらく死しできる権利けんりを盛もり込こんだ。しかし議会ぎかいに約やく二に万まん通つうの反対はんたいの投書とうしょが殺到さっとうしたため、十じゅう二に―十じゅう五ご歳さいは親おやの同意どういを条件じょうけんに加くわえる修正しゅうせいを行おこなった。
　痴ちほうについては、政府せいふは今月こんげつ初旬しょじゅん、「病気びょうき」と診断しんだんされた場合ばあいに限かぎる、との法案ほうあん解釈かいしゃくを示しめし、アルツハイマー病びょう患者かんじゃへの安楽あんらく死しを事実じじつ上じょう認みとめる立場たちばをとった。オランダでは九きゅう四よん年ねん、最高裁さいこうさい判決はんけつで精神病せいしんびょう患者かんじゃへの安楽あんらく死しが事実じじつ上じょう容認ようにんされ、すでに、強度きょうどの痴ちほうやアルツハイマー患者かんじゃを安楽あんらく死しさせた医師いしが不ふ起訴きそとなるケースも相次あいついでいる。先月せんげつには「もう生いきる価値かちがない」と訴うったえた健康けんこうな高齢こうれい者しゃ（８６）を安楽あんらく死しさせた医師いしに対たいし、「刑事けいじ責任せきにんを問とえない」との地裁ちさい決定けっていも出でている。
　安楽あんらく死し合法ごうほう化かは、オーストラリア北部ほくぶ準じゅん州しゅう（一いち九きゅう九きゅう五ご年ねん）や米国べいこくオレゴン州しゅう（九きゅう七なな年ねん）の州しゅうレベルで成立せいりつしたことはあるが、いずれも連邦れんぽう議会ぎかいが「違法いほう行為こうい」として無効むこう法案ほうあんを可決かけつしている。」
(11月28日にち23:34)

◆2000/11/29

＜安楽あんらく死し＞オランダの刑法けいほう改正かいせい案あんを非難ひなん　ロろーマ法王まほうおう庁ちょう
毎日新聞まいにちしんぶんニュース速報そくほう
　【ローマ２９日にち井上いのうえ卓弥たくや】安楽あんらく死しを認みとめる刑法けいほう改正かいせい案あんがオランダ下院かいんで可決かけつされたことに対たいし、ロろーマ法王まほうおう庁ちょう（バチカン）のナバーロ報道ほうどう官かんは２８日にち、「医学いがく界かいで国際こくさい的てきに認みとめられた倫理りんり規定きていに逆行ぎゃっこうする」と論評ろんぴょう、「人間にんげんの尊厳そんげんに反はんする決定けっていであり、悲かなしむべきことだ」と非難ひなんした。
　バチカンは「人間にんげんの生命せいめいは受胎じゅたいで始はじまり、自然しぜん死しで終おわる」と主張しゅちょう。教会きょうかい法ほうでは「高額こうがくの医療いりょう費ひと危険きけんを伴ともなう末期まっき患者かんじゃへの延命えんめい治療ちりょうは本人ほんにんまたは家族かぞくの意思いしによって中止ちゅうしできる」と規定きていしているが、オランダで慣例かんれい的てきに認みとめられてきた薬物やくぶつ投与とうよなどによる（積極せっきょく的てきな）安楽あんらく死しには反対はんたいの立場たちばを貫つらぬいている。
[2000-11-29-09:55]

　

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◆Hendin, Herbert　1997　Seduced by Death: Doctors, Patients, and Assisted Suicide，Georges Borchardt, Inc.＝20000330　大沼おおぬま安史やすし・小笠原おがさわら信之のぶゆき訳やく，『操あやつられる死し――＜安楽あんらく死し＞がもたらすもの』，時事通信社じじつうしんしゃ，323p.　2800

　オランダの死亡しぼう者しゃの２％。

　カルビニズムの伝統でんとう（p.169-170）
　「カルビニズムの残滓ざんしはオランダ人じんの生活せいかつの中なかになお浸透しんとうしている。カーロス・ゴウメイスの引用いんようによると、ＮＶＶＥ（オランダ安楽あんらく死し協会きょうかい）のウィリアム・ルースはこう語かたっている。「オランダの人間にんげんはだれでもカルビニストです。プロテスタントもカルビニストなら、カトリックもカルビニスト。私わたしのような無む神かみ論ろん者しゃでさえ、そうです。この国くにの共産きょうさん主義しゅぎ者しゃは最悪さいあくのカルビニストでしょう。それは一体いったい、何なにを意味いみするのか。それはわれれわが規則きそく好すきだということです。しかし、その規則きそくの意味いみをとやかく言いわれることは、好すきじゃないんです。」（p.177）

　

