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遺伝子検査|Genetic Testing
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遺伝子いでんし検査けんさ|Genetic Testing


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last update:20160726

日本にっぽん経済けいざい研究けんきゅう奨励しょうれい財団ざいだん研究けんきゅう助成じょせいきんて、1999ねんまでこのファイルは作成さくせいされました。しるして感謝かんしゃします。

https://en.wikipedia.org/wiki/Genetic_testing

目次もくじ

生存せいぞんがく関係かんけいしゃ成果せいか  ◇論文ろんぶんとう  ◇関連かんれん項目こうもく  ◇最近さいきんのニュース  ◇シンポジウム  ◇ニュース・スクラップ  ◇リンク


生存せいぞんがく関係かんけいしゃ成果せいか

松原まつばら 洋子ようこ 2005/04/01 「かがく対話たいわ京都きょうと新聞しんぶん朝刊ちょうかん

◆「生命せいめい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいおぼき」「未知みちによる連帯れんたい限界げんかい――遺伝子いでんし検査けんさ保険ほけん」を収録しゅうろくした立岩たていわよわくある自由じゆうへ』刊行かんこう。 ホームページから注文ちゅうもんできます。 文献ぶんけんひょう
立岩たていわ しん 20001023 よわくある自由じゆうへ』青土おうづちしゃ 357+25p.  ISBN-10: 4791758528 ISBN-13: 978-4791758524 2800えんぜい  [amazon][kinokuniya]
『弱くある自由へ』
 このなかのいくつかをコピーしたもの(A3×やく300まい)を実費じっぴ送料そうりょうみ)=5000えんでおおくりします。 注文ちゅうもんTAE01303@nifty.ne.jp立岩たついわまで。 上記じょうきよわくある自由じゆうへ』といっしょですと、送料そうりょうみ7400えんになります。(ほかにもおくりできるほんがあります。)

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論文ろんぶんとう

山野やまの 嘉朗よしろう愛知学院大学あいちがくいんだいがく法学部ほうがくぶ教授きょうじゅ) 2000/12/05 「保険ほけん危険きけん選択せんたく遺伝いでん情報じょうほう――保険ほけん理論りろんほう政策せいさく」『賠償ばいしょう科学かがく』25:22-38(日本にっぽん賠償ばいしょう学会がっかい
武藤むとう 香織かおり 2000/11/15 論壇ろんだん遺伝いでんせい難病なんびょう療養りょうよう不安ふあん解消かいしょうを」朝日新聞あさひしんぶん
武藤むとう 香織かおり 2000 ぎゃく選択せんたく防止ぼうしと「らないでいる権利けんり」の確保かくほ――イギリスでのハンチントンびょう遺伝子いでんし検査けんさ結果けっか商業しょうぎょう利用りようがかりに」 『バイオエシックス・ニューズレター』
中島なかじま 孝子たかこ流通科学大学りゅうつうかがくだいがくサービス産業さんぎょう学部がくぶ講師こうし)「遺伝子いでんし検査けんさ保険ほけん」『ひょうご経済けいざい』70
 http://www.heri.or.jp/hyokei/hyokei70/70idensi.htm

蔵田くらた 伸雄のぶお 1998 遺伝いでん情報じょうほうのプライバシーにかんする文献ぶんけんのリストとコメント
立岩たていわ しん也 1998/09/01 「未知みちによる連帯れんたい限界げんかい――遺伝子いでんし検査けんさ保険ほけん」『現代げんだい思想しそう』26-9(1998-9)(特集とくしゅう遺伝子いでんし操作そうさ
1 保険ほけん会社かいしゃ遺伝子いでんし情報じょうほうもとめることの是非ぜひ
1 かまわないではないかという主張しゅちょう/2 そんなことはない
2 しかしぎゃく選択せんたくがおこりうる
1 保険ほけんきんはいることがわかってしまう/2 検査けんさするまえ加入かにゅうしてもらう
3 未知みちゆえの連帯れんたい限界げんかい
 →よわくある自由じゆうへ』収録しゅうろく
 ◇このときにつくったメモ

立岩たていわ しん 199709 私的してき所有しょゆうろん』からの抜粋ばっすい
◆Reilly, Philip R. et al. 1997  遺伝いでん研究けんきゅうにおける倫理りんりてき問題もんだい情報じょうほう開示かいじとインフォームドコンセント」からの抜粋ばっすい

蔵田くらた 伸雄のぶお 1996 遺伝いでん情報じょうほうのプライバシー――とく遺伝いでんてき雇用こよう差別さべつ問題もんだいについて」 日本生命にほんせいめい倫理りんり学会がっかい生命せいめい倫理りんり』6-1(7)pp.35-39.
遺伝子いでんし研究けんきゅうかい へん 19960625 遺伝子いでんし検査けんさ生命せいめい保険ほけん――遺伝子いでんし研究けんきゅうかい報告ほうこくしょ遺伝子いでんし研究けんきゅうかい,83p.
アメリカ臨床りんしょう腫瘍しゅよう学会がっかい1996

◆Biesecker et al. 1993  にゅうがん・子宮しきゅうがんのえき罹患りかんせいをもつ家族かぞくへの遺伝いでんカウンセリング」からの抜粋ばっすい

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関連かんれん項目こうもく

遺伝子いでんし ◇遺伝いでん相談そうだん ◇遺伝子いでんし治療ちりょう ◇差別さべつ  ◇ハンチントンびょう ◇フェニルケトン尿にょうしょう

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最近さいきんのニュース

◆2016/07/25 「解説かいせつ遺伝子いでんし検査けんさビジネス、科学かがくてき根拠こんきょない判定はんていも… 厚労省こうろうしょう根拠こんきょ明確めいかく要請ようせいへ」『読売新聞よみうりしんぶん
 厚生こうせい労働省ろうどうしょう今年度こんねんどにも、病気びょうきのかかりやすさやふとりやすさなどを判定はんていする遺伝子いでんし検査けんさビジネスのルールづくりをはじめることをめた。
 科学かがくてき根拠こんきょ明確めいかくや、判定はんてい結果けっかのとらえかた専門せんもん相談そうだんできる体制たいせいづくりなどを業者ぎょうしゃもとめる。政府せいふ有識者ゆうしきしゃ会議かいぎが22にちにまとめた報告ほうこくしょあんまれた。
 どうビジネスは、病気びょうき予防よぼう健康けんこうづくりにかせると期待きたいされる。その一方いっぽう判定はんてい科学かがくてき根拠こんきょもとづいていない業者ぎょうしゃもある。
 厚労省こうろうしょうは、判定はんてい方法ほうほう結果けっかつたかた実態じったい調査ちょうさしたうえで、科学かがくてき根拠こんきょもとづく検査けんさ仕方しかたや、利用りようしゃがカウンセラーに検査けんさ結果けっかかた相談そうだんできるルールをさだめる。
 業界ぎょうかい団体だんたい一定いってい基準きじゅんたした業者ぎょうしゃ認定にんていしているが、厚労省こうろうしょう悪質あくしつ業者ぎょうしゃらす対策たいさくすすめる。
 遺伝いでん情報じょうほう業者ぎょうしゃあいだ使つかまわされ、就職しゅうしょく活動かつどう保険ほけん契約けいやく結婚けっこんなどで差別さべつ不当ふとうあつかいをけるおそれもある。 このため厚労省こうろうしょうは、遺伝いでん情報じょうほう社会しゃかいひろがることについての国民こくみん意識いしき調しらべ、必要ひつようおうじて差別さべつなどをきんじる方策ほうさく検討けんとうする。
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160725-OYTET50009/

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■シンポジウム

2000/10/28 平成へいせい12年度ねんど日本にっぽん保険ほけん学会がっかい大会たいかい総会そうかい
1999/12/04 法政大学ほうせいだいがく生命せいめい政治せいじろんだい5かい公開こうかいシンポジウム「遺伝子いでんし診断しんだんのいま、そしてこれから〜われる生命せいめいしつ〜」

 
平成へいせい12年度ねんど日本にっぽん保険ほけん学会がっかい大会たいかい総会そうかいプログラム
シンポジウム「遺伝子いでんし診断しんだん保険ほけん事業じぎょう

にち とき 2000ねん10がつ28にち)13:40−16:50
かい  駒沢大学こまざわだいがく駒沢こまざわキャンパス
     地下鉄ちかてつ新玉川線しんたまがせん駒沢大学こまざわだいがく徒歩とほ10ふん
参加さんか 資料しりょうだい(1000えん程度ていど
●シンポジウム 総合そうごう司会しかい 小林こばやし 三世さんぜ第一生命保険だいいちせいめいほけん相互そうご会社かいしゃ
13:40-13:45 司会しかい言葉ことば
13:45-14:05 「遺伝子いでんし診断しんだんとは」武部たけべ あきら近畿大学きんきだいがく
14:05-14:25 「民間みんかん生命せいめい保険ほけん仕組しくみ」村田むらた 富生とみお三井生命保険みついせいめいほけん相互そうご会社かいしゃ
14:25-14:45 「生命せいめい保険ほけん危険きけん選択せんたく佐々木ささき 光信みつのぶ千代田生命保険ちよだせいめいほけん相互そうご会社かいしゃ
14:45-15:15 「遺伝子いでんし診断しんだん保険ほけんぎょう法的ほうてき交錯こうさく岡田おかだ ゆたかもと神戸学院大学こうべがくいんだいがく
15:15-15:35 「遺伝いでんてき多様たようせいをどう理解りかいするか」武部たけべ あきら近畿大学きんきだいがく
15:35-15:45 休憩きゅうけい
15:45-16:45 質疑しつぎ応答おうとう
16:45-16:50 まとめ 小林こばやし 三世さんぜ第一生命保険だいいちせいめいほけん相互そうご会社かいしゃ

学会がっかい事務じむきょく
財団ざいだん法人ほうじん損害そんがい保険ほけん事業じぎょう総合そうごう研究所けんきゅうじょない
tel:03-3255-5512
fax:03-3255-1449

◇9/2にちけいBP「日本にっぽん保険ほけん学会がっかい、10月28、29にち総会そうかいでシンポジウム「遺伝子いでんし診断しんだん保険ほけん事業じぎょう」を開催かいさい

 日本にっぽん保険ほけん学会がっかいは、10月28にち、29にち大会たいかい総会そうかい開催かいさいする。 総会そうかいだいにちのシンポジウムには、「遺伝子いでんし診断しんだん保険ほけん事業じぎょう」を予定よていしており、生命せいめい保険ほけん会社かいしゃ遺伝子いでんし診断しんだんをどうかんがえているかなどのはなし展開てんかいされそうだ。
 シンポジウム「遺伝子いでんし診断しんだん保険ほけん事業じぎょう」は、10月28にちの13:40〜16:50に開催かいさいされる。 「遺伝子いでんし診断しんだんとは」、「民間みんかん生命せいめい保険ほけん仕組しくみ」、「生命せいめい保険ほけん危険きけん選択せんたく」、「遺伝子いでんし診断しんだん保険ほけんぎょう法的ほうてき交錯こうさく」、 「遺伝子いでんし多様たようせいをどう理解りかいするか」などの発表はっぴょう予定よていされている。
 日本にっぽん保険ほけん学会がっかい大会たいかい総会そうかいは、駒澤大学こまざわだいがく駒澤こまざわキャンパスで開催かいさいされる。 日本にっぽん保険ほけん学会がっかい連絡れんらくさきは、千代田ちよだ神田淡路かんだあわじまち2-9(損保そんぽ会館かいかん損害そんがい保険ほけん事業じぎょう総合そうごう研究所けんきゅうじょない、TEL03-3255-5512、FAX03-3255-1449。


 
 研究けんきゅうかいのおらせです。

法政大学ほうせいだいがく生命せいめい政治せいじろんだい5かい公開こうかいシンポジウム「遺伝子いでんし診断しんだんのいま、そしてこれから〜われる生命せいめいしつ〜」

 近年きんねん遺伝子いでんし研究けんきゅうとそれを応用おうようした医療いりょう技術ぎじゅつ発展はってん目覚めざましく、様々さまざま恩恵おんけい問題もんだいわたしたちにげかけています。 そのなかで、わたしたちにもっと身近みぢかかかわりをつことといえば遺伝子いでんし診断しんだんでしょう。 いま遺伝子いでんし診断しんだんはどこまですすんでいるのか、今後こんごどのような診断しんだん可能かのうとなるのか、利用りようしゃなにかんがえなければならないのか、ほう政策せいさく制度せいどめんではなにもとめられているのか。 わたしたちはこれらの問題もんだい専門せんもん一般いっぱん市民しみん方々かたがたともかんがえていきたいとおもい、このシンポジウムを企画きかくしました。みなさんのご参加さんかをおちしております。

日時にちじ:1999ねん12月4にち土曜日どようび)13:00〜17:00
会場かいじょう法政大学ほうせいだいがく富士見ふじみ校舎こうしゃ 867ばん教室きょうしつ
講師こうし
1. 遺伝子いでんし診断しんだん現状げんじょう将来しょうらいせい問題もんだいてん
     奈良なら 信雄のぶお 東京医科歯科大学とうきょういかしかだいがく医学部いがくぶ教授きょうじゅ
2. 遺伝いでんカウンセリングの現状げんじょう課題かだい
     玉井たまい 真理子まりこ 信州大学医療技術短期大学しんしゅうだいがくいりょうぎじゅつたんきだいがく助教授じょきょうじゅ
3. 遺伝子いでんし技術ぎじゅつをめぐる生命せいめい倫理りんりほう
     木本きもと 一郎いちろう 国学院大学こくがくいんだいがく法学部ほうがくぶ教授きょうじゅ

入場にゅうじょうりょう学生がくせい無料むりょう一般いっぱん500えん資料しりょうだいとうふくむ)
共催きょうさい法政大学ほうせいだいがく法学部ほうがくぶ生命せいめい政治せいじろんゼミ / 法政大学ほうせいだいがく学生がくせい
企画きかく責任せきにんしゃ菊地きくち美里みさと法政大学ほうせいだいがく法学部ほうがくぶ政治せいじ学科がっか3ねん
TEL/FAX:047-445-2761
顧問こもん成澤なりさわひかり法政大学ほうせいだいがく法学部ほうがくぶ教授きょうじゅ
TEL:03-5228-0575(研究けんきゅうしつ) FAX:03-5228-0555(大学院だいがくいん事務じむしつ
E‐mail:narusawa@i.hosei.ac.jp

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■ニュース・スクラップ

以下いか、「引用いんよう」の仕方しかた問題もんだいがあるのかもしれません。ただ、報道ほうどうのされかた記録きろくされておいてよいとおもいますので、さしあたってこういうふうにいたします。

