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キャッチコピー - Wikipedia

キャッチコピーまたはキャッチフレーズとは、おも商品しょうひん作品さくひん広告こうこくなど、なんらかの告知こくち宣伝せんでんもちいられ、うた文句もんくあお文句もんくとなる文章ぶんしょうで、広告こうこくコピー(こう告文こくぶん)の一部いちぶである。惹句(じゃっく)ともばれる。

Dubo Dubon Dubonet(いい、いいね、デュボネ)というさけのキャッチコピーの看板かんばん

1ぶん、1ぎょう程度ていどのものから、すうぎょうわたるものまで形式けいしき様々さまざまである。広告こうこく宣伝せんでんにおいては、キャッチコピーで商品しょうひん印象いんしょうまるとえ、その出来でき如何いかによっては商品しょうひん自体じたいきがおおきく左右さゆうされることになるため、重要じゅうようされる。職業しょくぎょうとしてキャッチコピーをふく広告こうこくコピーを創作そうさくするものコピーライターという。

キャッチコピーは和製わせい英語えいごであり、英語えいごけんではアドヴァタイジングスローガンえい: Advertising slogan)といって[註 1]おも消費しょうひしゃけた商品しょうひん宣伝せんでん文句もんくすものであり、キャッチフレーズえい: Catchphrase)という場合ばあいにはフィクションけるめい台詞せりふなどをすことがおおい。また、後者こうしゃ特定とくてい人物じんぶつ台詞せりふ引用いんようではなくストーリー全体ぜんたい象徴しょうちょうする惹句を場合ばあいタグラインTagline)という。

コピーの構成こうせい

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キャッチコピー

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広告こうこくのうち商品しょうひん作品さくひん(あるいはその広告こうこく本文ほんぶん)にきつけられるようにかかげられるインパクトをたせたコピー。

たとえば日本にっぽんでは江戸えど時代じだいに「引札ひきふだ」とばれるチラシがあったが、そこに独創どくそうてきおどけぶんくことで耳目じもくあつめるという手法しゅほうはじめたのは、平賀ひらが源内げんないであるといわれる。のちおおくの戯作げさくしゃ狂歌きょうかによって、こうした宣伝せんでん文句もんく使つかわれていくようになった。

リードコピー

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リードコピーはキャッチコピーからの導入どうにゅうであり本文ほんぶん(ボディコピー)をませるための部分ぶぶんをいう[1]

ボディコピー

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ボディコピーは広告こうこく本文ほんぶんにあたる部分ぶぶんであり、キャッチコピー、本文ほんぶんへの導入どうにゅうのリードコピー、広告こうこく本文ほんぶんにあたるボディコピーのようにじゅん構成こうせいされる[1]

コーポレートスローガン

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個々ここ商品しょうひんではなく、企業きぎょうのイメージや経営けいえい方針ほうしんあらわしたものを、とくに「コーポレートスローガン」とぶ。なお、企業きぎょうによっては「タグライン」「コーポレートステートメント」「ブランドプロミス」と表現ひょうげんする場合ばあいがある。

コピーライター

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現代げんだい社会しゃかいいては、高度こうど経済けいざい成長せいちょうたされ消費しょうひ社会しゃかい成熟せいじゅくするにつれて、広告こうこく値段ねだん性能せいのうなどの製品せいひん具体ぐたいてき特長とくちょうかたるためだけでなく、もっと漠然ばくぜんとしたイメージや時代じだい空気くうき表現ひょうげんすることで消費しょうひしゃ共感きょうかんることを目指めざすようになった。開高かいこうけんをはじめとし、糸井いといしげるさと川崎かわさきとおる仲畑なかはた貴志たかしといったあたらしい世代せだい活躍かつやくし、コピーライターは人気にんき職業しょくぎょうになった。

また、キャッチコピーをすプロセスと、企画きかく・コンセプトメイキングの技術ぎじゅつおなじであることから、近年きんねんでは、たんにキャッチコピーをくだけでないコピーライター・クリエイティブディレクターがおおまれ、その仕事しごと領域りょういき多岐たきにわたっている。前述ぜんじゅつ糸井いといしげるさと仲畑なかはた貴志たかしをはじめ、おおくのOBを輩出はいしゅつしている宣伝せんでん会議かいぎコピーライター養成ようせい講座こうざなど、キャッチコピーのちからきたえる専門せんもん教育きょういく機関きかんもある。

知的ちてき財産ざいさんとしてのキャッチコピー

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著作ちょさくぶつとしてのキャッチコピー

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一般いっぱんに、キャッチコピーは短文たんぶんであるため、宣伝せんでん文句もんく同一どういつないし酷似こくじした表現ひょうげん使つかわれる可能かのうせいひくくない。その場合ばあい当該とうがいキャッチコピーが充分じゅうぶんみじかく、かつ日常にちじょうてき使つかわれる言葉ことば偶発ぐうはつてき使用しようしたとみとめられるケースでは、創作そうさくせいにはけるものとして著作ちょさくぶつ該当がいとうしないとされる[註 2]

しかし、短文たんぶん範疇はんちゅうふくまれるものでも、ある程度ていどながさを場合ばあいには著作ちょさく物性ぶっせいびると判断はんだんされることもある。あるいは、みじかくとも著作ちょさく物性ぶっせいみとめられるが、著作ちょさくけん主張しゅちょうできるはばせばまるとする見解けんかいもある[2]

実際じっさい判例はんれいでは、「ボク安心あんしん ママのひざより チャイルドシート」というなな調ちょう交通こうつう安全あんぜん標語ひょうご著作ちょさくぶつであるとされたれいもあり[3]、キャッチコピー、キャッチフレーズ、スローガンとしょうするものがすべ著作ちょさくぶつ該当がいとうしないということではなく、ケースバイケースで著作ちょさく物性ぶっせいわれるものであることには注意ちゅういしなければならない。

