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位置天文学 - Wikipedia

位置いち天文学てんもんがく (いちてんもんがく、英語えいご:position(al) astronomy) は、天文学てんもんがくいち分野ぶんや恒星こうせい天体てんたい位置いち距離きょり運動うんどうあつかう。位置いち天文学てんもんがく成果せいか一部いちぶ宇宙うちゅう距離きょり梯子はしごめるのに役立やくだっている。

位置いち天文学てんもんがくには天文学てんもんがくしゃ観測かんそく結果けっか記述きじゅつするさい座標ざひょうけいあたえるという基本きほんてき役割やくわりがあるが、これとはべつに、天体てんたい力学りきがく恒星こうせいけい力学りきがく銀河ぎんが天文学てんもんがくといった分野ぶんやにおいて根本こんぽんてき重要じゅうよう役割やくわりたしている。観測かんそく天文学てんもんがくにおいては、移動いどうする恒星こうせいじょう天体てんたい同定どうていするさい位置いち天文学てんもんがく手法しゅほうかせない。位置いち天文学てんもんがくはまた時刻じこく管理かんりするさいにも使つかわれる。現在げんざい協定きょうてい世界せかい (UTC) は、国際こくさい原子げんし (TAI) を地球ちきゅう自転じてん同期どうきさせることでられているが、この地球ちきゅう自転じてん位置いち天文学てんもんがく手法しゅほうもちいて精密せいみつ観測かんそくされている。

位置いち天文学てんもんがく発展はってん歴史れきし概観がいかんすると以下いかのようになっている。

古代こだい時刻じこく日時計ひどけいはかられていた。位置いち天文学てんもんがく自然しぜん科学かがく最古さいこ分野ぶんやひとつである。位置いち天文学てんもんがく歴史れきし古代こだいギリシアヒッパルコスまでさかのぼることができる。かれ夜空よぞらえる恒星こうせい観測かんそくし、最初さいしょほしひょう編纂へんさんした。またその過程かていほしあかるさをあらわ等級とうきゅう仕組しくみをさだめた。この等級とうきゅう基本きほんてきかんがかたえることなく現代げんだいでも使つかわれている。天球てんきゅううえ天体てんたいあいだ角度かくど計測けいそくするためにアストロラーベ発明はつめいされ、位置いち天文学てんもんがく問題もんだいくために球面きゅうめん幾何きかがく発展はってんした(球面きゅうめん天文学てんもんがく)。 さらに、六分儀ろくぶんぎ発明はつめいによって、天球てんきゅうじょう角度かくど計測けいそく精度せいど飛躍ひやくてき向上こうじょうした。

近代きんだい位置いち天文学てんもんがくベッセルによって創始そうしされた。ベッセルは Fundamenta astronomiae (『天文学てんもんがく原論げんろん』) という書物しょもつ出版しゅっぱんし、このなかブラッドリーが1750ねんから1762ねんまでのあいだ観測かんそくした3,222恒星こうせいたいして平均へいきん位置いちあたえた(地球ちきゅうとししゅう運動うんどうによって、恒星こうせい位置いち微妙びみょう変動へんどうするため)。

現代げんだい

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ケフェイド使つかって天体てんたいまでの距離きょりはか手法しゅほう確立かくりつされたことによって、20世紀せいきはいるとハッブル星雲せいうん一部いちぶ銀河系ぎんがけいそとにあることを発見はっけんした。ハッブルはさらに、よりとおくの銀河ぎんがまでの距離きょりをその星雲せいうんないのケフェイドをもちいて測定そくていし、これとその星雲せいうんとのあか方偏かたへんうつりおおきさとを比較ひかくすることでハッブルの法則ほうそく見出みいだし、宇宙うちゅう膨張ぼうちょう観測かんそく結果けっかからの裏付うらづけをおこなった。

1989ねんから1993ねんにかけて、欧州おうしゅう宇宙うちゅう機関きかん (ESA) の ヒッパルコス衛星えいせいはじめて宇宙うちゅうから恒星こうせい精密せいみつ位置いち測定そくていおこなった。これによってやく12まん恒星こうせいについて20-30ミリびょう精度せいどでその位置いちられた。

現在げんざいでは、地球ちきゅう近傍きんぼう天体てんたい追跡ついせき太陽系たいようけいがい惑星わくせい検出けんしゅつ位置いち天文学てんもんがく手法しゅほうもちいられている。いちれいとして、NASA宇宙うちゅう干渉かんしょうけい計画けいかくSpace Interferometry Mission略称りゃくしょう:SIM)では、恒星こうせい周囲しゅういまわ巨大きょだいガス惑星わくせい近傍きんぼう地球ちきゅうがた惑星わくせい検出けんしゅつする計画けいかくすすめられている。

また、望遠鏡ぼうえんきょうコンピュータ発達はったつおよ安価あんかな CCD(電荷でんか結合けつごう素子そし)カメラの出現しゅつげんによって、アマチュアによるだい規模きぼ小惑星しょうわくせい観測かんそくなどもおこなわれている。

さらに天体てんたい物理ぶつりがく分野ぶんやでも、パルサー移動いどう速度そくど測定そくていすることによって超新星ちょうしんせい爆発ばくはつ非対称ひたいしょうせい調しらべたり、銀河ぎんがないダークマター分布ぶんぷ決定けっていするために位置いち天文学てんもんがくてき手法しゅほう使つかわれている。

たい問題もんだいへの応用おうよう

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観測かんそく結果けっかから天体てんたい軌道きどう決定けっていおこな場合ばあい通常つうじょう、それがたい場合ばあい問題もんだいがなかった。ところが、位置いち天文てんもんてきれんぼしブラックホールなどばんほしえない場合ばあいは、直接ちょくせつ光学こうがくてき観測かんそくができず概略がいりゃくてき数値すうちしかもとまらないとかんがえられてきた。しかし、2004ねん弘前大学ひろさきだいがく理工学部りこうがくぶ浅田あさだ秀樹ひできらにより、このような不可視ふかしともぼしったれんほしけいたい場合ばあいにも、軌道きどう厳密げんみつ決定けっていする方法ほうほう発表はっぴょうされた[1]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 浅田あさだ秀樹ひでき2たい軌道きどう決定けっていほうしん展開てんかい -VERA・JASMINEとうこう精度せいど位置いち天文てんもん観測かんそく期待きたいして-」(PDF)『天文てんもん月報げっぽうだい99かんだい11ごう、2006ねん11月。ISSN 0374-2466オリジナルの2019ねん4がつ12にち時点じてんにおけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20190412141605/http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/2006_99_11/99_637.pdf2019ねん4がつ12にち閲覧えつらん 

関連かんれん項目こうもく

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