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◆＜安楽あんらく死し＞日本にっぽんでは判断はんだん、評価ひょうか定さだまらず　反はん応おうもさまざま
　毎日新聞まいにちしんぶんニュース速報そくほう
　「オランダで１０日にち夜よる（日本にっぽん時間じかん１１日にち未明みめい）、一定いっていの条件じょうけんを満みたせば医師いしによる安楽あんらく死しを合法ごうほう化かする法律ほうりつ案あんが上院じょういんを通過つうかした。専門せんもん機関きかんなどでの長年ながねんの討議とうぎを経へて下くだされた結論けつろんで、法律ほうりつは今秋こんしゅう発効はっこうの予定よていという。日本にっぽんでもこれまで医師いしが関与かんよした「安楽あんらく死し」事件じけんが幾度いくどとなく起おこり、社会しゃかい問題もんだい化かしたが、司法しほう当局とうきょくの判断はんだんも異ことなるなど、安楽あんらく死しをめぐる判断はんだん、評価ひょうかは定さだまっていない。法案ほうあん成立せいりつの知しらせを聞きいた識者しきしゃの間あいだでも反応はんのうは定さだまらなかった。
　日本にっぽんでは、１９９１年ねん４月がつ、神奈川かながわ県けん伊勢原いせはら市しの東海大とうかいだい医学部いがくぶ付属ふぞく病院びょういんで、悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ（しゅ）で入院にゅういん中ちゅうの男性だんせい患者かんじゃ（当時とうじ５６歳さい）が、主治医しゅじいに塩化えんかカリウムを投与とうよされ死亡しぼうした事件じけんで、安楽あんらく死しの是非ぜひが議論ぎろんを呼よんだ。
　「『見みていられない。早はやく楽らくにしてください』と家族かぞくから何なん度ども懇願こんがんされた」と主張しゅちょうする主治医しゅじい。一方いっぽう遺族いぞくは「薬剤やくざいが命いのちを絶たつと知しっていれば注射ちゅうしゃを断たっていた」と反論はんろんした。神奈川かながわ県警けんけいは殺人さつじん容疑ようぎで主治医しゅじいを書類しょるい送検そうけん。横浜よこはま地裁ちさいは９５年ねん３月がつ、主治医しゅじいに懲役ちょうえき２年ねん、執行しっこう猶予ゆうよ２年ねんの有罪ゆうざい判決はんけつをい渡いわたした。判決はんけつでは（１）患者かんじゃが耐たえがたい苦痛くつうに苦くるしんでいる（２）死しが避さけられず、死期しきが迫せまっている（３）肉体にくたい的てき苦痛くつうを除去じょきょ・緩和かんわするために方法ほうほうを尽つくし、他たに代替だいたい手段しゅだんがない（４）生命せいめいの短縮たんしゅくを承諾しょうだくする患者かんじゃの明あきらかな意思いし表示ひょうじがある――と違法いほうとされない新しん基準きじゅんを示しめした。
　死期しきを早はやめる安楽あんらく死しと異ことなり、延命えんめい治療ちりょうを拒否きょひする尊厳そんげん死しを広ひろめている日本にっぽん尊厳そんげん死し協会きょうかい（東京とうきょう都と文京ぶんきょう区く）の大図おおず俊朗としろう事務じむ局長きょくちょうは「日本にっぽんとオランダとでは国情こくじょうが違ちがうので、日本にっぽんで直ただちに安楽あんらく死しの方向ほうこうに進すすむという状況じょうきょうではない」と冷静れいせいに受うけ止とめた。
　大図おおず事務じむ局長きょくちょうによると、オランダでは高齢こうれい者しゃ、障害しょうがい者しゃの一人暮ひとりぐらしが当あたり前まえなほど医療いりょうや福祉ふくしが充実じゅうじつし、個人こじん主義しゅぎも浸透しんとうしている。「すでに医療いりょうの現場げんばでは、患者かんじゃの意思いしを尊重そんちょうして事実じじつ上じょう安楽あんらく死しが行おこなわれており、今回こんかいは実態じったいに合あわせ法律ほうりつを整備せいびしたのだろう」という。
　同どう協会きょうかいで尊厳そんげん死しの意思いしを明あきらかにするリビング・ウィル（宣言せんげん書しょ）を持もつ会員かいいんは４月がつ９日にち現在げんざい９万まん４４３４人にん。大図おおず事務じむ局長きょくちょうは「尊厳そんげん死しは患者かんじゃが延命えんめい治療ちりょうを拒否きょひするという自己じこ決定けってい権けんの問題もんだいで、医師いしの行為こういによって死しを迎むかえる安楽あんらく死しとは異ことなる。私わたしたちは、自然しぜんな死しを望のぞんでいる。安楽あんらく死しは日本にっぽんの刑法けいほうに触ふれる犯罪はんざいで、直ただちに受うけ入いれられるとは思おもえない。オランダやベルギーで今後こんごどのように安楽あんらく死しが行おこなわれていくか、動向どうこうを見守みまもりたい」と話はなした。
