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うたごえ運動 - Wikipedia
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うたごえ運動うんどう

戦後せんごの日本にっぽんにおける、合唱がっしょう団だんの演奏えんそう活動かつどうを中心ちゅうしんとした社会しゃかい運動うんどう・政治せいじ運動うんどう

うたごえ運動うんどう（うたごえうんどう）は、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ごの日本にっぽんにおける合唱がっしょう団だんの演奏えんそう活動かつどうを中心ちゅうしんとした大衆たいしゅう的てきな社会しゃかい運動うんどう・政治せいじ運動うんどうである。共産きょうさん主義しゅぎもしくは社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎを思想しそう的てきな基盤きばんとして、労働ろうどう運動うんどうや学生がくせい運動うんどうと結むすびつきながら、全国ぜんこく各地かくちの職場しょくば、学園がくえん、居住きょじゅう地ちに合唱がっしょうサークルを組織そしきし、1950年代ねんだいから1960年代ねんだいにその最盛さいせい期きを迎むかえた。声楽せいがく家かの関せき鑑あきら子こが運動うんどうの創始そうし者しゃとされる[1]。

うたごえ運動うんどうにおいては「うたごえ」と平仮名ひらがな表記ひょうきを行おこなう。これは、初代しょだい団長だんちょう・清宮きよみや正ただし光こうが中央ちゅうおう合唱がっしょう団だんの機関きかん紙し名めいとして「当時とうじまで中学ちゅうがくも出でられなかったような労働ろうどう者しゃを広ひろく対象たいしょうにして運動うんどうする目的もくてきからです」との趣旨しゅしでつけたのがはじまりとされている[2]。

概説がいせつ

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革命かくめい歌か、労働ろうどう歌か、平和へいわのうた、ロシア民謡みんようなどをレパートリーとしつつ、歌うたの創作そうさく活動かつどうも行おこなう。

うたごえ運動うんどうは、1960年代ねんだいに職場しょくばや学生がくせいのサークル、当時とうじ流行りゅうこうした歌声うたごえ喫茶きっさなどを拠点きょてんに、日本にっぽん全国ぜんこくでの普及ふきゅうをみた。「歌うたってマルクス、踊おどってレーニン」というキャッチコピーが用もちいられた[3]。また、日本にっぽんの工業こうぎょう化かや農村のうそん離はなれが進すすむなか、失うしなわれつつある民謡みんようや演舞えんぶなどを再さい発掘はっくつするという民族みんぞく主義しゅぎ的てきな側面そくめんも持もち合あわせていた。柴垣しばがき和夫かずおはこの運動うんどうの流行りゅうこう原因げんいんを、これらの歌うた（ロシア民謡みんようや日本にっぽんの大衆たいしゅう運動うんどうの中なかから生うまれた歌うた）には多おおかれ少すくなかれ、抑圧よくあつに対たいする抵抗ていこうや反戦はんせん平和へいわを訴うったえる歌詞かしと、流行りゅうこう歌かやラジオ歌謡かようにはない斬新ざんしんなメロディーが含ふくまれていて、青年せいねんや学生がくせいの心しんを捉とらえたと分析ぶんせきしている[4]。

「日本にっぽんのうたごえ全国ぜんこく協議きょうぎ会かい」は2013年ねんの段階だんかいで、加盟かめい団体だんたい（うたごえサークル）の達成たっせい目標もくひょう数すうを「500団体だんたい」としている[5]。

歴史れきし

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日本にっぽんのうたごえ実行じっこう委員いいん会かいの声明せいめい（「うたごえ新聞しんぶん」1960年ねん6月がつ11日にち号ごうより）
 