◆2002/11/13 「生命せいめい倫理りんり科学かがくのありかたかんがえるシンポジウム 日本にっぽん未来みらい学会がっかい」NHKニュース
◆2002/10/03 「遺伝いでん情報じょうほうめぐり検討けんとう会議かいぎ設置せっち提言ていげん 人類じんるい遺伝いでん学会がっかいなど」朝日新聞あさひしんぶん
◆2002/09/**  石原いしはらあきら生命せいめい保険ほけん契約けいやく遺伝子いでんし検査けんさ」『法学ほうがくセミナー』573
◆2002/08/26 「生保せいほ遺伝いでん情報じょうほう利用りよう歯止はどめ 学会がっかい要請ようせい読売新聞よみうりしんぶん
◆2002/06/21 「リスク判断はんだん材料ざいりょうに(焦点しょうてん!どうする遺伝いでん情報じょうほう保険ほけん)」『朝日新聞あさひしんぶん』:13
◆2002/05/09 「無断むだん遺伝子いでんし検査けんさで28おくえん べい鉄道てつどう会社かいしゃ労働ろうどうしゃがわ支払しはらい」共同通信きょうどうつうしん
◆2002/04/30 「遺伝いでん情報じょうほう保険ほけん」NHK「あすをむ」
◆2002/04/23 「遺伝いでん差別さべつ問題もんだいみへ=簡保かんぽなどで加入かにゅう拒否きょひ日本にっぽん医師いしかい時事通信じじつうしん
◆2002/04/19 「簡易かんい保険ほけんへの加入かにゅう容認ようにん要請ようせいへ 加入かにゅう拒否きょひ問題もんだい厚労相こうろうしょう朝日新聞あさひしんぶん
◆2002/04/18 「<保険ほけん拒否きょひ先天せんてんせい病気びょうき子供こども郵便ゆうびんきょくが」毎日新聞まいにちしんぶん
◆2002/04/09 「先天せんてんせい疾患しっかん理由りゆう保険ほけん加入かにゅう拒否きょひ 旭川医科大あさひかわいかだい教授きょうじゅらが調査ちょうさ共同通信きょうどうつうしん

◆2001/08/25 「羅針盤らしんばんはヒトのに 会社かいしゃ勝手かって遺伝子いでんし検査けんさした……革新かくしん摩擦まさつ。どうつくあたらしい世界せかい」『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん
◆2001/10/05 「先天せんてんせい疾患しっかん理由りゆう新生児しんせいじ保険ほけん加入かにゅう解約かいやくで「差別さべつ」『読売新聞よみうりしんぶん
◆2001/11/02 「遺伝子いでんし診断しんだんあらたな差別さべつに」([しんかみへの挑戦ちょうせんだい5倫理りんりかんがえる/4)『毎日新聞まいにちしんぶん

◆2000/10/13 英国えいこく 遺伝子いでんし情報じょうほう保険ほけん会社かいしゃ判断はんだん基準きじゅん使用しよう認可にんか決定けってい
◆2000/07/  遺伝いでんびょう理由りゆう保険ほけん支払しはら拒否きょひされ提訴ていそ
◆2000/04/30 NHKスペシャル「世紀せいきえて」『遺伝子いでんし診断しんだんあたらしい予知よち医療いりょうひかりかげ
◆2000/02/08 クリントン大統領だいとうりょう 遺伝子いでんし理由りゆう保険ほけん加入かにゅうことわられるのをふせ法律ほうりつ制定せいていいそぐようもとめる。
 →遺伝子いでんし

 

2003

◆2003/10/15 「遺伝子いでんし差別さべつ禁止きんし法案ほうあん可決かけつべい上院じょういん 就職しゅうしょくなどで国民こくみん保護ほご」『朝日新聞あさひしんぶん
 べい上院じょういんは14にち健康けんこう保険ほけんへの加入かにゅう就職しゅうしょく解雇かいこさい保険ほけん会社かいしゃ雇用こようぬし個人こじん遺伝いでん情報じょうほう判断はんだん材料ざいりょうとして使つかうことを禁止きんしする法案ほうあんを95たい0(棄権きけん5)で可決かけつした。 連邦れんぽうレベルの規制きせいがない現状げんじょうでは遺伝子いでんしちがいで差別さべつするケースがあり、それをおそれるあまり必要ひつよう検査けんさけないひとすくなくない。 法案ほうあん成立せいりつすれば、病気びょうき早期そうき治療ちりょう遺伝子いでんし研究けんきゅう進展しんてんにつながると期待きたいされている。
 法案ほうあんは、保険ほけん会社かいしゃたいし、加入かにゅう希望きぼうしゃ遺伝いでん情報じょうほう事前じぜん調しらべることをきんじた。 遺伝いでん情報じょうほうをもとに加入かにゅう拒否きょひすることはもちろん、保険ほけんりょう割引わりびきなどで加入かにゅうしゃを「区別くべつ」することもみとめられない。
 一般いっぱん企業きぎょうについては、社員しゃいん家族かぞく遺伝いでん情報じょうほう調しらべることを原則げんそくとして禁止きんしした。採用さいよう解雇かいこのほか、配置はいち異動いどうさい遺伝いでん情報じょうほう参考さんこうにすることもできない。
 ホワイトハウスは「遺伝いでん情報じょうほう不当ふとう利用りようからまもられていると、国民こくみん安心あんしんしてもらう必要ひつようがある。 差別さべつがあると病気びょうき予防よぼうほう治療ちりょうほう開発かいはつ役立やくだ遺伝子いでんし研究けんきゅうおくれる」と法案ほうあん支持しじする声明せいめい発表はっぴょう下院かいんでも可決かけつされれば、立法りっぽうされる可能かのうせいつよい。
 米国べいこくではしゅうレベルで遺伝いでん情報じょうほう利用りよう規制きせいはあるが、ある調査ちょうさでは、病気びょうき遺伝子いでんしがあるひとの1わりちょう採用さいよう遺伝いでん情報じょうほうわれたり、 遺伝いでん情報じょうほうによって解雇かいこされたりした経験けいけんがあったという。
 一方いっぽう保険ほけん会社かいしゃ業界ぎょうかい団体だんたいなどは「すでに消費しょうひしゃ保護ほごする法規ほうきせい存在そんざいする」として法案ほうあん反対はんたいしている。

◆2003/10/15 「遺伝子いでんし差別さべつ禁止きんし法案ほうあん可決かけつ 診断しんだん技術ぎじゅつ進歩しんぽべい上院じょういん」『共同通信きょうどうつうしん
 【ワシントン14にち共同きょうどうべい上院じょういんじゅうよんにち遺伝子いでんし診断しんだんなどから情報じょうほうもとに、就職しゅうしょく保険ほけん加入かにゅうさい差別さべつすることをきんじる法案ほうあん全会ぜんかい一致いっち可決かけつした。
 遺伝子いでんし診断しんだん技術ぎじゅつ進歩しんぽで、個人こじん病気びょうきにかかりやすいかどうかなどがかるようになり、差別さべつける危険きけんせいたかまったことをけた措置そち
 法案ほうあん発効はっこうには下院かいんでの可決かけつ必要ひつようだが、ブッシュ大統領だいとうりょう採決さいけつ歓迎かんげいする姿勢しせいしめしており、今後こんご個人こじん遺伝いでん情報じょうほう利用りよう規制きせいうごきがつよまりそうだ。
 法案ほうあんは、病気びょうきなどに関連かんれんする遺伝いでん情報じょうほうを、法的ほうてきまもられた個人こじん情報じょうほうとしてあつかうことを明示めいじ企業きぎょう従業じゅうぎょういんやその家族かぞく遺伝いでん情報じょうほうあつめたり、 情報じょうほう採用さいよう解雇かいこ配置はいち転換てんかんなどのさい利用りようしたりすることを禁止きんしした。
 保険ほけん会社かいしゃにも、遺伝子いでんし情報じょうほうもとづく特別とくべつあつかいや、加入かにゅう拒否きょひ保険ほけんきん増額ぞうがくなどをおこなうことをきんじた。
 米国べいこくでは、がんや糖尿とうにょうびょうなどの遺伝子いでんし診断しんだんひろがる一方いっぽうで、診断しんだん結果けっかがさまざまな差別さべつまねいていることが指摘してきされている。

 

◆2003/08/12 「遺伝子いでんし検査けんさぎょうくに規制きせい個人こじん情報じょうほう流出りゅうしゅつ防止ぼうしへ」『読売新聞よみうりしんぶん
 究極きゅうきょくのプライバシーとされる個人こじん遺伝子いでんし情報じょうほうが、「遺伝子いでんし検査けんさビジネス」をつうじて流出りゅうしゅつしたり、本人ほんにんはんして利用りようされるのをふせぐため、 くにがこうしたビジネスの規制きせいはじめてすことになった。
 経済けいざい産業さんぎょうしょうは、産業さんぎょう構造こうぞう審議しんぎかいしょう委員いいんかいもうけ、今秋こんしゅうから本格ほんかくてき検討けんとうはいる。  5月に個人こじん情報じょうほう保護ほごほう施行しこうされたが、関連かんれん政令せいれいなどは2005ねん全面ぜんめん施行しこうまでに検討けんとうするとされた。
 けいさんしょう規制きせい方針ほうしんも、この検討けんとう作業さぎょう一環いっかんしょう委員いいんかい生命せいめい倫理りんり専門せんもん法律ほうりつがメンバーで、規制きせいあらたな法律ほうりつによるのか、指針ししんになるのか、また、事業じぎょうおこなさい許可きょか登録とうろくせい罰則ばっそく規定きてい必要ひつようせいなどを幅広はばひろ議論ぎろんする。 厚生こうせい労働省ろうどうしょう医学いがく研究けんきゅう文部もんぶ科学かがくしょうとも情報じょうほう交換こうかんすすめる。
 個人こじん情報じょうほう保護ほごほうでは、個人こじん情報じょうほうあつか事業じぎょうしゃ企業きぎょうなど)に守秘しゅひ義務ぎむし、罰則ばっそく規定きていもうけ、遺伝子いでんし情報じょうほうふくむ「情報じょうほう保護ほご」の大枠おおわくはできた。 ただ、法律ほうりつ対象たいしょうは5000けん以上いじょう情報じょうほう事業じぎょうしゃかぎ見込みこみ。 検査けんさ業者ぎょうしゃにも大小だいしょうさまざまな規模きぼがあり、ほう規制きせいけずに、遺伝子いでんし情報じょうほう保護ほご不十分ふじゅうぶん業者ぎょうしゃによるトラブルも懸念けねんされている。

 

2002


◆2002/11/13 「生命せいめい倫理りんり科学かがくのありかたかんがえるシンポジウム 日本にっぽん未来みらい学会がっかい」NHKニュース
 ヒトの遺伝いでん情報じょうほう解読かいどく受精卵じゅせいらん使つかった研究けんきゅうなどが急速きゅうそくすすむなかで、生命せいめい倫理りんり科学かがくのありかたについてかんがえるシンポジウムが、きょう東京とうきょうひらかれました。 このシンポジウムは、国連大学こくれんだいがく高等こうとう研究所けんきゅうじょ未来みらい人間にんげん社会しゃかい科学かがくのありかたかんがえるために研究けんきゅうしゃらでつくっている日本にっぽん未来みらい学会がっかいひらきました。 東京とうきょう青山あおやま会場かいじょうには大学だいがく民間みんかん研究けんきゅうしゃあつまり、東京大学とうきょうだいがく木村きむら廣道ひろみち(きむら・ひろみち)教授きょうじゅ難病なんびょう患者かんじゃ遺伝いでん情報じょうほう新薬しんやく開発かいはつ利用りようされ、 患者かんじゃ企業きぎょうあいだ情報じょうほう権利けんりめぐるトラブルがきているといった問題もんだい指摘してきしました。
 また、遺伝子いでんし診断しんだんによって将来しょうらい病気びょうきになるかくりつがわかるようになり、保険ほけん加入かにゅうするさい差別さべつきるおそれがあるという問題もんだいや、 リスクのたか臨床りんしょう試験しけん途上とじょうこく集中しゅうちゅうするようになっているという問題もんだいなどが報告ほうこくされました。 日本にっぽん未来みらい学会がっかいでは今後こんごもシンポジウムを開催かいさいし、提言ていげんなどをおこなっていきたいとしています。

 

◆2002/10/03 「<生命せいめい保険ほけん先天せんてんせい疾患しっかん子供こども加入かにゅう拒否きょひ提言ていげん 遺伝子いでんし学会がっかい」『毎日新聞まいにちしんぶん
 先天せんてんせい病気びょうき子供こどもらが、学資がくし保険ほけん生命せいめい保険ほけんへの加入かにゅうことわられるケースが相次あいついでいる問題もんだいで、 日本人にっぽんじんるい遺伝子いでんし学会がっかい松田まつだ一郎いちろう理事りじちょう)など4学会がっかいは、3にちくに保険ほけん会社かいしゃなどにたいし 「保険ほけん契約けいやくさい個人こじん遺伝いでん情報じょうほう使用しようすることを、人権じんけんじょう観点かんてんから一時いちじ保留ほりゅうすること」などをもとめた提言ていげん発表はっぴょうした。
 日本にっぽん先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょう学会がっかい日本にっぽんマススクリーニング学会がっかい日本にっぽん小児しょうに内分泌ないぶんぴつ学会がっかい共同きょうどう提言ていげんした。
 提言ていげんは、遺伝子いでんし研究けんきゅう進展しんてん生活せいかつ習慣しゅうかんびょうなどの発症はっしょうぜん予知よち予防よぼう可能かのうになるが、それによって保険ほけん加入かにゅう雇用こよう結婚けっこんなどで差別さべつがあってはならないと主張しゅちょうくに業界ぎょうかい団体だんたいなどで遺伝いでん情報じょうほうをどう保護ほごし、利用りようするかの社会しゃかいてきルールを策定さくていすべきだとしている。
 この問題もんだいは、郵政ゆうせい事業じぎょうちょう民間みんかん保険ほけん会社かいしゃが、出生しゅっしょう直後ちょくご血液けつえき検査けんさつかる先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょうやフェニルケトン尿にょうしょう子供こども保険ほけん加入かにゅう拒否きょひしていたことで表面ひょうめんした。 だが、投薬とうやく食事しょくじ療法りょうほうでほぼ完全かんぜん発症はっしょうおさえられ、健常けんじょう同様どうよう生活せいかつができるため、松田まつだ理事りじちょうらは「保険ほけん加入かにゅう拒否きょひする医学いがくてき根拠こんきょはない」とはなしている。
 郵政ゆうせい事業じぎょうちょう簡易かんい保険ほけん業務ぎょうむは「本当ほんとう健常けんじょうおなあつかいにしてよいのか、専門せんもんなどから情報じょうほう収集しゅうしゅうしている段階だんかいで、出来できるだけはや検討けんとうして結論けつろんしたい」とはなしている。 【江口えぐちはじめ

