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マカ - Wikipedia

マカ(Maca; 学名がくめい: Lepidium meyenii[1]南米なんべいペルー植生しょくせいするアブラナ多年生たねんせい植物しょくぶつ薬用やくようハーブとして使つかわれる。収穫しゅうかく乾燥かんそうされ、刺激しげきせい成分せいぶんグルコシノレート減少げんしょうさせてからしょくされる[2]別名べつめい macamaca, maino, ayak chichira, ayak willku。

マカ
マカの
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
もん : 被子植物ひししょくぶつもん Magnoliophyta
つな : そう子葉しよう植物しょくぶつつな Magnoliopsida
つな : ビワモドキつな Dilleniidae
: フウチョウソウ Capparales
: アブラナ Brassicaceae
ぞく : マメグンバイナズナぞく Lepidium
たね : マカ Lepidium meyenii
学名がくめい
Lepidium meyenii Walp.
シノニム

Lepidium peruvianum

和名わみょう
マカ
英名えいめい
Maca

ぞくめい LepidiumギリシャのLepidionからている。そのかたちから、ちいさな鱗片りんぺんという意味いみである。

ペルーではひろくマカとばれている植物しょくぶつはSoukup(1970)によれば記録きろくされているもので100種類しゅるいあり、うち11種類しゅるいがペルーに自生じせいする。

栽培さいばい

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インカ帝国ていこく時代じだいから重要じゅうよう食物しょくもつとして栽培さいばいされ、強烈きょうれつ紫外線しがいせん酸性さんせい土壌どじょう昼夜ちゅうや温度おんどはげしい過酷かこく自然しぜん環境かんきょうそだつ。土壌どじょう栄養素えいようそ満遍まんべんなくるため、一度いちどマカを栽培さいばいした土地とちすう年間ねんかん不毛ふもうになるといわれる[だれ?]たねまきの時期じきは10 - 11月、収穫しゅうかくは1ねんの6 - 7がつ収穫しゅうかくは3かげつ以上いじょう強烈きょうれつ太陽光たいようこうせんのもと天日てんじつ乾燥かんそうする。乾燥かんそうしたマカのは7ねんもの年月としつき貯蔵ちょぞうえることから、保存ほぞんしょくとしてももちいられる。栽培さいばいフニンけんボンボン高原こうげんなど標高ひょうこう4000から5000メートルの高地こうちてきする。

利用りよう

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やく2000ねんまえにすでにアンデス高地こうち栽培さいばいされており、 インカ帝国ていこく時代じだいには特権とっけん階級かいきゅうものとして珍重ちんちょうされ、戦勝せんしょうをあげた兵士へいしへの褒賞ほうしょうとしてあたえられたという研究けんきゅうもある。現地げんちではマカを「アンデスの人参にんじん」と[よう出典しゅってん]滋養じようしょくとして現地げんち代表だいひょうてき家畜かちくであるリャマ少量しょうりょうのマカが取引とりひきされていた。20世紀せいきまでマカはそれほど人気にんきがあったわけではなく、ペルーのフニンみずうみ周辺しゅうへん以外いがい栽培さいばいされた形跡けいせきもほとんどなく、1980年代ねんだいには作付さくづけ面積めんせき史上しじょう最低さいていの150ヘクタールまでんだ[2]。マカを体験たいけんしたほとんどのひと不快ふかいかんじると指摘してきした科学かがくしゃもいて酷評こくひょうされてきたが、1990年代ねんだいまつごろから女性じょせい更年期こうねんき障害しょうがい効果こうかのある万能ばんのうやく、さらに天然てんねんバイアグラとして宣伝せんでんする販売はんばい業者ぎょうしゃあらわれて人気にんき突然とつぜん沸騰ふっとうするようになった[3]抽出ちゅうしゅつした成分せいぶんをさまざまなかたち希釈きしゃくして、先進せんしん諸国しょこくでスーパーマーケットなどで販売はんばいされている[3]現在げんざいマカは、原産げんさんこくであるペルー政府せいふ貴重きちょう外貨がいか獲得かくとく資源しげんとなっており、マカそのものをペルー国外こくがいすことは法律ほうりつ禁止きんしされている。

