オスモライト

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オスモライト（英語えいご: osmolyte、浸透しんとう〔圧あつ〕有効ゆうこう物質ぶっしつ、浸透しんとう〔圧あつ〕調節ちょうせつ物質ぶっしつ）は、生物せいぶつにおいて主おもに浸透しんとう圧あつを調整ちょうせいする化学かがく物質ぶっしつである。細胞さいぼうにおいては細胞さいぼう外部がいぶの浸透しんとう圧あつストレス（浸透しんとう圧あつ勾配こうばい）による水みずの流入りゅうにゅうあるいは排出はいしゅつに対たいし細胞さいぼう容積ようせきを保持ほじする機能きのうがある一方いっぽうで、広範囲こうはんいの濃度のうど域いきにわたり酵素こうそなどのタンパク質たんぱくしつの構造こうぞうや機能きのうを安定あんていして機能きのうさせタンパク質たんぱくしつを変性へんせいから守まもる働はたらきもある。

類似るいじ名称めいしょうに、適合てきごう溶質ようしつ（osmoprotectant）がある。

特性とくせい

有機ゆうきオスモライトには次つぎの特性とくせいがある。

濃度のうど安定あんてい性せい - 広範囲こうはんいの濃度のうど域いきで機能きのうする（無機むきオスモライトは高こう濃度のうどではオスモライトとして機能きのうしない）。
機能きのう安定あんてい性せい - タンパク質たんぱくしつの機能きのう性せいを維持いじする。
構造こうぞう安定あんてい性せい - タンパク質たんぱくしつの分子ぶんし構造こうぞうを安定あんていさせる。

また、以下いかの特性とくせいを有ゆうするものも見みつかっている。

温度おんど安定あんてい性せい - 高温こうおんあるいは低温ていおんでタンパク質たんぱくしつを安定あんてい化かさせる。
耐たい凍結とうけつ融解ゆうかい性せい - 凍結とうけつ融解ゆうかいによる非ひ可逆かぎゃく的てき変性へんせいを抑制よくせいする。
耐たい乾燥かんそう性せい - 乾燥かんそうによる非ひ可逆かぎゃく的てき変性へんせいを抑制よくせいする。
凝集ぎょうしゅう抑制よくせい - タンパク質たんぱくしつの凝集ぎょうしゅう（会合かいごう）を抑制よくせいする。

例れい

淡水たんすい域いきと海域かいいきを行いき来きするモクズガニは海域かいいきにおいてグリシン濃度のうどを高たかめることで海うみの高たかい浸透しんとう圧あつ環境かんきょうに適応てきおうしている。
高こう濃度のうどの塩化えんかナトリウム（NaCl）や尿素にょうそなどにさらされる哺乳類ほにゅうるいの腎じん髄質ずいしつ（renal medulla）ではソルビトール、ベタイン、イノシトール、タウリンやGPCなどが主おもにオスモライトとして利用りようされている。
塩生しょうぶ植物しょくぶつでは塩しおの浸透しんとう圧あつストレスに対たいして、プロリン、バリン、イソロイシン、エクトイン、アスパラギン酸さん、ベタイン、グルコース、フルクトース、スクロース、フルクタン、マンニトール、ピニトール、myo-イノシトールなどがオスモライトとして利用りようされている。
バクテリア類るいでは高こう浸透しんとうストレスに対たいして、トレハロース、プロリン、グルタミン酸ぐるたみんさん、エクトイン、グリシンベタイン、カルニチンなどがオスモライトとして利用りようされている。

極限きょくげん環境かんきょうにおける例れい

クマムシの耐たい乾燥かんそう性せいはトレハロースによるものと考かんがえられている。

分類ぶんるい

主要しゅようなオスモライトの分類ぶんるいと一覧いちらんを以下いかに示しめす。なお、生物せいぶつ種しゅなどによってオスモライトとして使用しようされる物質ぶっしつは異ことなっている。

無機むきイオン類るい

カリウムイオン（K⁺）
塩化えんか物ぶつイオン（Cl^-）

多た価あたいアルコール類るい

単たん糖類とうるい、二に糖類とうるい、多た価あたいアルコール類るい

アミノ酸あみのさん類るい

メチルアンモニウム類るい

メチルアンモニウム類るいとスルホニウム類るい

尿素にょうそ類るい

尿素にょうそ

脚注きゃくちゅう

^ ^a ^b “Choline and acetylcholine: novel cationic osmolytes in Lactobacillus plantarum”. Applied Microbiology and Biotechnology 48. (1997). doi:10.1007/s002530051021.

参考さんこう文献ぶんけん

松島まつしま治おさむ (1997). “低てい分子ぶんし有機ゆうき化合かごう物ぶつによる細胞さいぼう内ない浸透しんとう圧あつ調節ちょうせつ”. 比較ひかく生理せいり生化学せいかがく (日本にっぽん比較ひかく生理せいり生化学せいかがく学会がっかい) 14 (1). doi:10.3330/hikakuseiriseika.14.3 2014年ねん1月がつ22日にち閲覧えつらん。.
Maurice B. Burg; Joan D. Ferraris (2008). “Intracellular Organic Osmolytes: Function and Regulation”. Journal of Biological Chemistry 283: 7309-7313. doi:10.1074/jbc.R700042200 2014年ねん1月がつ22日にち閲覧えつらん。.
Kevin Strange (1993), Cellular and Molecular Physiology of Cell Volume Regulation, CRC Press, Inc., pp. 81（Chap.5 Compatible and Counteracting Solutes）, ISBN 0-8493-4448-4