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小惑星 - Wikipedia

小惑星しょうわくせい

太陽系たいようけいしょう天体てんたいのうち、ほしぞう拡散かくさん成分せいぶんがないものの総称そうしょう
太陽系たいようけい天体てんたい分類ぶんるい
恒星こうせい太陽たいよう
太陽たいよう
まわりを
まわ
天体てんたい
惑星わくせい 地球ちきゅうがた惑星わくせい
木星もくせいがた惑星わくせい
天王星てんのうせいがた惑星わくせい
じゅん惑星わくせい
小惑星しょうわくせいたいにあるもの
ケレスのみ)
冥王星めいおうせいがた天体てんたい
太陽系たいようけい
しょう天体てんたい
冥王星めいおうせいがた天体てんたい以外いがい
太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい
小惑星しょうわくせい
彗星すいせい
惑星わくせいあいだちり
太陽たいよう以外いがい
天体てんたいまわりを
まわ天体てんたい
衛星えいせい未定義みていぎ
■Portal ■Project ■Template

小惑星しょうわくせい(しょうわくせい、どく: えい: Asteroid)は、太陽系たいようけいしょう天体てんたいのうち、ほしぞう拡散かくさん成分せいぶんがないものの総称そうしょう拡散かくさん成分せいぶんコマやそこから流出りゅうしゅつした)があるものは彗星すいせいばれる。

小惑星しょうわくせいたい 小惑星しょうわくせいしゅとして火星かせい軌道きどう木星もくせい軌道きどう中間ちゅうかん分布ぶんぷする。このほか、木星もくせい軌道きどうじょう太陽たいようから木星もくせいたいして前後ぜんご60位置いちトロヤぐんばれる小惑星しょうわくせいあつまりが存在そんざいする。単位たんいひかりぶんひだり)と天文てんもん単位たんいみぎ)。
小惑星しょうわくせいかたちおおきさ 近接きんせつ探査たんさおこなわれたガスプラエロスイダ中段ちゅうだんひだりから中央ちゅうおう左上ひだりうえ拡大かくだいしたもの)、唯一ゆいいつ地球ちきゅうから肉眼にくがん目視もくしできるベスタ中央ちゅうおう右寄みぎより)、小惑星しょうわくせいたいでは最大さいだい天体てんたいであり、最初さいしょ発見はっけんされた小惑星しょうわくせいでもあったケレスみぎ)、そして火星かせいした)。ちいさなものほど不規則ふきそく形状けいじょうになっている。
メインベルト小惑星しょうわくせい分布ぶんぷたてじく軌道きどう傾斜けいしゃかく
軌道きどうちょう半径はんけい 6 AUえーゆー までの小惑星しょうわくせい分布ぶんぷたてじく軌道きどう傾斜けいしゃかくあかてんはメインベルト小惑星しょうわくせい

概要がいよう

編集へんしゅう

ウィリアム・ハーシェルによって、(当時とうじの)望遠鏡ぼうえんきょうると恒星こうせいのようにえることから、ギリシャαあるふぁσしぐまτたうηいーたρろー(aster:恒星こうせい)と ειδος(eidos:姿すがたかたち)からアステロイド「asteroid:恒星こうせいのようなもの」と命名めいめいされた。太陽系たいようけいうち惑星わくせいよりちいさな天体てんたいであることから「minor planet:ちいさな惑星わくせい」、「planetoid:惑星わくせいのようなもの」などともばれた。

現在げんざいでは岩石がんせき主成分しゅせいぶんとするものを「asteroid」としょうし、「minor planet」は「asteroid」にくわえ、太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい彗星すいせい小惑星しょうわくせい遷移せんい天体てんたいじゅん惑星わくせいなどをふくんだ天体てんたい総称そうしょうとされているが、「minor planet」も「asteroid」も日本語にほんごではどちらも「小惑星しょうわくせい」とやくされる(たとえば、小惑星しょうわくせい番号ばんごうは「minor planet」の番号ばんごうのことであり、「asteroid」にはふくまれないじゅん惑星わくせいなどにもてられる)。

そのおおくは火星かせい木星もくせいあいだ軌道きどう公転こうてんしているが、地球ちきゅう付近ふきん通過つうかする可能かのうせいのあるものも存在そんざいする。21世紀せいき初頭しょとうまで最大さいだい小惑星しょうわくせいであった (1) ケレス(Ceres:数字すうじ小惑星しょうわくせい番号ばんごう以下いか同様どうよう)でも地球ちきゅうつきよりはるかにちいさい。

また、惑星わくせい衛星えいせいのような球形きゅうけいをしているのはケレスなどごく一部いちぶ大型おおがた小惑星しょうわくせいのみで、大半たいはんまるみをびた不定ふていがたである。

位置いちかず

編集へんしゅう

すでに個体こたい識別しきべつされている小惑星しょうわくせいのほとんどは、木星もくせい軌道きどう火星かせい軌道きどうあいだ存在そんざいし、太陽たいようからの距離きょりやく2–4天文てんもん単位たんい範囲はんいあつまっている。この領域りょういき小惑星しょうわくせいたい (asteroid belt) とぶ。現在げんざいでは太陽系たいようけい外縁がいえんエッジワース・カイパーベルト区別くべつするためにメインベルト (main belt) ともばれる。小惑星しょうわくせい木星もくせい摂動せつどうによって、いくつかのぐんをなして運動うんどうする。かくぐんはその公転こうてん周期しゅうきにしたがって分類ぶんるいされる。ぐんなかとく注目ちゅうもくされるのが、トロヤぐん周期しゅうきやく12ねん)とばれる小惑星しょうわくせいぐんであり、これは太陽たいよう木星もくせいとのあいだいちへんとする正三角形せいさんかっけいいち頂点ちょうてん、すなわちりょう天体てんたいけいでのラグランジュてん位置いちすることがられている。なお、トロヤぐんは、このぐん最初さいしょ発見はっけんされた小惑星しょうわくせい (588) アキレス (Achilles) にちなむ。