商標しょうひょうとしてのキャッチコピー

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キャッチコピーは、商標しょうひょうほう不正ふせい競争きょうそう防止ぼうしほうにより、商標しょうひょうとしても保護ほごされることがある。ただし、キャッチコピーが商標しょうひょうとして保護ほごされるには、商標しょうひょうほうじょう登録とうろく要件ようけんたすことが必要ひつようである。つまり、自他じた商品しょうひん識別しきべつりょくゆうするキャッチコピーでないと商標しょうひょう登録とうろくはできない[4]

このてんにおいて、商号しょうごう商標しょうひょうふくむことにより、あるいは長年ながねんにわたって広告こうこく宣伝せんでん使用しようされた結果けっか、キャッチコピー自体じたいから商品しょうひんやサービスの出所しゅっしょ需要じゅようしゃ認識にんしきできる状態じょうたいいたっているものをのぞき、おおくのキャッチコピーは商標しょうひょうとしての機能きのう発揮はっきしないといってよい。日本にっぽん特許庁とっきょちょうにおける商標しょうひょう審査しんさ実務じつむでも、キャッチコピーの商標しょうひょう登録とうろく原則げんそくとしてみとめていない[5]

たとえば、ある学習がくしゅうじゅくが「ならたのしさおしえるよろこび」という文字もじ商標しょうひょうとして商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんしたが、特許庁とっきょちょう登録とうろく拒絶きょぜつする審決しんけつおこなった(不服ふふく2000-291ごう)。その審決しんけつ取消とりけし訴訟そしょうにおいて東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょは、「取引とりひきしゃ需要じゅようしゃは、これを、各種かくしゅ学校がっこうとう教育きょういくかんする役務えきむ理想りそう方針ほうしんとう表示ひょうじする宣伝せんでん文句もんくないしキャッチフレーズであると認識にんしき理解りかいするにとどまり、自他じた役務えきむ識別しきべつ標識ひょうしきとは認識にんしきしない」と判示はんじして、特許庁とっきょちょう審決しんけつ肯定こうていしている(東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょ判決はんけつ平成へいせい13ねん6がつ23にち)。

文化ぶんかとしてのキャッチコピー

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アイドル・タレントのキャッチコピー

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1970 - 80年代ねんだいアイドルタレントにはキャッチコピーがつくのが一般いっぱんてきだった[6]当時とうじビクター宣伝せんでんかかわっていた飯田いいだ雅之まさゆきによると、はるから年末ねんまつにかけてレコードを3まいほど発表はっぴょうし、年末ねんまつ新人しんじんしょうねらうという王道おうどう売出うりだかたにおいて、新人しんじんの「り」をつたえるキャッチコピーは、レコード会社かいしゃ複数ふくすう部署ぶしょかかわり、制作せいさく会社かいしゃにも了解りょうかい決定けっていされるほど重要じゅうようなものであったという[6]。しかし1990年代ねんだい以降いこうCD売上うりあげ減少げんしょうにともない、アイドル・タレントにキャッチコピーがつけられるケースも一時いちじ減少げんしょうしていた。その2013ねんに「1000ねん1人ひとり(1)の美少女びしょうじょ橋本はしもとたまき登場とうじょうしたことをきっかけとし、同様どうようのキャッチコピーをつけるアイドル・タレントが続出ぞくしゅつし、ふたたびおおくのアイドル・タレントにキャッチフレーズがつけられるようになった[6]

著名ちょめいれい

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スポーツ選手せんしゅへのキャッチフレーズ 

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マスコミがスポーツ選手せんしゅへキャッチフレーズをつけることもある(ライトニング・ボルトなど)。

フィクションのタグライン

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フィクションのキャッチフレーズ

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ たとえば英語えいごばんウィキペディアのw:Advertising slogan記事きじじょうではコピーと語彙ごいはジャパニーズイングリッシュとしてあつかっており、印刷いんさつとしてのw:Copy主題しゅだいとする曖昧あいまい回避かいひページじょうでは対象たいしょうがいとなっていて、Catch Copyではつかむ・複写ふくしゃであり意味いみつうじない。
  2. ^ ある商品しょうひんと、あるキャッチコピーをわせることがいかに独創どくそうてきであったとしても、そのわせ自体じたいはアイデアであり著作ちょさくけんほう保護ほご対象たいしょうがいである。

出典しゅってん

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  1. ^ a b 日経にっけい広告こうこく研究所けんきゅうじょ広告こうこく用語ようご辞典じてん』1992ねん、162ぺーじ
  2. ^ たとえば半田はんだ正夫まさお著作ちょさくけんほう概説がいせつだい12はん)』 法学ほうがく書院しょいん 2005ねん 83ぺーじ
  3. ^ 東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょ判決はんけつ平成へいせい13ねん5がつ30にち交通こうつう標語ひょうご事件じけん
  4. ^ 小売こうりとう役務えきむ商標しょうひょう制度せいどかんするよくあるQ&A」のQ22 (PDF) - 特許庁とっきょちょう作成さくせい
  5. ^ 特許庁とっきょちょう商標しょうひょう審査しんさ基準きじゅん 改訂かいていだい8はん』、商標しょうひょうほう3じょう1こう6ごう解説かいせつ部分ぶぶん
  6. ^ a b c Kondo, Kanako (2018ねん5がつ9にち). ““キャッチコピー先行せんこうがた”タレントの復活ふっかつ、その背景はいけいとは?”. ORICON NEWS. 2021ねん1がつ15にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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