ヒロミが更年期こうねんき障害しょうがいを告白こくはくし話題わだい…男性だんせいの更年期こうねんき障害しょうがい、どう判断はんだん？

　タレントのヒロミ（57）が、6月14日にち放送ほうそうの情報じょうほう番組ばんぐみ『スッキリ』（日本にほんテレビ系けい）に出演しゅつえんして男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいの症状しょうじょうがあることを明あかし、話題わだいになっている。

　男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいは、働はたらき盛ざかりの40～50 代だいの男性だんせいに現あらわれやすく、不眠ふみんや気力きりょく低下ていか、体力たいりょく低下ていかを訴うったえる人ひとが増ふえている。しかし、治療ちりょうによって苦痛くつうを軽減けいげんすることができるにもかかわらず、男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいは、いまだに広ひろく知しられていない。男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいに詳くわしい池袋いけぶくろ消化しょうか器き内科ないか・泌尿器ひにょうき科かクリニック理事りじ長ちょうの伊勢いせ呂りょ哲也てつや医師いしに話はなしを聞きいた。

「以前いぜんは、更年期こうねんき障害しょうがいは女性じょせいのものだと考かんがえられていましたが、最近さいきんでは男性だんせいにも更年期こうねんき障害しょうがいがあることがわかっており、実際じっさいに当とうクリニックにも男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいの相談そうだんに訪おとずれる患者かんじゃ様さまが増ふえています。しかし、社会しゃかい全体ぜんたいで見みると、まだまだ男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいの認知にんち度どは低ひくく、知しらないが故ゆえに不調ふちょうの原因げんいんに気きづかず、適切てきせつな治療ちりょうができずに悩なやみを抱かかえている方ほうも多おおい現状げんじょうにあります」

　症状しょうじょうが現あらわれてもすぐには気きづかず無理むりをしてしまい、症状しょうじょうを悪化あっかさせてしまうケースも少すくなくないという。

「男性だんせいホルモン（テストステロン）が低下ていかして起おこる様々さまざまな症状しょうじょうのことを、男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいといいます。男性だんせいホルモンは、第だい二に次じ性徴せいちょう期き（思春期ししゅんき頃ごろの成長せいちょう）の成長せいちょうを促うながし、筋肉きんにくやがっちりとした骨格こっかくをつくり、声変こえがわり、ヒゲが濃こくなるなど『男おとこらしさ』をつくるために重要じゅうような性せいホルモンであり、成人せいじん男性だんせいにとっては性欲せいよくを起おこさせ勃起ぼっきを促うながす働はたらきがあります」

　テストステロンは、男性だんせいにとって気力きりょく、活力かつりょくなどにも深ふかく関かかわっているが、加か齢よわいに伴ともない減少げんしょうする傾向けいこうにある。

「男性だんせいホルモンの分泌ぶんぴつは、10代から20代だいがピークであり、その後ごは年齢ねんれいと共ともに減少げんしょうしていきます。一般いっぱん的てきに40代だい以降いこうになると急激きゅうげきに減少げんしょうする傾向けいこうにあり、活力かつりょくと性せい機能きのうが低下ていかし、日常にちじょう生活せいかつに大おおきな影響えいきょうを与あたえることになり、男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいを引ひき起おこします」

男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいで性格せいかくまで変かわることも

「男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいの症状しょうじょうは、“心身しんしんともになんとなく不調ふちょう”といった不定ふてい愁訴しゅうそがほとんどですが、ひどい方ほうになると物忘ものわすれが激はげしくなったり、イライラしたり、怒いかりっぽくなったり、性欲せいよく低下ていか、勃起ぼっき不全ふぜん、睡眠すいみん障害しょうがいなどの症状しょうじょうが強つよく現あらわれ、性格せいかくが変かわったようになってしまう方ほうもいらっしゃいます」

　しかし、これらは精神せいしん疾患しっかんや外的がいてき要因よういんのストレスでも起おこりうる症状しょうじょうであり、一概いちがいにすべてが男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいであると診断しんだんすることはリスキーで、男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいを疑うたがった場合ばあいには、「男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいの検査けんさ」を行おこなうのが一般いっぱん的てきだという。

　伊勢いせ呂りょ医師いしは、男性だんせい更年期こうねんきの診断しんだんの際さい、患者かんじゃの状態じょうたいを把握はあくするために、「問診もんしん」を丁寧ていねいに行いっているという。