日本にっぽん共産党きょうさんとう主催しゅさい赤旗あかはたまつり内うち企画きかくとしての「うたごえ喫茶きっさ」（2010年ねん東京とうきょう）
 
赤旗あかはたまつりで模擬もぎ店てんを出だすうたごえ団体だんたい（2010年ねん東京とうきょう）

うたごえ運動うんどうとポピュラー音楽おんがく

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創作そうさくを活動かつどうの源泉げんせんとするうたごえ運動うんどうであるが、荒木あらき栄さかえなどが活動かつどうした1960年ねん頃ごろから1970年代ねんだい初頭しょとうまでの間あいだは、自分じぶんたち以外いがいの音楽おんがくジャンルについて、ジャズやポップスはアメリカ帝国ていこくの日本にっぽんへの文化ぶんか侵略しんりゃく、演歌えんかや歌謡かよう曲きょくは単たんなる大衆たいしゅう迎合げいごうなどという解釈かいしゃくを与あたえていた。また当時とうじ流行りゅうこうしていた反戦はんせんフォークなどに対たいしては、「社会しゃかい派は歌謡かよう曲きょく」「資本しほんに泳およげがされている」「大衆たいしゅうの不満ふまんをそらすためのガス抜ぬき弁べん」などとの解釈かいしゃくを与あたえ、ほぼ敵対てきたいに近ちかい状態じょうたいであった。

1970年代ねんだいになって安保あんぽ闘争とうそうなど左翼さよくの大衆たいしゅう運動うんどうが衰退すいたいすると、今度こんどはポップスを研究けんきゅうして新あたらしい傾向けいこうの創作そうさくを始はじめた。

また日本にっぽんのポピュラー音楽おんがく界かいにも、もんたよしのり[18]、上條かみじょう恒彦つねひこやさとう宗そう幸みゆき[19]のように、歌声うたごえ喫茶きっさのリーダーの経験けいけん者しゃもいる。いずみたくは、うたごえ運動うんどうより、日本にっぽんのポップスの作曲さっきょくを多おおく手てがけている。

一方いっぽう、阿久あく悠ゆうは歌声うたごえ喫茶きっさには行いかず、モダンジャズ喫茶きっさに行いっていたことを回想かいそうしている[20]。山本やまもと夏彦なつひこは、テレビ番組ばんぐみの懐なつメロ企画きかくにおいて古賀こが政男まさおのヒット曲きょくは登場とうじょうしても、うたごえ運動うんどうからのヒット曲きょくは一ひとつも出でてこないことを指摘してきしている[21]。

うたごえと労働ろうどう運動うんどう

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「うたは闘たたかいとともに」のスローガンのもと、企業きぎょうで不当ふとう差別さべつされている人ひとを励はげます曲きょくが多おおく創作そうさくされている。また1960年代ねんだいには、職場しょくば・学園がくえん・地域ちいきにうたごえ活動かつどう家かを育成いくせいし、その思想しそう的てき・政治せいじ的てき・芸術げいじゅつ的てき資質ししつを高たかめることが、日本にっぽん共産党きょうさんとうの文化ぶんか・大衆たいしゅう活動かつどうにおける重要じゅうよう課題かだいであった。1960年ねん安保あんぽ闘争とうそう・三池みいけ闘争とうそうを経験けいけんしたうたごえ活動かつどう家かたちの中なかから、大勢おおぜいの入党にゅうとう者しゃが生うまれたとされる[22]。

うたごえでよく歌うたわれる歌うた

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うたごえ運動うんどうでよく歌うたわれる歌うたは、みんなで歌うたいやすく、広ひろく普及ふきゅうしている歌うたが中心ちゅうしんである。ロシア民謡みんようやフォークソングもよく歌うたわれる。

