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オーリーオーン - Wikipedia

オーリーオーン古代こだいギリシャ: Ὠρίων, Óríōnラテン語らてんご: Orion)は、ギリシア神話しんわ登場とうじょうする巨人きょじん狩人かりゅうど海神わたつみポセイドーンとされているが、諸説しょせつある。神話しんわでは死後しごてんのぼってオリオンとなり、宿敵しゅくてきさそりとも夜空よぞら永遠えいえんまわっているといわれる。

星座せいざとしてのオーリーオーン。

日本語にほんごではちょう母音ぼいん省略しょうりゃくしてオリオンまた英語えいごみにちかオライオン表記ひょうきすることがおおい。

概説がいせつ

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オーリーオーンは、うみかみポセイドーンミーノースおうむすめエウリュアレーとのあいだにまれた。また、出自しゅつじについてはアマゾーン女王じょおうであるとするせつ大地だいちははしんガイアははとするティーターンであったとするせつボイオーティアおうヒュリエウスであるとするせつもある。たか偉丈夫いじょうふで、まれ美貌びぼうぬしであった。父親ちちおやであるポセイドーンからうみあるちからあたえられ、うみでもかわでもりくおなじようにあることができた。

オーリーオーンの逸話いつわ

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たくましく凛々りりしい青年せいねんであったオーリーオーンであるが、早熟そうじゅく好色こうしょくでもあった。

最初さいしょ結婚けっこん

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ボイオーティアらしていた[1]オーリーオーンは成人せいじんし、やがてシーデー柘榴ざくろ)という大変たいへんうつくしいむすめつまむかえる。ところがシーデーは、非常ひじょう高慢こうまんで、「わたしうつくしさは、全知全能ぜんちぜんのうかみゼウスようつまヘーラーよりもうつくしい」とべ、女神めがみとその容色ようしょくきそった。このためヘーラーはいかり、シーデーを冥府めいふタルタロス)へととした[2]

キオスとう獅子しし退治たいじ

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つまうしなったオーリーオーンは旅人たびびととなり一人ひとり諸国しょこく放浪ほうろうしていた。キオスとうったオーリーオーンは、そのしまおうオイノピオーンむすめメロペー一目惚ひとめぼれする。そしてなにとかメロペーのあいようとしたオーリーオーンは、得意とくいりに出掛でかけては獲物えもの彼女かのじょ献上けんじょうし、やがて結婚けっこんもうれた。

しかし、メロペーもオイノピオーンもオーリーオーンをこのましくおもわず、こまったおうはオーリーオーンののぞみ、しまあらまわっているライオン退治たいじすることを条件じょうけんに、むすめとの結婚けっこん承諾しょうだくするとべた[1]おう当然とうぜん不可能ふかのう条件じょうけんかんがえたが、オーリーオーンはなんなくライオンをなぐころし、そのかわおうへのおくものにした[1]

オイノピオーンの裏切うらぎ

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思惑おもわくのはずれたオイノピオーンおうは、結婚けっこん約束やくそく履行りこうせず、オーリーオーンをこのけんではぐらかしつづけた。オーリーオーンはおう約束やくそくこたえないことをいかり、さけったいきおいでメロペーにちからずくでせまりこれをおかした。オイノピオーンはいかり、ちちであるさけかみディオニューソスたのんでオーリーオーンを泥酔でいすいさせ、かれりょうえぐって盲目もうもくにし海岸かいがんてた。

治療ちりょう

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ニコラ・プッサン1658ねん絵画かいが太陽たいよう目指めざはしるオーリーオーン』。メトロポリタン美術館びじゅつかん所蔵しょぞう

盲目もうもくになったオーリーオーンは、身動みうご出来できずにうずくまっていた。かれたい神託しんたくは、ひがしくにき、ヘーリオス最初さいしょオーケアノスからのぼるとき、そのひかりければ、ふたたえるようになるであろうとげた。オーリーオーンは、はるひがしレームノスとうへとかう。盲目もうもくかれは、キュクロープスづちおとたよりにレームノスとう辿たどいた。こうしてヘーパイストス鍛冶たんやじょうはいり、ケーダリオーンという見習みなら弟子でしをさらって、かれかた案内あんないさせてオーケアノスのてまで辿たどいた。かれエーオースあかつき)がオーリーオーンにこいをし、あにヘーリオス(太陽たいようしん)がオーリーオーンのなおした。

オーリーオーンは、オイノピオーンに復讐ふくしゅうしようとふたたびキオスとうもどる。しかし目指めざ相手あいてつからなかった。ヘーパイストスがオイノピオーンのためにつくった地下ちかしつかくれていたためである。オーリーオーンは、オイノピオーンが祖父そふミーノースのもとげているとかんがえ、うみわたってクレーテーとうへとおこなった。クレーテーでは、アルテミス女神めがみがいて、ともりをしようとオーリーオーンをさそった[3]

エーオースとの交際こうさい

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すぐになおしたオーリーオーンは今度こんどあけぼの女神めがみエーオースとのこい夢中むちゅうになった。さらにオーリーオーンはエーオースとの交際こうさいちゅうにもかかわらず、アトラースむすめプレイアデスなな姉妹しまいこい彼女かのじょとうまわした。エーオースの仕事しごと夜明よあけをげることだが、オーリーオーンとっているあいだ彼女かのじょかれいたいがために仕事しごと早々そうそうげてしまう。ところが夜明よあけの時間じかんみじかくなったのをりの女神めがみアルテミス不審ふしんおもい、エーオースの宮殿きゅうでんがある世界せかいひがしてまで様子ようすにやってきた。そして、オーリーオーンはアルテミスと運命うんめいてき出会であいをするのである。