◆2002/10/03 「遺伝いでん情報じょうほうめぐり検討けんとう会議かいぎ設置せっち提言ていげん 人類じんるい遺伝いでん学会がっかいなど」『朝日新聞あさひしんぶん
 先天せんてんせい病気びょうきどもが簡易かんい保険ほけんなどへの加入かにゅう拒否きょひされた問題もんだい日本人にっぽんじんるい遺伝いでん学会がっかいなど4学会がっかいは、3にち保険ほけん契約けいやく遺伝いでんてき病気びょうき情報じょうほう使用しようすることを一時いちじ保留ほりゅうし、 遺伝いでん情報じょうほう保護ほご利用りようについての検討けんとう会議かいぎ設置せっちくにもとめる提言ていげん発表はっぴょうした。 将来しょうらい生活せいかつ習慣しゅうかんびょうなどの遺伝子いでんし診断しんだんすすめば保険ほけん加入かにゅう雇用こようでの差別さべつひろがりかねないことから、社会しゃかいてきなルールづくりをもとめている。
 先天せんてんせい病気びょうきをめぐっては、 病気びょうき早期そうき発見はっけん治療ちりょう目的もくてきとした新生児しんせいじ検査けんさつかるフェニルケトン尿にょうしょう先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょうどもが郵政ゆうせい事業じぎょうちょう学資がくし保険ほけんなどへの加入かにゅう拒否きょひされたことが問題もんだいした。 2つの病気びょうきくすりなどで病気びょうきのないどもとわらない生活せいかつができることから4学会がっかいは「保険ほけん加入かにゅう拒否きょひする医学いがくてき根拠こんきょはない」としている。
 4学会がっかいは、ほかの病気びょうきについても、検査けんさデータや家族かぞく病歴びょうれき遺伝子いでんし診断しんだんなどの情報じょうほうが、将来しょうらい雇用こよう保険ほけんでの差別さべつ使つかわれることを懸念けねん保険ほけん会社かいしゃなど様々さまざま立場たちば意見いけんいて検討けんとうする必要ひつようとしている。

 ◇日本人にっぽんじんるい遺伝いでん学会がっかい

 

◆2002/08/26 「生保せいほ遺伝いでん情報じょうほう利用りよう歯止はどめ 学会がっかい要請ようせい」『読売新聞よみうりしんぶん
 くに新生児しんせいじ検査けんさ先天的せんてんてき遺伝子いでんし変異へんいによる疾患しっかん診断しんだんされた子供こどもが、簡易かんい保険ほけんなどの生命せいめい保険ほけん加入かにゅうできない実態じったいがあるとして、 日本人にっぽんじんるい遺伝いでん学会がっかい理事りじちょう松田まつだ一郎いちろう熊本大くまもとだい名誉めいよ教授きょうじゅ)は、保険ほけん加入かにゅう雇用こようさい遺伝いでん情報じょうほうをどうあつかうべきかを検討けんとうする会議かいぎ設置せっちくにもとめることをめた。
 来月らいげつにも提言ていげん発表はっぴょうする。結論けつろんるまで保険ほけん契約けいやく遺伝いでん情報じょうほう利用りようしないこともびかける。
 ひとぜん遺伝いでん情報じょうほう(ヒトゲノム)の解読かいどくで、がんや糖尿とうにょうびょうなど病気びょうき遺伝子いでんし関係かんけいかぶ一方いっぽうで、遺伝いでん情報じょうほう利用りようめぐ議論ぎろんすすまない現状げんじょう打開だかいしたいと期待きたいする。 提言ていげんどう学会がっかい理事りじかいがまとめ、関連かんれん学会がっかいとの共同きょうどう発表はっぴょう目指めざす。
 旭川あさひかわ医大いだい羽田はたあきら教授きょうじゅ東北大とうほくだい松原まつばら洋一よういち教授きょうじゅらの調査ちょうさがきっかけ。 くに実施じっしする新生児しんせいじ検査けんさで、「先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょう」や「フェニルケトン尿にょうしょう」とわかった子供こどもが、生命せいめい保険ほけん学資がくし保険ほけん加入かにゅう拒否きょひされたれい相次あいついでいた。 外資がいしけい保険ほけん会社かいしゃ加入かにゅうみとめていたが、郵政ゆうせい事業じぎょうちょうあつか簡易かんい保険ほけん日本にっぽん保険ほけん会社かいしゃでは拒否きょひ目立めだった。知的ちてき発達はったつおくれるおそれなどがあるこれらの病気びょうきは、 早期そうき発見はっけんして治療ちりょうすれば、普通ふつう生活せいかつおくることができる。
 提言ていげんあんでは、これについて、「健康けんこう増進ぞうしん目的もくてきとして解明かいめいされた遺伝いでん情報じょうほう不適切ふてきせつ利用りようされており、 将来しょうらい“ありふれた病気びょうき”でも遺伝いでん情報じょうほう誤用ごようされる可能かのうせいつよ示唆しさしている」と危機ききかん表明ひょうめい。ルールづくりをくにもとめている。
 この問題もんだいでは、英国えいこく政府せいふが、一部いちぶ病気びょうき生命せいめい保険ほけん加入かにゅう遺伝いでん情報じょうほう利用りようみとめる方針ほうしんしめしたが、議会ぎかいなどが反発はんぱつ行政ぎょうせい保険ほけん業界ぎょうかい研究けんきゅうしゃ患者かんじゃ団体だんたいなどが参加さんかする検討けんとう機関きかん設置せっちしている。
 米国べいこくでは、一部いちぶしゅう遺伝いでん情報じょうほう利用りようきんずるなど、一定いっていのルールを各国かっこく模索もさくしている。

 ◇日本人にっぽんじんるい遺伝いでん学会がっかい

 

◆2002/06/21 「オピニオン:リスク判断はんだん材料ざいりょうに(焦点しょうてん!どうする遺伝いでん情報じょうほう保険ほけん)」『朝日新聞あさひしんぶん朝刊ちょうかん013
 ぜんそく、肥満ひまん、がん、痴呆ちほう。さまざまなからだ不調ふちょうに、遺伝子いでんしがかかわっていることがはっきりしてきた。 遺伝子いでんし診断しんだん技術ぎじゅつすすみ、遺伝いでん情報じょうほう病気びょうき予防よぼう治療ちりょう役立やくだてようといううごきが活発かっぱつになる一方いっぽうで、 保険ほけん業界ぎょうかいもまた、生命せいめい保険ほけん加入かにゅうするひと病気びょうきのリスクを判断はんだんする材料ざいりょうとして関心かんしんせている。 遺伝いでん情報じょうほうをこうした目的もくてき使つかってよいのか。こしえた議論ぎろんもとめられている。(社会しゃかい田村たむら建二けんじ及川おいかわ智洋ともひろ

病気びょうき予見よけん可能かのうせい注目ちゅうもく
 日本にっぽんでいま、保険ほけんにゅうろうとするひとは、自分じぶん健康けんこう状態じょうたい過去かこ病歴びょうれき用紙ようし記入きにゅうする。 この「告知こくち」をもとに、保険ほけん会社かいしゃはそのひと病気びょうきになったり、死亡しぼうしたりするリスクを判断はんだんする。遺伝子いでんし診断しんだんけるようもとめられることはない。
 この状況じょうきょうおおきくえるかもしれないのが、ヒトの遺伝いでん情報じょうほうのすべてが解読かいどくされる「ゲノム時代じだい」の到来とうらいだ。病気びょうきにかかわる遺伝子いでんし解明かいめい急速きゅうそくすすんでいる。
 10ねんまえ高血圧こうけつあつ関係かんけいする遺伝子いでんし存在そんざい報告ほうこくされた。昨年さくねんには、くもまく出血しゅっけつ原因げんいんとなるのう動脈どうみゃくこぶ(りゅう)と遺伝子いでんしのかかわりもあきらかになった。 日本人にっぽんじんがもつ遺伝子いでんしのタイプによって、動脈どうみゃくこぶのできる危険きけんせいに4ばい以上いじょうものがあるという。
 遺伝子いでんし診断しんだんによって、はたかかりそうな病気びょうきがわかるかもしれない。 そうすれば予防よぼうできるかもしれないし、最適さいてき治療ちりょうほうえらべる。研究けんきゅうしゃはそんな「ゲノム時代じだい」に期待きたいせる。
 しかし、同時どうじにそれは保険ほけん業界ぎょうかいにとっても有力ゆうりょく情報じょうほうとなる。 将来しょうらい遺伝子いでんし診断しんだんひろ普及ふきゅうする時代じだいになったら、「加入かにゅうしゃ診断しんだん結果けっかつたえてほしい」とのこえ保険ほけん業界ぎょうかいにはつよい。 過去かこ病歴びょうれきなどと同様どうよう加入かにゅうしゃ情報じょうほうおしえてもらえなければ、正確せいかく判断はんだんができないからだ。
 この遺伝いでん情報じょうほう保険ほけん会社かいしゃ使つかうのをみとめるかどうか。もし、それがみとめられたら?
 あるいは一律いちりつ禁止きんしされたら? 関係かんけいしゃは、きん未来みらいのシナリオ(シミュレーション=別項べっこう)をえがいて心配しんぱいするが、日本にっぽんではまだ、公的こうてきでの議論ぎろん皆無かいむちかい。
 遺伝いでん情報じょうほうは、解明かいめい部分ぶぶんおおく、さい重要じゅうよう個人こじん情報じょうほうといわれる。保険ほけん利用りようされることへの懸念けねんつよい。
 のう動脈どうみゃくこぶ遺伝子いでんし関係かんけい報告ほうこくした東大とうだい医科いかがく研究所けんきゅうじょ井ノ上いのうえ逸朗いつろう客員きゃくいん助教授じょきょうじゅは「病気びょうきのリスクが普通ふつうひとよりたかいからといって、かなら発症はっしょうするという根拠こんきょにはならない。 そんな情報じょうほう保険ほけん使つかえるのか」とはなす。
 また、遺伝いでん情報じょうほう本人ほんにんだけでなく、血縁けつえんしゃ共有きょうゆうしている。遺伝子いでんし診断しんだん結果けっか保険ほけん会社かいしゃもとめるとすれば、どこまでの同意どういるべきか。 流出りゅうしゅつ防止ぼうしさくはとれるのか。本人ほんにん死亡しぼうしても情報じょうほう保護ほごされるのか。
 郵便ゆうびんきょくもう簡易かんい保険ほけんで、遺伝子いでんしがかかわるとされる病気びょうきが、発症はっしょう予防よぼうできるのに加入かにゅう拒否きょひされるという問題もんだいもすでにきている。
 遺伝いでん情報じょうほう保険ほけんへの利用りようには、「遺伝子いでんし差別さべつにつながる」との懸念けねんもあるが、ほとんどのひとがなんらかの病気びょうきにかかわる遺伝子いでんしっている可能かのうせいたかく、なに差別さべつにあたるか、 見方みかたかれる。専門せんもんあいだでさえ具体ぐたいてき議論ぎろんすすんでいない。

法的ほうてき整備せいび先進せんしん欧米おうべい
 欧米おうべいでは、法律ほうりつふくめたルールづくりがすすんでいる=ひょう
 愛知学院大あいちがくいんだい山野やまの嘉朗よしろう教授きょうじゅ保険ほけんほう)によると、ベルギーは10ねんまえにつくった保険ほけん契約けいやくほうで、遺伝いでん情報じょうほう利用りよう禁止きんしした。
 反対はんたいにニュージーランドでは、遺伝子いでんし診断しんだんけるよう要求ようきゅうすることはできないが、加入かにゅうしゃがすでにっている診断しんだん結果けっかもとめることはできる。
 英国えいこくは00ねん一部いちぶ遺伝いでんせい難病なんびょう対象たいしょうに、加入かにゅうしゃ過去かこけた診断しんだん結果けっか保険ほけん会社かいしゃ使つかうことをみとめたが、 英国えいこく保険ほけん協会きょうかい政府せいふ昨年さくねん10がつ、「高額こうがく保険ほけんなどをのぞき、遺伝いでん情報じょうほう利用りようは5年間ねんかん凍結とうけつする」と表明ひょうめい検討けんとうつづいている。

きん未来みらいシミュレーション
利用りようきんじられたら… 「かけこみ加入かにゅうえる
 なぜこんなに、高額こうがく保険ほけんきん支払しはらいがつづくのか。大手おおて生保せいほBしゃ幹部かんぶあたまいためていた。
 「遺伝子いでんし診断しんだんで、おも病気びょうきにかかりそうだとかったひとたちが、次々つぎつぎ高額こうがく生命せいめい保険ほけん加入かにゅうしているからではないか」
 あらゆる遺伝いでん情報じょうほう保険ほけんへの利用りようきんじる法律ほうりつ施行しこうされてから遺伝子いでんし診断しんだんけるひと急増きゅうぞう保険ほけん加入かにゅうしゃ目立めだってえた。
 病気びょうきになる可能かのうせいたかければ、保険ほけんりょうたかくしたり、加入かにゅうことわったりできる。が、生保せいほいまや、リスク判断はんだん材料ざいりょうになる遺伝いでん情報じょうほう一切いっさい入手にゅうしゅできない。
 保険ほけん加入かにゅう血液けつえき尿にょう検査けんささえ、「事実じじつじょう遺伝子いでんし診断しんだん」として拒否きょひするひとえてきた。
 このままでは、いずれ発症はっしょうするとかったひとの「かけこみ加入かにゅう」もふせげない。「保険ほけん仕組しくみがりたなくなる」と、幹部かんぶ深刻しんこく面持おももちだ。

利用りようみとめられたら… 心配しんぱい診断しんだんけぬひと
 30だい会社かいしゃいんAさんは定期ていき健康けんこう診断しんだんまえに、まよっていた。希望きぼうしゃは「生活せいかつ習慣しゅうかんびょうリスク判定はんてい」をけられることになった。 血液けつえきから遺伝子いでんし調しらべ、糖尿とうにょうびょうやあるしゅのがんなどにかかる可能かのうせい診断しんだんする。
 父親ちちおや糖尿とうにょうびょうで、母親ははおや高血圧こうけつあつ。ともに遺伝子いでんしがかかわる病気びょうきだ。因子いんし有無うむりたいが、っかかることがあった。
 ちょうど生命せいめい保険ほけんへの加入かにゅうかんがえていた。診断しんだん結果けっか保険ほけん会社かいしゃつたえるまりだ。もし病気びょうき因子いんしつかれば、保険ほけんりょうはきっとたかくなるだろう。 加入かにゅうことわられるかもしれない。
 情報じょうほうれるのも心配しんぱいだ。最近さいきんじゅん大手おおて生保せいほ破綻はたんした。あんなとき保険ほけん会社かいしゃつたえた自分じぶん遺伝いでん情報じょうほう第三者だいさんしゃ流出りゅうしゅつするおそれはないのか。
 なやんだすえ診断しんだんけないことにした。それなら、遺伝いでん情報じょうほう保険ほけん会社かいしゃつたえなくてすむから。

近畿大きんきだい教授きょうじゅ遺伝いでんがく)・武部たけべあきらさん 使つかわれるべきでない
 遺伝いでん情報じょうほうをどうあつかうかは、基本きほんてき人権じんけんにかかわる問題もんだいだ。
 どんな遺伝子いでんしっていても、本人ほんにんにはなん責任せきにんもない。不利ふり遺伝いでん情報じょうほうをもとに保険ほけん加入かにゅうこばむのは人権じんけん侵害しんがいだ。遺伝いでん情報じょうほう保険ほけん使つかわれるべきではない。
 たしかに、病気びょうきのリスクにおうじて保険ほけんりょうげてはいけないのか、むずかしいめんはある。 だが、すうせん種類しゅるいもあるとされる遺伝いでんびょうのうち、どの病気びょうきについて、どんな医学いがくてき根拠こんきょで、保険ほけんりょうをつけたり加入かにゅうこばんだりするのか。 判定はんていしやすい一部いちぶ病気びょうきだけを対象たいしょうにするのは納得なっとくできない。
 遺伝いでん情報じょうほう使つかわなくても、病気びょうき可能かのうせいたかひと高額こうがく保険ほけん加入かにゅうする事態じたいふせぐことはできる。 たとえば、死因しいん遺伝子いでんしつよくかかわっていて、それを承知しょうち加入かにゅうしていた場合ばあいには支払しはらいを制限せいげんするといったルールをもうければいい。
 どんな情報じょうほう保険ほけん利用りようすることがゆるされるのか。遺伝いでんがく内科ないかがく保険ほけん専門せんもんまじえて、はや議論ぎろんするべきだ。 生命せいめい倫理りんりかんする常設じょうせつ組織そしきくにレベルでつくることももとめたい。

