ハウス (音楽おんがく)

ハウス
様式ようしき的てき起源きげん	ディスコ ; Hi-NRG ; ブギー ; エレクトロ ; ラテン・ソウル ; ジャズ ; ガラージュ ; R&B ; ポスト・ディスコ ; フィラデルフィア・ソウル
文化ぶんか的てき起源きげん	1980年代ねんだい; シカゴ及およびニューヨーク
使用しよう楽器がっき	ドラムマシン、シンセサイザー、ミュージックシーケンサー、サンプラー、PC
サブジャンル
	エレクトロ・ハウス、ディープ・ハウス、; プログレッシブ・ハウス、アシッド・ハウス、フューチャー・ハウス
融合ゆうごうジャンル
	デトロイト・テクノ
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ハウス・ミュージック (英名えいめい：house music) は、1977年ねんにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくシカゴで誕生たんじょうした音楽おんがくジャンルの一ひとつ。単たんにハウスと呼よばれることも多おおい。1970年代ねんだいのディスコやフィリー・ソウル、サルソウル・サウンドなどを起源きげんとしている。

概要がいよう

「ハウスミュージック」は、ディスコや、フィラデルフィア・インターナショナル・レーベルやサルソウル・レコード^[9]などの、いわゆるフィラデルフィア・ソウル（フィリーソウル）などの楽曲がっきょくを音源おんげんとするものも多おおかった^[9]。また、先駆せんく者しゃであるラリー・レヴァンや彼かれの「パラダイス・ガレージ」の客層きゃくそうと同様どうように、初期しょきのハウスシーンは、ディスコと同様どうよう、DJ、客層きゃくそうともに黒人こくじんやゲイが多おおかった。ディスコは音楽おんがく的てきな評価ひょうかは低ひくかったが、社会しゃかい的てきにはゲイ、もしくはLGBTに対たいする性せい差別さべつ解消かいしょうをテーマにする音楽おんがくであるとして、ある程度ていど評価ひょうかされた^{[注ちゅう 1]}。

ハウスの語源ごげんは、シカゴのゲイ・ディスコ（英語えいご版ばん）「ウェアハウス」が名称めいしょう由来ゆらいとされている。その後ご、80年代ねんだい末まつ～90年代ねんだい以降いこう、ハウスの中心ちゅうしん地ちはアメリカからイギリスを中心ちゅうしんとするヨーロッパに移うつったが、イギリスでは同性愛どうせいあい者しゃのムーブメント色しょくは薄うすれ、ミックス技術ぎじゅつを追究ついきゅうすることが試こころみられた。21世紀せいきには音楽おんがくのアレンジ（編曲へんきょく）上じょうの一いち手法しゅほうとして、世界せかいのクラブに普及ふきゅうしている。性せい差別さべつをテーマとする一部いちぶのハウスは、1980年代ねんだい後半こうはんから90年代ねんだいにかけて、差別さべつや貧困ひんこんをテーマとする一部いちぶのヒップホップ (hip hop) とともに、DJ（ディスクジョッキ―）プレイで好このまれる音楽おんがくジャンルとして定着ていちゃくした。

歴史れきし

ニューヨークの「パラダイス・ガレージ」のDJであったラリー・レヴァン^[10]の友人ゆうじんで、自みずからも有能ゆうのうなDJであったフランキー・ナックルズ^[11]は、1977年ねんにシカゴに新あらたにオープンした「ウェアハウス^[12]」の主力しゅりょくDJとしてニューヨークから招まねかれ、彼かれのDJは独特どくとくのミックス手法しゅほうであって、特とくにゲイたちから高たかい人気にんきを博はくしたため、地元じもとのレコード店てんが「ハウス・ミュージック（ウェアハウス・ミュージック）」と称しょうして販売はんばいしたのがハウスという名称めいしょうの始はじまりと言いわれている。この成功せいこうの後のち、フランキーはウェアハウス経営けいえい者しゃとの衝突しょうとつからウェアハウスを去さり、シカゴ内ないの別べつの場所ばしょで「パワープラント」というクラブを始はじめる。

ウェアハウスのオーナーは「ウェアハウス」を「ミュージック・ボックス」と改名かいめいし、新あらたにカリフォルニアからロン・ハーディー（英語えいご版ばん）を後任こうにんDJとして招聘しょうへいする。^[13]ナックルズとハーディーの間あいだの競争きょうそうにより、シカゴはダンス音楽おんがく界かいの中なかで、「ハウス」の普及ふきゅうとともにその地位ちいを確立かくりつする。彼かれら2人ふたりのプレイスタイルは、ラリーと彼かれのプレイしたいわゆる「ガラージュ」と呼よばれるスタイルの強つよい影響えいきょう下かにありながらも、ドラムマシンの使用しようによりアグレッシブな選曲せんきょくの傾向けいこうを持もち、のちに一般いっぱん的てき印象いんしょうとしての「ハウス」と呼よばれるスタイルの原型げんけいを築きずいた。

