ソーシャルゲーム

ソーシャルゲーム（英語えいご: Social-network game）は、主おもにSNS上うえで提供ていきょうされるオンラインゲーム。省略しょうりゃくして「ソシャゲ」と呼よぶこともある。

概要がいよう

専用せんようのクライアントソフトウェアを必要ひつようとせず、ウェブブラウザとSNSアカウントのみで利用りよう可能かのうである。特徴とくちょうとしては短時間たんじかんで気楽きらくに遊あそべるものが中心ちゅうしんであり、コミュニケーション機能きのうやフリーミアム（基本きほん無料むりょう・アイテム課金かきん）を取とっている場合ばあいが多おおい。スマートフォン（スマートデバイス）向むけの「ネイティブアプリ」のゲームもソーシャルゲームと呼よばれているが、ウェブブラウザを利用りようした「ウェブアプリ」ではないため、これらは本来ほんらいソーシャルゲームには含ふくまれない。ソーシャルゲームやスマートフォンアプリゲームに多おおい「ガチャ課金かきん」のシステムを基本きほんとしているゲームを、英語えいごではGacha gameと言いう。

ソーシャルゲームという概念がいねんは、日本にっぽん国内こくないにおいては元々もともとはCGIゲームを主体しゅたいにSNSでパソコン向むけとして登場とうじょうしたが、GREE（グリー）やMobage（DeNA）が提供ていきょうする携帯けいたい電話でんわ向むけが主流しゅりゅうとなった。これら2社しゃのソーシャルゲームは、パソコン向むけのようなSNSで元々もともとの友達ともだちと一緒いっしょにゲームをプレイするという性格せいかくのものではなく、ゲーム内ないで仲間なかまを作つくってプレイするというスタイルをとるなど、独自どくじの進化しんかを遂とげた。

歴史れきし

「携帯けいたい電話でんわゲーム」も参照さんしょう

SNS上じょうにウェブブラウザ上うえで動作どうさするAPIなどの動作どうさ環境かんきょう（アプリケーション・プラットフォーム）が提供ていきょうされ、これを基盤きばんとして制作せいさくされたアプリケーションソフトウェアを、ソーシャルアプリケーション（Social Application）と総称そうしょうする。

2007年ねんにFacebookがアプリケーションを開発かいはつするためのAPI「Facebook Platform」を公開こうかいしたことを受うけて、それを使つかったゲームが多数たすう輩出はいしゅつされた。中なかでもジンガ（Zynga）による『FarmVille』は、8300万まん人にんというFacebookでは最大さいだい規模きぼのユーザー数すうを抱かかえ、2010年ねんのSocial Networking Game of the Year（インタラクティブ芸術げいじゅつ科学かがくアカデミー Academy Of Interactive Arts & Sciences）にも輝かがやいた。課金かきんアイテムの市場いちばも急きゅう成長せいちょうし、こうしたソーシャルゲームによってFacebookがアメリカ最大さいだいのSNSへと発展はってん、MySpaceなど他たの競合きょうごうサービスも追随ついずいするようになった。iPhone用ようにAurora Feintが開発かいはつしたOpenFeint（グリーに買収ばいしゅうされ2012年ねん閉鎖へいさ）や、AppleがiOS 4.1で搭載とうさいしたGame Centerも誕生たんじょうした。2013年ねん7月がつ、ジンガのユーザーは減少げんしょうし、後発こうはつのキングに首位しゅいの座ざを明あけ渡わたした。

日本にっぽんでの発展はってん

日本にっぽんではソーシャルゲームとSNSという概念がいねんが生うまれる以前いぜんに、配布はいふ型がたCGIゲームによるユーザー参加さんか型がたゲームが草くさの根ねネットワーク的てきに発展はってんしていた。2002年ねん4月がつに配布はいふが開始かいしされた配布はいふ型がたCGIゲームの『罪つみと罰ばっ++二律背反にりつはいはん』は、他たのゲームユーザーとのコミュニケーションを主体しゅたいとした対戦たいせんゲームで、パソコンと携帯けいたい電話でんわの両方りょうほうでプレイすることができ、設置せっち者しゃによる改造かいぞうも容易よういであったことから、多数たすうのWEBサイトに設置せっちされ独自どくじの進化しんかを遂とげておりソーシャルゲームの祖先そせんといえる。

2007年ねんにグリーが携帯けいたい電話でんわ向むけのソーシャルゲーム『釣つり★スタ』をヒットさせ、以降いこう、日本にっぽんのソーシャルゲームは携帯けいたい電話でんわ向むけが主流しゅりゅうとなる。当初とうしょはゲームとしての楽たのしさより友人ゆうじんとのコミュニケーションを主体しゅたいとしたゲームが多おおかった。