日本にっぽん保険ほけん学会がっかい会長かいちょう大手おおて生保せいほ会社かいしゃ勤務きんむ小林こばやしさんせいさん 適正てきせい評価ひょうか不可欠ふかけつ
 生命せいめい保険ほけんは、加入かにゅうしゃ病気びょうきになったり死亡しぼうしたりするリスクを適正てきせい評価ひょうかしたうえで保険ほけんりょう設定せっていし、収支しゅうしっている。 たとえば30さいと80さい同額どうがく保険ほけんりょうで、消費しょうひしゃ納得なっとくするだろうか。
 リスク評価ひょうかかせない加入かにゅうしゃからの告知こくち医師いし診査しんさ内容ないようは、医療いりょう技術ぎじゅつ進歩しんぽとともにわってきた。 将来しょうらい遺伝子いでんし検査けんさ血圧けつあつ測定そくてい尿にょう検査けんさみに普及ふきゅうしたときにその結果けっか保険ほけん会社かいしゃることができなければ、保険ほけんりょう設定せってい影響えいきょうする可能かのうせいがある。
 遺伝子いでんし検査けんさ保険ほけん利用りようについては、保険ほけんぎょうとかかわりのふか学者がくしゃ消費しょうひしゃ患者かんじゃ団体だんたいなど幅広はばひろ分野ぶんやひと議論ぎろんし、社会しゃかいてき合意ごういをつくるべきだ。
 ただし、その議論ぎろん前提ぜんていとして、まず遺伝子いでんし検査けんさ遺伝いでん情報じょうほうといった言葉ことば定義ていぎ明確めいかくすべきだ。 一般いっぱんてきにはDNA検査けんさすとおもうが、新生児しんせいじがほぼ全員ぜんいん病気びょうき有無うむ調しらべるためにけている「マススクリーニング」や、 成人せいじん健康けんこう診断しんだん血液けつえき検査けんさまで遺伝子いでんし検査けんさととらえるかんがえもある。こうしたてん整理せいりしないと、議論ぎろん錯綜さくそう(さくそう)してしまうのではないか。

保険ほけんへの利用りようをめぐる各国かっこく対応たいおう
 (山野やまの嘉朗よしろう教授きょうじゅによる)
 ベルギー     法律ほうりつ禁止きんし
 フランス     法律ほうりつ禁止きんし
 オーストリア   法律ほうりつ禁止きんし
 ノルウェー    法律ほうりつ禁止きんし
 オランダ     一定いってい金額きんがくちょうなど条件じょうけんきで利用りよう可能かのう
 ニュージーランド 検査けんさ受診じゅしん要求ようきゅうできないが、既知きち診断しんだん結果けっか開示かいじもとめられる
 米国べいこく       団体だんたい医療いりょう保険ほけんでは法律ほうりつ禁止きんし生命せいめい保険ほけんでは連邦れんぽうレベルのほうなし
 英国えいこく       業界ぎょうかい自主じしゅ規制きせい利用りよう原則げんそく凍結とうけつ

◆2002/05/09 「<無断むだん遺伝子いでんし検査けんさ> べい大手おおて鉄道てつどう会社かいしゃ従業じゅうぎょういん和解わかい」『毎日新聞まいにちしんぶん
 【ワシントン斗ケ沢とがさわ秀俊ひでとしべい雇用こよう機会きかい均等きんとう委員いいんかいは8にちべいテキサスしゅう大手おおて鉄道てつどう会社かいしゃ「バーリントン北部ほくぶサンタフェ鉄道てつどう」による従業じゅうぎょういんへの無断むだん遺伝子いでんし検査けんさをめぐる訴訟そしょうで、 同社どうしゃ和解わかいたっしたと発表はっぴょうした。
 どう委員いいんかいによると、同社どうしゃはアメリカ障害しょうがいしゃほう違反いはん否定ひていしたが、総額そうがく220まんドル(やく2おく8000まんえん)の和解わかいきん従業じゅうぎょういんはらうことをみとめた。 同社どうしゃ提訴ていそされたのち、この検査けんさ中止ちゅうししており、従業じゅうぎょういんたいする遺伝子いでんし検査けんさへの歯止はどめになる事例じれいとみられている。
 同社どうしゃは「かん症候群しょうこうぐん」と診断しんだんされていた従業じゅうぎょういん36にんたいし、血液けつえき検査けんさ名目めいもく遺伝子いでんし検査けんさをした。 どう症候群しょうこうぐんにしびれやいたみの病気びょうきで、遺伝いでん要因よういん指摘してきされている。 「雇用こよう差別さべつ使つか目的もくてき検査けんさではないか」との従業じゅうぎょういんうったえにもとづき、どう委員いいんかい昨年さくねん2がつ同社どうしゃ障害しょうがいしゃほう違反いはんしたと提訴ていそしていた。

◆2002/05/09 「無断むだん遺伝子いでんし検査けんさで28おくえん べい鉄道てつどう会社かいしゃ労働ろうどうしゃがわ支払しはらい」『共同通信きょうどうつうしん
 【ワシントン8にち共同きょうどうべい政府せいふ機関きかん雇用こよう機会きかい均等きんとう委員いいんかいはちにち従業じゅうぎょういん同意どういずに遺伝子いでんし検査けんさおこなったとして、 どう委員いいんかいが、テキサスしゅう鉄道てつどう会社かいしゃたいしてこしていた訴訟そしょうで、企業きぎょうがわ労働ろうどうしゃがわやくせんひゃくまんドル(やくじゅうはちおくえん)を支払しはらうことなどで和解わかい成立せいりつしたと発表はっぴょうした。
 どう訴訟そしょうは、政府せいふ機関きかんが、遺伝子いでんし検査けんさによる職業しょくぎょうじょう差別さべつげたはつのケースとして注目ちゅうもくされていた。
 うったえられていたのは、鉄道てつどう大手おおてのバーリントン・ノーザン・サンタフェ。
 うったえによると、同社どうしゃは、ゆびがしびれていたみがかん症候群しょうこうぐんという職業病しょくぎょうびょうになったとうったえた労働ろうどうしゃさんじゅうろくにんについて、 同意どういずに遺伝子いでんし検査けんさ実施じっししたか、実施じっし計画けいかくした。
 労働ろうどうしゃからのうったえをけた委員いいんかい昨年さくねんがつ障害しょうがい病気びょうきによる職業しょくぎょうじょう差別さべつきんじたべい障害しょうがいしゃほう違反いはんするとして、検査けんさめなどをもとめた。
 声明せいめいによると、同社どうしゃ遺伝子いでんし検査けんさ結果けっか労働ろうどうしゃ選別せんべつなどには利用りようせず、違法いほう行為こういはなかったとの主張しゅちょうえなかったが、訴訟そしょう早期そうき決着けっちゃくのため、 労働ろうどうしゃへの支払しはらいや、再発さいはつ防止ぼうし対策たいさくることなどで、委員いいんかいがわ和解わかいした。
 委員いいんかいは「実際じっさいにデータを利用りようしなくても、無断むだん遺伝子いでんし検査けんさ自体じたい違法いほう行為こういだ」とした。(りょう

 

◆2002/04/23 「簡保かんぽ加入かにゅう拒否きょひ問題もんだい真正面ましょうめんからむ」 医師いしかい」『朝日新聞あさひしんぶん
 先天せんてんせい病気びょうきがあるどもたちの簡易かんい保険ほけんへの加入かにゅう郵政ゆうせい事業じぎょうちょう一律いちりつ拒否きょひしていることについて、 日本にっぽん医師いしかいは23にち常任じょうにん理事りじかいひらき、この問題もんだいについてかいとして積極せっきょくてきむことを正式せいしきめた。 「遺伝いでん情報じょうほうにもとづくあらゆる保険ほけん加入かにゅう拒否きょひみとめない」という観点かんてんから、具体ぐたいてき事例じれいへの解決かいけつさくいちずつさぐるとしている。
 旭川医科大あさひかわいかだい羽田はたあきら教授きょうじゅらが調査ちょうさしたところ、遺伝子いでんし異常いじょうがかかわるとされ、 投薬とうやくなどで発症はっしょうをほぼ完全かんぜんふせげる先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょうやフェニルケトン尿にょうしょうどもたちが簡保かんぽ加入かにゅう拒否きょひされている。 加入かにゅうできたのはもうむときに病名びょうめいげていない場合ばあいで、出生しゅっしょうまえ簡保かんぽ加入かにゅうしたれいはなかった。
 これ以外いがいにもダウン症だうんしょうや、体重たいじゅうがふつうのよりもかるいといった理由りゆうだけで簡保かんぽへの加入かにゅう拒否きょひされているという報告ほうこく相談そうだん医師いしかいせられているという。
 医師いしかいは、こうした病気びょうきおやかい小児科しょうにか連携れんけいしながら、郵政ゆうせい事業じぎょうちょう担当たんとうしゃからも加入かにゅう拒否きょひ実情じつじょうき、現状げんじょう見直みなおしをもとめていく方針ほうしん
 さわ倫太郎りんたろう常任じょうにん理事りじ記者きしゃ会見かいけんで「民間みんかん保険ほけん会社かいしゃでの加入かにゅう拒否きょひをどうかんがえるか、むずかしいめんもあるが、『遺伝いでん情報じょうほうによるあらゆる差別さべつはいけない』という立場たちばにたちたい。 この問題もんだい真正面ましょうめんからむ」とはなした。

◆2002/04/23 「遺伝いでん差別さべつ問題もんだいみへ=簡保かんぽなどで加入かにゅう拒否きょひ――日本にっぽん医師いしかい」『時事通信じじつうしん
 遺伝子いでんし検査けんさ先天せんてんせい疾患しっかん診断しんだんされた子供こども保険ほけん加入かにゅうことわられるなど差別さべつけている問題もんだいで、 日本にっぽん医師いしかいは23にち常任じょうにん理事りじかいで、どうかいとしても実態じったい把握はあくつとめ、この問題もんだい積極せっきょくてきんでいくことをめた。 患者かんじゃおやかい実施じっししているアンケートの結果けっかなどもまえ、今後こんご具体ぐたいてき対応たいおう検討けんとうする。
 旭川あさひかわ医大いだい羽田はたあきら教授きょうじゅ公衆こうしゅう衛生えいせいがく)らの調査ちょうさで、 マススクリーニングという新生児しんせいじ検査けんさで「先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょう」や「フェニルケトン尿にょうしょう」と診断しんだんされた子供こども郵政ゆうせい事業じぎょうちょう簡易かんい保険ほけん民間みんかん保険ほけんへの加入かにゅう拒否きょひされたり、 加入かにゅうできても告知こくち義務ぎむ違反いはん解約かいやくされたりしている実態じったいあきらかになった。 これらの病気びょうきくすり食事しょくじ調整ちょうせいによって発症はっしょうおさえられることがかっており、加入かにゅう拒否きょひには医学いがくてき根拠こんきょがないという。

 

◆2002/04/19 「簡易かんい保険ほけんへの加入かにゅう容認ようにん要請ようせいへ 加入かにゅう拒否きょひ問題もんだい厚労相こうろうしょう」『朝日新聞あさひしんぶん
 郵政ゆうせい事業じぎょうちょう先天せんてんせい病気びょうきくすりなどをんでいるどもの簡易かんい保険ほけんへの加入かにゅう拒否きょひしている問題もんだいで、 坂口さかぐちつとむ厚生こうせい労働ろうどうしょうは19にち閣議かくぎ記者きしゃ会見かいけんで「配慮はいりょをおねがいしたい」とべ、片山かたやま虎之助とらのすけ総務そうむしょうたいし、簡保かんぽ加入かにゅうみとめるよううながしていくかんがえをしめした。
 加入かにゅう拒否きょひされているのは、遺伝子いでんし異常いじょうがかかわっているとされる「先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょう」や「フェニルケトン尿にょうしょう」のどもたち。 これらの病気びょうきは、厚労省こうろうしょう指導しどう実施じっししている「新生児しんせいじマススクリーニング」での血液けつえき検査けんさつかっている。

 

