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茶葉は水道水の鉛を除去する 老朽化した管の汚染対策に有効、ただし問題は抽出時間:朝日新聞GLOBE+
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ちゃ水道すいどうすいなまり除去じょきょする 老朽ろうきゅうしたかん汚染おせん対策たいさく有効ゆうこう、ただし問題もんだい抽出ちゅうしゅつ時間じかん

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ビーカーに入れたお茶
ビーカーにれたおちゃ。そのよこに、ちゃとティーバッグ。ちゃは、みずから重金属じゅうきんぞく除去じょきょし、ひとらずらずのうちにんでいる可能かのうせいがあるなまりなど危険きけん重金属じゅうきんぞく化合かごうぶつ含有がんゆうりょう大幅おおはばらすことがしん研究けんきゅうでわかった=Vinayak P. Dravid Group/Northwestern University via The New York Times/©The New York Times

ちゃには、みず混入こんにゅうした重金属じゅうきんぞく除去じょきょし、ひとらないうちにんでいる可能かのうせいがあるなまりなど危険きけん化合かごうぶつ含有がんゆうりょう大幅おおはばらす効果こうかがあることがあたらしい研究けんきゅうあきらかになった。

この研究けんきゅうによって、バイオ燃料ねんりょうからグルテンフリーのクッキーまで、使用しようみのちゃ潜在せんざいてき用途ようとりになっている。しかし、この研究けんきゅうは、すでに無数むすうひとたちがおこなってきたことが公衆こうしゅう衛生えいせいめんでも有益ゆうえきであることをしめしている。ある推計すいけいによると、おちゃ世界中せかいじゅう毎日まいにちやく50おくはいまれている。

「それが意味いみするところは、明白めいはくだ」とビナヤク・ドラビッドはう。べいノースウェスタン大学だいがく物質ぶっしつ学者がくしゃで、このほど発表はっぴょうされたこの研究けんきゅう論文ろんぶん筆者ひっしゃ一人ひとりである。「なんじゅうおくにんものひとたちに接触せっしょくできる機会きかいがどれだけある?」

おおくのくにでは、おちゃ使つかみず老朽ろうきゅうしたかんからなまり汚染おせんされている。べい環境かんきょう保護ほごきょく(EPA)によると、国内こくないでは900まん世帯せたいなまりふくんだパイプをとおってくるみず使つかっている。なまりは、とくどもにとって危険きけんだ。なまりにさらされると、発達はったつおくれや行動こうどうじょう問題もんだいにつながる可能かのうせいがある。

ドラビッドとかれ研究けんきゅうチームは、紅茶こうちゃ白茶しらちゃ訳注やくちゅう加工かこうすくなく、自然しぜんちゃちか状態じょうたいのおちゃ)、ロン茶ろんちゃ緑茶りょくちゃ、ルイボスティー、ハーブティー、ポットでれるおちゃ、リプトンしゃ普通ふつうのティーバッグなど各種かくしゅ形態けいたいのおちゃが、さまざまなりょうなまりふくみずなかでどう作用さようするかを調しらべた。

それから、ちゃ抽出ちゅうしゅつするときあいだをさまざまにえてテストをしてみた。科学かがくしゃたちはその水中すいちゅうにどれだけのなまりのこっているかを測定そくていした。

べいブリンマー大学だいがく化学かがくしゃで、ちゃ化学かがくかんするほん著者ちょしゃミシェル・フランクルによると、ちゃふくまれるカテキンとばれる化合かごうぶつは、なまり分子ぶんし吸収きゅうしゅうする「ちいさなめんファスナー」のようなはたらきをする。フランクルはまた、ちゃの「尾根おねたに」が、吸収きゅうしゅう必要ひつよう吸着きゅうちゃくめんになっているともっている。

こうした特性とくせい以前いぜんからられていたが、いちはいのおちゃなまり解毒げどくりょく注目ちゅうもくしたのはドラビッドたちがはじめてだった。かれらは、紅茶こうちゃ加熱かねつちぢれ、重金属じゅうきんぞく吸収きゅうしゅうするのに最適さいてき状態じょうたいになることをきとめた。

緑茶りょくちゃ紅茶こうちゃでは、吸収きゅうしゅうされる金属きんぞくりょうはほぼおなじだった」とベンジャミン・シンデルはべた。この研究けんきゅう論文ろんぶん筆者ひっしゃ一人ひとりで、ノースウェスタン大学だいがく博士はかせ課程かてい在籍ざいせきしながらこの研究けんきゅうんでいる。

