プロ野球やきゅうストライキ

プロ野球やきゅうストライキ（プロやきゅうストライキ）ではプロ野球やきゅうにおけるストライキについて扱あつかう。一般いっぱんには選手せんしゅが労働ろうどう争議そうぎの一環いっかんとして試合しあいに出場しゅつじょうすることを拒否きょひし、試合しあいの開催かいさいが中止ちゅうしされることを指さす。放棄ほうき試合しあいとは区別くべつされ、勝敗しょうはいもカウントされない。

審判しんぱん員いんや球場きゅうじょう・球団きゅうだん職員しょくいんが争議そうぎの一環いっかんとしてストライキ（厳密げんみつにはストライキではなくロックアウトである）を決行けっこうし、試合しあいが中止ちゅうしとなる可能かのう性せいもあるが、そうしたケースは日本にっぽんではまだ起おきていない。

日本にっぽん

NPBにおけるストライキ

日本にっぽんでは2004年ねんに日本にっぽんプロ野球やきゅう発足ほっそく以来いらい初はつとなるストライキが行おこなわれた。2023年ねん現在げんざいまで、日本にっぽん野球やきゅう機構きこう（NPB）でストライキが行おこなわれた唯一ゆいいつの例れいである（以下いか、球団きゅうだん呼称こしょう・選手せんしゅの所属しょぞく球団きゅうだん・役職やくしょくなどは当時とうじのもの）。

経緯けいい

2004年ねん6月がつ、大阪おおさか近鉄きんてつバファローズは親会社おやがいしゃの財務ざいむ状況じょうきょうが厳きびしくなったことを理由りゆうにオリックス・ブルーウェーブとの合併がっぺいを発表はっぴょうし、プロ野球やきゅう再編さいへん問題もんだいが起おこる。この合併がっぺい構想こうそうは1958年ねん以来いらい続つづく2リーグ12球団きゅうだん制せいの根幹こんかんを崩くずすものであり、将来しょうらいの1リーグ制せい移行いこうも視野しやに入いれた球団きゅうだん数すうの削減さくげんが見込みこまれていた。

労働ろうどう組合くみあい・日本にっぽんプロ野球やきゅう選手せんしゅ会かいは球団きゅうだん数すう削減さくげんを見込みこんだ近鉄きんてつとオリックスの合併がっぺいに強つよく反発はんぱつした。7月がつ10日とおかに選手せんしゅ会かいは臨時りんじ大会たいかいを招集しょうしゅうし、近鉄きんてつとオリックスの合併がっぺいを1年間ねんかん凍結とうけつし、この間あいだに両りょう球団きゅうだんの合併がっぺいが野球やきゅう界かいにとって最良さいりょうの選択せんたくか否ひかを討議とうぎすること、あわせて来きシーズンからの合併がっぺいが強行きょうこうされた場合ばあいに選手せんしゅ会かいとしてストライキ権けん行使こうしの可能かのう性せいを決議けつぎした。この際さい、日本にっぽんプロ野球やきゅう全体ぜんたいの問題もんだいとして球団きゅうだん経営けいえいの改善かいぜん策さくの提言ていげんも決議けつぎしている。

8月がつ12日にち、選手せんしゅ会かいはスト権けんを確立かくりつした。同日どうじつまでの開票かいひょうで組合くみあい員いん752人にん中ちゅう賛成さんせい648、反対はんたい7、無効むこう扱あつかい6（未み開票かいひょう91）という結果けっかだった。

9月6日にち、選手せんしゅ会かいはオリックスと近鉄きんてつの合併がっぺい1年間ねんかん凍結とうけつなどの要求ようきゅうが受うけ入いれられなかった場合ばあいにストライキを実施じっしすることを決議けつぎした。ストライキは「9月11日にち以降いこう、9月がつ中ちゅうの毎週まいしゅう土曜日どようび・日曜日にちようびに開催かいさいされる1軍ぐんと2軍ぐんの全ぜん公式こうしき試合しあい（セ・リーグ、パ・リーグ、イースタン・リーグ、ウエスタン・リーグ）」を対象たいしょうとした。合併がっぺい当事とうじ者しゃである近鉄きんてつを中心ちゅうしんに無む期限きげんという意見いけんが出でたが、12球団きゅうだんで一斉いっせいにやることの意義いぎを理由りゆうに土日どにちに限定げんていしたストライキを決議けつぎした。しかし、需要じゅようが見込みこまれやすい事例じれいのストライキは一般いっぱん社会しゃかいの反発はんぱつが大おおきいため敬遠けいえんされる向むきもあり、土日どにちという最もっとも需要じゅようが見込みこまれる時期じきにストライキを設定せっていしたことに疑問ぎもんを持もつ専門せんもん家かもいた。