◆2002/04/18 「先天せんてんせい疾患しっかん簡保かんぽ加入かにゅう一律いちりつ拒否きょひ 郵政ゆうせい事業じぎょうちょう」『朝日新聞あさひしんぶん
 先天せんてんせい病気びょうきくすりなどをんでいるどもにたいし、郵政ゆうせい事業じぎょうちょうが、郵便ゆうびんきょくあつかっている簡易かんい保険ほけんへの加入かにゅう一律いちりつ拒否きょひしていることがわかった。 病気びょうき発症はっしょうをほぼ完全かんぜんおさえられるケースもふくまれていることから、遺伝いでんがく小児科しょうにか専門せんもんからは「医学いがくてき根拠こんきょがない」などと批判ひはんている。 日本にっぽん医師いしかい事態じたい重視じゅうしし、調査ちょうさかんがえだ。
 ひと遺伝いでん情報じょうほう解明かいめいすすなかで、保険ほけん雇用こよう差別さべつひろがることが懸念けねんされているが、今回こんかい加入かにゅう拒否きょひ実質じっしつてき遺伝いでん情報じょうほう利用りようした差別さべつにつながるとの見方みかたもある。
 加入かにゅうこばまれているのは、遺伝子いでんし異常いじょうがかかわっているとされる「先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょう」や「フェニルケトン尿にょうしょう」のどもたち。 旭川医科大あさひかわいかだい羽田はたあきら教授きょうじゅ公衆こうしゅう衛生えいせいがく)と東北大とうほくだい松原まつばら洋一よういち教授きょうじゅ遺伝いでんびょうがく)らが昨夏さくなつ、このふたつの病気びょうき診断しんだんされたども105れい対象たいしょうにアンケートをしたところ、 病名びょうめいげて学資がくし保険ほけんふく簡易かんい保険ほけんもうんだ21れいすべてが加入かにゅう拒否きょひされていた。
 保険ほけん一般いっぱんに、契約けいやく期間きかんちゅう死亡しぼうするリスクなどを根拠こんきょに、加入かにゅう可否かひ判断はんだんしたり、保険ほけんりょうをつけたりする。
 この2つの病気びょうきは、厚生こうせい労働省ろうどうしょう指導しどう実施じっしされている「新生児しんせいじマススクリーニング」で、血液けつえき調しらべることからつかる。 放置ほうちすると知的ちてき発達はったつ障害しょうがいなどがきるおそれがあるが、専門医せんもんいは「早期そうき発見はっけんし、くすり栄養分えいようぶん調整ちょうせいしたミルクをむなどすれば、発症はっしょうはほぼ完全かんぜんふせげる」とはなす。
 この2つの病気びょうきは、先天せんてんせい病気びょうきなかでももっともコントロールがしやすいとされる。実際じっさいに、これらの病気びょうきでも一部いちぶ外資がいしけい民間みんかん保険ほけん会社かいしゃ加入かにゅうみとめていた。 一方いっぽう簡保かんぽ加入かにゅうできたのは、羽田はた教授きょうじゅらの調査ちょうさでは、病名びょうめい告知こくちしていなかったり、出生しゅっしょうまえ加入かにゅうしたりした場合ばあいだけだった。
 同庁どうちょう簡易かんい保険ほけん業務ぎょうむは「個別こべつ病気びょうきあつかいについてはこたえられない」としつつ、 「服薬ふくやくなどの治療ちりょうつづいているほうはおことわりしている」と継続けいぞくてき治療ちりょう必要ひつよう先天的せんてんてき病気びょうきでは、すべて加入かにゅう拒否きょひしていることを事実じじつじょうみとめている。
 これにたいし、日本にっぽん医師いしかいさわ倫太郎りんたろう常任じょうにん理事りじは「発症はっしょう予防よぼうできる保険ほけん加入かにゅう公的こうてき機関きかん排除はいじょしているとすれば問題もんだいだ。 郵政ゆうせい事業じぎょうちょうくわしく事情じじょうきたい」とはなしている。
 羽田はた教授きょうじゅらは、19にちから名古屋なごやひらかれる日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい調査ちょうさ結果けっか報告ほうこくする。
       ◇
 <新生児しんせいじマススクリーニング> 早期そうき発見はっけん治療ちりょう有効ゆうこう病気びょうき有無うむ見極みきわめるため、厚生省こうせいしょう当時とうじ)が77ねんはじめた。 現在げんざい対象たいしょうとなる病気びょうきは6つで、まれてあいだもないあかちゃんの血液けつえき採取さいしゅし、病気びょうき発症はっしょうする可能かのうせいがないかどうか調しらべる。 事業じぎょう主体しゅたい都道府県とどうふけん政令せいれい指定していで、ほぼ100%のあかちゃんがけている。 先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょうはホルモンの分泌ぶんぴつ異常いじょう、フェニルケトン尿にょうしょう特定とくていアミノ酸あみのさんえすぎることで、知的ちてき障害しょうがいなどがこる。 それぞれやく5000にん1人ひとり、8まんにん1人ひとり割合わりあいまれるとされる。

◆2002/04/18 「<保険ほけん拒否きょひ先天せんてんせい病気びょうき子供こども郵便ゆうびんきょくが」『毎日新聞まいにちしんぶん
 先天せんてんせい病気びょうきで、くすり食事しょくじ療法りょうほうによって発症はっしょうおさえている子供こどもが、学資がくし保険ほけん生命せいめい保険ほけんへの加入かにゅうことわられるケースが相次あいついでいる。 旭川医科大あさひかわいかだい羽田はたあきら教授きょうじゅ公衆こうしゅう衛生えいせいがく)らが、19にちから名古屋なごや市内しないひらかれる日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい調査ちょうさ結果けっか発表はっぴょうする。 郵政ゆうせい事業じぎょうちょう郵便ゆうびんきょくあつか簡易かんい保険ほけんでは、病名びょうめい告知こくちした全員ぜんいん加入かにゅう拒否きょひされていた。
 調査ちょうさは、東北大とうほくだい松原まつばら洋一よういち教授きょうじゅ遺伝いでんびょうがく)らとともに、 「先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょう」(75にん)と「フェニルケトン尿にょうしょう」(30にん)にかかっているけい105にん子供こどもたちを対象たいしょう実施じっしした。
 このうち90にん簡易かんい保険ほけん民間みんかん保険ほけんへの加入かにゅうこころみたが、43にんことわられた。簡易かんい保険ほけん加入かにゅうことわられたのは21にんだった。 加入かにゅうできたのは、病名びょうめい告知こくちしなかった36にんと、出生しゅっしょうまえ加入かにゅう手続てつづきをませたり、外資がいしけい保険ほけんえらんだひとだったという。
 ふたつの病気びょうきは、ほとんどの新生児しんせいじ出生しゅっしょうすぐにける「新生児しんせいじマススクリーニング」という血液けつえき検査けんさつかる。 00年度ねんど全国ぜんこくで「先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょう」がつかった新生児しんせいじは528にん、「フェニルケトン尿にょうしょう」は11にんだった。 治療ちりょうしないと知能ちのう障害しょうがいなどを発症はっしょうするが、現在げんざい投薬とうやく食事しょくじ療法りょうほうでほぼ完全かんぜん発症はっしょうおさえられるという。
 羽田はた教授きょうじゅらは「将来しょうらい遺伝子いでんし診断しんだん可能かのうになったとき、この病気びょうき子供こどもたちのように加入かにゅう拒否きょひひろがるおそれがある。 早急そうきゅうにルールづくりが必要ひつようだ」とうったえている。
 郵政ゆうせい事業じぎょうちょう簡易かんい保険ほけん業務ぎょうむは「審査しんさ加入かにゅうできる簡易かんい保険ほけんでは、病気びょうき告知こくちしたひと加入かにゅう原則げんそくことわり、治癒ちゆしてから加入かにゅうしてもらうシステムになっている」とはなす。 また、民間みんかん保険ほけん会社かいしゃは、この病気びょうき乳幼児にゅうようじべつ病気びょうきにかかるリスクがたかいというデータから、加入かにゅうことわるケースがおおいという。【永山ながやま悦子えつこ

 

◆2002/04/09 「先天せんてんせい疾患しっかん理由りゆう保険ほけん加入かにゅう拒否きょひ 旭川医科大あさひかわいかだい教授きょうじゅらが調査ちょうさ」『共同通信きょうどうつうしん
 全国ぜんこく地方自治体ちほうじちたい実施じっししている新生児しんせいじ検査けんさ新生児しんせいじマススクリーニング)で、先天せんてんせい疾患しっかん診断しんだんされた患者かんじゃが、 治療ちりょうほう確立かくりつしているにもかかわらず保険ほけんへの加入かにゅうことわられたり、告知こくち義務ぎむ違反いはん理由りゆう保険ほけん解約かいやくされるなどの差別さべつてきあつかいをけている実態じったいきゅうにち旭川医科大あさひかわいかだい羽田はたあきら教授きょうじゅらの調査ちょうさあきらかになった。
 名古屋なごやじゅうきゅうにちからはじまる日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい発表はっぴょうする。
 米国べいこく英国えいこくなど世界せかい各地かくちで、遺伝いでん情報じょうほうによる雇用こよう保険ほけん加入かにゅう差別さべつ問題もんだいになっており、論議ろんぎびそうだ。
 羽田はた教授きょうじゅらは昨年さくねんなつ新生児しんせいじ検査けんさ先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょうやフェニルケトン尿にょうしょう診断しんだんされた子供こどもひゃくにん家族かぞくに、 民間みんかん郵便ゆうびんきょく生命せいめい保険ほけん学資がくし保険ほけん加入かにゅうじょうきょうをアンケートした。
 その結果けっか保険ほけん加入かにゅうしようとしたきゅうじゅうにんちゅう病名びょうめい告知こくちしたよんじゅうさんにん全員ぜんいん加入かにゅう拒否きょひされ、加入かにゅうできたよんじゅうななにん病名びょうめい告知こくちしていなかったり、出生しゅっしょうまえ加入かにゅうしていた。
 また、さんにんべつ病気びょうき入院にゅういん給付きゅうふきん申請しんせいしたが、先天せんてんせい疾患しっかん診断しんだんれきがあるのに加入かにゅう告知こくちしていなかったとして、保険ほけん契約けいやく解約かいやくされていた。
 羽田はた教授きょうじゅらは、くすり服用ふくようなどで完治かんじする先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょうとフェニルケトン尿にょうしょう種類しゅるい疾患しっかん調査ちょうさ対象たいしょうとすることで、 遺伝いでん情報じょうほうによる差別さべつてきあつかいをりにしようとこころみた。
 日本にっぽんでは○○○ねん遺伝子いでんし診断しんだん理由りゆう保険ほけんきん支払しはらいを拒否きょひされたとして、近畿きんき地方ちほう男性だんせい保険ほけん会社かいしゃ支払しはらいをもとめて神戸こうべ地裁ちさい提訴ていそしている。
 羽田はた教授きょうじゅは「遺伝子いでんし情報じょうほうによる差別さべつまれてしまう。早急そうきゅう議論ぎろんし、一定いってい社会しゃかいてきルールづくりが必要ひつよう」とうったえている。

 cf.フェニルケトン尿にょうしょう



2001


◆2001/11/02 「遺伝子いでんし診断しんだんあらたな差別さべつに」([しんかみへの挑戦ちょうせんだい5倫理りんりかんがえる/4)『毎日新聞まいにちしんぶん
保険ほけん雇用こようめぐり訴訟そしょう
 生命せいめい科学かがく進展しんてん社会しゃかいに「遺伝子いでんし差別さべつ」というあたらしい差別さべつつくしつつある。病気びょうきによっては、遺伝子いでんし調しらべれば、いつごろどんな病気びょうきにかかりやすいかかる。 この遺伝いでん情報じょうほう遺伝子いでんし差別さべつみのおやだ。
 米国べいこく事例じれい紹介しょうかいする。
 べいノースカロライナしゅう保険ほけん会社かいしゃ管理かんりしょくをしていたテリー・サージェントさん(45)は99ねん4がつ呼吸こきゅうくるしくなって医師いしたずねた。 遺伝子いでんし検査けんさ結果けっか、ある酵素こうそつく能力のうりょくまれつきひくいため、はい細胞さいぼう破壊はかいされていることがかった。酵素こうそ補充ほじゅう療法りょうほうつづけることで病気びょうき進行しんこうまった。
 だが、サージェントさんは8カ月かげつ会社かいしゃ突然とつぜん解雇かいこされ、医療いりょう保険ほけん解約かいやくされた。
 医療いりょう保険ほけんは、会社かいしゃ従業じゅうぎょういんから保険ほけんりょうあつめ、そのなかから治療ちりょう支払しはらう「自家じか保険ほけん」だった。従業じゅうぎょういんは35にんしかいない。 サージェントさんの治療ちりょうつきやく4000ドル(やく50まんえん)。
 「これ以上いじょう負担ふたんにはえられない。解雇かいこ以外いがい選択せんたく余地よちはない」と雇用こようぬし説明せつめいした。
 米国べいこくおおくのしゅうは、個人こじん遺伝いでん情報じょうほうによって保険ほけん加入かにゅう拒否きょひしたり、保険ほけんりょうたかくすることに法律ほうりつ歯止はどめをかけているが、 ノースカロライナしゅうには自家じか保険ほけんについて明確めいかく規定きていがなかった。
 サージェントさんは「診断しんだん仕事しごとりょうしつちていない。わたしには、解雇かいこされずに治療ちりょうける権利けんりがあった」として、べい雇用こよう機会きかい均等きんとう委員いいんかい(EEOC)にうったえた。
 EEOCは障害しょうがいしゃ差別さべつきんじた「アメリカ障害しょうがいしゃほう違反いはんうたがいで調査ちょうさちゅうだ。
 会社かいしゃ無断むだん従業じゅうぎょういん遺伝子いでんし検査けんさしていた事例じれい発覚はっかくした。 テキサスしゅう大手おおて鉄道てつどう会社かいしゃ昨年さくねん従業じゅうぎょういん125にん遺伝子いでんし検査けんさ計画けいかくし、うち18にんについては実際じっさい血液けつえき採取さいしゅして検査けんさ会社かいしゃ調しらべさせていたのだ。
 125にんはレール敷設ふせつ工事こうじなどに従事じゅうじし、「かん症候群しょうこうぐん」と診断しんだんされていた。にしびれやいたみが病気びょうきで、遺伝いでん要因よういんとの関係かんけい指摘してきされている。
 会社かいしゃがわは「診断しんだん結果けっかもとに、従業じゅうぎょういん健康けんこう配慮はいりょした職場しょくば配置はいちをするつもりだった」と説明せつめいした。 しかし、労働ろうどう組合くみあいは「病気びょうき原因げんいん仕事しごとではなく、遺伝子いでんし問題もんだいがあるといたかったのだろう」と反発はんぱつした。
 従業じゅうぎょういんうったえで、EEOCは今年ことし2がつ同社どうしゃ障害しょうがいしゃほう違反いはん提訴ていそした。結局けっきょく同社どうしゃ全面ぜんめんてき謝罪しゃざいし、検査けんさ中止ちゅうしした。
 遺伝子いでんし研究けんきゅう患者かんじゃ家族かぞく社会しゃかいかす活動かつどうをしている「ジェネティック・アライアンス」は、2ねんまえから遺伝子いでんし差別さべつ実情じつじょう調査ちょうさおこなっている。 300以上いじょう患者かんじゃ団体だんたい市民しみん団体だんたいなどがくわわった組織そしきである。
 これまで全米ぜんべい各地かくちから保険ほけんへの加入かにゅう拒否きょひ解雇かいこ学校がっこうへの入学にゅうがく拒否きょひなど233けん報告ほうこくがあった。 76にんには電話でんわはなしいたが、プライバシーの侵害しんがいおそれ、提訴ていそのぞまないひとおおいという。
 「現在げんざい600種類しゅるいある遺伝子いでんし検査けんさは10ねんには10ばいえ、よりおおくの人々ひとびと対象たいしょうになる。 差別さべつふせぐため、保険ほけん会社かいしゃ雇用こようぬし検査けんさ結果けっか悪用あくようできないようにする対策たいさく必要ひつようだ」とアライアンス代表だいひょうのメアリー・ダビッドソンさんは対策たいさく必要ひつようせいうったえる。
 日本にっぽんでも「国民こくみんみな保険ほけん」の医療いりょう保険ほけんはともかく、生命せいめい保険ほけんについては米国べいこく事例じれい対岸たいがん火事かじではない。
 毎日新聞まいにちしんぶん昨年さくねんがつ国内こくない生命せいめい保険ほけん会社かいしゃにアンケート調査ちょうさした結果けっかでは、19しゃのうち15しゃ遺伝子いでんし診断しんだんを「将来しょうらいてき利用りようする可能かのうせいがある」とこたえた。
 保険ほけん会社かいしゃいま加入かにゅうしゃ健康けんこう診断しんだんおこなう。心臓しんぞう疾患しっかんなどのリスクのたかひとからは保険ほけんりょうをとり、契約けいやくことわるケースもある。
 遺伝子いでんし診断しんだんもそれとわらないというのが保険ほけん会社かいしゃのいいぶんだ。
 雇用こようでも「差別さべつ」を正当せいとうする理屈りくつがある。労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいほう雇用こようしゃ健康けんこう診断しんだん結果けっかまえて従業じゅうぎょういん職場しょくば配置はいちめるようもとめている。
 安全あんぜん配慮はいりょするという名目めいもくで、雇用こようしゃ従業じゅうぎょういん遺伝子いでんし調しらべ、結果けっか利用りようできるという解釈かいしゃくつ。
 だが、わたしたちがっている3まん〜4まん遺伝子いでんしなかには遺伝いでんびょう関係かんけいするものがかならいつつやむっつはあるという。 だれにも遺伝いでんびょう子供こどもまれる可能かのうせいがあるし、自分じぶん自身じしん遺伝いでんびょうになるおそれもある。
 信州大しんしゅうだい病院びょういん福嶋ふくしま義光よしみつ遺伝子いでんし診療しんりょう部長ぶちょう遺伝いでん医学いがく)は「多様たよう遺伝子いでんしっていたから、人類じんるいはさまざまな環境かんきょう適応てきおうしてびた。 遺伝子いでんし差別さべつは、そんな人間にんげん本質ほんしつ否定ひていするものだ」と指摘してきする。
 遺伝子いでんし差別さべつ人類じんるいにとって、てんにつばする行為こういなのかもしれない。
 写真しゃしんくち内側うちがわ粘膜ねんまくからこすりとった細胞さいぼう使つかって遺伝子いでんし診断しんだんができる=東京とうきょう 都内とないのクリニックで



