【中国ちゅうごく】日本人にっぽんじん刺傷ししょう事件じけんで反日はんにち動画どうがを削除さくじょした“意外いがい”裏うらに「習近平たいらの動揺どうよう」

　多おおくの日本にっぽん企業きぎょうが進出しんしゅつする中国ちゅうごく・蘇州そしゅうで6月がつ下旬げじゅん、日本人にっぽんじんの母親ははおやと子供こどもの2人ふたりが中国人ちゅうごくじんの男おとこにナイフで刺さされて負傷ふしょうし、中国人ちゅうごくじん女性じょせいが死亡しぼうする痛いたましい事件じけんが発生はっせいした。4月にも蘇州そしゅうにある日本にっぽん料理りょうり店てんが集あつまる繁華はんか街がいで日本人にっぽんじんの男性だんせいが見知みしらぬ男おとこにナイフで刺さされる事件じけんが起おこっており、中国ちゅうごくに在住ざいじゅうする日本人にっぽんじんの間あいだでは動揺どうようと不安ふあんが広ひろがっている。

　6月の事件じけんで亡なくなった中国人ちゅうごくじん女性じょせいに対たいする哀悼あいとうの意いがあちらこちらで示しめされる一方いっぽう、中国ちゅうごく国内こくないのネット上じょうでは同どう女性じょせいや日本人にっぽんじん学校がっこうなどをバッシングする反日はんにち的てきな動画どうがやメッセージが配信はいしんされている。発信はっしんしている多おおくは若者わかものたちだが、近年きんねん、中国ちゅうごくの経済けいざい成長せいちょう率りつは鈍化どんかし、不動産ふどうさんバブルが崩壊ほうかい、若年じゃくねん層そうの高たかい失業しつぎょう率りつが続つづくなど、若者わかものの間あいだでは経済けいざい的てき、社会しゃかい的てきな不満ふまんが膨ふくれ上あがっている。反日はんにち的てきな投稿とうこうの多おおくはそういった不満ふまんの腹はらいせとも言いえるだろう。しかし、中国ちゅうごく当局とうきょくはその反日はんにち的てきな動画どうがなどを削除さくじょし、抑おさえ込こもうとしている。

　その背景はいけいにあるのは、外資がいしの中国ちゅうごく離ばなれだ。中国ちゅうごくはこれまで「世界せかいの工場こうじょう」として多おおくの外資がいしを国内こくないに誘致ゆうちし、それによって国力こくりょくを付つけてきたが、近年きんねんは改正かいせい反はんスパイ法ほうの施行しこうなど政府せいふによる国家こっか統制とうせいが強化きょうかされていることに外資がいし企業きぎょうは強つよい懸念けねんを抱だいており、実際じっさい、諸しょ外国がいこくの対たい中ちゅう投資とうし額がくは減少げんしょう傾向けいこうにある。外資がいしの中国ちゅうごく離ばなれが今後こんご加速かそくすれば、中国ちゅうごく経済けいざいのさらなる減速げんそく・減退げんたいは避さけられず、それは若者わかものの雇用こようを圧迫あっぱくすることになる。今日きょう、習近平ひら政権せいけんが最もっとも警戒けいかいしているのは米国べいこくでも台湾たいわんでもなく、国民こくみんの怒いかりと不満ふまんが共産党きょうさんとう政権せいけんに向むけられることであり、何なにが何なんでも外資がいしの中国ちゅうごく離ばなれを抑おさえ込こむ必要ひつようがあるのだ。

　日本人にっぽんじんという“外国がいこく人じん”が巻まき込こまれる殺傷さっしょう事件じけんで反日はんにち的てきな流ながれが社会しゃかいに広ひろがり、政府せいふがそれを放置ほうちしていれば、他国たこくは“やはり中国ちゅうごくはそういった国くにだ”と改あらためて認識にんしきし、中国ちゅうごくへの警戒けいかい感かんを強つよめることに疑うたがいの余地よちはない。今回こんかいの蘇州そしゅうにおける事件じけんは在中ざいちゅう邦人ほうじんの安全あんぜんをいかに守まもるかという課題かだいを我々われわれに突つき付つけた一方いっぽう、習政権けんの焦あせりや動揺どうようというものも見みえ隠かくれするのである。

（北島きたじま豊ゆたか）