その後ご、ハウスの人気にんきはイギリスへも波及はきゅうし、1987年ねんにM/A/R/R/Sがリリースした「パンプ・アップ・ザ・ヴォリューム (Pump up the Volume)」はヨーロッパで火ひがつき、全米ぜんべいチャートでもヒットとなった。また、1988年ねんにイギリスを中心ちゅうしんに発生はっせいしたムーブメント「セカンド・サマー・オブ・ラブ」やレイブも流行りゅうこうした。こうした運動うんどうを契機けいきとして、世界せかいでハウス、シカゴ・ハウス、アシッド・ハウスが流行りゅうこうした。1990年代ねんだいに入はいってからはC&Cミュージック・ファクトリー^[14]、ブラック・ボックス^{[注ちゅう 2]}、スナップ、テクノトロニックらがヒットを放はなった。また、ハウスはさらにスタイル、ジャンルの細分さいぶん化かが進すすみ、マドンナなどの有名ゆうめい歌手かしゅがハウスのリズムである4つ打うちを使用しようするようになった。

日本にっぽんのハウス・ミュージック

日本にっぽんでは1980年代ねんだい後半こうはん頃ごろより、アメリカでのハウス・ブームに呼応こおうする形かたちで、ハウスDJが登場とうじょうするようになった。先駆せんく的てきな活動かつどうを行おこなったDJとして、1980年ねんに単身たんしんニューヨークに渡わたり、ハウスを日本にっぽんに伝導でんどうした高橋たかはし透とおるがいる。高橋たかはし透とおるは1989年ねんに芝浦しばうらのクラブ、GOLDの立たち上あげに伴ともなって帰国きこく、同店どうてんのサウンドディレクター及および毎週まいしゅう土曜日どようびのメインDJを務つとめた。GOLDの毎週まいしゅう金曜日きんようびには当時とうじ、若手わかてであった木村きむらコウ (KO KIMURA) もプレイしていた。

ニューヨークへ渡わたり、フランキー・ナックルズらと交流こうりゅうを深ふかめ、巨大きょだいディスコ「The Saint」のDJとして日本人にっぽんじんで初はじめて抜擢ばってきされた中村なかむら直ただし (NAO NAKAMURA) は、その後ご、約やく10年間ねんかん、ニューヨーククラブシーンの最前線さいぜんせんに立たったが、彼かれもまた芝浦しばうらGOLDの立たち上あげに合あわせて帰国きこくした。また、1985年ねんより活動かつどうを開始かいしし、1989年ねんに「コニーズ・パーティ」のレジデントDJ、その後ご、芝浦しばうらGOLD土曜どようのレジデントを務つとめたEMMAも先駆せんく者しゃの一人ひとりである。

1980年代ねんだい後半こうはんに渡米とべいし、デヴィッド・モラレス、フランキー・ナックルズと共ともにDef Mix Productionsの一員いちいんとして活動かつどうを行おこなった富家ふうか哲あきら (SATOSHI TOMIIE)、1990年ねんにディー・ライト^[15]の一員いちいんとしてアメリカで『グルーヴ・イズ・イン・ザ・ハート』などのヒットを記録きろくしたテイ・トウワ、作曲さっきょく家か、リミキサーとして活動かつどうしている寺田てらだ創はじめ一いちらもシーンに与あたえた影響えいきょうは大おおきい。

更さらにレベッカのボーカル、NOKKOは90年代ねんだい初期しょきのソロ活動かつどうにおいてハウスを当時とうじのメインストリーム歌手かしゅの中なかでいち早はやく取とり入いれ、テイ・トウワによるプロデュース『I Will Catch U』を発表はっぴょうするなどしていた^[16]。

芝浦しばうらGOLDの出現しゅつげん、人気にんき上昇じょうしょう、及および後ごを追おうようにしてオープンした西麻布にしあざぶYELLOWなど、ハウスを中心ちゅうしんとするクラブがオープン、また、音楽おんがく雑誌ざっしやAERAでも記事きじになるなど、ハウスに対たいする注目ちゅうもく度どが高たかまった。そして前述ぜんじゅつのラリーやフランキー、トニー・ハンフリーズ、ティミー・レジスフォード、デヴィッド・モラレス、ルイ・ヴェガなど、海外かいがいの著名ちょめいDJも頻繁ひんぱんに来日らいにちするようになった。近年きんねんでは、ニューヨーククラブシーンで異例いれいのヒットとなった「Say That You Love Me」（2001年ねん）のakや、Studio Apartment、Jazztronik、大沢おおさわ伸一しんいち、田中たなか知之ともゆき (Fantastic Plastic Machine) のように、日本人にっぽんじんハウスアーティストも現あらわれるようになった。

