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ウインドシンセサイザー - Wikipedia

ウインドシンセサイザー (Wind Synthesizer) は、管楽器かんがっき奏法そうほうシンセサイザーをコントロールできる電子でんし楽器がっき

ウインドシンセサイザー

概略がいりゃく

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木管もっかん楽器がっき外観がいかん操作そうさほうもとづくリリコン系統けいとう金管楽器きんかんがっき外観がいかん操作そうさほうもとづく金管楽器きんかんがっきけいスタイナー系統けいとうがある。リリコン系統けいとう機種きしゅおお製造せいぞうされている。2004ねん11月にヤマハから発売はつばいされたEZ-TP金管楽器きんかんがっき外観がいかん操作そうさほうもとづくがスタイナー系統けいとうではなく、類似るいじ機種きしゅのない独自どくじのものとかんがえられる。

かたちぢみつまし「ウインドシンセ」とぶのが一般いっぱんてきである。ウインドシンセサイザーのことを総称そうしょう名詞めいしてきに「リリコン」、「EWI」(イーウィ)と初期しょき代表だいひょうてき製品せいひんめいひと減少げんしょう傾向けいこうだが依然いぜんとして存在そんざいする。

余談よだんではあるが、「ウィンドシンセ」の名称めいしょうについては、河合楽器製作所かわいがっきせいさくしょ商標しょうひょう所有しょゆうしている(だい2716074ごう)。

管楽器かんがっき奏者そうしゃからのアプローチ

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管楽器かんがっきはそれぞれ固有こゆう音色ねいろ音域おんいきつ。音色ねいろかんしてはマウスピースリード変更へんこうミュート着脱ちゃくだつによりすこしは変化へんかさせることができるが、たとえばフルートトランペットおとらすことはできない。音域おんいきについても楽器がっき音域おんいきすべてを均等きんとうらすことは困難こんなんである。

ウインドシンセサイザーをもちいれば、シンセサイザーが提供ていきょうする多種たしゅ音色ねいろで、うんゆびさだめられたすべての音域おんいき均等きんとうらすことができる。

EZ-TPはことなる原理げんり動作どうさしている。いきながれを検知けんちするのではなく、マイクに入力にゅうりょくされた歌声うたごえからMIDI信号しんごう生成せいせいしている。このため管楽器かんがっきのブレスコントロールができなくてもうた上手うまければ上手うま演奏えんそうすることができる。歌声うたごえ楽音がくおん変換へんかんされる感覚かんかく従来じゅうらい金管楽器きんかんがっきにおける「声帯せいたいから口唇こうしん振動しんどうさせてうたとおりに楽器がっきる」という感覚かんかくている。

シンセサイザー奏者そうしゃ・シーケンサー利用りようしゃからのアプローチ

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MIDIおも鍵盤けんばん楽器がっき世界せかい発展はってんし、シーケンサーをもちいて演奏えんそう情報じょうほう入力にゅうりょくするさい基本きほん鍵盤けんばん楽器がっき演奏えんそうほう依拠いきょしている。だが、鍵盤けんばん楽器がっきでは微妙びみょうなピッチの変化へんか複雑ふくざつ強弱きょうじゃく変化へんか表現ひょうげんするのがむずかしく、かりクラリネット音色ねいろ鍵盤けんばん楽器がっき演奏えんそうしても、本当ほんとうのクラリネットのようななめらかさをることはできず、鍵盤けんばんいているような感触かんしょくがつきまとう。

ウインドシンセサイザーをもちいれば、なめらかな音量おんりょう変化へんか音色ねいろ・ピッチの変化へんかることができ、いわゆる「っぽさ」を効果こうかてきのぞくことが期待きたいできる。管楽器かんがっきにもシンセサイザーにもしたしんでいる演奏えんそうしゃにとって最良さいりょう電子でんし楽器がっきになるといえる。同時どうじにこの楽器がっきは、普段ふだん接点せってんすくないりょうたね楽器がっきぐんおよび演奏えんそうしゃまじわるとなりる。

