碓井うすい将すすむ大だい「僕ぼくらの『炎ほのお神しん戦隊せんたいゴーオンジャー』は、荒木あらきさんたちの『獣しし拳けん戦隊せんたいゲキレンジャー』の1年ねん後ごだったんです。なので、荒木あらきさんとは、映画えいがで一緒いっしょになりましたよね」
荒木あらき宏文ひろふみ「僕ぼくらが『獣しし拳けん戦隊せんたいゲキレンジャー』を撮とりきる前まえに、碓井うすいたちの撮影さつえいも始はじまっていたから、その頃ころは重かさなっている時期じきもあったよね。制作せいさく会社かいしゃもスタッフも一緒いっしょだったこともあり、僕ぼくらと碓井うすいたちの食事しょくじ会かいを開ひらいていただいたこともあって」
碓井うすい「そう。僕ぼくらの世代せだいは全体ぜんたい的てきに若わかいこともあって、いろいろわからないことも多おおかったから」
荒木あらき「僕ぼくらは全員ぜんいん二に十じゅう歳さい超こえていたけど、碓井うすいたちは未成年みせいねんが多おおいから、夕方ゆうがたぐらいに食事しょくじ会かいをしようって企画きかくしてくださって。あれ？ でも、そのとき碓井うすいは、来こられなかったんだよね？（笑）」
碓井うすい「そうなんです。参加さんかしようと思おもっていたんですが学校がっこうがあって。撮影さつえいが始はじまったとき、僕ぼく、まだ15歳さいだったんです。荒木あらきさんにはよく、東映とうえい撮影さつえい所しょの休憩きゅうけい所しょでコーヒー買かってもらっていましたね。『おはようございます』って挨拶あいさつすると、ズッキー（鈴木すずき裕樹ゆうき）さんか、荒木あらきさんが『何なに飲のむ？』って、いつも何なにかおごってくれた思おもい出でがあります」

荒木あらき「でも、接触せっしょくって言いったら、それぐらいだったよね。ちゃんと話はなすようになったのは、D-BOYS STAGE 10th『淋さびしいマグネット』（2012年ねん）のときかな」
碓井うすい「そうですね。お互たがい音楽おんがくが好すきだったということもあって、『こういう音楽おんがくが好すき』っていう話はなしをしたり」
荒木あらき「英語えいごとか、海外かいがいのことにお互たがい興味きょうみがあったから、そういう情報じょうほう交換こうかんをしていました」

碓井うすい「僕ぼくからすると荒木あらきさんは本ほん（台本だいほん）が入はいるの、すごい早はやい感かんじがする」
荒木あらき「え、そう!?　全然ぜんぜん入はいらないよ（笑）」
碓井うすい「『淋さびしいマグネット』のときの話はなしなんですが、瀬戸せとさんと荒木あらきさんは、早はやかったイメージがある」
荒木あらき「瀬戸せとは早はやいね。すぐ覚おぼえる。でも、『淋さびしいマグネット』は独特どくとくだったからなぁ。なかなか台詞せりふが入はいらなかったんだよね。入はいらない理由りゆうは、感情かんじょう的てきになっているから、言いっていることが支離滅裂しりめつれつで、文章ぶんしょうがぐちゃぐちゃになっている台詞ぜりふだったから。理屈りくつが通とおってないから、全然ぜんぜん覚おぼえられなくて苦戦くせんした記憶きおくがある」

碓井うすい「パッと言葉ことばが出でてこないことがあって、それで怒おこられたりしていました」
荒木あらき「感情かんじょうが高たかぶってるせいで、トゲのあるい方いかたになってしまうって、人ひととしては、よくあることなんだけどね。気持きもちと言葉ことばが合あってないことは、リアルではあり得えることなんだけど、文章ぶんしょうとして成なりたないようなことをそのまま覚おぼえるは、すごく難むずかしかった。当時とうじ、演出えんしゅつの茅野ちの（イサム）さんに、『覚おぼえるってことの基準きじゅんは、言いわれたことをやりながらでも、いつでもその言葉ことばが出でてくる状態じょうたいになることだ』って言いわれたのを覚おぼえていますね。目めを閉とじてボソボソって台詞せりふを言いえるだけじゃなくて、ほかのことをやらされながらもその言葉ことばがサラっと出でてくるようにならないとダメだと。まずそこをクリアしないと演出えんしゅつがつかないから、それが本当ほんとうに大変たいへんだった。ダブルキャスト、同おなじ役やくがいることで比くらべられる事ことに対たいしても妙みょうに緊張きんちょうがあったし（笑）」
碓井うすい「僕ぼくは遠藤えんどうくんと一緒いっしょの役やくだったんですよね。僕ぼくらの若手わかてチーム（Blues）のほうがぜんぜん組くみあがらないから、稽古けいこに時間じかんかかっていて」
荒木あらき「そう。それで若手わかてチームが稽古けいこ場じょうを使つかっているときは、僕ぼくら大人おとなチーム（Reds）は休憩きゅうけい所しょに集あつまって、誰だれかが台詞せりふをぼそっと言いったら、そこに合あわせて掛かけ合あっていくっていう練習れんしゅうをしていましたね（笑）」
碓井うすい「しかも、全ぜん役やくダブルキャスト、4バージョンで上演じょうえんだったけど、若手わかてと大人おとなチーム混合こんごうの『Whites』、『Purples』ってほとんど芝居しばい合あわせてない状態じょうたいだったんですよね。今いま考かんがえると、すごく怖こわいことだなって思おもいます。だって、劇場げきじょう、Bunkamuraシアターコクーンだったんですよ!? そうそうたる演目えんもくを上演じょうえんしている劇場げきじょうじゃないですか。当時とうじは、そのすごさがわからなかったんですよね」