また、読売よみうりジャイアンツ（巨人きょじん）の桃井ももい恒和つねかず球団きゅうだん社長しゃちょうは同日どうじつ、「2試合しあいならカバーできるが6試合しあいやられたら（公式こうしき戦せんは）なしになると思おもう。 優勝ゆうしょうは決きめられない」と主張しゅちょうしてストが最大さいだい6試合しあいに及およんだ場合ばあいはペナントレースを無効むこうとすることを提案ていあんする意向いこうを示しめした。これは当時とうじセ・リーグ首位しゅいを走はしる中日ちゅうにちドラゴンズを牽制けんせいした発言はつげんであることは明あきらかだった。中日ちゅうにち・西川にしかわ順じゅん之の助じょ球団きゅうだん社長しゃちょうは翌よく7日にちに「現時点げんじてんで既すでに100試合しあい以上いじょうを消化しょうかしているのに『優勝ゆうしょう無効むこう』を主張しゅちょうする巨人きょじん側がわの姿勢しせいはスポーツマンシップに反はんするし（仮かりに優勝ゆうしょうが無効むこうになれば）ファンも納得なっとくしない。仮かりに巨人きょじんが現時点げんじてんで首位しゅいに立たっていれば『ストライキが6試合しあい行おこなわれたら優勝ゆうしょうは無効むこう』などとは主張しゅちょうしないはずだ」と不快ふかい感かんを示しめした。落合おちあい博満ひろみつ監督かんとくは騒動そうどうのさなかに井端いばた弘和ひろかず選手せんしゅ会長かいちょうを監督かんとく室しつに呼よび「選手せんしゅ会かいとして、徹底的てっていてきに戦たたかってこい。優勝ゆうしょうや日本にっぽんシリーズがなくなってもかまわない。世よの中なかにはそれ以上いじょうに大切たいせつなことがある」とスト決行けっこうを後押あとおしした。

団体だんたい交渉こうしょうとストライキ回避かいひ

9月9日にち・10日とおかの両日りょうじつ、大阪おおさか市し内うちにて NPB・球団きゅうだん側がわと選手せんしゅ会かいの間あいだで初はつの労使ろうし交渉こうしょう（団体だんたい交渉こうしょう）が行おこなわれた。この席せきで暫定ざんてい合意ごうい点てんに関かんする申もうし合あわせが行おこなわれ、これにより9月がつ11・12日にちに選手せんしゅ会かいが予定よていしたストライキはひとまず回避かいひされた。しかし、記者きしゃ会見かいけんで瀬戸山せとやま隆三りゅうぞう（千葉ちばロッテマリーンズ球団きゅうだん代表だいひょう）が古田ふるた敦あつし也選手せんしゅ会長かいちょうに握手あくしゅを求もとめた際さい、古田ふるたがこれを拒否きょひしたため、両者りょうしゃの間あいだにはまだ溝みぞが残のこされたままであった。

ストライキ予定よていだった試合しあい

試合しあい	開始かいし時間じかん	球場きゅうじょう
一軍いちぐん
巨人きょじん×ヤクルト	18:00 -	東京とうきょうドーム
横浜よこはま×阪神はんしん	14:00 -	横浜よこはまスタジアム
中日ちゅうにち×広島ひろしま	18:00 -	ナゴヤドーム
西武せいぶ×オリックス	13:00 -	西武せいぶドーム
ロッテ×日本にほんハム		千葉ちばマリンスタジアム
ダイエー×近鉄きんてつ	18:00 -	福岡ふくおかドーム
二に軍ぐん
ヤクルト×巨人きょじん	13:00 -	11日にち：足利あしかが硬式こうしき野球やきゅう場じょう、12日にち：大田おおたスタジアム
ロッテ×日本にほんハム		ロッテ浦和うらわ球場きゅうじょう
中日ちゅうにち×サーパス	12:30 -	ナゴヤ球場きゅうじょう