◆2001/10/05 「先天せんてんせい疾患しっかん理由りゆう新生児しんせいじ保険ほけん加入かにゅう解約かいやくで「差別さべつ」」『読売新聞よみうりしんぶん
 くに新生児しんせいじ検査けんさ先天せんてんせい疾患しっかん診断しんだんされた患者かんじゃが、治療ちりょうほう確立かくりつしているにもかかわらず、保険ほけんへの加入かにゅうことわられたり、 告知こくち義務ぎむ違反いはん理由りゆう保険ほけん解約かいやくされるなどの差別さべつけている実態じったいが、旭川医科大学あさひかわいかだいがく羽田はたあきら教授きょうじゅらのグループの調査ちょうさはじめてかった。 さいたまひらかれている日本人にっぽんじんるい遺伝いでん学会がっかいで5にち発表はっぴょうする。遺伝いでん情報じょうほう保険ほけん加入かにゅうなどに利用りようすることの是非ぜひおおきな問題もんだいとなっているが、 今回こんかいれいはこれとよくたケースで、国内こくないのルールづくりが急務きゅうむとなる。
 羽田はた教授きょうじゅらは、新生児しんせいじ検査けんさ先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょう診断しんだんされた66にん家族かぞくにアンケート調査ちょうさした。 生命せいめい保険ほけん学資がくし保険ほけん加入かにゅうしようとした58にん患者かんじゃのうち、28にん疾患しっかん理由りゆう加入かにゅうことわられていた。 また、簡保かんぽ学資がくし保険ほけんなどに加入かにゅうしていた3にんは、入院にゅういん給付きゅうふきん申請しんせいをしたところ、加入かにゅう病名びょうめい申告しんこくしなかったことを理由りゆう保険ほけん解約かいやくされていた。 どうしょう場合ばあい甲状腺こうじょうせんホルモンを内服ないふくすることで普通ふつう生活せいかつすることができる。



◆2001/08/25 「羅針盤らしんばんはヒトの会社かいしゃ勝手かって遺伝子いでんし検査けんさした……革新かくしん摩擦まさつ。どうつくあたらしい世界せかい」『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん朝刊ちょうかん

 「この血液けつえき検査けんさへんよ」。看護かんごをしているつまおっと健康けんこう診断しんだん採血さいけつりょう通常つうじょうよりおおいことに不審ふしんいた。 それが遺伝子いでんし検査けんさをめぐるべい連邦れんぽう政府せいふ機関きかんによるはつ訴訟そしょう発端ほったんだった。

雇用こよう差別さべつうった
 大手おおて鉄道てつどう会社かいしゃバーリントン・ノーザン・アンド・サンタフェ。社員しゃいんやく20にん遺伝子いでんし同社どうしゃ勝手かって検査けんさしていたことが今年ことし2がつ発覚はっかくした。 対象たいしょうになったのは、線路せんろ保守ほしゅなどの作業さぎょう手首てくびがしびれる病気びょうきになったとして会社かいしゃ労働ろうどう災害さいがい補償ほしょうもとめた社員しゃいんたちだ。
 この病気びょうき遺伝いでんてき理由りゆう発症はっしょうすることもあり、検査けんさ発症はっしょうにかかわる遺伝子いでんしつかったひとは、仕事しごと病気びょうき原因げんいん主張しゅちょうしにくくなる。 「検査けんさ雇用こよう差別さべつたる」とうったえたべい雇用こよう機会きかい均等きんとう委員いいんかいたいし、バーリントンしゃは「説明せつめい不十分ふじゅうぶんだった」として遺伝子いでんし検査けんさ自主じしゅてき中止ちゅうしした。
 健康けんこう診断しんだん遺伝子いでんし検査けんさをする会社かいしゃてきた米国べいこくでは将来しょうらい病気びょうきになるおそれがおおきいひと医療いりょう保険ほけん加入かにゅう雇用こよう差別さべつされる問題もんだい現実げんじつになりつつある。
 ブッシュべい大統領だいとうりょうは6がつ演説えんぜつで「人種じんしゅ差別さべつ同様どうよう遺伝子いでんし差別さべつをやめるべきだ」と指摘してき遺伝子いでんし情報じょうほう利用りよう規制きせいするかんがえをしめした。 だが反対はんたいろんもあって、規制きせい容易よういではない。
 「遺伝子いでんし検査けんさ簡単かんたんにできるようになると、結果けっかかくしたまま自分じぶん有利ゆうり保険ほけんえらんではいひとえかねない。 そうなれば、保険ほけんりょう現在げんざいの3、4ばいがる」。米国べいこく保険ほけん数理すうりじん学会がっかいは、遺伝子いでんし情報じょうほう利用りよう規制きせいろんをけんせいする。

当局とうきょく
 「予定よていどおりにっていない」。 昨年さくねん取材しゅざいはんに「クローン人間にんげんだい1ごうを2001ねんなつにもおくす」と宣言せんげんした新興しんこう宗教しゅうきょう団体だんたい「ラエリアン・ムーブメント」の科学かがく責任せきにんしゃ、ブリジット・ボワセリエさん。 その経緯けいい淡々たんたんかたはじめた。
 今年ことし6がつ極秘ごくひにしていた実験じっけんしつ突然とつぜんべい食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)の係員かかりいんんできたという。場所ばしょべい南部なんぶまちにある高校こうこうもと校舎こうしゃとされる。 生後せいご10ヶ月かげつくなった乳児にゅうじ細胞さいぼうからかくして卵子らんしうつし、おな遺伝子いでんしをもつあかぼう誕生たんじょうさせる計画けいかく実行じっこううつそうとしていた。
 FDAは「国内こくない実験じっけんをしないとラエリアンに約束やくそくさせた」としている。だが、ボワセリエさんは「今後こんご米国べいこくがい準備じゅんびすすめる」とまだあきらめていない。
 疾走しっそうする技術ぎじゅつとき人々ひとびと戸惑とまどわせ、社会しゃかいとの摩擦まさつむ。それは生命せいめい科学かがく分野ぶんやかぎったことではない。
 「留守番るすばん電話でんわにネット攻撃こうげきをやめろと苦情くじょうはいっていた。だれかがわたしのパソコンをかくれみのにいやがらせをしたらしい」。 今年ことし上半期かみはんき、コンピューター緊急きんきゅう対応たいおうセンター(JPCERT)にとどいた不正ふせいアクセス報告ほうこく件数けんすう昨年さくねん同期どうきの1.7ばい自宅じたくから世界せかい情報じょうほう到達とうたつできるようになった裏側うらがわでパソコン経由けいゆの“家宅かたく侵入しんにゅう被害ひがい急増きゅうぞうしている。

◆「みぞめる必要ひつよう
 技術ぎじゅつ進歩しんぽうながしつつ、弊害へいがい最小限さいしょうげんめるにはどうすればよいのか。 三菱化学みつびしかがく生命せいめい科学かがく研究所けんきゅうじょ米本よねもと昌平しょうへい社会しゃかい生命せいめい科学かがく研究けんきゅう室長しつちょうは「技術ぎじゅつ専門せんもん普通ふつう人々ひとびととのみぞめる環境かんきょう整備せいび必要ひつよう」とう。
 「本当ほんとう検査けんさけたいのですね」。りつめた表情ひょうじょう患者かんじゃ職員しょくいんしずかにはなしかける。 信州大しんしゅうだい医学部いがくぶ遺伝子いでんし診療しんりょう胎児たいじ先天せんてん異常いじょうがあるかを遺伝子いでんし出生しゅっしょうぜん診断しんだんりたい夫婦ふうふ遺伝子いでんしびょういでいるか確認かくにんしたいひと遺伝子いでんしから病気びょうき予知よちする技術ぎじゅつ進歩しんぽとともに相談そうだんえた。
 ここでは医師いしだけでなくカウンセラーら複数ふくすう職員しょくいん患者かんじゃ対応たいおうする。先端せんたん医療いりょうについてわかりやすく説明せつめいし、診察しんさつけるとき同席どうせき退院たいいん連絡れんらくる。「先端せんたん医療いりょう技術ぎじゅつ患者かんじゃがよく理解りかいして使つかわないと、かえって混乱こんらんまねく」とどう部長ぶちょう福嶋ふくしま義光よしみつ教授きょうじゅはなす。
 技術ぎじゅつ革新かくしん効用こうよう課題かだいおおくのひとかんがえる機会きかいつことも、技術ぎじゅつ社会しゃかいとの調和ちょうわうながすうえで重要じゅうようだ。
 シャーレのうえにバクテリアのDNA(デオキシリボ核酸かくさん)のつぶあおかぶ。べつ微生物びせいぶつ遺伝子いでんしはいんだあかしだ。 「こんなに簡単かんたんわるとは」。高校生こうこうせいかがやかせる。
 「先端せんたんバイオ技術ぎじゅつわか世代せだい実感じっかんしてほしい」。亀井かめいいさむみつる佐賀さがだい教授きょうじゅ企画きかくした特別とくべつ実験じっけん高校生こうこうせいは7がつ下旬げじゅんの1週間しゅうかん大学院生だいがくいんせい指導しどう遺伝子いでんし実験じっけんなどにんだ。
 科学かがく技術ぎじゅつ経済けいざい成長せいちょう医療いりょう環境かんきょう改善かいぜんなど人類じんるい発展はってんささえる半面はんめん使つかかた間違まちがえれば悲劇ひげきまねく。 その羅針盤らしんばんにぎるのはかぎられた専門せんもんではない。われわれ一人ひとりひとりである。



2000


◆2000/07/31 「遺伝子いでんし診断しんだんでの拒否きょひ不当ふとう 障害しょうがい保険ほけんきん支払しはらもと神戸こうべ地裁ちさい提訴ていそ」『共同通信きょうどうつうしん
 契約けいやくにはからなかった遺伝いでんびょう判明はんめいした男性だんせい障害しょうがい保険ほけんきん支払しはらわないのは不当ふとうとして、近畿きんき地方ちほうむこの30だい男性だんせいが31にちまでに、 第一生命保険だいいちせいめいほけん東京とうきょう)を相手あいて保険ほけんきん1000まんえん支払しはらいをもとめるうったえを神戸こうべ地裁ちさいこした。
 原告げんこく代理人だいりにん弁護士べんごしによると、男性だんせい病名びょうめい遺伝子いでんし診断しんだん判明はんめいしたが、遺伝子いでんし診断しんだん生命せいめい保険ほけんをめぐる訴訟そしょう全国ぜんこくはじめてという。
 第一生命だいいちせいめいは「男性だんせい遺伝子いでんし診断しんだんけた事実じじつらなかった。支払しはら拒否きょひ契約けいやくまえからの発病はつびょうだったからで、病名びょうめいなどを考慮こうりょしたからではない」としている。
 訴状そじょうなどによると、男性だんせいは1989ねん11月、おも障害しょうがいった場合ばあいには、死亡しぼう保険ほけんきん同額どうがく保険ほけんきんることができる高度こうど障害しょうがい保険ほけんきの生命せいめい保険ほけん契約けいやく第一生命だいいちせいめいむすんだ。
 男性だんせい当時とうじから原因げんいん不明ふめい歩行ほこう障害しょうがいがあったが、あるくことは十分じゅうぶん可能かのうで、通院つういんさき病院びょういんは「症状しょうじょう固定こていしている」と診断しんだん男性だんせい保険ほけん契約けいやくさいに、歩行ほこう障害しょうがい告知こくちしていた。
 しかしその病状びょうじょう進行しんこう。92ねんには両足りょうあしがまひし、身体しんたい障害しょうがいしゃだいきゅう認定にんていされた。 原因げんいんからず、95ねんはじめに主治医しゅじいすすめで遺伝子いでんし診断しんだん受診じゅしん日本にっぽんでもすうれいしか報告ほうこくされていない遺伝いでんびょうかった。
 99ねんはじめに、男性だんせい保険ほけんきん支払しはらいを申請しんせいしたが、第一生命だいいちせいめいは「契約けいやくまえ発病はつびょうした疾病しっぺい原因げんいん」として支払しはらいを拒否きょひした。
 男性だんせいがわは「契約けいやく当時とうじ高度こうど障害しょうがいおちいることは予見よけん不可能ふかのうで、遺伝子いでんし診断しんだん病名びょうめいかったからといって、保険ほけんきん支払しはらわないのは不当ふとうだ」と主張しゅちょうしている。

