ボーラス投与とうよ

ボーラス投与とうよ（ラテン語らてんごのbolus、「玉たま」、「ボール」から）は、医学いがくにおいて血液けつえき中なかの薬物やくぶつの濃度のうどを効果こうか的てきなレベルに上あげることを目的もくてきとして、一定いっていの時間じかん内ない(一般いっぱんに1〜30分ふん以内いない)に医薬品いやくひん、薬物やくぶつ、その他たの化合かごう物ぶつを投与とうよする方法ほうほう。投与とうよは、静脈じょうみゃく内ない、筋肉きんにく内ない、髄ずい腔内、皮下ひか、または吸入きゅうにゅうなどの注入ちゅうにゅう方法ほうほうによって行おこなわれる。

ボーラス投与とうよの方法ほうほう

ボーラス投与とうよ量りょうは、対象たいしょう物ぶつの全身ぜんしん濃度のうど(または効果こうか)がどの程度ていど求もとめられるかによる。ワクチン投与とうよの場合ばあい、筋肉きんにく内ない注射ちゅうしゃにより抗原こうげんが徐じょ放はなされ、体からだの免疫めんえき系けいが刺激しげきされ抗体こうたいを生成せいせいするために必要ひつような時間じかんが維持いじされる。 ヘロイン中毒ちゅうどく者しゃは、多幸たこう感かんをもたらすことなく離脱りだつを抑おさえたヘロインの徐じょ放ひを維持いじするために、皮下ひか注射ちゅうしゃを利用りようする（ボーラスによってブツブツした皮膚ひふの荒あれが形成けいせいされるため「スキンポッピング」と呼よばれている 。

点滴てんてき静脈じょうみゃく注射ちゅうしゃにより静脈じょうみゃくに直接ちょくせつ送おくり込こむボーラスは、血液けつえき中ちゅうの物質ぶっしつの濃度のうどを効果こうか的てきなレベルまではるかに迅速じんそくに上あげることができる。 この方法ほうほうは通常つうじょう、治療ちりょうの開始かいし時じまたは血液けつえきからの薬物やくぶつの除去じょきょ（例たとえば透析とうせき）の後のち行おこなわれる。麻酔ますい科か診療しんりょうにおいては、三方みかた活栓かっせんからの静脈じょうみゃく注射ちゅうしゃが主おもな薬剤やくざい投与とうよ経路けいろであり、例たとえば、患者かんじゃの意識いしきが無なくなるまで麻酔ますい薬やくの、麻酔ますい中ちゅうの血圧けつあつ低下ていかが元もとに戻もどるまで昇圧しょうあつ剤ざいの、ボーラス投与とうよが頻繁ひんぱんに行おこなわれる。

糖尿とうにょう病びょう

糖尿とうにょう病びょう患者かんじゃとその医療いりょう関係かんけい者しゃの間あいだでは、食事しょくじの前まえに速効そっこう型がたインスリンの追加ついかインスリンを投与とうよすることをボーラス投与とうよと言いう（対たいして、基礎きそインスリン投与とうよは、遅効ちこう型がたインスリンの投与とうよまたは少量しょうりょうの速効そっこう型がたインスリンの持続じぞく投与とうよにより肝臓かんぞうからのグルコース放出ほうしゅつを制御せいぎょすることを指さす）。

獣医じゅうい学がく

獣医じゅうい学がくにおいては、ボーラスとは牛うし、山羊やぎ、羊ひつじの第だい一いち胃いにとどまる大おおきな徐じょ放ひ性せい錠剤じょうざいである。 脱水だっすい症しょうまたは飼かい猫ねこの一般いっぱん的てきな疾患しっかんである腎不全じんふぜんを緩和かんわするために投与とうよされる生理せいり食しょく塩水えんすいなど、皮下ひか注射ちゅうしゃされる液体えきたいを指さすこともある。投与とうよされた液体えきたいは完全かんぜんに吸収きゅうしゅうされるまで数すう分ふん以上いじょう動物どうぶつの皮膚ひふの下したにボーラス、ボール、または塊かたまりの形かたちで残のこる。

放射線ほうしゃせん療法りょうほう

放射線ほうしゃせん療法りょうほうでは、ボーラスは皮膚ひふ表面ひょうめん上じょうのワックス状じょうの組織そしきと同等どうとうであり、外部がいぶ放射線ほうしゃせんビームの線量せんりょう範囲はんいを均質きんしつ化かまたは調整ちょうせいする働はたらきを示しめす。