交渉こうしょう決裂けつれつ、ストライキ決行けっこうへ

9月16日にち・17日にち、改あらためて球団きゅうだん側がわと選手せんしゅ会かいの団体だんたい交渉こうしょうが東京とうきょうで行おこなわれた。17日にちの17時じまでだった交渉こうしょう期限きげんを2時じ間あいだ程度ていど延長えんちょうしたが合意ごういには至いたらず交渉こうしょうは決裂けつれつした。選手せんしゅ会かい・球団きゅうだん側がわの双方そうほうは21時じ10分ふん頃ごろより会見かいけんを行おこない、選手せんしゅ会かい側がわは9月18日にち・19日にちにストライキを決行けっこうすると発表はっぴょうした。この結果けっか、9月18日にち・19日にちの両日りょうじつに予定よていされていた1軍ぐんと2軍ぐんの公式こうしき試合しあいはすべて中止ちゅうしされた。

ストライキ決行けっこうの日ひに予定よていされた試合しあいはセ・リーグで首位しゅいと2位い、3位いと4位い、5位いと6位いがそれぞれ直接ちょくせつ対決たいけつするカードであったこと、一方いっぽうパ・リーグも首位しゅいと2位いの直接ちょくせつ対決たいけつで、勝かてば首位しゅいが決定けっていする試合しあいだったこと、3位いと4位いもゲーム差さが0.5であり、プレーオフ進出しんしゅつに直結ちょっけつする重要じゅうような試合しあいであったことなど、シーズン終盤しゅうばんにおいて注目ちゅうもくされる試合しあいが目白押めじろおしであった。

ストライキの期間きかん中ちゅう、各かく球団きゅうだん選手せんしゅ会かいは独自どくじにサイン会かいや握手あくしゅ会かいなどのイベントを開催かいさいした。また試合しあいが行おこなわれる予定よていだった球場きゅうじょうで練習れんしゅうなども行おこなったが、球団きゅうだんから資金しきんが出でないため移動いどうはジャージ姿すがたで歩あるいて球場きゅうじょうに出向でむいたほか、練習れんしゅう中ちゅうの球たま拾ひろいも選手せんしゅ自みずから行おこなっていた。一部いちぶ球団きゅうだんでは球場きゅうじょうおよび球団きゅうだん施設しせつ（練習れんしゅう施設しせつ・合宿がっしゅく所しょ・寮りょう・ロッカーなど）の閉鎖へいさ、または使用しようの都度つど使用しよう料りょうを請求せいきゅうするロックアウトも検討けんとうされた。

野球やきゅう協約きょうやくの第だい7条じょうでは「野球やきゅう活動かつどう休止きゅうし1日にちにつき、年俸ねんぽうの300分ぶんの1を減俸げんぽうすることができる」とあり、今回こんかいのストライキはこれにあたるとされ、規定きていに基もとづき各かく球団きゅうだんはストライキに参加さんかした選手せんしゅの年俸ねんぽうをその分ぶん削減さくげんしたが、ストライキで試合しあいが中止ちゅうしになったため生しょうじた損失そんしつはこれ以上いじょうとされている。なお、日本にっぽんプロ野球やきゅう選手せんしゅ会かいに所属しょぞくしていない外国がいこく人じん選手せんしゅはストライキに参加さんかしていないため減俸げんぽうされなかった。

連続れんぞく試合しあい出場しゅつじょうなどの記録きろくは途切とぎれず継続けいぞくとされ、例たとえば金本かなもと知とも憲けんの場合ばあいはストライキのあったこの年としを含ふくめた1998年ねん - 2011年ねんまでとなっている。