2009年ねん、DeNAが運営うんえいする携帯けいたい電話でんわ向むけサービス、モバゲータウン（現げん、Mobage）が提供ていきょうを開始かいしした『怪盗かいとうロワイヤル』が、他たのゲームユーザーとの対戦たいせんという要素ようそを取とり入いれてヒットし更さらなる発展はってんの始はじまりとなる。なお、モバゲータウンは、ソーシャルゲームという言葉ことばが生うまれる以前いぜんの2006年ねんから携帯けいたい電話でんわ向むけのゲームの提供ていきょうを行おこなっている。

2009年ねん8月がつにはミクシィがパソコン向むけの「mixiアプリ」のサービスを開始かいし、大手おおてゲーム会社かいしゃが提供ていきょうするゲームが投入とうにゅうされ、Rekooが提供ていきょうする『サンシャイン牧場ぼくじょう』が参加さんか者しゃが200万まん人にんを越こすなど、一躍いちやく定着ていちゃくするようになった。「mixiアプリ」は2009年ねん10月がつに携帯けいたい電話でんわ向むけの提供ていきょうも開始かいししている。後発こうはつ2社しゃはOpenSocialベースのオープンプラットフォームを採用さいようし、自社じしゃ以外いがいのゲームを登録とうろくでき、開発かいはつ会社かいしゃも共通きょうつうのプラットフォームが基盤きばんになっていることから容易よういに移植いしょくしやすくなり、急きゅう成長せいちょうする要因よういんとなった。これを受うけてグリーもオープンプラットフォームの提供ていきょうを開始かいしした。『サンシャイン牧場ぼくじょう』を立たち上あげた小野おの裕史ゆうじは後のちに「今いまはもうTVでいろんなスマホのゲームだとか、ソーシャルゲームだとかって言いわれていますけども、このサービスは日本にっぽんで1番ばんに火付ひつけ役やくになった原点げんてんですね」と語かたっている。

ポータルサイトでもソーシャルゲームを取とり入いれる動うごきが始はじまり、2010年ねん9月がつにはヤフーとDeNAが「Yahoo!モバゲー」の運営うんえいを開始かいし。ソーシャルゲームの盛もり上あがりから、各かくゲーム会社かいしゃも注目ちゅうもくするようになり、各社かくしゃソーシャルゲームの開発かいはつに参入さんにゅうするようになった。2010年ねんの秋あきには、コナミデジタルエンタテインメントがグリー向むけに提供ていきょうを開始かいしした『ドラゴンコレクション』がヒットする。コナミデジタルエンタテインメントは、『ドラゴンコレクション』に、『遊ゆう☆戯おどけ☆王おう』シリーズで培つちかったカードゲームのノウハウを生いかし、カードを収集しゅうしゅうしながら対戦たいせんするシステムを導入どうにゅうした。このシステムは、他社たしゃのソーシャルゲームにも広ひろまり、各社かくしゃの人気にんきコンテンツを活用かつようしたカードゲームも次々つぎつぎと投入とうにゅうされるようになる。余談よだんだが『拡散かくさん性せいミリオンアーサー』のプロデューサーの一人ひとりである安藤あんどう武博たけひろは「ここ10年ねんのアーケードゲームや現在げんざい携帯けいたい電話でんわを席巻せっけん中ちゅうの“カードバトル系けいゲーム”の始祖しそは、セガのアーケードゲームである『ダービーオーナーズクラブ』『WCCF』『甲虫かぶとむし王者おうじゃムシキング』『三国志さんごくし大戦たいせん』で、これらがなければ市場いちばの様相ようそうは変かわっていたんじゃないか」と語かたっている。

フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行いこうが進すすむ中なかで、2012年ねんに登場とうじょうした『パズル&ドラゴンズ』（ガンホー・オンライン・エンターテイメント）のように、SNSプラットフォームを通とおさずにApp StoreやGoogle Playを介かいして直接ちょくせつ配信はいしんするようになったため、SNSプラットフォーム側がわは不利ふりな競争きょうそうを強しいられた。ネイティブアプリへ移行いこうする理由りゆうとしては、ウェブブラウザはネイティブアプリに対たいし実現じつげんできる機能きのうで劣おとる点てんもあるが、海外かいがいではネイティブアプリが圧倒的あっとうてきに普及ふきゅうしており、日本にっぽんの市場いちば規模きぼは世界せかいの約やく10%しかないということが挙あげられる。