脚注きゃくちゅう

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[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ “うたごえ運動うんどう(うたごえうんどう)とは”. コトバンク. 2016年ねん6月がつ29日にち閲覧えつらん。
  2. ^ 河西かさい秀哉ひでや「うたごえ運動うんどうの出発しゅっぱつ-中央ちゅうおう合唱がっしょう団だん『うたごえ』の分析ぶんせきを通つうじて-」『神戸女学院大学こうべじょがくいんだいがく論集ろんしゅう』第だい60巻かん第だい1号ごう、2013年ねん6月がつ、90頁ぺーじ、CRID 1390572174603868928、doi:10.18878/00001993、ISSN 03891658、2023年ねん11月17日にち閲覧えつらん。 
  3. ^ 伴野ともの準一じゅんいち 『全学ぜんがく連れんと全共闘ぜんきょうとう』 平凡社へいぼんしゃ新書しんしょ 552 ISBN 978-4582855524、29p
  4. ^ 柴垣しばがき和夫かずお 文庫ぶんこ判ばん『昭和しょうわの歴史れきし9 講和こうわから高度こうど成長せいちょうへ 国際こくさい社会しゃかいへの復帰ふっきと安保あんぽ闘争とうそう』 小学館しょうがくかん ISBN 4094011099、195-196p
  5. ^ “13全国ぜんこく総会そうかい • 方針ほうしん - 日本にっぽんのうたごえ全国ぜんこく協議きょうぎ会かい” (DOC). 日本にっぽんのうたごえホームページ. p. 14. 2016年ねん6月がつ29日にち閲覧えつらん。
  6. ^ 藤本ふじもと洋ひろし「うたは闘たたかいとともに－うたごえの歩あゆみ－」（東京とうきょう、音楽おんがくセンター 1980年ねん）
  7. ^ a b c 関せき鑑あきら子こ追想ついそう集しゅう編集へんしゅう委員いいん会かい 編へん「大おおきな紅べにばら: 関せき鑑あきら子こ追想ついそう集しゅう」（音楽おんがくセンター 1981年ねん）関せき鑑あきら子こ略りゃく年譜ねんぷ
  8. ^ 「うたごえ新聞しんぶん」1954年ねん12月15日にち号ごう 「うたごえ新聞しんぶん」サイト (PDF)
  9. ^ 三輪みわ純じゅん永えい『グレート・ラブ』（新しん日本にっぽん出版しゅっぱん社しゃ、2013年ねん、ISBN 978-4-406-05685-4）p128
  10. ^ 「うたごえ新聞しんぶん」1956年ねん2月がつ20日にち付づけ「関せき先生せんせいと語かたる美空みそらひばりさん」 「うたごえ新聞しんぶん」サイト (PDF)
  11. ^ 「うたごえ新聞しんぶん」1960年ねん5月がつ6日にち号ごう 「うたごえ新聞しんぶん」サイト (PDF)
  12. ^ 沖縄おきなわのうたごえ運動うんどう編集へんしゅう委員いいん会かい「ひびけ平和へいわのうたごえ－米まい軍ぐん占領せんりょう下かの沖縄おきなわのうたごえ運動うんどう」（あけぼの出版しゅっぱん 2004年ねん）83ページ
  13. ^ “歌劇かげき「沖縄おきなわ」－1967～69年ねん、部分ぶぶん試演しえんと全ぜん幕まく上演じょうえんの日程にってい - 歌劇かげき「沖縄おきなわ」演奏えんそう団だん”. 歌劇かげき「沖縄おきなわ」演奏えんそう団だん. 2016年ねん7月がつ3日にち閲覧えつらん。
  14. ^ 「うたごえ新聞しんぶん」1970年ねん1月がつ1日にち・10日とおか合併がっぺい号ごう 「うたごえ新聞しんぶん」サイト (PDF)
  15. ^ 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんサーチ「季刊きかん日本にっぽんのうたごえ」
  16. ^ a b “うたごえ年表ねんぴょう「１９７０年代ねんだい」”. うたごえサークル「おけら」. 2016年ねん7月がつ3日にち閲覧えつらん。
  17. ^ a b 『前衛ぜんえい』1974年ねん12月増刊ぞうかん号ごう118～120ページ、日本にっぽんのうたごえ全国ぜんこく協議きょうぎ会かい幹事かんじ長ちょう（当時とうじ）藤本ふじもと洋ひろしの報告ほうこく。
  18. ^ 読売新聞よみうりしんぶん社会しゃかい部ぶ 『東京とうきょう今昔こんじゃく探偵たんてい 古こ写真しゃしんは語かたる』 中公新書ちゅうこうしんしょラクレ 012 ISBN 4121500121、165p
  19. ^ 渡辺わたなべ裕ひろし 『歌うたう国民こくみん 唱歌しょうか、校歌こうか、うたごえ』 中公新書ちゅうこうしんしょ 2075 ISBN 978-4121020758、264p
  20. ^ 阿久あく悠ゆう 『愛あいすべき名めい歌うたたち 私的してき歌謡曲かようきょく史し』 岩波いわなみ新書しんしょ 新しん赤あか版ばん625 ISBN 4004306256、87p
  21. ^ 山本やまもと夏彦なつひこ 『男女だんじょの仲なか』 文春ぶんしゅん新書しんしょ 341 ISBN 4166603418、262p
  22. ^ 『アカハタ』1960年ねん12月9日にち号ごう所載しょさいの論説ろんせつ“「日本にっぽんのうたごえ祭典さいてん」を迎むかえて”

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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