また日本にっぽんプロ野球やきゅう選手せんしゅ会かいは、9月19日にちに東京とうきょう・銀座ぎんざヤマハホールで「みんな野球やきゅうが好すきなんだ」をテーマとしたイベント「ファンと選手せんしゅの集つどい」を開催かいさいした。告知こくち期間きかんは短みじかかったが、多おおくのファンが訪おとずれたため、1回かいの予定よていを急遽きゅうきょ2回かいに変更へんこうしている。

なお、18日にちに野球やきゅう中継ちゅうけいを放送ほうそう予定よていだったNHK総合そうごうテレビは『列島れっとう縦断じゅうだん 鉄道てつどう12000キロの旅たび 〜最長さいちょう片道かたみち切符きっぷでゆく42日にち〜』に、19日にちに野球やきゅう中継ちゅうけいを放送ほうそう予定よていだったTBSテレビでは『警察けいさつ24時じ』にそれぞれ番組ばんぐみ変更へんこうして穴埋あなうめした。

また、18日にち・19日にちに野球やきゅう中継ちゅうけいを放送ほうそう予定よていだった民放みんぽうラジオ局きょくでは解説かいせつ者しゃを招まねいて、揃そろって『どうなる!?プロ野球やきゅう』等とうのテーマで聴取ちょうしゅ者しゃからFAXやメールを募つのり、討論とうろん番組ばんぐみを放送ほうそうした。

ストライキで中止ちゅうしとなった試合しあい

試合しあい	開始かいし時間じかん	球場きゅうじょう
一軍いちぐん
ヤクルト×阪神はんしん	18:20 -	神宮球場じんぐうきゅうじょう
横浜よこはま×広島ひろしま	14:00 -	横浜よこはまスタジアム
中日ちゅうにち×巨人きょじん	18:00 -	ナゴヤドーム
日本にほんハム×近鉄きんてつ	13:00 -	札幌さっぽろドーム
オリックス×ロッテ		ヤフーBBスタジアム
ダイエー×西武せいぶ	18:00 -	福岡ふくおかドーム
二に軍ぐん
巨人きょじん×日本にほんハム	13:00 -	横手よこて（18日にちは元々もともと試合しあい予定よていなし）
西武せいぶ×ロッテ		上尾あげお
湘南しょうなん×ヤクルト	18:00 -	横須賀よこすか

9月17日にち終了しゅうりょう時点じてんのパ・リーグの順位じゅんい表ひょう

	球団きゅうだん	勝敗しょうはい	差さ	残のこり試合しあい
				ダ	西にし	ロ	日ひ	近ちか	オ
1	ダイエー	76勝しょう50敗はい4分ふん	－	-	(2)	0	3	0	0
2	西武せいぶ	73勝しょう56敗はい1分ふん	4.5	(2)	-	2	0	1	0
3	ロッテ	64勝しょう64敗はい3分ふん	8.5	0	2	-	0	0	(2)
4	日本にほんハム	63勝しょう64敗はい2分ふん	0.5	3	0	0	-	(2)	1
5	近鉄きんてつ	58勝しょう67敗はい2分ふん	4	0	1	0	(2)	-	5
6	オリックス	46勝しょう79敗はい2分ふん	12	0	0	(2)	1	5	-

※括弧かっこはストライキで中止ちゅうしとなった試合しあい

3度目どめの団体だんたい交渉こうしょう、そして終結しゅうけつへ

9月22日にちと9月がつ23日にちの両日りょうじつ、名古屋なごや市し内うちにて3度目どめの団体だんたい交渉こうしょうが行おこなわれた結果けっか、「12球団きゅうだん制せいの維持いじ」「新規しんき参入さんにゅう球団きゅうだんへの預あずかり保証ほしょう金きん制せい導入どうにゅう」など7項目こうもくで合意ごういに達たっし、交渉こうしょうは妥結だけつした。一連いちれんの球界きゅうかい再編さいへん問題もんだいに対たいして「終結しゅうけつ宣言せんげん」が出だされた。

9月27日にちに実行じっこう委員いいん会かいは9月18・19日にちのストライキに伴ともなう再さい試合しあいを実施じっししないことを決定けっていした。

関西かんさい独立どくりつリーグにおけるストライキ

関西かんさい独立どくりつリーグの神戸こうべ9クルーズで起おきた事例じれいであるが、リーグの全ぜん選手せんしゅではなかったことや、試合しあいそのものは開催かいさいされたため、NPBやメジャーリーグの事例じれいとはやや性格せいかくが異ことなる。