◆2000/07/30 「重度じゅうど障害しょうがい保険ほけんきん支払しはら請求せいきゅう遺伝子いでんし診断しんだん結果けっか拒否きょひ 加入かにゅうしゃ生保せいほ提訴ていそ」『朝日新聞あさひしんぶん
 「「遺伝子いでんし診断しんだんけなければ障害しょうがい保険ほけんきんがおりたはずなのに、けたばかりに支払しはらいを拒否きょひされたのは不当ふとう」。 関西かんさい地方ちほうむ30だい男性だんせいが、そんなうったえを今春こんしゅん神戸こうべ地裁ちさいこした。男性だんせいは、原因げんいん不明ふめいわれていた病気びょうきが、加入かにゅうけた遺伝子いでんし診断しんだん遺伝いでんびょうとわかった。 病名びょうめいつたえたところ、障害しょうがい保険ほけんきん支払しはらいを拒否きょひされた。
 生命せいめい保険ほけん会社かいしゃは「契約けいやくまえから発病はつびょうしていた」と主張しゅちょうする。 遺伝子いでんし診断しんだん保険ほけんをめぐる裁判さいばんはじめてというが、遺伝いでん情報じょうほう解析かいせきすすみ、原因げんいん不明ふめい病気びょうきがわかったり、将来しょうらい病気びょうき予測よそくできたりする時代じだいに、 保険ほけんのありかたうきっかけになりそうだ。
 男性だんせいは1989ねん第一生命保険だいいちせいめいほけん生命せいめい保険ほけん加入かにゅうした。おも障害しょうがいった場合ばあいに、死亡しぼう保険ほけんきん同額どうがく保険ほけんきん支払しはらわれる高度こうど障害しょうがい保険ほけんがついていた。
 小学生しょうがくせいのころからあしわるかったが、日常にちじょう生活せいかつ不便ふべんはなかった。契約けいやく当時とうじは、まだあるけた。市立しりつ病院びょういんかよっていたが、原因げんいんはわからない。
 契約けいやくにあたって健康けんこう状態じょうたい自己じこ申告しんこくする保険ほけんではなく、あえて保険ほけん会社かいしゃ指定していする医師いし診断しんだんしょいてもらうタイプをえらんだ。
 大学だいがく病院びょういんうつったが病名びょうめい判明はんめいしない。その病状びょうじょう進行しんこうした。92ねん両足りょうあし機能きのううしなわれ、身体しんたい障害しょうがいしゃ1きゅう認定にんていされた。
 主治医しゅじい遺伝子いでんし診断しんだんちかけられたのは、95ねんごろ。その結果けっか病名びょうめいがわかった。日本にっぽんでは数少かずすくない遺伝いでんびょうで、いまのところ治療ちりょうほうはない。
 昨年さくねんになって、高度こうど障害しょうがい保険ほけんきん申請しんせいするため、障害しょうがい診断しんだんしょ提出ていしゅつした。死後しご生命せいめい保険ほけんのこすか、生前せいぜん保険ほけんきんるかなやんだ結果けっかだ。 しかし、第一生命だいいちせいめいからの返事へんじは、「支払しはらえません」だった。
 裁判所さいばんしょ提出ていしゅつした答弁とうべんしょで、第一生命だいいちせいめいはこう主張しゅちょうする。障害しょうがい原因げんいん小児しょうに発症はっしょう病気びょうきであり、発病はつびょう契約けいやくまえなので、 「契約けいやくによる責任せきにん開始かいし以後いご疾病しっぺい原因げんいん高度こうど障害しょうがい状態じょうたいになった場合ばあい」と規定きていした約款やっかん該当がいとうしない。 「責任せきにん開始かいしにおける予見よけん可能かのうせい問題もんだいにする余地よちはない」ともいう。
 しかし男性だんせいは、「医学いがく進歩しんぽ加入かにゅうしゃ不利ふりむすびつくのは理不尽りふじんだ。遺伝子いでんし診断しんだんけず、原因げんいん不明ふめいのまま申請しんせいしていればよかったことになる。 最先端さいせんたん医療いりょうけた人間にんげんだけがそんをしてしまう」とはなす。
 遺伝子いでんし情報じょうほう保険ほけん関係かんけいについて、米国べいこくでは、クリントン大統領だいとうりょうが「遺伝いでん情報じょうほう差別さべつしてはならない」などとかえべている。
 第一生命だいいちせいめい広報こうほうは「訴訟そしょう影響えいきょうがあるのでコメントはひかえたい」としている。

解説かいせつ遺伝子いでんし診断しんだん差別さべつまね心配しんぱいも 保険ほけんとのルール必要ひつよう
 遺伝子いでんし検査けんさえ、将来しょうらい疾病しっぺいかくりつ予測よそくしたり遺伝いでんびょう特定とくていしたりする遺伝子いでんし診断しんだんすすむなかで、もっとぐされていたことのひとつが生命せいめい保険ほけんでの差別さべつだった。 遺伝子いでんし診断しんだん結果けっか遺伝いでんびょうかった男性だんせいが、保険ほけん支払しはらいを拒否きょひされ提訴ていそした事例じれいは、こういった差別さべつ直結ちょっけつするケースだ。
 ヒトゲノムの解析かいせき研究けんきゅうすすめば、一人ひとりひとりが特定とくてい病気びょうきになるかくりつがわかるともわれる。「あなたががんになるかくりつは60%。 保険ほけんりょう割高わりだかになります」。そんな時代じだいるかもしれない。
 今後こんごおおくのがんや高血圧こうけつあつ糖尿とうにょうびょうなど、複数ふくすう遺伝子いでんし環境かんきょう要因よういんがからんだ病気びょうき原因げんいんあきらかになるにつれ、さらに問題もんだい複雑ふくざつする。
 この問題もんだいについて、生命せいめい保険ほけん協会きょうかい広報こうほうは「各社かくしゃ判断はんだんなので、協会きょうかいとして検討けんとうしたことはないし、いまのところ、検討けんとうする予定よていもない」とはなす。
 だが、業界ぎょうかい内部ないぶではすでに各社かくしゃ医務いむ担当たんとうしゃあつまって調査ちょうさ研究けんきゅうしている。
 1996ねんされた「遺伝子いでんし検査けんさ生命せいめい保険ほけん遺伝子いでんし研究けんきゅうかい報告ほうこくしょ−」とだいした冊子さっしがそれだ。 生命せいめい保険ほけん協会きょうかい医務いむ委員いいんちょう諮問しもん機関きかんとして、日本にっぽんにおける遺伝子いでんし検査けんさ生命せいめい保険ほけんあたえる影響えいきょう研究けんきゅうする目的もくてきつくられた研究けんきゅうかいだ。
 その冒頭ぼうとう。「遺伝子いでんし検査けんさ結果けっか保険ほけん会社かいしゃ権利けんりがある」「日常にちじょう診療しんりょうおこなわれるような検査けんさになったら保険ほけん診査しんさにも採用さいようできる」などとある。
 参加さんかメンバーの一人ひとりは「将来しょうらい危険きけんがわかっていながら加入かにゅうするひとえるのをふせぐためにも、 保険ほけん制度せいど遺伝子いでんし診断しんだんれるべきではないか、という意識いしきだった」とかえる。
 どう協会きょうかい広報こうほうが「医務いむ委員いいんかいつうじて各社かくしゃしゃつのった私的してきあつまり。委員いいんかい協会きょうかい意見いけんではない」と釈明しゃくめいするほど、保険ほけん業界ぎょうかいにとって微妙びみょう問題もんだいだ。
 欧米おうべいでは、遺伝子いでんし診断しんだん保険ほけんかんする議論ぎろんさかんにおこなわれてきた。日本にっぽんでは、まだルールづくりの議論ぎろんはじまっていない。 業界ぎょうかい専門せんもんらをふくめた、政府せいふとしての対応たいおう必要ひつようだ。(くらし編集へんしゅう大和久おおわくすすむこころざし

上記じょうき言及げんきゅうされている「遺伝子いでんし検査けんさ生命せいめい保険ほけん遺伝子いでんし研究けんきゅうかい報告ほうこくしょ−」は、 遺伝子いでんし研究けんきゅうかい へん 19960625 遺伝子いでんし検査けんさ生命せいめい保険ほけん――遺伝子いでんし研究けんきゅうかい報告ほうこくしょ

◆2000/07/30 「遺伝いでんびょう理由りゆう保険ほけん支払しはら拒否きょひされ提訴ていそ」『読売新聞よみうりしんぶん
 高度こうど障害しょうがい保険ほけんきの生命せいめい保険ほけん加入かにゅうしたのち遺伝子いでんし診断しんだん遺伝いでんびょう判明はんめいしたため、障害しょうがい保険ほけんきん支払しはらいを拒否きょひされたさんじゅうだい男性だんせいさんじゅうにちまでに、 「契約けいやくには予想よそうできなかった症状しょうじょう」として、第一生命保険だいいちせいめいほけん本社ほんしゃ東京とうきょう)を相手取あいてどり、保険ほけんきんいちせんまんえんもとめるうったえを神戸こうべ地裁ちさいこした。 遺伝子いでんし診断しんだん保険ほけんをめぐる訴訟そしょうはじめてという。
 訴状そじょうによると、男性だんせいいちきゅうはちきゅうねん第一生命だいいちせいめい生命せいめい保険ほけん加入かにゅうした。おも障害しょうがいった場合ばあい保険ほけんきんることができる高度こうど障害しょうがい保険ほけんがついていた。 契約けいやくあしわるかったものの、歩行ほこう可能かのうで「症状しょうじょう固定こていしている」と診断しんだんされており、どう生命せいめいにも申告しんこくしていた。 その病状びょうじょうすすきゅうねん両足りょうあしがまひし、身体しんたい障害しょうがいしゃいちきゅう認定にんていされた。
 男性だんせいきゅうねん遺伝子いでんし診断しんだんけ、日本にっぽんすうにんしか患者かんじゃのいない遺伝いでんせい難病なんびょう判明はんめい昨年さくねん障害しょうがい保険ほけんきん申請しんせいしたが、第一生命だいいちせいめいは「契約けいやくまえ発病はつびょうしたのが悪化あっかしたもの」として支払しはらいを拒否きょひしていた。

 

◆20000430 NHKスペシャル「世紀せいきえて」『遺伝子いでんし診断しんだんあたらしい予知よち医療いりょうひかりかげ

 ワシントンの遺伝子いでんしびょう支援しえん団体だんたい遺伝子いでんしサポート同盟どうめいには、遺伝子いでんし診断しんだんかんする様々さまざま不安ふあん全米ぜんべいからせられる。 そのおおくは診断しんだん結果けっかにより、保険ほけん雇用こよう差別さべつけはしないだろうか、といった種類しゅるいのものだ。
 44さいのある女性じょせいもそうした不安ふあんをうちけた一人ひとり昨年さくねんにゅうガンの診断しんだんけたが、保険ほけん会社かいしゃ受診じゅしん以来いらいをしたことはらせていない。 よって、高額こうがく費用ひよう全部ぜんぶ自前じまえおこなった。
 「もしわたしのガン発症はっしょうかくりつたかければ、保険ほけん会社かいしゃから医療いりょう給付きゅうふことわられる可能かのうせいがあります。おっとにも息子むすこにも迷惑めいわくがかかるかもれません。 このくにでは医療いりょう保険ほけんがないときてはいけませんから、保険ほけん会社かいしゃには絶対ぜったいられたくないのです」
 そんな人々ひとびと不安ふあん連邦れんぽう議会ぎかいめ、5ねんまえから遺伝子いでんしによる差別さべつ禁止きんしする法案ほうあんがいくつか提出ていしゅつされている。 今年ことしいつつの法案ほうあん提出ていしゅつされ、とく目玉めだまとなっているものが遺伝子いでんし情報じょうほう内容ないようにより保険ほけん解約かいやくしてはならない、 また、そのような個人こじん情報じょうほうようとするのも禁止きんしする、というもの。
 ただし全米ぜんべい医療いりょう保険ほけん業界ぎょうかいからはもう反発はんぱつこっている。最初さいしょから病気びょうきになるかくりつたか人間にんげん続々ぞくぞく加入かにゅうしてくれば、会社かいしゃ多大ただい損害そんがいこうむってしまいかねない。 そのため、医療いりょう情報じょうほう同様どうよう遺伝子いでんし情報じょうほう同様どうようあつかわねばならないのだ。
 今年ことし2がつ、そんな対立たいりつなかでクリントン大統領だいとうりょう大統領だいとうりょうれい発布はっぷした。 遺伝子いでんし情報じょうほう財産ざいさん医療いりょう情報じょうほう同様どうよう厳重げんじゅう保護ほごされなければならない。よって採用さいよう昇進しょうしんにおいて遺伝子いでんし情報じょうほう差別さべつすることをきんじる、というのがそのおも内容ないようだ。 ただし、適用てきようされるのは公務員こうむいんのみ。民間みんかん企業きぎょうにおいては、はじめから病気びょうきになるとかっている人間にんげん重要じゅうようなポストにおくなどすることはできないため、 まだまだおおきなかべとしてちはだかっているのが現実げんじつだ。

 

20001013 イギリス


 cf.◇ハンチントンびょう

◆2000/10/14「えい 遺伝子いでんし情報じょうほう保険ほけん会社かいしゃ判断はんだん基準きじゅん使用しよう認可にんか決定けってい」NHKニュース
 イギリスではハンチントン舞踏ぶとうびょうばれる遺伝いでんびょうについて、遺伝子いでんし診断しんだん信頼しんらいせい確認かくにんされたとして、 保険ほけん会社かいしゃがこの遺伝いでんびょうひととの契約けいやく拒否きょひしたり、保険ほけんりょうげたりすることができるようになりましたが、 遺伝子いでんし情報じょうほう商業しょうぎょう目的もくてき利用りようすることはあらたな差別さべつにつながりかねずおおきな論争ろんそうきています。
 これは、イギリス政府せいふじゅうさんにち声明せいめいつうじて発表はっぴょうしたもので、遺伝いでんびょうひとつ、ハンチントン舞踏ぶとうびょうについて、 保険ほけん会社かいしゃ保険ほけん加入かにゅう希望きぼうしゃがあらかじめ遺伝子いでんし診断しんだんけていた場合ばあい、その結果けっからせるようもとめることができるようになりました。
 この結果けっか保険ほけん会社かいしゃはこの遺伝いでんびょう患者かんじゃたいして、契約けいやくむすぶことを拒否きょひしたり、保険ほけんりょうげたりすることがみとめられます。
 今回こんかい決定けっていは、ハンチントン舞踏ぶとうびょうかんする遺伝子いでんし診断しんだん信頼しんらいせい確認かくにんされたことをけたもので、 イギリス政府せいふ今後こんご、アルツハイマーびょう遺伝いでんせいにゅうがんなどむっつの遺伝いでんびょうについても、検査けんさ対象たいしょうとして認可にんかすべきかどうか検討けんとうすすめています。
 遺伝子いでんし情報じょうほう商業しょうぎょう目的もくてきでの利用りようみとめたのはイギリス政府せいふ世界せかいはじめてで、遺伝いでんびょう患者かんじゃ団体だんたいなどからは保険ほけんけられなるひとるだけでなく、 今後こんご雇用こよう契約けいやくなどをむすさいにも遺伝子いでんし情報じょうほう判断はんだん基準きじゅんとして使つかみちひらき、あらたな差別さべつにつながりかねないと懸念けねんするこえていて、おおきな論争ろんそうきています。

◆2000/10/14「保険ほけん会社かいしゃ遺伝子いでんし診断しんだん結果けっか利用りようみとめる=ハンチントンびょう対象たいしょうに−えい」『時事通信じじつうしん
 【ロンドン14にち時事じじえい保健ほけんしょう遺伝子いでんし保険ほけん委員いいんかいは13にち保険ほけん会社かいしゃ生命せいめい保険ほけん保険ほけんりょう設定せっていするさい加入かにゅうしゃおも遺伝いでんびょうであるハンチントンびょうにかかる危険きけんせい調しらべるため、遺伝子いでんし診断しんだん結果けっか利用りようすることをみとめると発表はっぴょうした。 保険ほけん会社かいしゃによる遺伝子いでんし診断しんだん結果けっか利用りよう解禁かいきんは、世界せかいはじめてとみられる。
 遺伝子いでんし診断しんだん陽性ようせいとなった加入かにゅう希望きぼうしゃは、保険ほけん契約けいやく拒否きょひされたり、たか保険ほけんりょう支払しはらいをもとめられる可能かのうせいがある。 消費しょうひしゃ団体だんたいなどは「遺伝子いでんしによる差別さべつおそれがある」と反発はんぱつしている。