App StoreかGoogle Playの上うえにグリーやDeNAを介かいしていたことで売上うりあげの半分はんぶん以上いじょうをロイヤリティとして支払しはらっていたため、SNSプラットフォームに頼たよらない仕組しくみとしてセガを始はじめとしたゲームメーカーが連携れんけいする動うごきもあった。LINEはゲームも提供ていきょうしているが、ゲームの利用りよう者しゃ数すうは、MMD研究所けんきゅうじょによるとLINEが38.1％で、Mobage（16.3％）やGREE（11.5％）、Ameba（14.6％）を引ひき離はなした。

Mobageの運営うんえい元もとであるDeNA取締役とりしまりやくの小林こばやし賢治けんじは、ソーシャルゲームの定義ていぎは曖昧あいまいであるとして、お手軽てがるさ・時間じかん制せいから「お手軽てがるゲーム」「インスタントゲーム」という表現ひょうげんの方ほうが近ちかいという。ソーシャルという言葉ことばについても実際じっさいの様態ようたいではなく、同おなじようなものでもコンテンツが出でてきた時代じだいによってソーシャルと呼よばれる場合ばあいと呼よばれない場合ばあいがあり、時代じだいの違ちがいでしかないとしている。ソーシャルゲームは、人ひとの1日にちに存在そんざいする隙間すきま時間じかんである7分ふん×5回かいにうまくはまったことで広ひろまったとしており、その背景はいけいには、LINEのスタンプといった「小しょうピース化か」の流ながれが来きており、重おもたいエンターテインメントは避さけられる傾向けいこうのためとしている。

昔むかし	小しょうピース化か
映像えいぞう（映画えいが・テレビ）	YouTube
音楽おんがく（CD）	iTunes
情報じょうほう収集しゅうしゅう（書籍しょせき・雑誌ざっし）	Twitter
通信つうしん（電話でんわ）	メール・スタンプ
ゲーム（コンシューマーゲーム）	ソーシャルゲーム

ソーシャルゲームは空あき時間じかんから暇ひまつぶしといわれているが、暇ひまつぶしは時間じかん概念がいねんではなく、本来ほんらいやりたい活動かつどうができないという制約せいやくからくるフラストレーションといわれ、隙間すきま時間じかんすらないのが現代げんだい人じんであり、時間じかんを多重たじゅう的てき・同時どうじ並行へいこうに使つかっている。日本にっぽんのソーシャルゲームの仕組しくみ（データドリヴンなどのゲームデザイン）は、教育きょういくのゲーミフィケーション（ゲーム化か）として世界せかいで参考さんこうにされている。

社会しゃかい問題もんだい

出会であい系けいサイト化か問題もんだい

出会であい系けいサイトとして利用りようされるケースも増ふえている。

ガチャ課金かきんによる高額こうがく請求せいきゅうトラブル問題もんだい

ソーシャルゲームの市場いちばが急きゅう成長せいちょうしてからは射幸しゃこう心こころをあおる「コンプリートガチャ」（コンプガチャ）で小中学生しょうちゅうがくせいの未成年みせいねんが月つきに数すう十じゅう万まん円えんの高額こうがく課金かきんのトラブルなどが社会しゃかい問題もんだいとして浮上ふじょうし、消費しょうひ者しゃ庁ちょうが規制きせいに乗のり出だし、2012年ねん5月がつにコンプガチャの全面ぜんめん的てきな廃止はいしが決きまった。国民こくみん生活せいかつセンター調しらべでは2012年ねんの3月がつ21日にち時点じてんで、相談そうだんが4845件けんにのぼり、そのうち未成年みせいねんの相談そうだんが1077件けんでその中なかでも小中学生しょうちゅうがくせい絡がらみの相談そうだんが680件けんだったという。

コンプガチャの騒動そうどうをきっかけに業界ぎょうかいでもNHN Japan、グリー、サイバーエージェント、DeNA、ドワンゴ、ミクシィの6社しゃの協議きょうぎによって自主じしゅ規制きせいの取とり組くみも行おこなわれ、2012年ねん11月には、業界ぎょうかい団体だんたいとして「ソーシャルゲーム協会きょうかい（Japan Social Game Association：JASGA）」（2015年ねん4月がつ1日にちにCESAと合併がっぺい）が設立せつりつされた。

しかし、その後ごも「パッケージガチャ」など新あらたなガチャなどを生うみ出だしており、「コンプガチャより悪質あくしつ」とのユーザーの声こえがある。サービスの母体ぼたいは企業きぎょうであり、短期たんき的てきな売上うりあげ増ぞうとユーザーの射幸しゃこう心しんを不ふ必要ひつように煽あおることが直結ちょっけつしやすく、問題もんだいの発生はっせい源げんとなる。顧客こきゃくを自社じしゃのサービスゾーンに滞在たいざいさせる等とう、長期ちょうき的てきな視野しやに欠かけたサービス提供ていきょうや、カルチャーの創造そうぞう、コンテンツ開発かいはつを目的もくてきとしていない事ことなどにより、比較的ひかくてき短命たんめいなサービス乱発らんぱつと終了しゅうりょうが予想よそうされる。また、リアルマネートレーディングを誘発ゆうはつする懸念けねんもある。