2009年ねん7月がつ29日にち、選手せんしゅの育成いくせい方針ほうしんを巡めぐって神戸こうべの中田なかた良弘よしひろ監督かんとくと広田ひろた和代かずよ社長しゃちょうが対立たいりつし、広田ひろた社長しゃちょうは中田なかた監督かんとくを解任かいにんした。中田なかた監督かんとくの方針ほうしんを支持しじする選手せんしゅからは解任かいにんに対たいする反発はんぱつが起おきる。解任かいにんの翌日よくじつにはチーム唯一ゆいいつの女子じょし選手せんしゅである吉田よしだえりが一時いちじ退団たいだんを発表はっぴょうした。31日にちの紀州きしゅうレンジャーズ戦せんでは選手せんしゅ4人にんが出場しゅつじょうを拒否きょひした。出場しゅつじょうできる野手やしゅが8人にん（リーグは指名しめい打者だしゃ制せいを採用さいよう）となったため、コーチから監督かんとく代行だいこうとなった村上むらかみ眞一しんいちが急遽きゅうきょ指名しめい打者だしゃとして出場しゅつじょうすることで、試合しあいは無事ぶじに開催かいさいされた。

MLBにおけるストライキ

メジャーリーグベースボール（MLB）では過去かこにたびたび選手せんしゅ会かい側がわと経営けいえい者しゃ側がわの衝突しょうとつが起おこり、5度どの選手せんしゅ会かい側がわによるストライキと3度どの経営けいえい者しゃ側がわによるロックアウト（施設しせつからの締しめ出だし）が実施じっしされている。下記かきの3つのストライキの他ほかに実施じっしされた、1980年ねん（4月がつ1日にちから8日にちまで）と1985年ねん（8月がつ6日にちから7日にちまで）のストライキはそれぞれスプリングトレーニング期間きかん中ちゅうと2日間にちかんのみで、シーズンの試合しあいは中止ちゅうしされなかった。

1972年ねんのストライキ

MLB史上しじょう初はじめてのストライキで1972年ねん4月がつ1日にちから4月がつ13日にちまで行おこなわれ、シーズンの開幕かいまくが遅おくれた。選手せんしゅ側がわと経営けいえい者しゃ側がわは新あらたな労働ろうどう協約きょうやくを結むすぶ事ことで合意ごういした。13日間にちかんに行おこなわれる予定よていだった合計ごうけい86試合しあいが中止ちゅうしとなった。選手せんしゅ会かい側がわはストライキ中ちゅうに出場しゅつじょう出来できなかった試合しあい分ぶんの給与きゅうよを失うしなったが、トレードの拒否きょひ権けん、テン・アンド・ファイブルール（ノートレード条項じょうこう）を勝かち取とった。また、年金ねんきん基金ききんに50万まんドルが追加ついかされ、年俸ねんぽう調停ちょうてい制度せいどが導入どうにゅうされた。

1981年ねんのストライキ

詳細しょうさいは「1981年ねんのMLBストライキ」を参照さんしょう

フリーエージェント（FA）選手せんしゅの補償ほしょう問題もんだいで、FA制度せいどの形骸けいがい化かを目論もくろむ経営けいえい者しゃ側がわと選手せんしゅ会かい側がわが折おり合あわず、1981年ねんシーズン途中とちゅうの6月がつ12日にちからストライキを決行けっこうした。ストライキは50日間にちかんに及および、保険ほけんを掛かけていた経営けいえい者しゃ側がわが有利ゆうりに進すすめ、FA選手せんしゅを喪失そうしつした球団きゅうだんに対たいしてドラフト選択せんたく権けんを付与ふよするシステムを導入どうにゅうすることで双方そうほうが合意ごういした。スト解除かいじょは7月がつ31日にちであった。合計ごうけい713試合しあいが中止ちゅうしとなった。そのため、プレーオフ方式ほうしきの再さい編成へんせいを余儀よぎなくされ、この年としはレギュラーシーズンが前ぜん後期こうきのスプリットシーズン制せいとなった。