◆2000/10/14「遺伝子いでんし診断しんだん利用りようみとめる ハンチントンびょう保険ほけん加入かにゅう」『共同通信きょうどうつうしん
【ロンドン13にち共同きょうどうえい保健ほけんしょう遺伝子いでんし保険ほけん委員いいんかいじゅうさんにち保険ほけん加入かにゅうしゃがハンチントンびょうにかかる危険きけんせい調しらべるために保険ほけん会社かいしゃ遺伝子いでんし診断しんだんみとめる、と発表はっぴょうした。
 今回こんかい決定けっていは、遺伝いでんびょう人々ひとびとへの保険ほけん契約けいやく拒否きょひ保険ほけんりょうげにつながるおそれがつよくなることを意味いみしており、 消費しょうひしゃ団体だんたいなどは「遺伝子いでんしによる差別さべつをつくりすものだ」と反発はんぱつしている。
 どう委員いいんかいのジョン・デュラント委員いいんちょうは「ハンチントンびょう遺伝子いでんし診断しんだん可能かのうになったこと。 また遺伝子いでんし発病はつびょう危険きけんせいっているひとが、保険ほけん請求せいきゅうをする可能かのうせい増大ぞうだいすることが証明しょうめいされたため」と、決定けってい理由りゆうべた。
 英紙えいしデーリー・メールによると、アルツハイマーびょう遺伝いでんせいにゅうがんなどなな種類しゅるい遺伝いでんびょうかんしても診断しんだん認可にんかもとめるうごきがている。 しかし、えい保健ほけんしょう当局とうきょくしゃは、今回こんかい決定けってい自動的じどうてき遺伝いでんびょうにも適用てきようされるものでない、と強調きょうちょうした。
 遺伝子いでんし診断しんだん保険ほけん加入かにゅう強制きょうせいされないが、診断しんだんけていた場合ばあい保険ほけん会社かいしゃ加入かにゅうたって提出ていしゅつもとめることができる。
 保険ほけん業界ぎょうかいは、家族かぞくにハンチントンびょうひとがいても、遺伝子いでんし診断しんだん問題もんだいがなければ、通常つうじょう保険ほけん料金りょうきん商品しょうひん提供ていきょうできるようにするものだとべ、理解りかいもとめた。
 ハンチントンびょう優性ゆうせい遺伝いでんびょうで、中年ちゅうねん以降いこう発病はつびょうするおも神経しんけい変性へんせい疾患しっかんいちきゅうきゅうさんねん原因げんいん遺伝子いでんしつかり、遺伝子いでんし診断しんだん可能かのうになった。(りょう

◆Thursday, 12 October, 2000, 11:28 GMT 12:28 UK BBC news(あらやく武藤むとう

 イギリスの保険ほけん会社かいしゃは、遺伝いでんせい疾患しっかん人々ひとびと区別くべつするために遺伝子いでんし検査けんさ結果けっか利用りよう可能かのうになる模様もよう。 イギリス政府せいふは、13にち現地げんち時間じかん)にも、致命ちめいてき疾患しっかんいた遺伝子いでんしをもってまれた人々ひとびとたいして、保険ほけん会社かいしゃ加入かにゅう謝絶しゃぜつしたり、 保険ほけんりょう値上ねあげできるよう遺伝子いでんし検査けんさ結果けっか利用りようできるようにする、と発表はっぴょうする。この決定けっていにより、イギリスは遺伝子いでんし技術ぎじゅつ商業しょうぎょう利用りようみとめた最初さいしょくにとなる。
 遺伝いでんがく保険ほけんかんする委員いいんかい (Genetics and Insurance Committee)という保健ほけんしょう諮問しもん機関きかんは、技術ぎじゅつめん信頼しんらいできるハンチントンびょうのような病気びょうきかんして、 保険ほけん会社かいしゃ遺伝いでんてきなリスクを同定どうていするために検査けんさ結果けっか情報じょうほう利用りようできるようにすべきとの結果けっかし、保健ほけんしょう諮問しもんしている。 遺伝いでんせいにゅうがんやアルツハイマーびょうふく複数ふくすう検査けんさも、条件じょうけんつきで同様どうよう承認しょうにんされる見通みとおしである。 2ねんまえに、べつ諮問しもん機関きかんである人類じんるい遺伝いでんがく諮問しもん委員いいんかい (Human Genetic Advosory Commission) は、遺伝子いでんし検査けんさもとづく情報じょうほう利用りようについて、 モラトリアム期間きかんつように提案ていあんしていた。
 しかし、政府せいふはその勧告かんこくれることなく、遺伝いでんがく保険ほけん検査けんさ技術ぎじゅつてき信頼しんらいせい担保たんぽする条件じょうけんで、保険ほけん会社かいしゃ検査けんさ結果けっか情報じょうほう利用りようするみちひらいた。 この発表はっぴょうは、遺伝いでん情報じょうほう利用りようかんする倫理りんりてき議論ぎろんてんけるのは間違まちがいない。ある評論ひょうろんは、当事とうじしゃ団体だんたいがローンの設定せってい生命せいめい保険ほけん加入かにゅうにおいて不利益ふりえきけたり、 高額こうがく保険ほけんりょうをつきつけられるなどの可能かのうせい指摘してきしているが、保険ほけん業界ぎょうかいとくにコメントしていない。
 ジョン・デュラン教授きょうじゅ遺伝いでんがく保険ほけん委員いいんかい座長ざちょう)は、BBCの取材しゅざいたいして、「当事とうじしゃが、保険ほけん会社かいしゃから遺伝子いでんし検査けんさけるようにすすめられることはないだろう。 むしろ当事とうじしゃは、過去かこけたハンチントンびょう遺伝子いでんし検査けんさ結果けっか公表こうひょうするようにもとめられるはずだ」とべている。 また「この決定けってい法的ほうてき拘束こうそくりょくたないが、保険ほけん会社かいしゃ顧客こきゃく仔細しさいあきらかにしない場合ばあい加入かにゅう謝絶しゃぜつする権利けんりつことになるだろう」とかたる。 「きわめてきびしい施策しさくへの第一歩だいいっぽではない。実際じっさいには、保険ほけん加入かにゅうもとめるじつおおくの人々ひとびと利益りえきけるはずだ。 ハンチントンびょう発症はっしょうぜん遺伝子いでんし検査けんさける人々ひとびとは、ハンチントンびょう家族かぞくれき人々ひとびとかぎられている。 そのうち、おおくの人々ひとびとは、さいわいにして遺伝子いでんしいでいないとの結果けっかている。 現在げんざい加入かにゅうめんでの差別さべつけているこうした人々ひとびとが、結果けっかかすことによって保険ほけん加入かにゅうできるのだから」。
 メアリー・フランシス(イギリス保険ほけんしゃ協会きょうかい代表だいひょう)によれば、保険ほけん会社かいしゃすで潜在せんざいてき顧客こきゃくたいして、病気びょうき家族かぞくれきたしかめたりしているという。 「この決定けっていは、実際じっさいこっていることの延長えんちょうぎません」。実際じっさいには、おおくの人々ひとびと実際じっさいには支払しはらえないような高額こうがく保険ほけんりょう要求ようきゅうされている。
 スー・ワトキン(イギリスハンチントン協会きょうかい代表だいひょう)も、保険ほけん会社かいしゃは、すで遺伝子いでんし検査けんさ結果けっか保険ほけんりょう算定さんてい加入かにゅう謝絶しゃぜつのために利用りようしているとかたる。 「わたしたちの一番いちばん心配しんぱいは、ばんはつせい遺伝いでんせい疾患しっかん発症はっしょうリスクにある人々ひとびとが、一般いっぱんてきなレベルよりもたか保険ほけんはいらなければならないというてんです。 いまのところ、おおくの人々ひとびと支払しはら能力のうりょくえた金額きんがく保険ほけんりょう要求ようきゅうされています」。
 ワトキンは、ハンチントンびょう発症はっしょうするリスクを50%っているひとは、通常つうじょう保険ほけんきんの300%を要求ようきゅうされていることおおいとはなす。 ワトキンは政府せいふたいして、発症はっしょうリスクを人々ひとびとのための保険ほけんとして利用りようできる資金しきん調達ちょうたつするように要求ようきゅうしている。
 消費しょうひしゃ協議きょうぎかい(National Consumer's Council)によれば、遺伝子いでんし検査けんさ結果けっかが、病気びょうき可能かのうせい同時どうじに、 自分じぶん健康けんこう管理かんりへの影響えいきょうまでもふくめてかえってくることをおそれ、検査けんさ受診じゅしん延期えんきするひとえるだろうという。 広報こうほうは、「『もし検査けんさければ、いまはわかっていない情報じょうほうることになってしまう。らないでいるほうとくだ』とかんがえるのは当然とうぜんでしょうね。 もしその情報じょうほうらないでいれば、保険ほけん加入かにゅう申込もうしこみしょ検査けんさ結果けっか記入きにゅうすることは無理むりなわけですから」。
 遺伝子いでんし技術ぎじゅつ利用りようかんして提言ていげんおこなっている、人類じんるい遺伝いでんがく諮問しもん委員いいんかいは、 「この政府せいふ決定けっていによって、遺伝いでん情報じょうほう利用りよう保護ほごについては、保険ほけん加入かにゅう問題もんだいふくめ、すぐに重要じゅうよう社会しゃかい問題もんだいとなるだろう」と指摘してきする。 だがその案件あんけんは、同委どういが2ねんまえ政府せいふ提案ていあんした勧告かんこく結果けっかとしてしょうじたものともいえる。

◆2000/10/12『毎日新聞まいにちしんぶん』(一部いちぶ引用いんよう
 12にちづけえい大衆たいしゅうデーリー・メールによると、えい政府せいふ保険ほけん会社かいしゃたいし、保険ほけん加入かにゅう希望きぼうしゃ遺伝いでんびょうっているかどうかを調しらべる遺伝子いでんし診断しんだんみとめることをめた。 13にち発表はっぴょうする。この結果けっか保険ほけん会社かいしゃは、遺伝いでんびょうひととの契約けいやく拒否きょひしたり保険ほけんりょうげたりすることができることになる。
 遺伝子いでんし情報じょうほう利用りよう保険ほけんのほか、長期ちょうきローンや雇用こようなどの契約けいやくさいにも差別さべつ可能かのうせいたかいとして世界せかいてき論議ろんぎんでいるが、 英国えいこく遺伝子いでんし技術ぎじゅつ商業しょうぎょうてき目的もくてきでの利用りようみとめる最初さいしょくにになる。
 同誌どうしによると、診断しんだんみとめられる最初さいしょ病気びょうきはハンチントン舞踏ぶとうびょう。 このほかアルツハイマーびょう遺伝いでんせいにゅうがんなど7種類しゅるい遺伝いでんびょう診断しんだん認可にんかうごきもすすんでいる。

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■リンク

The New Genetics
 by: Emily Kaltenbach and Colette Bina
 ここには以下いかのファイル※とうがリンクされています。
  ※ひとまずこのホームページないでリンクできますが(タイトルをクリック)
   リンクする(URLをクリック)のがよいでしょう。
◆Shelly Cummings 1996
 Genetic Testing and the Insurance Industry
 http://www.westpub.com/Educate/mathsci/insure.htm
Shelly Cummings briefly outlines issues regarding genetic testing and the insurance industry. She discusses the possibility of underwriting losses and escalating premiums due to genetic testing.(上記じょうき The New Genetics より)
◆Ray Moseley 199610 の紹介しょうかい
 Scholars Complete Study of Genetics and Insurance
 http://www.geneletter.org/1196/insurance.htm
 The Gene Letter posts this overview of a investigative study and assessment titled ; The Ethical, Legal, and Social Implications of Predictive Genetic Testing for Health, Life and Disability Insurance:Policy Analysis and Recommendations. (上記じょうき The New Genetics より)
◆Thomas H. Murray 199205
 Task Force on Genetics and Insurance
 Human Genome News, May 1992; 4(1)
  http://www.ornl.gov/TechResources/Human_Genome/publicat/hgn/v4n1/06insure.html
 This page examines a meeting set up by NIH-DOE Joint Working Group on Ethical, Legal, and Social Issues. It was established to discuss the impact of scientific and technological advances on the insurance industry's use of genetic information. The page provides both the insurance perspective, a well as concerns about discrimination.(上記じょうき The New Genetics より)
◆Shelly Cummings 1996
 Implementing a Preventive Ethics Strategy in the World of Preventive Medicine
 http://www.westpub.com/Educate/mathsci/02747516.htm
 This essay explores the idea that we must develop a preventative ethics approach in order to understand and prevent harmful effects of genetic testing and research. Do we take personal responsibility for our health and behavior even when it is due to genetics?(上記じょうき The New Genetics より)
◆Human Genome News, July-September 1996; 8:(1)
 Genetic Privacy and Property: Perspectives from Capitol Hill
  http://www.ornl.gov/TechResources/Human_Genome/publicat/hgn/v8n1/03capebi.html
 This site offers the scoop from the national level about privacy law, employment protection, and patenting issues.(上記じょうき The New Genetics より)
◆Human Genome News, Mar.-Apr. 1995; 6(6): 4
 Genetic Privacy Act Introduced
  http://www.ornl.gov/TechResources/Human_Genome/publicat/hgn/v6n6/4genetic.html
 Human Genome News, Mar.-Apr. 1995; 6(6): 4
 Although this was posted in Mar.-Apr. 1995, it is an important piece of a proposal for legislation regarding protection of genetic medical information. The authors hope this will be used as a guideline by professional societies and ultimately by the US Congress.(上記じょうき The New Genetics より)
◆Robert G. Resta 19??
 Genetic Counseling: Coping with the Human Impact of Genetic Disease
 http://www.gene.com/ae/AE/AEC/CC/counseling_background.html
 Access Excellence provides a great overview of the history of genetic counseling and its present role in "new genetics".(上記じょうき The New Genetics より)
◆Darryl R. J. Macer, Ph.D. 1990
 Shaping Genes: Ethics, Law and Science of Using New Genetic Technology in Medicine and Agriculture
 http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~macer/SG1.html

 The revolution has begun! Biotechnology and biomedicine are at the forefront of major advances in medical science and agriculture. Darryl Macer, Ph.D. raises ethical questions in regard to this issue and how the public is responding to the "gene scare".(上記じょうき The New Genetics より)
HHMI's Genetics Program
 http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~macer/SG1.html
 This essay pulls together the importance of the new genetics on biological processes. It explores the relationship between the new genetic's research methodology with common genetic diseases as well as those not commonly thought of as genetic. (上記じょうき The New Genetics より)
◆Genetic Testing and Gene Therapy: What They Mean to You and Your Family
 http://noah.cuny.edu/pregnancy/march_of_dimes/genetics /genetest.html
 New York Online Access to Health (NOAH) is a site designed for the consumer to provide accurate and unbiased health information. This particular page, with help from the March of Dimes, questions the impact of genetic testing and therapy in the context of pregnancy. (上記じょうき The New Genetics より)
◆Science Policy Forum
http://www.edoc.com/aaas/policy/
 This site has several article from science magazine that address issues surrounding both the Human Genome Project and Genetic Discrimination. You can respond directly to this site with your own comments on the articles.(上記じょうき The New Genetics より)

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