日本にっぽんでは、1990ねん大阪おおさか開催かいさいされた『国際こくさいはなみどり博覧はくらんかい』でペルー政府せいふ紹介しょうかいしたのがはじめてで、アルベルト・フジモリ大統領だいとうりょう後任こうにんとして「アンデス農業生物資源研究所のうぎょうせいぶつしげんけんきゅうじょ」の所長しょちょうである塩田しおだ哲夫てつお(ソクラテス・シオタ 秋田大学あきただいがくそつ)が博覧はくらんかいでマカの素晴すばらしさをつたえていた。その、1997ねん11月、当時とうじはペルーの日系にっけい法人ほうじんであったコペルニックス・ジャパン(現在げんざい日本にっぽん法人ほうじんでラティーナ)が健康けんこう食品しょくひんとしてマカを紹介しょうかいした。翌年よくねん当時とうじのペルー大統領だいとうりょうであったフジモリが来日らいにちし、マカをふくむペルーの特産とくさんひん紹介しょうかいつとめた。2001ねん5がつ10日とおかTBS回復かいふく!スパスパ人間にんげんがく』、2003ねん1がつ2にち日本にほんテレビ世界せかい仰天ぎょうてんグルメ特捜とくそうスペシャル』でマカが紹介しょうかいされ、一般いっぱんられるようになる。統計とうけいによると、2003ねんから2006ねんにかけて、日本にっぽんはマカのたい輸出ゆしゅつこくとしてアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくについでだい2をキープしており、ペルー国内こくないのマカ輸出ゆしゅつ商社しょうしゃけい120しゃあまりのうち、やく40しゃ日本にっぽん取引とりひきおこなっている。現在げんざいは、日本にっぽん薬局やっきょくドラッグストア通信つうしん販売はんばいとうおおくのマカ加工かこう食品しょくひんられている。

伝説でんせつ

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スペインがペルーを征服せいふくしたとき、スペインぐんれてきたうま高地こうち環境かんきょう順応じゅんのうできず、交配こうはいして子供こどもつくることなくんでしまう危機ききひんしたさい原住民げんじゅうみんすすめでマカのうまあたえたところうま繁殖はんしょく成功せいこうし、結果けっかてきにインカ帝国ていこく征服せいふく成功せいこうしたということが当時とうじのスペインの記録きろくのこされている[4]

成分せいぶん

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必須ひっす栄養素えいようそおおふくみ、アンデスで栽培さいばいされる植物しょくぶつなかでもきわめてすぐれた栄養えいようしめす。乾燥かんそうマカ100gの栄養えいよう構成こうせいは、炭水化物たんすいかぶつ59g、たんぱくしつ 10.2g、繊維せんい8.5g、脂質ししつ2.2gで、大量たいりょう必須ひっすアミノ酸あみのさんや、ジャガイモのばい以上いじょう鉄分てつぶんカルシウムふくむ(1993ねんナポリ大学だいがく発表はっぴょう資料しりょうによる)。そのリノールさんパルミチンさんオレインさんといった脂肪酸しぼうさんビタミンBぐん、ミネラル、グルコシノレートひとし含有がんゆうする。

成分せいぶんひょう

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以下いか一般いっぱんてきなマカ粉末ふんまつ100gあたりの主要しゅよう栄養えいよう成分せいぶん分析ぶんせき結果けっかしめす。

分析ぶんせき項目こうもく
カルシウム 586mg
てつ 11.5mg
タンパク質たんぱくしつ 11.3g
亜鉛あえん 7.93mg
アミノ酸あみのさん
アラニン 0.39g
アルギニン 0.61g
アスパラギンさん 0.67g
グルタミン酸ぐるたみんさん 0.73g
グリシン 0.35g
ヒスチジン 0.19g
イソロイシン 0.28g
ロイシン 0.45g
リジン 0.31g
メチオニン 0.11g
フェニルアラニン 0.29g
プロリン 2.49g
セリン 0.33g
トレオニン 0.33g
チロシン 0.20g
バリン 0.39g