ただし管楽器かんがっきうんゆび記憶きおく実際じっさい演奏えんそうするまでの負担ふたんおおきく、和音わおんはっせられない。この限界げんかいえる楽器がっきがシンセサイザーと鍵盤けんばんハーモニカ融合ゆうごうさせた電子でんし鍵盤けんばんハーモニカ(Hohner Electra-Melodica)である。

構造こうぞう

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ウインドシンセサイザーはおもみっつの部分ぶぶん構成こうせいされている。

マウスピース
マウスピースにはいきつよさに感応かんおうするセンサと、リード部分ぶぶん演奏えんそうしゃがくわえることによりあたえる圧力あつりょく検出けんしゅつするセンサがふくまれている。いきつよさによりおと強弱きょうじゃくやアタックかん表現ひょうげんすることができる。センサがいきかんじた瞬間しゅんかんに、うんゆび状況じょうきょうノートナンバーいきつよさをベロシティとして「ノート・オン」のMIDI信号しんごう出力しゅつりょくする。その継続けいぞくてきに、いき流量りゅうりょうおうじて「ボリューム」もしくは「アフタータッチ」のMIDI信号しんごう出力しゅつりょくする。
リードにかかる圧力あつりょくしゅとして「ピッチベンド」のMIDI信号しんごう出力しゅつりょくする。マウスピースをかむちから周期しゅうきてき変化へんかさせてビブラート効果こうかることができるようになっているが、演奏えんそう経験けいけんすくないひとや、ビブラートの効果こうかをそれほど必要ひつようとしないひとのために、この機能きのうげんじゃく停止ていしさせることもできる。
キー装置そうち
キー装置そうちうんゆびによりおとたかさをめるためにもちいる。一般いっぱんてきサクソフォーンうんゆびもと簡略かんりゃくされたものが採用さいようされているため、小中学校しょうちゅうがっこうもちいるリコーダーうんゆびがわかればある程度ていど演奏えんそうできるようになっている。金管楽器きんかんがっきした機種きしゅうんゆびは、トランペットのうんゆび簡略かんりゃくしたものである。機種きしゅによっては、ピッチベンドをおこなうためのちいさなホイールが付属ふぞくしている。
インタフェース
インタフェースは、ウインドシンセサイザーによって生成せいせいされたデータを、音源おんげんモジュールひとし送信そうしんするための部分ぶぶんで、ケーブルのこういている。ここから任意にんい音源おんげんモジュールとう接続せつぞくすることで、演奏えんそうされたおとることができる。MIDI形式けいしきではなく独自どくじ形式けいしき信号しんごうもちいて、専用せんよう音源おんげんユニットに送信そうしんする機種きしゅもあるが原理げんりはほぼ同一どういつである。
なお、カシオ計算機かしおけいさんきデジタルホーン やヤマハのEZ-TPなどは、音源おんげんモジュール・アンプスピーカー内蔵ないぞうしている。機種きしゅにおいては外部がいぶ設置せっちされるインタフェース以降いこう部分ぶぶん内部ないぶふくんだだけであり、構造こうぞうとしてはおなじとかんがえてよい。
音源おんげんモジュールからスピーカーを内蔵ないぞうすることで、とくにアマチュアが重視じゅうしする簡便かんべんさと自己じこ完結かんけつせいたすことができる。これらの機種きしゅでもMIDI OUT端子たんしそなえている機種きしゅなら、任意にんい音源おんげんモジュールに接続せつぞくし、それが音色ねいろ演奏えんそうすることも可能かのうである。

利用りよう場面ばめん

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ウインドシンセサイザーは管楽器かんがっきけい音色ねいろかなでるのに最適さいてきである。また、単音たんおんにほぼ限定げんていされるが、ヴァイオリンヴィオラチェロひとしこす弦楽器げんがっき音色ねいろとの親和しんわせいたかく、とく弦楽器げんがっき奏者そうしゃようしない小規模しょうきぼ楽団がくだん利用りよう価値かちたかまる。