一方いっぽう白茶しらちゃはもっとおだやかな過程かていをたどる。このなめらかなままで、みずから重金属じゅうきんぞく吸着きゅうちゃくする表面積ひょうめんせきすくない。ハーブティーの愛飲あいいんしゃは、カモミールティーが重金属じゅうきんぞく濾過ろか(ろか)に不向ふむきであることをれば、がっかりするかもしれない。おそらく、それはちゃではなく、カモミールのはなでつくられているからである。

走査型電子顕微鏡で500倍に拡大した紅茶の葉の画像
走査そうさがた電子でんし顕微鏡けんびきょうで500ばい拡大かくだいした紅茶こうちゃ画像がぞう=Vinayak P. Dravid Group/Northwestern University via The New York Times/©The New York Times

とはいえ、こうしたちゃ種類しゅるいによるちがいは、一番いちばん重要じゅうよう要素ようそではない。「ちゃひた時間じかんほうがはるかに重要じゅうようだ」とシンデルはっている。

研究けんきゅうしゃらは、紅茶こうちゃを5分間ふんかんひたすと、水中すいちゅうからなまりを15%除去じょきょできることを発見はっけんした。これは有用ゆうようではあるが、EPAによれば、なまり曝露ばくろに「安全あんぜんなレベル」などないという。

なまりやその汚染おせん物質ぶっしつについては、どの程度ていどであれ減少げんしょうすることは一定いってい程度ていど有益ゆうえきだ。とりわけ、こういった問題もんだい物質ぶっしつ浄化じょうかするような手段しゅだんやインフラがもともと不足ふそくしている場合ばあいは、有効ゆうこうである」とキャロライン・ハームスはっている。この研究けんきゅうんでいるときは、ドラビッドのもとでまな学部がくぶせいだった。

しかし、ちゃひた時間じかんながくなれば、それだけおちゃにがみがす。フランクルは昨年さくねん、おちゃしおをまぜるとにがみがやわらぐと提案ていあんし、ちょっとした国際こくさいてきさわぎをこした。ただし、物議ぶつぎかもした化学かがくてき苦肉くにくさくにも限界げんかいがあるのだ。「おちゃを10分間ふんかん抽出ちゅうしゅつすれば実際じっさいにはめたしろものではなくなるし、いくらしおくわえても、どうにもならない」と彼女かのじょっていた。

今回こんかい研究けんきゅうでは24時間じかんひたさねばならなかったサンプルもあり、そのおちゃめたものではなかった。

この研究けんきゅう論文ろんぶん執筆しっぴつしゃたちは、政策せいさく立案りつあんしゃけて公衆こうしゅう衛生えいせい提言ていげんをすることよりも、おちゃむという世界せかいてき習慣しゅうかんかくれた利点りてん研究けんきゅうしたいというおもいにうごかされたとっている。

研究けんきゅうしゃらは、ひとびとが大量たいりょうにおちゃくには、まったくまないと仮定かていしたおなこくくらべて、水道すいどうすいからのなまり摂取せっしゅりょうやく3%すくなくなると推計すいけいした。

「なんてすばらしい」と高級こうきゅうレストランにおちゃおろすレアティーしゃ創業そうぎょうしゃヘンリエッタ・ラベルはう。ラベルは、中国ちゅうごくではなんせんねんまえからおちゃ薬用やくよう使つかわれてきたと指摘してきし、「おちゃについてればるほど、その素晴すばらしさと魅力みりょくすばかりだ」とはなしていた。

フランクルは、今回こんかいあたらしい発見はっけんが、いずれひとびとが重金属じゅうきんぞく摂取せっしゅするのをふせ汎用はんよう(はんよう)せいのある方法ほうほうへのみちひらくとしんじている。「きれいなみずが、これほど世界せかいてき課題かだいであることをかんがえると……」と彼女かのじょい、こうつづけた。「この研究けんきゅう実証じっしょうした結果けっかれて、最終さいしゅうてき飲料いんりょう可能かのうみず生成せいせいする方法ほうほうかせれば、かなりいことになる」と。(抄訳しょうやく敬称けいしょうりゃく

(Alexander Nazaryan)©2025 The New York Times

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