1990年代ねんだい以降いこうは (50000) クワオアー (Quaoar) や (90377) セドナ (Sedna) といった、エッジワース・カイパーベルトや、さらにその外側そとがわにある trans-Neptunian objects太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたいTNO)が続々ぞくぞく発見はっけんされるようになった。これらはメインベルトの小惑星しょうわくせい (asteroid) とは起源きげんことなるとかんがえられているが、同様どうよう小惑星しょうわくせい (Minor planet) として登録とうろくされている。エッジワース・カイパーベルトのそう質量しつりょう地球ちきゅう質量しつりょうよりいちけたすくない程度ていどであり[1]、メインベルトのそう質量しつりょうよりおおきいと推定すいていされている。

2019ねん5月現在げんざい軌道きどう確定かくていして小惑星しょうわくせい番号ばんごうけられた天体てんたいは541,128にのぼる(じゅん惑星わくせい5ふくむ。小惑星しょうわくせい一覧いちらん参照さんしょう)。このほかかり符号ふごうのみが登録とうろくされている小惑星しょうわくせいで、複数ふくすう観測かんそくされたものが145,378、1かいの衝を観測かんそくされたものが106,326あり、これらを合計ごうけいすると794,832たっする。番号ばんごう登録とうろくされたもののうち、すでに命名めいめいされたのは21,922である[1]

直径ちょっけい1km程度ていど、ないしそれ以下いか小惑星しょうわくせいについては発見はっけんのものがすうじゅうまんあると推測すいそくされている。

軌道きどう確定かくていした小惑星しょうわくせいすうかたについては小惑星しょうわくせい番号ばんごう参照さんしょう

なお、2021ねん7がつ3にちまでに地球ちきゅう近傍きんぼう小惑星しょうわくせいかり符号ふごうのみのものをふくめて26,141個いっこ[2]ケンタウルスぞくふく太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたいおなじく1,379じゅん惑星わくせい4ふくむ)が発見はっけんされている(『天文てんもん年鑑ねんかん』2010年版ねんばん)。

1781ねん天王星てんのうせい発見はっけん当時とうじティティウス・ボーデの法則ほうそくから、火星かせい木星もくせいあいだ未知みち惑星わくせい探索たんさくするこころみがおこなわれた。1801ねんに (1) ケレス発見はっけんされたが、よく1802ねんに (2) パラス1804ねんに (3) ジュノー1807ねんには (4) ベスタと、おなじような位置いち天体てんたい相次あいついで発見はっけんされたこと、またいずれも惑星わくせいぶにはあまりにちいさいことから、やがて惑星わくせいとは区別くべつされるようになった。小惑星しょうわくせい (asteroid) というかたりは、1853ねんはじめにかんがされた。

2006ねん8がつプラハひらかれた国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう (IAU) 総会そうかい惑星わくせい定義ていぎ採択さいたくされた結果けっか、それまで惑星わくせいとされていた冥王星めいおうせいおよび小惑星しょうわくせいとされていたケレスと2003 UB313エリス)が dwarf planetじゅん惑星わくせい)に変更へんこうされ、さらに小惑星しょうわくせいのうちじゅうすう将来しょうらいてきに dwarf planet に変更へんこうされる可能かのうせいがあるとかんがえられるようになった(2008ねんには、あらたにマケマケハウメアが dwarf planet に変更へんこうされている)。また小惑星しょうわくせいはTNOや彗星すいせいとともに small solar system bodies (太陽系たいようけいしょう天体てんたいSSBO) というカテゴリーに包括ほうかつされることになった。

これをけて、日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎしょう委員いいんかい2007ねん4がつ9にち対外たいがい報告ほうこくだいいち報告ほうこくにおいて、dwarf planet, TNO, SSBO の訳語やくごとしてそれぞれ「じゅん惑星わくせい」「太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい」「太陽系たいようけいしょう天体てんたい」の使用しよう推奨すいしょうすることを提言ていげんした。なお、じゅん惑星わくせいについては当面とうめんあいだ教育きょういく現場げんばなどでは積極せっきょくてき使用しよう推奨すいしょうしない方針ほうしん

メインベルトの軌道きどうちょう半径はんけいがティティウス・ボーデの法則ほうそくにほぼ合致がっちするため、むかしこの位置いちにあった惑星わくせいなんらかの原因げんいん破壊はかいされて小惑星しょうわくせいたいつくられたとする惑星わくせい破壊はかいせつとなえられたこともあったが、メインベルトの小惑星しょうわくせい質量しつりょう合計ごうけいしても惑星わくせい質量しつりょうには到底とうていたっしないことなどから、現在げんざい支持しじされていない。またすべての小惑星しょうわくせい同一どういつ起源きげんつわけではなく、かつて彗星すいせいであったものなどもふくまれるとかんがえられる。一方いっぽうで、火星かせい衛星えいせいフォボスダイモスなど、かつては小惑星しょうわくせいだったものが天体てんたい把捉はそくされてその衛星えいせいとなったとかんがえられている天体てんたい存在そんざいする。

メインベルトにある小惑星しょうわくせい発生はっせいには2つの要素ようそはたらいたとかんがえられる。1つは太陽系たいようけい形成けいせいにこの付近ふきんにダスト成分せいぶんすくなかったことがある。通常つうじょう原始げんし太陽系たいようけい円盤えんばん内側うちがわから外側そとがわけてガスやちりすくなくなるが、メインベルト付近ふきんからそとみずなどの揮発きはつ成分せいぶんこおるため内側うちがわよりも固体こたい成分せいぶんおおくなり、結果けっかてきにメインベルト領域りょういき固体こたい存在そんざいりょうもっとすくなくなる。もう1つは木星もくせいさき形成けいせいされた影響えいきょうがある。巨大きょだいガス惑星わくせい木星もくせいおよぼす重力じゅうりょくによってメインベルト付近ふきんほろ惑星わくせい軌道きどうみだされ、相対そうたいてき速度そくどおおきくなり、合体がったいよりも破壊はかいされる傾向けいこうつよまったという[3]