現在げんざい

2023年ねん現在げんざい、イギリスを中心ちゅうしんに、スペイン（イビサ島とうなど）、フランス、イタリアなどヨーロッパ諸国しょこくが現在げんざいのハウスシーンの中心ちゅうしんであるが、シカゴ、ボルチモア、ニューヨークなどのアメリカの諸しょ都市とし、オーストラリアを中心ちゅうしんにしたオセアニア、日本にっぽんを中心ちゅうしんとしたアジアなどにも根強ねづよいシーンが存在そんざいしている。また、イギリスのGlitterboxレーベルのアーティストたちを中心ちゅうしんに、源流げんりゅうであるディスコへと回帰かいき、ハウスとディスコが再さい融合ゆうごうした新あらたなシーンもあり、イギリス諸しょ都市とし、イビサ島とう、クロアチアなどで、盛さかんにパーティーが開催かいさいされている。

なお、現在げんざいの日本にっぽんのハウスシーンは、テック・ハウスをメインにプレイするDJが多おおく、テクノや新しん世代せだいのベースミュージックと親和しんわ性せいが高たかまっているが、90年代ねんだいまでのハウスシーンのイメージからは遠とおざかり、シーンの方向ほうこう性せいや客層きゃくそう、そして雰囲気ふんいき自体じたいが大おおきく変かわってしまったとも言いえる。

日本にっぽんにおいてのハウスは90年代ねんだいの全盛期ぜんせいきほどの人気にんきはないが、今いまも昔むかしからの根強ねづよいファンやDJ、または新しん世代せだいの若手わかてオーガナイザーたちにより、小規模しょうきぼながらも様々さまざまなクラブイベント、パーティーが催もよおされている。

著名ちょめいなハウス・ミュージシャン

1980年代ねんだいから1990年代ねんだい

2000年代ねんだい以降いこう

ハウスのサブ・ジャンル

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

^ シルヴェスターはゲイ・ディスコの代表だいひょう歌手かしゅだった。ヴィレッジ・ピープルの場合ばあい、ジャケットに写うつっているメンバーと、実際じっさいに歌うたっているスタジオ・ミュージシャンとは異ことなり、ゲイのイメージは、あくまでも売うるための手段しゅだんだった。
^ 「エブリバディ・エブリバディ」がヒットした。

出典しゅってん

^ ^a ^b ^c “House Music Genre Overview - AllMusic”. 6 October 2012時じ点てんのオリジナルよりアーカイブ。5 September 2016閲覧えつらん。
^ Fritz, Jimi (2000). Rave Culture: An Insider's Overview. SmallFry Press. p. 94. ISBN 9780968572108
^ “Explore music ... Genre: Hi-NRG”. AllMusic. 2012年ねん6月がつ17日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2009年ねん7月がつ20日はつか閲覧えつらん。
^ Gilbert, Jeremy; Pearson, Ewan (2002). Discographies: Dance, Music, Culture and the Politics of Sound. Routledge. p. ??. ISBN 9781134698929
^ Langford, Simon (2014). The Remix Manual: The Art and Science of Dance Music Remixing with Logic. CRC Press. p. 99. ISBN 9781136114625
^ Walters, Barry (1986): Burning Down the House Archived 2018-04-05 at the Wayback Machine.. SPIN magazine. Retrieved 2014-04-25.
^ Malnig, Julie (2009). Ballroom, Boogie, Shimmy Sham, Shake: A Social and Popular Dance Reader. University of Illinois Press. p. 213. ISBN 9780252075650
^ Vincent, Rickey (2014-12-04). Funk: The Music, The People, and The Rhythm of The One. St. Martin's Griffin. ISBN 9781466884526. オリジナルの2016-12-25時点じてんにおけるアーカイブ。
^ ^a ^b http://www.discogs.com/ja/label/751-Salsoul-Records
^ http://www.discogs.com/Larry-Levan-Larry-Levans.../25615...
^ http://www.allmusic.com/artist/frankie-knuckles-mn0000793821
^ http://www.complex.com/music/house-music-history
^ “Clubbers Guide To Life: The Warehouse/Music Box, Chicago”. Ministry of Sound. 2006年ねん8月がつ6日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2019年ねん5月がつ14日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b C+C Music Factory | Billboard Chart History. Billboard. Retrieved on December 26, 2019
^ http://www.discogs.com/artist/4119-Deee-Lite
^ “NOKKO スペシャル・ロング・インタビュー”. OTONANO. 30 June 2024閲覧えつらん。
^ http://www.discogs.com/artist/1094-Moodymann