荒木あらき「碓井うすいは役者やくしゃとして、自分じぶんの中なかでのプランがちゃんとあって、芯しんを持もって芝居しばいをしているなっていう印象いんしょうです。頭あたまがいいからこそ頭あたまでっかちになっていることもあったり、一生懸命いっしょうけんめい、器用きようにやろうとしていることもあったけど、本質ほんしつは不器用ぶきようなほうだよね。上手うまく歯車はぐるまが噛かみ合あってなくて、時間じかんがかかっていたりもするけど、それ以上いじょうにアツいものを持もっているから、いろんな先輩せんぱいの役者やくしゃさんたちに可愛かわいがってもらえるんだと思おもう。役者やくしゃとしての人柄ひとがらが魅力みりょく的てきだから。僕ぼくらは、まったく違ちがうタイプの作品さくひんに出でているから、重かさなることって、なかなかないけどね」
碓井うすい「荒木あらきさんが最近さいきんよく出でている“2.5次元じげん舞台ぶたい”というジャンルの勢いきおいがすごいですけど、荒木あらきさんは、どんな風ふうに捉とらえているんですか？」
荒木あらき「商業しょうぎょうとして成なり立たちやすいっていうのは、あると思おもうよ。とはいっても、演劇えんげきということにこだわりを持もって作つくっている作品さくひんが決けっして廃すたれているわけじゃない。“舞台ぶたいを観みる”という文化ぶんかは、まだまだ日本にっぽんでは敷居しきいが高たかく、娯楽ごらくとして広ひろく浸透しんとうしていないっていうのがある。でも、2.5次元じげんの作品さくひんは、マンガやアニメ、ゲームといった、身近みぢかなものを具現ぐげん化かしてショー的てきに見みせているから、アイドルとかを追おいかける感覚かんかくで気軽きがるに観かんに行いける面めんを持もっていると思おもっていて。だから、“劇場げきじょうに足あしを運はこぶ”という文化ぶんかを広ひろめるという役割やくわり的てきには、すごくいいきっかけになっていると思おもうんだよ」

荒木あらき「コンサートに近ちかい感覚かんかくで、“行いってみようかな”って、同おなじ作品さくひんが好すきな友ともだちと一緒いっしょに行いけたりする。そういう感覚かんかくを身みにつけてもらうには、すごくいい流ながれなんじゃないかな。実際じっさい、劇場げきじょうが減少げんしょうしていっている中なかで、ディープでクオリティが高たかく、こだわりの強つよい作品さくひんを提示ていじしていくのも間違まちがいではないけど、お客きゃくさんのニーズに合あったものを作つくって、社会しゃかい現象げんしょうになるまで浸透しんとうさせるやり方かたもある。そういう意味いみでは、僕ぼくは2.5次元じげん作品さくひんをやる意義いぎは大おおきいと思おもっています。2.5次元じげん作品さくひんのクオリティがさらに上あがって、そこで目めが肥こえてきた人ひとたちが、よりディープな演劇えんげきを観みたくなる可能かのう性せいもあるからね」
碓井うすい「僕ぼくも今いま、すごく興味きょうみがあるんです。こうやってヒットするもの、人ひとが集あつまるものには必かならず理由りゆうがあると思おもうし、今度こんど、ぜひ観かんに行いかせてください！」

荒木あらき「今回こんかいは初演しょえんに出でていた崎山さきやまつばさくんがいるので、作品さくひんを知しっている方ほうがいるというのはすごく助たすかりますね。ミュージカル『刀剣とうけん乱舞らんぶ』は、原作げんさくキャラクターの監修かんしゅうが入はいっているので、そのキャラクターの芝居しばいに関かんして、演出えんしゅつ家かと役者やくしゃの間あいだにズレが生しょうじない。それがいいなと思おもっていて。僕ぼくが演えんじる“にっかり青江あおえ”というキャラクターは、懐ふところの深ふかい刀剣とうけん男おとこ士し。ムチャぶりされても、イヤなことでも、“ああ、いいよ”って言いえる心しんの広ひろさがあって、絶対ぜったいに否定ひていするようなことはしない。比較的ひかくてき、若わかく幼おさないキャラクターが多おおい中なか、にっかりはとても大人おとななんですよ。だからこそ、自分じぶんが選えらばれたのかなと思おもっています」

碓井うすい「この前まえ、読よみ合あわせが2回かいほどあったんですが、楽たのしみだなと。最初さいしょに、英語えいご版ばんの戯曲ぎきょくをいただいたので、それで読よませていただいたんですが、知しらない言葉ことばや表現ひょうげんも多おおくて、とても勉強べんきょうになりました」

碓井うすい「3つ家族かぞくが出でてくるんですが、停電ていでんをきっかけにそれぞれが抱かかえていた問題もんだいが明あきらかになっていくという物語ものがたりです。海外かいがいの戯曲ぎきょくというと難むずかしいと思おもわれるかもしれませんが、あまり難むずかしい作品さくひんではないので、ぜひ、観かんに来きていただきたいです」