命名めいめい規則きそく

編集へんしゅう

小惑星しょうわくせい名前なまえについては、現在げんざいでは天体てんたいなか唯一ゆいいつ発見はっけんしゃ命名めいめい提案ていあんけんあたえられている。

まず、しん天体てんたいおもわれる天体てんたいを2以上いじょうにわたって位置いち観測かんそくし、その観測かんそく結果けっか小惑星しょうわくせいセンター (Minor Planet Center, MPC) に報告ほうこくされると、発見はっけんじゅんかり符号ふごうあたえられる。 かり符号ふごう以下いか書式しょしきしたが英数字えいすうじからなる [2]

  • 4けた数字すうじ発見はっけんねんあらわす。
  • 空白くうはく
  • アルファベット (A-Y):発見はっけん時期じきつきぜん後半こうはん)をあらわす。
  • アルファベット (A-Z) + 数字すうじ発見はっけん時期じきないでの発見はっけんじゅんあらわす。

かり符号ふごうけられた天体てんたい既知きち天体てんたいとの軌道きどう同定どうてい作業さぎょうおこなわれる。最終さいしゅうてき軌道きどう確定かくていしてしん天体てんたいだと確認かくにんされると、小惑星しょうわくせい番号ばんごうあたえられたうえ命名めいめいされる。

発見はっけんしゃ(すでに死去しきょしている場合ばあい軌道きどう確定かくていのための計算けいさんおこなったもの)によって提案ていあんされたしん小惑星しょうわくせい名前なまえは IAU のしょう天体てんたい命名めいめい委員いいんかいによって審査しんさされる。名前なまえラテン語らてんごするのがこのましいというのが世界せかいてき暗黙あんもく了解りょうかい事項じこうであるが、現在げんざいではそうでないものもおおい。そのにも、「発音はつおん可能かのうえい文字もじで16文字もじ以内いないであること」、「公序良俗こうじょりょうぞくはんするもの、ペットの名前なまえ[ちゅう 1]、すでにある小惑星しょうわくせいまぎらわしい名前なまえ[ちゅう 2]けられない」、「政治せいじ軍事ぐんじ関連かんれんする事件じけん人物じんぶつ名前なまえ没後ぼつご100ねん以上いじょう経過けいか評価ひょうかさだまってからでないとつけられない」、「命名めいめいけん売買ばいばい禁止きんし[ちゅう 3]」などの基準きじゅんがある[3]

なお、トロヤぐんトロイア戦争せんそう参加さんかした戦士せんし[ちゅう 4]なかから、ケンタウルスぞく後述こうじゅつ)にはケンタウロスぞく名前なまえ太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたいにはかく民族みんぞくなどの創世そうせい神話しんわから命名めいめいおこなうという規則きそくがある[ちゅう 5]

また、人名じんめいについては、かつては「せいめい」をけて命名めいめいできた((3744) ジャック・ロンドン (Jack London) など)が、21世紀せいき初頭しょとうにはせい結合けつごうした命名めいめいされている((79896) ビルヘイリー (Billhaley) など)。また、別々べつべつ小惑星しょうわくせい命名めいめい提案ていあんされた人名じんめい結合けつごうするケースなどもられる。

近年きんねんでは、ほぼおなおおきさのじゅう小惑星しょうわくせい命名めいめいするさいに、それぞれの天体てんたいけた名前なまえをハイフンで結合けつごうして小惑星しょうわくせいめいとするケースがられる。れいとしては、(79360)Sila-Nunam(en)、(341520)Mors-Somnus(en)がある。

基本きほんてきには、一度いちど命名めいめいした小惑星しょうわくせいめい変更へんこうできないことになっているが、なんらかの問題もんだいしょうじたさいには例外れいがいてき変更へんこうされたれいがいくつかある。

また、申請しんせいさい名前なまえつづりが変更へんこうされることがある。

表記ひょうき

編集へんしゅう

小惑星しょうわくせいめい日本語にほんご表記ひょうきする方法ほうほうは、メディアとうによってまちまちである。片仮名かたかなもしくはアルファベット表記ひょうきする場合ばあいもあり、日本にっぽん中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくなど、漢字かんじ文化ぶんかけんちなんで命名めいめいされた小惑星しょうわくせいかんしては、漢字かんじ表記ひょうきする場合ばあいもある。

命名めいめい歴史れきし

編集へんしゅう

当初とうしょ惑星わくせいおなじように、小惑星しょうわくせいたいしてもローマ神話しんわかみあたえられていた。やがて小惑星しょうわくせい多数たすうつかるようになると、神話しんわかみ文学ぶんがく作品さくひん登場とうじょう人物じんぶつ、あるいは実在じつざいした人物じんぶつ地名ちめいなどももちいられるようになった。なお、初期しょきつかった小惑星しょうわくせい女神めがみけられたことから、男性だんせい名前なまえでも女性じょせいして命名めいめいされていた。れいとしては (511) ダビダデイヴィッド・トッド (David Tod) →Davida)などがある。そして、1896ねん最初さいしょ地球ちきゅう軌道きどう接近せっきんする小惑星しょうわくせい1906ねん最初さいしょトロヤぐん小惑星しょうわくせい発見はっけんされると、それらのように特異とくい軌道きどう小惑星しょうわくせいには男性だんせいめいかみまたは英雄えいゆうなど)がけられることになった(上記じょうきの2はそれぞれ (433) エロス、(588) アキレス命名めいめいされた)。その小惑星しょうわくせいかずさら増加ぞうかするにつれて名前なまえかずりなくなるおそれがてきたため、比較的ひかくてき自由じゆう命名めいめいゆるされるようになった。