アルテミスとの交際こうさい

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ギリシアいち狩人かりゅうど狩猟しゅりょう女神めがみこいちるのには時間じかんからなかった。オーリーオーンはアルテミスとともクレーテーとうわたり、おだやかにらしていた。かみ々のあいだでもにんなか評判ひょうばんになり、たがいに結婚けっこんかんがえていた。ところがアルテミスのあにアポローンはオーリーオーンの乱暴らんぼう性格せいかくきらい、また純潔じゅんけつつかさど処女しょじょしん・アルテミスにこいゆるされないとしてにんなかみとめず、ことあるごとにアルテミスをののしったが、彼女かのじょはききいれなかった。

 
ダニエル・ザイター1685ねん絵画かいが『アルテミスとせるオーリーオーン』。ルーヴル美術館びじゅつかん所蔵しょぞう

そこで、アポローンはオーリーオーンのもとどくサソリはなつ(このサソリは、オーリーオーンが動物どうぶつたちをくすこと懸念けねんしたガイアはなった刺客しかくとのせつもある)。おどろいたオーリーオーンはうみへとげた。丁度ちょうどそのころ、アポローンはうみなかあたまだけしてあるくオーリーオーンをしめし、「アルテミスよ、ゆみ達人たつじんであるきみでも、とおくにひかるあれをてることは出来できまい」とげるオーリーオーンを指差ゆびさしたのである。あまりにもとおく、それがオーリーオーンと認識にんしきできなかったアルテミスは「わたし確実かくじつねらいをさだめる弓矢ゆみや名人めいじん容易たやすことです」とアポローンの挑発ちょうはつって、ゆみいた。はオーリーオーンに命中めいちゅうし、かれ恋人こいびとにかかってんだ。

オリオン伝説でんせつ

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たものがはまげられて、はじめてそれがオーリーオーンだったことにがついたアルテミスはかみとしての仕事しごとわすれるほどかなしんだ。アルテミスは、死者ししゃよみがえらせるという名医めいいアスクレーピオスのもとをたずね、オーリーオーンをかえらせてくれるようたのむ。しかし、冥府めいふおうハーデース反対はんたいした。アルテミスはせめて最後さいごにと、大神おおがみゼウスに「オーリーオーンをそらげてください。さすればわたしぎんくるま夜空よぞらはしってとき、いつもオーリーオーンにえるから」とたのんだ。ゼウスもこれをききいれ、オーリーオーンは星座せいざとしてそらがった。かれつき一度いちどいにるアルテミス(つきしん)をたのしみにっているとされる。

オリオン神話しんわアルテミスの「オーリーオーンの悲劇ひげき」のこう参照さんしょうのこと。

オーリーオーンの死因しいん

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オーリーオーンの死因しいんには諸説しょせつある。以下いか有名ゆうめいなものをげる。

  • わたしにかなう動物どうぶつなど、このにあるものか!」とオーリーオーンが高言こうげんおこったガイア(またはヘーラー)が、だいサソリをはなってかれころさせた。そのためオーリーオーンは星座せいざになったのちもサソリをおそれて、さそり西にししずんでしまうまではけっしてひがしからかおさず、サソリがひがしそらあらわれると、西にししずんでしまうとわれている。もっともこれは、星座せいざができたのちつくられた神話しんわともわれている。
  • あけぼの女神めがみアウローラローマ神話しんわ女神めがみ。エーオースである)がオーリーオーンにこいをしたため、おこったアルテミスがオーリーオーンを射殺しゃさつしてしまった。なつがたひがしそら姿すがたをみせたオーリーオーンが、あけぼの女神めがみアウローラにあいされて、そのしあわせそうな様子ようす嫉妬しっとしたアルテミスによって射殺しゃさつされた。朝陽あさひころには次第しだいひかりうしなってえてしまうところからわれている。
  • アルテミスに円盤投えんばんなげをいどんだため、のほどらずとしてころされた。
  • アルテミスのあにアポローンを崇拝すうはいしていた乙女おとめオーピスに暴行ぼうこうしたため、アルテミスにころされてしまった[4]
 
 
 
アゲーノール
 
テーレパッサ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
カドモス
 
 
 
エウローペー
 
ゼウス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
クレーテーのおすうし
 
パーシパエー
 
ミーノース
 
サルペードーン
 
ラダマンテュス
 
アルクメーネー
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アイゲウス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ミーノータウロス
 
 
 
 
 
 
 
 
デウカリオーン
 
アンドロゲオース
 
グラウコス
 
 
 
ディオニューソス
 
アリアドネー
 
テーセウス
 
パイドラー
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
カトレウス
 
 
イードメネウス
 
クレーテー
 
モロス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アカマース
 
 
 
デーモポーン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アーエロペー
 
アトレウス
 
クリュメネー
 
ナウプリオス
 
メーリオネース
 
トアース
 
ミュリーネー
 
スタピュロス
 
ペパレートス
 
 
 
オイノピオーン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アガメムノーン
 
メネラーオス
 
パラメーデース
 
オイアクス
 
 
 
イアーソーン
 
ヒュプシピュレー
 
モルパディアー
 
パルテノス
 
ロイオー
 
メロペー
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エウネーオス
 
ネブロポノス
 
トアース
 
 
 
 
 
アニオス
 

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c グレイヴズ、41しょうa。
  2. ^ 茂一もいち、p.214。
  3. ^ グレイヴズ、41しょうb, c。
  4. ^ アポロドーロス、だい1かん4・5。

参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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