日本にっぽん食品しょくひん分析ぶんせきセンター調しら

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2001ねん、Carlos Quiros博士はかせ発表はっぴょう論文ろんぶん「マカの種子しゅし成熟せいじゅく植物しょくぶつおよび派生はせい市販しはん商品しょうひんにおけるグルコシノレート含有がんゆうりょう」によれば、グルコシノレートは乳腺にゅうせん(Wattenberg 1981)肝臓かんぞう(Sugieほか;Rosaほか1997)のがん阻害そがいざいであることが報告ほうこくされている。

マカにおけるグルコシノレート含有がんゆうりょう

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サンプル μみゅーMOL/G
なまはいじく 25.66
生葉いくは 3.77
種子しゅし 69.45
18.5
乾燥かんそうはいじく 4.45
粉末ふんまつ 4.06
カプセル(NMW) 6.67
カプセル(NW) 2.57
錠剤じょうざい(PN) 8.25
錠剤じょうざい(MA) 3.4
マヨネーズ 2.69

医療いりょう用途ようと可能かのうせい 

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鈴鹿すずか医療いりょう科学かがく大学だいがく大学院だいがくいん保健ほけん衛生えいせいがく研究けんきゅう研究けんきゅうにおいて、更年期こうねんき障害しょうがいストレスからくる若年じゃくねんせい更年期こうねんき障害しょうがいたいおこなわれるホルモン補充ほじゅう療法りょうほうのひとつとして、マカの効果こうか十分じゅうぶん期待きたいできるものとかんがえられると発表はっぴょうされた[5]

日本にっぽん農芸のうげい学会がっかい発表はっぴょう(2005ねん)によれば、マウスの遊泳ゆうえい運動うんどう実験じっけん結果けっか、マカ抽出ちゅうしゅつぶつには持久じきゅうりょく向上こうじょうこう疲労ひろう作用さようゆうすることが示唆しさされた。どう学会がっかい翌年よくねんおこなった実験じっけんでは、マウスにこう脂肪しぼうしょくとマカ抽出ちゅうしゅつぶつ並行へいこうしてあたえたところ、マカ抽出ちゅうしゅつぶつにはこう肥満ひまん作用さようゆうすることが示唆しさされた。研究けんきゅうでも、ゼラチン(のり)マカ抽出ちゅうしゅつぶつ使用しようして研究けんきゅうおこなわれた。[6][7]

さらに、2010ねんおこなわれた、131にん参加さんかしゃ対象たいしょうとした4つの作為さくい臨床りんしょう研究けんきゅうふくむレビューでは、すくなくとも6週間しゅうかん摂取せっしゅでマカが性欲せいよく改善かいぜんすることが示唆しさされている[8]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 熱帯ねったい植物しょくぶつ研究けんきゅうかい へん熱帯ねったい植物しょくぶつ要覧ようらん』(だい4はんよう賢堂かしこどう、1996ねん、131ぺーじISBN 4-924395-03-X 
  2. ^ a b マッケンハウプト 2019, p. 34.
  3. ^ a b マッケンハウプト 2019, p. 35.
  4. ^ 雑誌ざっし「SOMOS」1996ねん6がつ1にちごう
  5. ^ 医学いがく生物せいぶつがくだい145かんだい2ごう・2002ねん8がつ10日とおか
  6. ^ マカはどうえらぶ?のり濃縮のうしゅくマカが効果こうかてき”. ダイケンバイオメディカル (2024ねん5がつ29にち). 2024ねん6がつ16にち閲覧えつらん
  7. ^ 太田おおた, 祥弘よしひろ (2017). Lepidium meyenii(マカ)抽出ちゅうしゅつぶつがラット精巣せいそうアンドロジェンさんせいおよぼす影響えいきょうかんする研究けんきゅう. https://ci.nii.ac.jp/naid/500001013741/. 
  8. ^ 【マカ】とは? 研究けんきゅうもとづいた効果こうか・テストステロンへの影響えいきょう医師いし解説かいせつ | クリニックTEN 渋谷しぶや”. クリニックTEN 渋谷しぶや | 渋谷しぶやのかかりつけクリニック (2021ねん6がつ7にち). 2021ねん11月19にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • メグ・マッケンハウプト ちょすみ敦子あつこ やく『キャベツと白菜はくさい歴史れきしはら書房しょぼう〈「しょく」の図書館としょかん〉、2019ねん4がつ23にちISBN 978-4-562-05651-4 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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