だい世界せかい大戦たいせんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくうち小惑星しょうわくせいセンター設立せつりつされ、小惑星しょうわくせいおよび彗星すいせい観測かんそく記録きろく番号ばんごう登録とうろく命名めいめいなどを小惑星しょうわくせい回報かいほう (MPCs) として公表こうひょうするようになり(戦前せんぜんベルリン同様どうよう業務ぎょうむおこな機関きかんがあったが、詳細しょうさい不明ふめい)、のち電子でんし (MPECs) されている。しかし、すでに発見はっけんされた小惑星しょうわくせいとの軌道きどう同定どうてい手間取てまどることがおおく、くわえて20世紀せいきすえ小惑星しょうわくせい発見はっけんすう急増きゅうぞうすると、提案ていあんされた名前なまえ審査しんさするのがいつかなくなり、固有こゆうめいけるのをやめようという意見いけんまでるにいたった。2003ねん国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう総会そうかいだい20委員いいんかいにおいて、発見はっけんしゃ1にんたり1ヶ月かげつ1個いっこ以上いじょう命名めいめい提案ていあんひかえるようもとめることが決定けっていされた。ただしそれは絶対ぜったいではなく、適切てきせつ理由りゆうがあれば複数ふくすう同時どうじ提案ていあんみとめられる。たとえば2012ねんには、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいおおきな被害ひがいけた地域ちいき由来ゆらいする小惑星しょうわくせい命名めいめいが、どういち発見はっけんしゃ小惑星しょうわくせい12たいして同時どうじにされたことがある[ちゅう 6]。その一方いっぽう小惑星しょうわくせい番号ばんごういてから10ねん以内いない名前なまえ提案ていあんしないと、命名めいめいけん放棄ほうきしたとなされるという「10ねんルール」も存在そんざいする。こうしたことから、発見はっけんすうして命名めいめいされた小惑星しょうわくせい割合わりあいはあまりおおくない。

MPCsによって名前なまえとその由来ゆらい公表こうひょうされるようになったのは、小惑星しょうわくせい番号ばんごうにしておおむね1500番台ばんだい以降いこうである。1998ねんすえ以降いこう命名めいめいされた小惑星しょうわくせい(3000番台ばんだいから9000番台ばんだい一部いちぶと、10000番台ばんだい以降いこうのすべて)については、ジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょしょう天体てんたいデータベースにほぼ例外れいがいなくMPECsの命名めいめいぶん収録しゅうろくされている。Lutz D. Schmadel の“Dictionary of Minor Planet Names”(2006ねんだい5はん2008ねんにその補遺ほい発行はっこうされた)には、それまでに命名めいめいされたすべての小惑星しょうわくせい掲載けいさいされているが、MPCs以前いぜん命名めいめいされたものについては由来ゆらい不明ふめい場合ばあいもある。

分類ぶんるい

編集へんしゅう

固有こゆう軌道きどう要素ようそによる分類ぶんるい

編集へんしゅう

軌道きどうちょう半径はんけいはなれしんりつ軌道きどう傾斜けいしゃかくなど、類似るいじした固有こゆう軌道きどう要素ようそ英語えいごばん小惑星しょうわくせい集団しゅうだんを「ぞく」(family)とぶ。

これらのグループは同一どういつはは天体てんたい原始げんし惑星わくせい)が分裂ぶんれつしてはは天体てんたいちか軌道きどうまわつづけているものや、木星もくせいなどの引力いんりょく影響えいきょう一定いってい範囲はんい軌道きどうあつまったものとかんがえられており、基本きほんてきには前者ぜんしゃを「family」とぶ。

「family」を最初さいしょ発見はっけんしたのは日本にっぽん平山ひらやま清次せいじであり、21世紀せいき初頭しょとうまでにメインベルトですうじゅうの「family」が発見はっけんされている。外縁がいえん天体てんたいについては、2007ねんに2003 EL61ハウメア)をふくむ「family」が存在そんざいする可能かのうせい報告ほうこくされた。

メインベルト小惑星しょうわくせい
木星もくせいとの共鳴きょうめいにより、小惑星しょうわくせい分布ぶんぷしないカークウッドの空隙くうげきなどを境界きょうかいに、いくつかのぞく (family) に分類ぶんるいされている。ひょう代表だいひょうてきぞくのみ。
ぞく 軌道きどうちょう半径はんけい
(AUえーゆー)
はなれしんりつ 軌道きどう傾斜けいしゃかく
(°)
代表だいひょうてき
小惑星しょうわくせい
フローラぞく 2.15–2.35 0.03–0.23 1.5–8.0 (8) フローラ
ベスタぞく 2.26–2.48 0.03–0.16 5.0–8.3 (4) ベスタ
マッサリアぞく 2.37–2.45 0.12–0.21 0.4–2.4 (20) マッサリア
ニサぞく 2.41–2.5 0.12–0.21 1.5–4.3 (44) ニサ
マリアぞく 2.5–2.706 0.057–0.16 12–17 (170) マリア
エウノミアぞく 2.53–2.72 0.08–0.22 11.1–15.8 (15) エウノミア
パラスぞく 2.71–2.79 0.25–0.31 32–34 (2) パラス
ゲフィオンぞく 2.74–2.82 0.08–0.18 7.4–10.5 (1272) ゲフィオン
コロニスぞく 2.83–2.91 0–0.11 0–3.5 (158) コロニス
エオスぞく 2.99–3.03 0.01–0.13 8–12 (221) エオス
ヒギエアぞく 3.06–3.24 0.09–0.19 3.5–6.8 (10) ヒギエア
テミスぞく 3.08–3.24 0.09–0.22 0–3 (24) テミス
キュベレーぞく (65) キュベレー

