コメダの豹変ひょうへん…従来じゅうらい戦略せんりゃくを全ぜん否定ひていの仰天ぎょうてんの新しん店舗てんぽ　スムージーや「クロ」ノワールも

コメダ珈琲こーひー店てん 渋谷しぶや宮みや益えき坂上さかがみ店てんの外観がいかん

「現象げんしょうの裏うらにある本質ほんしつを描えがく」をモットーに、「企業きぎょう経営けいえい」「ビジネス現場げんばとヒト」をテーマにした企画きかくや著作ちょさくも多数たすうある経済けいざいジャーナリスト・経営けいえいコンサルタントの高井たかい尚之なおゆき氏しが、経営けいえい側がわだけでなく、商品しょうひんの製作せいさく現場げんばレベルの視点してんを織おり交まぜて人気にんき商品しょうひんの裏側うらがわを解説かいせつする。

　7月がつ15日にち、東京とうきょう・渋谷しぶや駅前えきまえの宮みや益えき坂ざかを上あがったところに、「コメダ珈琲こーひー店てん 渋谷しぶや宮みや益えき坂上さかがみ店てん」がオープンした。「あくまで実験じっけん店舗てんぽとしての位置いちづけ」（同社どうしゃ）であり、ニュースリリースなども配信はいしんされなかったので、今いまのところ詳くわしく紹介しょうかいするメディアもないようだ。

　だが、この店みせは今いままでのコメダとは違ちがう、新あらたな取とり組くみもいくつかある。そこでコメダの今後こんごを占うらなう話題わだいのひとつとして紹介しょうかいしてみたい。

コメダ初はつ、サイフォンを導入どうにゅう

店みせの入口いりくち

　渋谷しぶや宮みや益えき坂上さかがみ店てんは、「実験じっけん店舗てんぽ」と位置いちづけるだけあって、これまでの同店どうてんとは異ことなる手法しゅほうも導入どうにゅうした。象徴しょうちょう的てきなのは次つぎの3つだ。

（1）「サイフォンで淹いれるコーヒー」を導入どうにゅう

　従来じゅうらいのコメダ珈琲こーひー店てんでは、「いつも同おなじ味あじのコーヒーを楽たのしめる安心あんしん感かん」を掲かかげていた。そのためコーヒーは店舗てんぽで抽出ちゅうしゅつするのではなく、コーヒー専用せんよう工場こうじょうで抽出ちゅうしゅつしたコーヒーを冷却れいきゃくして各店かくてんに配送はいそう。店舗てんぽでは温度おんど管理かんりを徹底てっていして最さい適温てきおんでお客きゃくさんに提供ていきょうしている。

　渋谷しぶや宮みや益えき坂上さかがみ店てんの「ブレンドコーヒー」（税込ぜいこみ550円えん）は従来じゅうらいと同おなじだが、新あらたに「コメ黒くろ」（同どう650円えん）、「ブラジル サンジョゼ農園のうえん」（同どう880円えん）、「エチオピア モカ」（同どう720円えん）といったオリジナルコーヒーをメニューに取とり入いれた。これらのコーヒーは、注文ちゅうもんを受うけてから一いち杯はいずつサイフォンで淹いれるもので、コーヒー通どおりに向むけた訴求そきゅうだ。

（2）冷つめたいドリンクでは「スムージー」を導入どうにゅう

　また、「緑みどり野菜やさいと果実かじつ」「オレンジと人参にんじん」（いずれも同どう670円えん）、「マンゴーと黄き野菜やさい」（同どう690円えん）の3種類しゅるいのスムージーもメニューに加くわわった。こちらは女性じょせい客きゃくを意識いしきした訴求そきゅうだ。

　女性じょせいがカフェの常連じょうれん客きゃくとなって以来いらい、夏なつの定番ていばんとなったスムージーは、凍こおらせた果物くだものや野菜やさいをミキサーでドリンク状じょうにするもので、特とくにグリーンスムージー（生なまの緑みどりの葉は野菜やさいとフルーツと水みずでつくるのが一般いっぱん的てき）は季き節ぶしを問とわない人気にんき商品しょうひんとなり、専門せんもん店てんも増ふえた。欧州おうしゅう流りゅうのスムージーは果物くだものや野菜やさいと水みずを使つかい、米国べいこく流りゅうスムージーはこれに乳製品にゅうせいひんを加くわえることが多おおいと聞きく。その意味いみで、コメダのスムージーは米国べいこく流りゅうだ。

　それにしても「昭和しょうわ型がた喫茶店きっさてん」として人気にんきを高たかめてきたコメダが、平成へいせい型がたカフェの人気にんき商品しょうひんであるスムージーを取とり入いれたのは意外いがいだった。

店内てんないのカウンター席せき

（3）周囲しゅういを広ひろめにとったカウンター席せきを設置せっち

　コメダの特徴とくちょうのひとつは間あいだ仕切じきりのある座席ざせきだが、渋谷しぶや宮みや益えき坂上さかがみ店てんの座席ざせきレイアウトは少すこし趣おもむきが違ちがう。1階かいと2階かい合あわせて全ぜん71席せきのうち、カウンター席せきが19席せきもあるのだ。