1994年ねん-1995年ねんのストライキ

詳細しょうさいは「1994年ねんから1995年ねんのMLBストライキ」を参照さんしょう

この年としのストライキは越年えつねんし、MLB史上しじょう最長さいちょうとなった。経営けいえい者しゃ側がわが、チームの総そう年俸ねんぽうに上限じょうげんを定さだめるサラリーキャップ制度せいどを導入どうにゅうしようとしたものの、選手せんしゅ会かい側がわがこれに反発はんぱつし、1994年ねんシーズン途中とちゅうの8月がつ12日にちからストライキを行おこなった。ストライキは232日間にちかんにも及および、残のこりの公式こうしき戦せんやポストシーズンが中止ちゅうしされたため、二に度どの世界せかい大戦たいせんの際さいでも中止ちゅうしにならなかったワールドシリーズも中止ちゅうしになった。

早期そうき解決かいけつを促うながすべく、翌よく1995年ねん2月がつにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょうビル・クリントンが2度目どめの調停ちょうていに入はいるが、調停ちょうていは失敗しっぱいに終おわった。ストライキは4月がつ2日にちをもって解除かいじょされたが、この年としのシーズン開幕かいまくは4月がつ25日にちと、当初とうしょの4月がつ2日にちから約やく1ヶ月かげつ遅おくれることとなった。合計ごうけい938試合しあいが中止ちゅうしとなった。なお開催かいさいが中止ちゅうしされたワールドシリーズに代かわり、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの一部いちぶでは日本にっぽんシリーズが中継ちゅうけいされた。

経営けいえい者しゃ側がわは、サラリーキャップ制度せいどの導入どうにゅうを断念だんねんした。1997年ねん3月14日にちに、収益しゅうえき分配ぶんぱい制度せいどや年俸ねんぽうの抑制よくせいを目的もくてきとした、選手せんしゅ会かいと経営けいえい者しゃの間あいだで新あらたな労働ろうどう協約きょうやくが締結ていけつされ、サラリーキャップ制度せいどの代替だいたい案あんとして、年俸ねんぽう総額そうがくが一定いっていの額がくを超こえたチームに、いわゆる贅沢ぜいたく税ぜいを課かす課徴かちょう金きん制度せいどが導入どうにゅうされた。このストライキでは大だい規模きぼなファン離ばなれが生しょうじ、1997年ねんのインターリーグ導入どうにゅうの契機けいきにもなった。

2002年ねんのストライキ危機きき

実際じっさいには実行じっこうには移うつされなかったが、ストライキが行おこなわれる直前ちょくぜんまで至いたった。年俸ねんぽう総額そうがくや球団きゅうだん削減さくげんなどを織おり込こんだ新しん労使ろうし交渉こうしょうが選手せんしゅ会かいと経営けいえい者しゃの間あいだで折おり合あわず、2002年ねん8月がつ30日にちまでに妥結だけつされない場合ばあいはストライキを決行けっこうすることにした。ストライキ開始かいし日びとなる8月がつ30日にちが近ちかづいても交渉こうしょうはこう着ちゃく状態じょうたいのままでストライキ回避かいひは不可能ふかのうと思おもわれていたが、ストライキ決行けっこう日びに決きめていた8月がつ30日にちに事態じたいは急転きゅうてんし交渉こうしょうが妥結だけつされ、ストライキは回避かいひされた。急転きゅうてん妥結だけつの原因げんいんとして、1994年ねんのストライキによる野球やきゅう離ばなれの再来さいらいを労使ろうしともに警戒けいかいしたためとされる。

2002年ねん8月がつに妥結だけつされた労使ろうし協定きょうていは2006年ねん12月19日にちまでとなっており対応たいおうが注目ちゅうもくされたが、2006年ねん10月がつ24日にちに過去かこ最長さいちょうとなる5年間ねんかんの新しん労使ろうし協定きょうていを締結ていけつした。今回こんかいの契約けいやく内容ないようには、2011年ねん12月までストライキやロックアウトが行おこなわれないことなどが盛もり込こまれている。