メインベルト以外いがい小惑星しょうわくせい特異とくい小惑星しょうわくせいばれる。

共鳴きょうめい小惑星しょうわくせい
公転こうてん周期しゅうき惑星わくせい整数せいすう軌道きどうなかには、安定あんていで、おおくの小惑星しょうわくせい分布ぶんぷするものがある。トロヤぐんは、惑星わくせい太陽たいよう頂点ちょうてんとする正三角形せいさんかっけいだい3の頂点ちょうてん、つまりラグランジュてんのL4、L5てん位置いちする。
ぐんなど 軌道きどう
ちょう半径はんけい
(AUえーゆー)
公転こうてん
周期しゅうき
とし
惑星わくせい 公転こうてん
周期しゅうき
とし
共鳴きょうめい 備考びこう
地球ちきゅうじゅん衛星えいせい 1.00 1.00 地球ちきゅう 1.00 1∶1 つね地球ちきゅうちかくに位置いちする。
火星かせいトロヤぐん 1.52 1.88 火星かせい 1.88 1∶1 太陽たいよう火星かせいのL4、L5てん
ハンガリアぐん 1.85 2.52 火星かせい 1.88 4∶3  
アリンダぞく 2.50 3.95 木星もくせい 11.86 1∶3 地球ちきゅう近傍きんぼう小惑星しょうわくせいでもある。
ヒルダぐん 3.97 7.91 木星もくせい 11.86 2∶3 木星もくせいころ近日きんじつてん通過つうか
木星もくせいちかづかない)。
チューレぐん 4.28 8.90 木星もくせい 11.86 3∶4 2つのみ発見はっけん
木星もくせいトロヤぐん 5.20 11.86 木星もくせい 11.86 1∶1 太陽たいよう木星もくせいのL4、L5てん
海王星かいおうせいトロヤぐん 30.11 164 海王星かいおうせい 164 1∶1 太陽たいよう海王星かいおうせいのL4、L5てん
小惑星しょうわくせい
地球ちきゅう近傍きんぼう小惑星しょうわくせい
地球ちきゅうじゅん衛星えいせい
小惑星しょうわくせいたい
木星もくせいトロヤぐん
ダモクレスぞく逆行ぎゃっこう小惑星しょうわくせい
ケンタウルスぞく
太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい
関連かんれん項目こうもく 小惑星しょうわくせい衛星えいせい
小惑星しょうわくせいのスペクトル分類ぶんるい
潜在せんざいてき危険きけん小惑星しょうわくせい
彗星すいせい小惑星しょうわくせい遷移せんい天体てんたい
太陽系たいようけいしょう天体てんたい彗星すいせい
彗星すいせい
マイナープラネットきゅう分類ぶんるい
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地球ちきゅう近傍きんぼう小惑星しょうわくせい (NEA)
地球ちきゅう軌道きどうちかくをとおるもの。いくつかのグループにけられるが、とくうえから3つをすことがおおい。
アテンぐん
軌道きどうちょう半径はんけいが1 AUえーゆー以下いか遠日点えんじつてんが0.983 AUえーゆー以上いじょうのもの。 
アポロぐん
軌道きどうちょう半径はんけいが1 AUえーゆー以上いじょう近日きんじつてんが1.017 AUえーゆー以下いかのもの。
アモールぐん
軌道きどうちょう半径はんけいが1 AUえーゆー以上いじょう近日きんじつてんが1.017 AUえーゆー以上いじょう1.3 AUえーゆー[ちゅう 7]以下いかのもの。アポロぐんとまとめて、アポロ・アモール天体てんたいということもある。
アリンダぞく
軌道きどうちょう半径はんけいやく2.5 AUえーゆーはなれしんりつが0.4–0.65のもの。木星もくせい公転こうてん周期しゅうきの3ぶんの1の公転こうてん周期しゅうきち、近日きんじつてんは1 AUえーゆーちかい。
ダモクレスぞく (Damocloid)
ちょう楕円だえん軌道きどうや、黄道こうどう平面へいめんからおおきくかたむいた軌道きどうる。オールトのくも由来ゆらいだとかんがえられている。
潜在せんざいてき危険きけん小惑星しょうわくせい(PHA)
地球ちきゅう近傍きんぼう小惑星しょうわくせいなかでもとく衝突しょうとつする可能かのうせい衝突しょうとつした場合ばあい危険きけんせいたか小惑星しょうわくせいのこと。
○○横断おうだん小惑星しょうわくせい
近日きんじつてん遠日点えんじつてんが、それぞれ対象たいしょうとなる惑星わくせい公転こうてん軌道きどうより内側うちがわ外側そとがわにある小惑星しょうわくせい地球ちきゅう近傍きんぼう小惑星しょうわくせいおおくは地球ちきゅう横断おうだん小惑星しょうわくせいということもできる。
ケンタウルスぞく (Centaur)
軌道きどうちょう半径はんけいが30 AUえーゆー以下いか近日きんじつてん木星もくせい軌道きどうから天王星てんのうせい軌道きどうあいだに、遠日点えんじつてん土星どせい軌道きどうから海王星かいおうせい軌道きどうあいだにあるものがおおい。木星もくせいなどの摂動せつどうけやすく、軌道きどう不安定ふあんてい彗星すいせい起源きげんかんがえられており、太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい分類ぶんるいされることもある。
逆行ぎゃっこう小惑星しょうわくせい
軌道きどう傾斜けいしゃかくが90えるもの。ダモクレスぞく重複じゅうふくするものもおおい。
太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい
エッジワース
・カイパー
ベルト

海王星かいおうせいとの
軌道きどう共鳴きょうめい
(3:4)
冥王星めいおうせいぞく (2:3)
(3:5)
キュビワノぞく ( - )
(1:2)
散乱さんらん円盤えんばん天体てんたい
オールトのくも
類似るいじ天体てんたい ケンタウルスぞく
海王星かいおうせいトロヤぐん
彗星すいせい遷移せんい天体てんたい
関連かんれん項目こうもく じゅん惑星わくせい冥王星めいおうせいがた天体てんたい
太陽系たいようけいしょう天体てんたい
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太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたいも、いくつかのグループにかれている。

エッジワース・カイパーベルト天体てんたい (EKBO)
共鳴きょうめいTNO
3∶4共鳴きょうめい天体てんたい
軌道きどうちょう半径はんけいが36–36.4 AUえーゆーで、海王星かいおうせい公転こうてん周期しゅうき(166.5ねん)の4/3ばい周期しゅうきつもの。
冥王星めいおうせいぞく(Plutino、2∶3共鳴きょうめい天体てんたい
軌道きどうちょう半径はんけいが39–40.5 AUえーゆーで、海王星かいおうせい公転こうてん周期しゅうきの3/2ばい周期しゅうきつもの。
3∶5共鳴きょうめい天体てんたい
軌道きどうちょう半径はんけいが42–42.5 AUえーゆーで、海王星かいおうせい公転こうてん周期しゅうきの5/3ばい周期しゅうきつもの。
トゥーティノぞく(Twotino、1∶2共鳴きょうめい天体てんたい
軌道きどうちょう半径はんけいが48.0–48.5 AUえーゆーで、海王星かいおうせい公転こうてん周期しゅうきの2ばい周期しゅうきつもの。
その共鳴きょうめい天体てんたい
海王星かいおうせいと4∶7、3∶7、2∶5、3∶8、1∶3などの共鳴きょうめい関係かんけいにあるかもしれない外縁がいえん天体てんたいつかっている。
キュビワノぞく(Cubewano、古典こてんてきTNO)
軌道きどうちょう半径はんけいが41 AUえーゆー以上いじょうで、はなれしんりつが0.15以下いかのもの。
散乱さんらん円盤えんばん天体てんたい (SDO)
はなれしんりつおおきく、遠日点えんじつてんではエッジワース・カイパーベルトの外縁がいえんえるもの。
さらにとおくの軌道きどうまわ天体てんたい
E-SDO、うちオールトのくも天体てんたいなど。分類ぶんるいすすんでいない。