　海外かいがいでは、米べいニュージャージー州しゅう最高裁さいこうさいが７６年ねん「死しぬ権利けんり」を認みとめた。８７年ねん、世界せかい医師いし会かいが「安楽あんらく死しは本人ほんにんの要請ようせいに基もとづくものであっても倫理りんりに反はんする」と宣言せんげん。９６年ねんには、米べいサンフランシスコ、ニューヨークで、患者かんじゃの「死しぬ権利けんり」を認みとめる判決はんけつが出だされた。９７年ねんには米べいオレゴン州しゅうの住民じゅうみん投票とうひょうで、安楽あんらく死し法案ほうあんが可決かけつされ、同どう法ほうが施行しこうされた。
　一方いっぽう、オーストラリアでは、９６年ねんに施行しこうされた北部ほくぶ準じゅん州しゅうの安楽あんらく死し法ほうを無効むこうとする連邦れんぽう法ほうが成立せいりつするなど「死しぬ権利けんり」をめぐる判断はんだんは揺ゆれている。
　■合法ごうほう化かの前まえに論議ろんぎを　日本にっぽん緩和かんわ医療いりょう学会がっかい理事りじ長ちょう、柏木かしわぎ哲夫てつお・大阪大学おおさかだいがく大学院だいがくいん（人間にんげん科学かがく研究けんきゅう科か）教授きょうじゅの話はなし　オランダは患者かんじゃの性格せいかくや家族かぞくの事情じじょうを知しり尽つくした家庭かてい医いという歴史れきしがあるが、安楽あんらく死しがすべての医療いりょう行為こういが尽つくされた上うえでの最終さいしゅう手段しゅだんかどうか疑問ぎもんが残のこる。論議ろんぎせずに合法ごうほう化かされれば、安易あんいに安楽あんらく死しを選えらんだり、患者かんじゃに死しを迫せまる事態じたいになりかねない。法ほう以前いぜんに尽つくすべきことはまだあるはずだ。
　■日本にっぽんでは時期じき尚早しょうそう　星野ほしの一正かずまさ・京都大きょうとだい名誉めいよ教授きょうじゅ（生命せいめい倫理りんり）の話はなし　オランダは徹底てっていした個人こじん主義しゅぎの国くにで、自分じぶんのプライドを維持いじしＱＯＬ（生命せいめい、生活せいかつの質しつ）を高たかめることを最大さいだいの関心事かんしんじとしている。そのオランダで３０年ねん前まえに安楽あんらく死し事件じけんが発生はっせいしたのがきっかけで、安楽あんらく死しを研究けんきゅうする専門せんもん機関きかんができ、安楽あんらく死し協会きょうかいも誕生たんじょうした。歯止はどめをかけるべきだという意見いけんもあるが、オランダのこれまでの取とり組くみを考かんがえると、安易あんいな批判ひはんは避さけるべきであり、この結論けつろんを評価ひょうかしたい。安楽あんらく死しというのは、個人こじんの責任せきにんと同時どうじに社会しゃかいに果はたしている自分じぶんの責任せきにんを十分じゅうぶん考かんがえて成立せいりつする。こうした認識にんしきが成熟せいじゅくしていない日本にっぽんでは安楽あんらく死しを認みとめるのは時期じき尚早しょうそうだろう。」
[2001-04-11-12:40]

　

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◆立岩たていわ真しん也　2001/05/25　「死しの決定けっていについて・２」（医療いりょうと社会しゃかいブックガイド・５），『看護かんご教育きょういく』2000-5（医学書院いがくしょいん）
◆立岩たていわ真しん也・有馬ありま斉ひとし　2012/10/31　『生死せいしの語かたり行おこない・１――尊厳そんげん死し法案ほうあん・抵抗ていこう・生命せいめい倫理りんり学がく』，生活せいかつ書院しょいん，241p.　ISBN-10: 4865000003　ISBN-13: 978-4865000009　［amazon］／［kinokuniya］　※ et. et-2012.

　第だいⅣ章しょう　「ブックガイド・医療いりょうと社会しゃかい」より　立岩たていわ真しん也
　　オランダ　2001/01 ［連載れんさい05］
　　※註でその後ごに出でたものを紹介しょうかいしています。

REV:....20030710,12　20050116　20060624　20070321, 20101214,20130423, 20140205, .. 22, 1024, 20150223

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