ウインドシンセサイザーはおもフュージョンばれるジャンルにぞくする楽曲がっきょくもちいられるが、特殊とくしゅなソロ楽器がっきとして吹奏楽すいそうがくもちいられる場合ばあい少数しょうすうながらある。また、多彩たさい音色ねいろ容易ようい操作性そうさせいわるられることに着目ちゃくもくし、学校がっこうでの器楽きがく教育きょういくもちいられることもある。この場合ばあい学校がっこう教育きょういくよう簡略かんりゃくされた楽器がっきもちいる。

楽器がっき現物げんぶつ入手にゅうしゅしにくい民族みんぞく楽器がっき古楽こがくあつか楽曲がっきょくにウインドシンセサイザーは最適さいてきである。これらの音色ねいろ一般いっぱんてき出回でまわっている音源おんげんモジュールに収録しゅうろくされていることがおおく、鍵盤けんばん操作そうさでは貧弱ひんじゃくになりがちなこれらの音色ねいろも、ウインドシンセサイザーでかなでれば迫力はくりょくのあるものになるだろう。

特徴とくちょうてき外観がいかんで、ステージでのパフォーマンスも効果こうかてきおこないやすいので、ライブ活動かつどうおこな演奏えんそうにもてきしている。

みで制作せいさくされる楽曲がっきょく旋律せんりつ部分ぶぶんをウインドシンセサイザーでくわえることにより、特有とくゆう平板へいばん印象いんしょうすことができる。ウインドシンセサイザーの演奏えんそうをシーケンサーでリアルタイム録音ろくおんする場合ばあい、アフタータッチやピッチベンドのMIDIメッセージが大量たいりょうに(場合ばあいによっては過剰かじょうに)ながんでくるため、適宜てきぎデータを間引まびくなどの対策たいさくかんがえるべきである。このことはふるいハードシーケンサーや記憶きおく容量ようりょうかぎりのある環境かんきょうでシーケンスソフトをもちいる場合ばあい重要じゅうようである。

調しらべせい設定せってい調律ちょうりつ

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ウインドシンセサイザー自体じたい移調いちょう楽器がっきではない。しかしサクソフォーンやクラリネットの譜面ふめんをそのままあつかえるようにするためへん調ちょう(B♭;クラリネットやテナーサクソフォーンの調しらべせい同一どういつ)やへん調ちょう(E♭;アルトサクソフォーンなどの調しらべせい同一どういつ)に設定せっていする機能きのうゆうしているのが一般いっぱんてきである。

この機能きのうたない機種きしゅならば、音源おんげんほうトランスポーズ設定せっていを-2に設定せっていすればへん調ちょう、+3もしくは-9に設定せっていすればへん調ちょうとなり、結果けっかてき同一どういつ効果こうかられる。へん調ちょうへん調ちょうかぎらず任意にんい調しらべせいえらぶことができるので、演奏えんそう都合つごうなどをかんがえてもっともこのましいのをえらべばよい。

管弦楽かんげんがく合奏がっそうする場合ばあいはウインドシンセサイザーの接続せつぞくされている音源おんげん適切てきせつ調律ちょうりつする必要ひつようがある。もっとも、純粋じゅんすいアナログシンセサイザーもちいないかぎりは楽器がっきのように気温きおん影響えいきょうされることを考慮こうりょする必要ひつようはない。

代表だいひょうてきなウインドシンセサイザー奏者そうしゃ

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ウインドシンセサイザーだけ専門せんもんてきあつかうプロの演奏えんそうは、おそらく存在そんざいしないと推測すいそくされる。サクソフォーン奏者そうしゃえで使用しようする場合ばあいおおく、日本にっぽんではT-SQUARE歴代れきだいサックス奏者そうしゃである伊東いとうたけし本田ほんだ雅人まさと宮崎みやざきたかしあつしなどが、海外かいがいではマイケル・ブレッカートム・スコットなどが有名ゆうめいである。またクラリネット奏者そうしゃ若林わかばやしあいヴァイオリニスト天野あまのめぐみとのユニット「Megumi♡Kei」で活動かつどうするさいは、ウインドシンセサイザーにえて演奏えんそうすることがある。

おもなウインドシンセサイザー

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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