ほかにもおおくのぞくぐんがある (Asteroid groups and families)。

スペクトルによる分類ぶんるい

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小惑星しょうわくせいいろアルベド反射はんしゃのう)、スペクトルによっておおきく3種類しゅるい分類ぶんるいされる。

上記じょうき3つのサブグループに相当そうとうするかたや、それら以外いがいのマイナーなかた存在そんざいする。

その分類ぶんるい

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探査たんさ歴史れきし

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惑星わくせい形成けいせいろん研究けんきゅうや、将来しょうらいてき資源しげん利用りようへの布石ふせきとして、小惑星しょうわくせい探査たんさすすめられている。

望遠鏡ぼうえんきょうでもてんじょうにしかえないため、1990年代ねんだいはいるまで、小惑星しょうわくせい研究けんきゅう軌道きどう確定かくてい光度こうど測定そくていまり、その姿すがたについては想像そうぞういきなかった。しかし、恒星こうせいしょくによる形状けいじょう推定すいていハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうなどの高性能こうせいのう望遠鏡ぼうえんきょうによる観察かんさつレーダー測定そくていにより、おおきさや形状けいじょうなど、その姿すがた徐々じょじょあきらかになってきた。

そして、1989ねんげられた木星もくせい探査たんさガリレオにより、1991ねんに (951) ガスプラ1993ねんに (243) イダ映像えいぞう撮影さつえいされ、人類じんるいはじめて小惑星しょうわくせい鮮明せんめい映像えいぞうにした。なお、ガリレオはイダにはじめて衛星えいせい発見はっけんし、ダクティルづけられた。そのも、おも地上ちじょうでの観測かんそくにより170以上いじょう2010ねん現在げんざい)の小惑星しょうわくせい衛星えいせい存在そんざい確認かくにんされている(小惑星しょうわくせい衛星えいせい参照さんしょう)。

1996ねんげられたNEARシューメーカーは、1997ねんに (253) マティルド2000ねんに (433) エロス映像えいぞう撮影さつえいし、探査たんさはエロスの周回しゅうかい軌道きどうったのち着陸ちゃくりくたした。

2003ねんげられた日本にっぽん探査たんさはやぶさは、2005ねんに (25143) イトカワ到達とうたつ至近しきん距離きょりからの詳細しょうさい観測かんそくおこなった。はやぶさはイトカワに、計画けいかくどおりではなかったが接地せっちし、その離脱りだつした。サンプル採取さいしゅについては、操作そうさミスにより、おくられた命令めいれいれつちゅう弾丸だんがん発射はっしゃ命令めいれい存在そんざいしていなかったため、サンプルホーンの接触せっしょくにより微粒子びりゅうしじょう対象たいしょうがったものが回収かいしゅうされていることを期待きたいする、とした(さいわい、そのようにして回収かいしゅうされたものとほぼ断定だんていできるサンプルが、実際じっさい確認かくにんされた)。2010ねん6月13にち地球ちきゅう帰還きかんし、サンプル容器ようきおさめたカプセルが回収かいしゅうされて容器ようきない微粒子びりゅうし回収かいしゅう分析ぶんせきがおこなわれ、同年どうねん11がつ16にちには、回収かいしゅうされた微粒子びりゅうしのほとんどすべてがイトカワ由来ゆらいであることが発表はっぴょうされた[4]。これは世界せかいはつ小惑星しょうわくせいからのサンプルリターンである。

2004ねんげられたロゼッタは、2008ねんに (2867) シュテインス、2010ねんに (21) ルテティアへの接近せっきん観測かんそくおこなった。

2007ねんげられたドーンは、2011ねんに (4) ベスタ周回しゅうかい軌道きどうって観測かんそくおこない、2012ねんにベスタの軌道きどう離脱りだつした。2015ねんには (1) ケレス周回しゅうかい軌道きどう到達とうたつし、2017ねん現在げんざいでも近接きんせつ探査たんさつづけられている。

2014ねん12月には「はやぶさ」の後継こうけいとなるはやぶさ2げられた。2018ねん6がつ探査たんさ目標もくひょうであるリュウグウ到着とうちゃく2018ねん9–10がつ探査たんさ機器きき表面ひょうめんろしたほか、2019ねん2がつにはだい1かいタッチダウン、2019ねん7がつにはだい2かいのタッチダウンを実施じっし、サンプル採取さいしゅこころみた。このあいだ2019ねん4がつには、天体てんたい衝突しょうとつたいをぶつけてクレーターを生成せいせいする爆破ばくは探査たんさ実施じっしした。2019ねん11月にリュウグウを離脱りだつ2020ねん12月に地球ちきゅう帰還きかんカプセルをもどした。帰還きかんカプセルのなかには小惑星しょうわくせい由来ゆらいかんがえられる物質ぶっしつ大量たいりょうはいっていた。2021ねん7がつ現在げんざい詳細しょうさい分析ぶんせき開始かいしされている。なお、本体ほんたいべつ小惑星しょうわくせいへの探査たんさ実施じっしする予定よていであり、2031ねん7がつに1998 KY36という小惑星しょうわくせい到達とうたつすることを目指めざしている。

