昨年(2001年)、とあるところである大学院生の相談を受けた。沖縄にフィールドワークに行ってみたのだが、なかなか…、という。どういうきっかけで?と聞くと、F・ガタリ他『精神の管理社会をどう超えるか?』(松籟社、2000年、290p.、2800円)を読んで、という。(そのときにはこの本を読んでなくて、後で注文して読んだ。山本真理さんが[jsds:6853]で紹介されていた「すべての些細な事柄」というドキュメンタリー映画の舞台にもなったラボルド精神病院のことが主には書いてある本で、おもしろい本です。ここに「沖縄/精神医療と文化」という題の高江洲義英へのインタビューが収録されている。ところで上記の「べてるの家」で作られているビデオは「ベリー・オーディナリー・ピープル」というのだが、なにやら、「すべての些細な事柄 La moindre des choses」という題も、それに通じるものがあるようにも思う……どちらも見てません。)さてそのことはそれとして、いろいろと話していくと、(そういうことを調べようという人にとっては)基礎知識として知っておいてよいのでは思えることを知らされていないようだった。考えてみれば、情報源がなかなかないから(つかんでしまえば芋づる式にぞろぞろ出てくるのだが)そういうものかもしれない。それを論文にするかどうかは別として、やはり知っておいてよいのではなかろうかと、あるいは修士論文ということであれば、沖縄の精神医療の特質なんていう難しい主題に(なかなかそちらに行って調べることも難しい中で)取り組む以前に、知っておいてよい&調べれば調べられる近年の歴史をとりあえずまとめても立派な論文になるのではないかというようなことを言ったと思う(上記の本にも三脇康生「精神医療の再政治化のために」という、この主題に関係する文章が実は収録されている)。