また、もともとは同おなじ「ゲーム」でも、PlayStationやWii、Xboxなどのゲーム機きなどの売うり切きりゲームとは違ちがい、射幸しゃこう心しんを煽あおるビジネスソーシャルゲームはパチンコやギャンブルに近ちかいものであり、今いまある法律ほうりつやガイドラインの変更へんこうで消費しょうひ者しゃの被害ひがいが収おさまらないならば、法律ほうりつの改正かいせいやソーシャルゲーム新法しんぽうも必要ひつようであり、警察けいさつや消費しょうひ者しゃ行政ぎょうせいが対応たいおうできる仕組しくみを作つくるべきであるとする主張しゅちょうもある。

ガチャ確かく率りつ表示ひょうじ問題もんだい

2016年ねんに『グランブルーファンタジー』のガチャにおいて、特定とくていのキャラクターが異常いじょうに排出はいしゅつされにくいことから、ユーザーの間あいだで、「ガチャの確かく率りつ操作そうさが行おこなわれているのではないか」という疑惑ぎわくが噴出ふんしゅつし、読売新聞よみうりしんぶん夕刊ゆうかんまでもが取とり上あげる事態じたいとなった。その後ご、運営うんえいはガチャの個別こべつ出現しゅつげん確かく率りつを表示ひょうじすると発表はっぴょうした。運営うんえいは件けんの確かく率りつ操作そうさ疑惑ぎわく以外いがいにも、過去かこにガチャなどで炎上えんじょう騒動そうどうを複ふく数すう回かい起おこしていた。また新あらたな取とり組くみとして、ガチャに上限じょうげんを設もうけ、9万まん円えん分ぶんのガチャをすれば必かならず好すきなキャラをもらえるなどの改善かいぜん策さくを発表はっぴょうした。

Appleもガチャ課金かきん問題もんだいに取とり組くんでおり、開発かいはつ者しゃ向むけの「App Store審査しんさガイドライン」を更新こうしんし、有料ゆうりょうガチャの入手にゅうしゅ確かく率りつ表示ひょうじを義務付ぎむづけた。

強盗ごうとう殺人さつじん事件じけん

詳細しょうさいは「前橋まえばし市し連続れんぞく強盗ごうとう殺人さつじん事件じけん」を参照さんしょう

2015年ねん2月がつ、群馬ぐんま県けん前橋まえばし市しで高齢こうれい者しゃの女性じょせいが襲おそわれた殺人さつじん事件じけんで、同市どうしに住すむ男おとこT（当時とうじ26歳さい）が強盗ごうとう殺人さつじん容疑ようぎなどで再さい逮捕たいほされた。Tは2014年ねん11月、自宅じたく近ちかくに住すむ高齢こうれい者しゃ女性じょせい宅たくに侵入しんにゅうし、その家いえに住すむ被害ひがい者しゃの頭あたまや首くびをバールで殴なぐり、更さらに刃物はもので刺さして殺害さつがいして、現金げんきん約やく5千せん円えんと菓子かし類るいを奪うばった。Tと被害ひがい者しゃには面識めんしきはなかった。Tはスマートフォンでソーシャルゲームをしていて、月つきに4～5万まん円えんほど課金かきんをしており、消費しょうひ者しゃ金融きんゆう3社しゃほどからも百ひゃく数すう十じゅう万まん円えんほど借金しゃっきんをしていた。前橋まえばし地検ちけんはTを強盗ごうとう殺人さつじん罪ざいなどで前橋まえばし地裁ちさいに起訴きそした。

Tは2020年ねん9月がつに死刑しけい判決はんけつが確定かくていした。

ゲーム依存いぞん症しょう問題もんだい

男性だんせいが友達ともだちに誘さそわれた４人にんで協力きょうりょくして戦たたかうスマホゲームにのめり込こみ、有料ゆうりょうくじ「ガチャ」で200万まん円えんの借金しゃっきんを背負せおった。督促とくそく状じょうを見みた母親ははおやが200万まんを返済へんさいをしてくれたが、それでもやめられず会社かいしゃの同僚どうりょうにまで借金しゃっきんをし、最後さいごには休職きゅうしょくすることになった。こうした事例じれいが数多かずおおくあるため、世界せかい保健ほけん機関きかんがゲーム依存いぞん症しょうを病気びょうきとして認定にんていをしている。