2016ねんにはアメリカの小惑星しょうわくせい探査たんさオシリス・レックス(オサイレス・レックス、オサイリス・レックスとも)がげられた。目標もくひょうとする小惑星しょうわくせいベンヌで、2018ねん12月に到着とうちゃく、2020ねん10がつにサンプル採取さいしゅ実施じっし成功せいこうした。2021ねん4がつ小惑星しょうわくせい離脱りだつ、2023ねん9がつ地球ちきゅう帰還きかん予定よていである。

そのにも、彗星すいせい探査たんさなどにより比較的ひかくてき遠距離えんきょりからの、もしくは不鮮明ふせんめい小惑星しょうわくせい映像えいぞうがいくつか撮影さつえいされている。

2021ねん現在げんざいルーシー (2021ねん10がつ予定よてい)、DART (2021ねん11がつ予定よてい)、サイキ (2022ねん8がつ予定よてい)が準備じゅんびちゅうである。また、マルコ・ポーロなどの小惑星しょうわくせい探査たんさ計画けいかく検討けんとうちゅうである。さらにドン・キホーテという計画けいかくでは、小惑星しょうわくせいにインパクターを衝突しょうとつさせる構想こうそうである。

アメリカではコンステレーション計画けいかく中止ちゅうし、2010ねん4がつオバマ大統領だいとうりょう発表はっぴょうしたしん宇宙うちゅう政策せいさく[5]なか有人ゆうじん小惑星しょうわくせい探査たんさ小惑星しょうわくせいイニシアチブ」が検討けんとうされたが、2017ねんになり中止ちゅうしとなっている。

これまでにおこなわれた近接きんせつ探査たんさ

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今後こんごおこなわれる近接きんせつ探査たんさ

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計画けいかく存在そんざいする近接きんせつ探査たんさ

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実現じつげんしなかった近接きんせつ探査たんさ

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中止ちゅうしまたは目標もくひょう変更へんこうされたもの

地球ちきゅうへの危険きけん

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衝突しょうとつ可能かのうせい

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地球ちきゅう上空じょうくうには小惑星しょうわくせいなどの多数たすう天体てんたい通過つうかしている[6]。これらのなかには地球ちきゅう接近せっきん大気圏たいきけんきることなく落下らっかするものもあり、2013ねんのチェリャビンスクしゅう隕石いんせき落下らっかではおおくのけがにんした[6]。2018ねん12月18にちには直径ちょっけいやく10mの小惑星しょうわくせいリング海りんぐかい上空じょうくうおよそ26.5km(成層圏せいそうけん)で爆発ばくはつしたが、そのエネルギーは1945ねん広島ひろしま投下とうかされた原子げんしばくだんのエネルギーのやく10ばいといわれている[7]

地球ちきゅうにとってとく危険きけんせいたか深刻しんこく影響えいきょうあたえる天体てんたい直径ちょっけいが150mをえる天体てんたいとされている[6]

ユカタン半島はんとうにあるチュクシュルーブ・クレーター調査ちょうさから、やく6550まんねんまえ秒速びょうそく10–20kmの速度そくど衝突しょうとつした直径ちょっけい10kmの小惑星しょうわくせいは、大型おおがた恐竜きょうりゅう全滅ぜんめつさせたとかんがえられている。クレーターは直径ちょっけい150 km、ふかさ30 km。周辺しゅうへんマグニチュード11規模きぼ地震じしんだい規模きぼ火災かさい発生はっせいし、うみちたためにしょうじた津波つなみたかさ300mと推定すいていされる[8]。さらに、衝突しょうとつげられたちり成層圏せいそうけんやそのうえちゅうあいだけんおよんでただよい、数ヶ月すうかげつからすう年間ねんかん太陽光たいようこうせんさえぎり、植物しょくぶつなど光合成こうごうせい生物せいぶつ死滅しめつはしはっ生物せいぶつ全体ぜんたいの70%がほろんだと推測すいそくされる[8]

直径ちょっけい10km規模きぼ小惑星しょうわくせい衝突しょうとつは1おくねんに1かいほど頻度ひんどこるとかんがえられる[8]直径ちょっけい1kmの小惑星しょうわくせい衝突しょうとつでも地球ちきゅう規模きぼ気候きこう変動へんどうあたえるとかんがえられ、その頻度ひんどは100まんねんに1かいほど推定すいていされる。これより小規模しょうきぼ衝突しょうとつ影響えいきょうこそ限定げんていてきになるが、その反面はんめん頻度ひんど上昇じょうしょうする。直径ちょっけい1.2kmのバリンジャー・クレーターつくった隕石いんせき直径ちょっけい50m規模きぼであったが、頻度ひんどは1000ねんに1かいほどあるとかんがえられる[9]

小惑星しょうわくせい監視かんし

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地球ちきゅう公転こうてん軌道きどうより1.3天文てんもん単位たんい以内いない通過つうかする公転こうてん周期しゅうき200ねん未満みまん小惑星しょうわくせいはNEA(Near Earth Asteroid, 地球ちきゅう近傍きんぼう小惑星しょうわくせい)といい、2012ねん11月1にち現在げんざいで9252確認かくにんされている[10]。そのなかでも、地球ちきゅうに0.05天文てんもん単位たんいやく750まんkm)以下いかちかづく公転こうてん軌道きどうとおり、直径ちょっけいが150m以上いじょうかんがえられる小惑星しょうわくせいはPHA(Potentially Hazardous Asteroid, 潜在せんざいてき危険きけん小惑星しょうわくせい)とばれ、1343該当がいとうする[10]。しかもNEAは惑星わくせい重力じゅうりょく影響えいきょうけやすいため、公転こうてん軌道きどうきゅう変化へんかして予測よそくどおりにならない可能かのうせいたか[10]

