六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみ分裂ぶんれつ騒動そうどうの煽あおりを受うけて分裂ぶんれつした「七なな代目だいめ会津小鉄あいづこてつ会かい」が一本いっぽん化かか？

　六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみの分裂ぶんれつ問題もんだいは、他たの有力ゆうりょく団体だんたいにまで波及はきゅうしてきた。つまり六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみを支持しじするか、それとも神戸こうべ山口組やまぐちぐみを支持しじするか、はたまた干渉かんしょうしないのかという選択せんたくが他た団体だんたいにも求もとめられてきたのだ。中なかでも、こうした影響えいきょうを大おおきく受うけたのが、京都きょうとに本拠地ほんきょちを置おく会津小鉄あいづこてつ会かいといえるだろう。

　六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみ分裂ぶんれつ時じ、会津小鉄あいづこてつ会かいは六ろく代目だいめ体制たいせいで、馬場ばば美よし次じ会長かいちょう（現在げんざいは引退いんたい）がトップとして組織そしき運営うんえいが行おこなわれていたのだ。その六ろく代目だいめ会津小鉄あいづこてつ会かいの後見こうけんを務つとめていたのが、六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみ・髙山清司せいじ若わか頭あたまだった。この関係かんけい性せいから見みれば、六ろく代目だいめ会津小鉄あいづこてつ会かいはこれまで同様どうように、六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみを支持しじする側がわになるはずだった。しかし、そう簡単かんたんに割わり切きれない背景はいけいも存在そんざいしていた。

　馬場ばば会長かいちょうが、神戸こうべ山口組やまぐちぐみの井上いのうえ邦雄くにお組長くみちょうとも友好ゆうこう的てきな関係かんけいにあったからだ。かつ、後見人こうけんにんを務つとめていた髙山若わか頭あたまは当時とうじ、府中ふちゅう刑務所けいむしょに収監しゅうかんされていた。そうした中なか、2017年ねんに馬場ばば会長かいちょうが引退いんたいを表明ひょうめいすることになる。

　引退いんたい表明ひょうめいの席上せきじょうには、髙山若わか頭あたまの出身しゅっしん母体ぼたいである六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみの中核ちゅうかく組織そしき、三さん代目だいめ弘道こうどう会かいの最高さいこう幹部かんぶらも同席どうせき。次つぎの会長かいちょうには、若わか頭あたまを務つとめていた原田はらだ昇のぼる・心こころ誠まこと会かい会長かいちょうが就任しゅうにんすることが内定ないていしたかと思おもわれていた。現げんにその方向ほうこうで調整ちょうせいが進すすめられており、馬場ばば元もと会長かいちょうも一旦いったんはそれを承諾しょうだくしたと見みられていたのだ。

　しかし突如とつじょ、馬場ばば元もと会長かいちょうは原田はらだ会長かいちょうに対たいして絶縁ぜつえんを告つげ、その処分しょぶん状じょうの内容ないようを関係かんけい先さきへと送付そうふしたのだった。

　これに端はしを発はっして、会津小鉄あいづこてつ会かい本部ほんぶをめぐり、六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみ、神戸こうべ山口組やまぐちぐみともに逮捕たいほ者しゃを出だすほどの衝突しょうとつ事件じけんが起おこるのである（参考さんこう記事きじ「『会津小鉄あいづこてつ会かいの乱らん』に端はしを発はっした当局とうきょくの揺ゆさぶりが本格ほんかく化かへ」）

 「六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみサイドが原田はらだ会長かいちょう側がわを、神戸こうべ山口組やまぐちぐみサイドが馬場ばば元もと会長かいちょう側がわを支持しじする構図こうずになり、2つの“七なな代目だいめ会津小鉄あいづこてつ会かい”が誕生たんじょうするんです。ひとつは、三さん代目だいめ弘道こうどう会かい・竹内たけうち照明てるあき会長かいちょうが後見人こうけんにんになったもの。こちらの七なな代目だいめには、原田はらだ会長かいちょうが就任しゅうにんしました。もうひとつのには、原田はらだ会長かいちょうの後任こうにんとして若わか頭あたまになった四よん代目だいめいろは会かいの金子かねこ利典としのり会長かいちょうが七なな代目だいめとして就任しゅうにんしたんです。ただ、あまり知しられていませんでしたが、原田はらだ会長かいちょう派はの七なな代目だいめ会津小鉄あいづこてつ会かいは厳密げんみつにいうと指定してい暴力団ぼうりょくだんには指定していされていませんでした。当局とうきょくは、馬場ばば元もと会長かいちょうの流ながれをくむ金子かねこ会長かいちょう派はの会津小鉄あいづこてつ会かいを引ひき続つづき指定してい暴力団ぼうりょくだんに指定していしていたため、原田はらだ会長かいちょう派はの七なな代目だいめ会津小鉄あいづこてつ会かいは指定していされずにいたんです」

　こうして、六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみ分裂ぶんれつの波紋はもんを受うける形かたちで誕生たんじょうした2人ふたりの七なな代目だいめ会津小鉄あいづこてつ会かいだが、ここに来きて、組織そしきの一本いっぽん化かに向むけての調整ちょうせいが進すすんでいるのではないかというのだ。

 「現実味げんじつみは十分じゅうぶんにある話はなしではないか。袂たもとを分わけたといえども、そもそもは互たがいに特別とくべついがみあっていた関係かんけい性せいにはない。現げんにその後ご、六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみと神戸こうべ山口組やまぐちぐみの対立たいりつのような抗こう争そう事件じけんも起おきていない。そこに来きて、山口組やまぐちぐみの分裂ぶんれつ問題もんだいが峠とうげを越こえ、平坦へいたんになりつつあり、業界ぎょうかい全体ぜんたいとしても原点げんてんに戻もどろうという風潮ふうちょうになってきている。つまり、一度いちど交かわした盃さかずきこそ最さい重要じゅうよう視しするという、ヤクザとしての秩序ちつじょを取とり戻もどそうというものだ」（業界ぎょうかい関係かんけい者しゃ）

　この一本いっぽん化かについては、今いまのところさまざまな情報じょうほうが錯綜さくそうしており、実際じっさいにどのような人事じんじや運営うんえい体制たいせいになるかなど、不透明ふとうめいな面めんはある。だがこの関係かんけい者しゃの言葉ことばにもあるように、六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみの分裂ぶんれつ問題もんだいが終焉しゅうえんに向むかっていると同時どうじに、業界ぎょうかい全体ぜんたいも乱みだれた秩序ちつじょを回復かいふくさせる動うごきになり始はじめているといえるのではないだろうか。

　そうした中なかで直面ちょくめんしているのが、日本にっぽんだけでなく世界せかい各国かっこくで猛威もういを振ふるコロナである。関東かんとうの組織そしきは緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん下かの現在げんざい、軒並のきなみ公式こうしき的てきな行事ぎょうじを休止きゅうしさせており、六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみにおいても会合かいごうなどを取とり止やめる措置そちをとっているようだ。

　コロナ問題もんだいは、ヤクザ業界ぎょうかいに対たいしてもさまざまな形かたちで影響えいきょうを及およぼしているといえるだろう。それと同時どうじに、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが解除かいじょされ、コロナが下火したびになれば、六ろく代目だいめ山口組やまぐちぐみの分裂ぶんれつ問題もんだいも最終さいしゅう局面きょくめんを迎むかえる可能かのう性せいがあるのではないか。