「いつから、どのような症状しょうじょうがあるかなどの自覚じかく症状しょうじょうを、具体ぐたい的てきにヒアリングします。男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいにみられる症状しょうじょうがどれくらいあるかを評価ひょうかするためのアンケートを行おこない、診断しんだんの参考さんこうにします。アンケートは点数てんすうで評価ひょうかできます。もちろん、この点数てんすうだけで診断しんだんすることは難むずかしく、血液けつえき検査けんさを行おこないテストステロンの量りょうを調しらべることが必要ひつようとなります。年齢ねんれいによってテストステロン値ちの正常せいじょう値ちは異ことなりますが、基本きほん的てきには8.5pg/ml以下いかであると男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいの疑うたがいが強つよまります」

　実際じっさいに診察しんさつで使用しようされるチェック項目こうもくは、以下いかの通とおりだ。ぜひ、読者どくしゃ諸氏しょしもセフルチェックしてみてはいかがだろうか。

【チェック項目こうもく】
1.　総合そうごう的てきに調子ちょうしがよろしくない
2.　関節かんせつ痛つう、筋肉きんにく痛つう
3.　発汗はっかん
4.　睡眠すいみん障害しょうがい
5.　しばしば疲つかれを感かんじる
6.　いらいらすることがある
7.　神経質しんけいしつになる
8.　不安ふあん感かんがある
9.　からだの疲労ひろうや行動こうどう力りょくの減退げんたい
10.　筋力きんりょく低下ていか
11.　憂鬱ゆううつな気分きぶんになる
12.　「絶頂ぜっちょう期きは過すぎた」と感かんじる
13.　力尽ちからつきた、どん底ぞこにいると感かんじる
14.　ひげの伸のびが遅おそい
15.　性的せいてき能力のうりょくの衰おとろえを感かんじる
16.　早朝そうちょう勃起ぼっきの回数かいすうの減少げんしょう
17.　性欲せいよくの低下ていか

　上記じょうき17項目こうもくについて、それぞれ「なし」1点てん、「軽かるい」2点てん、「中等ちゅうとう度ど」3点てん、「重おもい」4点てん、「非常ひじょうに重おもい」5点てんとし、合計ごうけい点てんが26点てん以下いかは男性だんせい更年期こうねんきの可能かのう性せいは低ひくいが、27〜36点てんは軽症けいしょう、37〜49点てんは中等ちゅうとう症しょう、50点てん以上いじょうは重症じゅうしょうと考かんがえられるため、早期そうきに受診じゅしんするようお勧すすめする。

男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいの治療ちりょう

「男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいの治療ちりょうは、ホルモン補充ほじゅう療法りょうほう、男性だんせいホルモンを配合はいごうした塗ぬり薬ぐすり、漢方薬かんぽうやくによる治療ちりょうを症状しょうじょうに応おうじて行おこないます」

　不眠ふみんや気分きぶんの落おち込こみがあることから精神せいしん科かを受診じゅしんしたのち、睡眠すいみん導入どうにゅう剤ざいや向こう精神せいしん薬やくを服用ふくようしたもの、症状しょうじょうが改善かいぜんするどころか薬くすりなしでは眠ねむれない、鬱うつ症状しょうじょうが悪化あっかしてしまった、といったケースなどもある。

「男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいは、治療ちりょうによって症状しょうじょうを軽減けいげんし、それまでと変かわらぬ日常にちじょう生活せいかつを送おくることが可能かのうです。我慢がまんせず、少すこしでも不調ふちょうを感かんじるという男性だんせいは、お近ちかくの泌尿器ひにょうき科かやメンズヘルス外来がいらいを受診じゅしんすることをお勧すすめします。更年期こうねんき障害しょうがいのつらさは、なったひとしかわからないものであり、社会しゃかいが男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいについて理解りかいを深ふかめることも必要ひつようだと思おもいます」

　40～50代だいとなって原因げんいん不明ふめいの不調ふちょうを感かんじるという男性だんせいは、男性だんせい更年期こうねんき障害しょうがいを疑うたがい、一度いちど受診じゅしんするべきだろう。

（文ぶん＝吉澤よしざわ恵理えり／薬剤師やくざいし、医療いりょうジャーナリスト）