NEAと、やはり衝突しょうとつ懸念けねんされる彗星すいせい(Near Earth Comet, NEC)とわたNEO(Near Earth Object, 地球ちきゅう近傍きんぼう天体てんたい)[10]監視かんしする計画けいかくは、NASAアメリカ空軍くうぐんマサチュまさちゅセッツ工科大学せっつこうかだいがく共同きょうどうによるLINEAR(Lincoln Near Earth Asteriod Research)、アリゾナ大学だいがくSpace WatchCatarina Sky Survey、NASAジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょNEAT(Near-Earth Asteroid Tracking)、ローウェル天文台てんもんだいLONEOS(Lowell Observatory Near-Earth-Object Search)、ハワイ大学はわいだいがくPan-STARRAS(Panoramic Survey Telescope And Rapid Response Syastem)などがあり、日本にっぽんでも美星びせいスペースガードセンター観測かんそくおこなっている[11]。このようにおおくの観測かんそく体制たいせいかれる理由りゆうは、そもそもNEOが非常ひじょう観測かんそくしにくいことが背景はいけいにある。しかも現在げんざい昼間ひるま観測かんそくすることは事実じじつじょう不可能ふかのうである[11]

衝突しょうとつ回避かいひ技術ぎじゅつ研究けんきゅう

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小惑星しょうわくせい衝突しょうとつそなえて小惑星しょうわくせい破壊はかいしたり進路しんろえさせたりする研究けんきゅうすすめられている[12]

しかし、小惑星しょうわくせい衝突しょうとつ回避かいひする技術ぎじゅつ現在げんざい科学かがく技術ぎじゅつでは達成たっせいしておらず、現存げんそんするロケットを衝突しょうとつさせて軌道きどうえる方法ほうほうでも、直径ちょっけい100m以下いか小惑星しょうわくせいでしか効果こうかがないとかんがえられている[11]NASADARTESAの「ドン・キホーテ計画けいかく」など有効ゆうこう回避かいひほうがさまざまに模索もさくされているが、いまだ研究けんきゅう段階だんかいにあり効果こうかはわかっていない[11]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 実例じつれいとしてはミスター・スポック参照さんしょう
  2. ^ 一部いちぶ例外れいがいあり。名前なまえ重複じゅうふくしている太陽系たいようけいない天体てんたい参照さんしょう
  3. ^ 1886ねん発見はっけんされた (250) ベティーナのみで、以降いこう禁止きんし
  4. ^ 21世紀せいき初頭しょとうにはネタれのため、本人ほんにんではなく肉親にくしん参戦さんせんした人物じんぶつ名前なまえけられるようになっている。
  5. ^ (66652) ボラシシはSF小説しょうせつ作品さくひんちゅう登場とうじょうする架空かくう神話しんわから命名めいめいされた。また、(174567)Varda、(385446)Manweは指輪ゆびわ物語ものがたり神格しんかくから命名めいめいされた。
  6. ^ 命名めいめいされた小惑星しょうわくせい番号ばんごうじゅん会津あいづ宮城みやぎ岩手いわて青森あおもり茨城いばらき栃木とちぎ千葉ちばけんはまどお中通なかどお陸前高田りくぜんたかたさかえむら津南つなんまちである。
  7. ^ この数値すうちは、火星かせい近日きんじつてん(1.381 AUえーゆー)よりすこ内側うちがわ

出典しゅってん

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  1. ^ Brett Gladman, J. J. Kavelaars, Jean-Marc Petit, Alessandro Morbidelli1, Matthew J. Holman, and T. Loredo The Structure of the Kuiper Belt: Size Distribution and Radial Extent The Astronomical Journal, Vol.122, No.2 (2001)
  2. ^ Center for Near Earth Object Studies, Jet Propulsion Laboratory, NASA. “Discovery Statistics”. 2021ねん7がつ6にち閲覧えつらん
  3. ^ へん岡村おかむらじょうのり「2.太陽系たいようけい、2.1.3.太陽系たいようけいしょう天体てんたい起源きげん、a.小惑星しょうわくせい起源きげん」『天文学てんもんがくへの招待しょうたい朝倉書店あさくらしょてん、2001ねんISBN 4-254-15016-4 
  4. ^ JAXA|はやぶさカプセルない微粒子びりゅうし起源きげん判明はんめいについて”. ISAS/JAXA (2010ねん11月16にち). 2010ねん11月16にち閲覧えつらん
  5. ^ オバマ大統領だいとうりょう米国べいこくしん宇宙うちゅう政策せいさく発表はっぴょう”. 日本にっぽん惑星わくせい協会きょうかい (2010ねん4がつ21にち). 2010ねん5がつ30にち閲覧えつらん
  6. ^ a b c 直径ちょっけい10メートルの小惑星しょうわくせい飛来ひらいリング海りんぐかい上空じょうくう爆発ばくはつ. AFP. (2019ねん3がつ20日はつか). p. 2. https://www.afpbb.com/articles/-/3216700?page=2 2019ねん3がつ21にち閲覧えつらん 
  7. ^ 直径ちょっけい10メートルの小惑星しょうわくせい飛来ひらいリング海りんぐかい上空じょうくう爆発ばくはつ. AFP. (2019ねん3がつ20日はつか). p. 1. https://www.afpbb.com/articles/-/3216700 2019ねん3がつ21にち閲覧えつらん 
  8. ^ a b c ニュートン (2013-1)、p. 42–43、直径ちょっけい10kmの小惑星しょうわくせい衝突しょうとつ生物せいぶつしゅの70%が絶滅ぜつめつした
  9. ^ ニュートン (2013-1)、p. 44–45、たった直径ちょっけい50mの小惑星しょうわくせい衝突しょうとつで、直径ちょっけい1.2kmの大穴おおあなができる
  10. ^ a b c d ニュートン (2013-1)、p. 48–49、地球ちきゅうちかくを公転こうてんする小惑星しょうわくせいが、危険きけん小惑星しょうわくせい豹変ひょうへんする
  11. ^ a b c d ニュートン (2013-1)、p. 58–59、宇宙船うちゅうせん小惑星しょうわくせい衝突しょうとつさせる計画けいかく検討けんとうされている
  12. ^ 爆破ばくは困難こんなん?、小惑星しょうわくせいおもったよりかたかった べい研究けんきゅう. CNN. (2019ねん3がつ8にち). https://www.cnn.co.jp/fringe/35133916.html 2019ねん3がつ9にち閲覧えつらん 

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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