総予測2024＃8Photo:artJazz/gettyimages

2023年ねんは歴史れきし的てきな高こうインフレが直撃ちょくげきし、停滞ていたい基調きちょうが続つづいた欧州おうしゅう経済けいざい。特とくにユーロ圏けんで最大さいだい規模きぼを誇ほこるドイツ経済けいざいの不振ふしんが目立めだった。足元あしもとはインフレが落おち着つきつつあるが、引ひき続つづき政治せいじイベントを含ふくめてリスク要因よういんも少すくなくない。特集とくしゅう『総そう予測よそく2024』の本稿ほんこうでは、24年ねんのユーロ圏けんと英国えいこくの経済けいざいについて、第一生命だいいちせいめい経済けいざい研究所けんきゅうじょの田中たなか理さとし氏しに予測よそくしてもらった。（第一生命だいいちせいめい経済けいざい研究所けんきゅうじょ主席しゅせきエコノミスト　田中たなか 理さとし）

23年ねんは年間ねんかんを通つうじて緩慢かんまんな成長せいちょう
ドイツ経済けいざいの不振ふしんが目立めだつ

田中 理・第一生命経済研究所主席エコノミストたなか・おさむ／1997年ねん慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく法学部ほうがくぶ卒業そつぎょう。同年どうねん日本にっぽん総合そうごう研究所けんきゅうじょ入社にゅうしゃ。海外かいがい大学院だいがくいんなどを経へて2009年ねん第一生命だいいちせいめい経済けいざい研究所けんきゅうじょ、12年ねんより現職げんしょく

　2023年ねんの欧州おうしゅう経済けいざいは、エネルギー危機きき対応たいおうの財政ざいせい出動しゅつどうや雇用こよう環境かんきょうの底堅そこがたさが支ささえとなったが、歴史れきし的てきな高こうインフレ、金融きんゆう引ひき締しめの効果こうか浸透しんとう、世界せかい経済けいざいの低迷ていめいが打撃だげきとなり、年間ねんかんを通つうじて緩慢かんまんな成長せいちょうにとどまった。

　前半ぜんはんの低空ていくう飛行ひこうの後のち、7～9月がつ期きはユーロ圏けん・英国えいこく共どもに小幅こはばなマイナス成長せいちょうに転落てんらく。10～12月がつ期きも足踏あしぶみが続つづいている。

　国くに別べつでは、製造せいぞう業ぎょう部門ぶもんの割合わりあいや輸出ゆしゅつ比率ひりつが高たかく、エネルギー供給きょうきゅうの多おおくをロシアに依存いぞんしていたドイツ経済けいざいの不振ふしんが目立めだつ。23年ねんの実質じっしつ国内こくない総そう生産せいさん（GDP）は、ユーロ圏けん・英国えいこく共どもに0.5％前後ぜんこうの低てい成長せいちょうにとどまり、ドイツは主要しゅよう先進せんしん国こくで唯一ゆいいつのマイナス成長せいちょうとなったもようだ。

次じページ以降いこうでは、24年ねんの欧州おうしゅう経済けいざいの鍵かぎを握にぎる金融きんゆう政策せいさくの動向どうこうや、政治せいじイベントを含ふくめたリスク要因よういんなどについて解説かいせつする。