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使役 - Wikipedia

使役しえき(しえき)とは、「~させる」という表現ひょうげん形態けいたい文法ぶんぽうじょう概念がいねんである。日本語にほんごでは、たい一種いっしゅ位置いちづけられる。動詞どうし助動詞じょどうし動詞どうし接尾せつびによって構文こうぶんみちびかれる。

類型るいけいろん

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柴谷しばたにほうりょう (Shibatani 2001) は使役しえき表現ひょうげんかならふくまれているものとしてみっつの基準きじゅんげている。

  1. 行為こういしゃ原因げんいんとなる行為こういをすることによって、ある参与さんよしゃなんらかの行為こういをする、あるいはなんらかの状態じょうたいになるという結果けっかがひきおこされる
  2. ふたつの事象じしょう原因げんいん結果けっか)のあいだには、原因げんいんとなる事象じしょうさきこり、結果けっかとなる事象じしょうのちこるという時間じかんてき前後ぜんこう関係かんけいがある(とはなおもっている)
  3. ふたつの事象じしょうあいだには、原因げんいんとなる事象じしょうこらなければ、結果けっかとなる事象じしょうこらなかったという完全かんぜん依存いぞん関係かんけいがある(とはなおもっている)

この定義ていぎのもとには、使役しえきしゃ使役しえきしゃ動詞どうし構文こうぶん意味いみによってさまざまなタイプの関係かんけいふくまれる。何人なんにんもの言語げんご学者がくしゃが(Comrie 1981, Song 1996, Dixon 2000 など)どのような要因よういん使役しえき構文こうぶん使つかけにかかわっているのか、通言つうげんてきられるのはどのようなパターンかということを詳細しょうさい検討けんとうしている。

日本語にほんごにおける使役しえき

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日本語にほんごでは、助動詞じょどうしの「せる、させる」を未然みぜんがた接続せつぞくさせる。 「せる」はだん動詞どうし未然みぜんがたぎょう変格活用へんかくかつよう未然みぜんがた「さ」に接続せつぞくし、「させる」はうえいちだん活用かつようしたいちだん活用かつようぎょう変格活用へんかくかつよう未然みぜんがた接続せつぞくする。

だん活用かつよう うえいちだん活用かつよう したいちだん活用かつよう ぎょう変格活用へんかくかつよう ぎょう変格活用へんかくかつよう
かせる させる べさせる させる きたさせる

「~せる」を「~す」とあらわすこともあるが、それは、だん活用かつようのみであって、うえいちだん活用かつようしたいちだん活用かつよう・カぎょう変格活用へんかくかつよう・サぎょう変格活用へんかくかつようではあらわさない。

だん活用かつよう うえいちだん活用かつよう したいちだん活用かつよう ぎょう変格活用へんかくかつよう ぎょう変格活用へんかくかつよう
かす ×さす ×べさす ×勉強べんきょうさす ×さす

使役しえきにもはある。

だん活用かつよう うえいちだん活用かつよう したいちだん活用かつよう ぎょう変格活用へんかくかつよう ぎょう変格活用へんかくかつよう
かせられる させられる べさせられる 勉強べんきょうさせられる きたさせられる

だん活用かつようで、「~せる」を「~す」とあらわ場合ばあいは「~せられる」ではなく、「~される」になる。
うえいちだん活用かつようしたいちだん活用かつよう・カぎょう変格活用へんかくかつよう・サぎょう変格活用へんかくかつようでは「~せられる」を「~される」とはあらわさないので、「べさせられる」を「べされる」、「きたさせられる」を「きたされる」、「終了しゅうりょうさせられる」を「終了しゅうりょうさされる」とあらわすことはない。

だん活用かつよう うえいちだん活用かつよう したいちだん活用かつよう ぎょう変格活用へんかくかつよう ぎょう変格活用へんかくかつよう
かされる ×さされる ×べさされる ×勉強べんきょうさされる ×さされる

だん活用かつようで、「さ」を接続せつぞくさせて、「かさせる」「まさせられる」にしてしまうことを言葉ことばう。

英文えいぶんほうにおける使役しえき

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英語えいごには言語げんご同様どうよう語彙ごいてき使役しえき(lexical causative)とまがげんてき使役しえき(periphrastic causative)がある。

語彙ごいてき使役しえき

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まがげんてき使役しえき

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英語えいご場合ばあいまがげんてき使役しえき(periphrastic causative)の表現ひょうげんは、元来がんらい自動詞じどうし起源きげんとしたとかんがえられているまがげんてき使役しえき動詞どうし (periphrastic causative verb) による文法ぶんぽうじょう特色とくしょくある構文こうぶん表現ひょうげんされる。まがげんてき使役しえき動詞どうしは、目的もくてきかく補語ほご不定ふていをとる文法ぶんぽうてき特色とくしょく学校がっこう文法ぶんぽうとう強調きょうちょうされている。(目的もくてき不定ふてい意味いみじょう主語しゅごになる。) まがげんてき使役しえき動詞どうしには、原形げんけい不定ふていをとる動詞どうしと、to-不定ふていをとる動詞どうしがあり、前者ぜんしゃはmakeであり、後者こうしゃは compel や get がげられる。また、help にもおな用法ようほうがある。

  • He made his younger brother drink. (かれおとうと無理むりませた。)
  • Make him write it for you. (かれにそれをかせるんだ。)
  • He made his dog eat pet food. (かれは、自分じぶんいぬにペットフードをべさせた。)
  • He will help you clean your car. (かれきみくるま掃除そうじするのを手伝てつだうつもりだ。)
  • What would make him say that?(なぜかれはあんなことをうのだろう。※無生物むせいぶつ主語しゅご構文こうぶん

目的もくてきかく補語ほご原形げんけい不定ふていもちいるもの

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  • let
  • have
  • make
  • bid
  • help
  • drive

目的もくてきかく補語ほごに to 不定ふていもちいるもの

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  • allow
  • permit
  • get
  • force
  • compel
  • oblige
  • cause
  • drive
  • encourage
  • invite
  • tempt
  • help

漢文かんぶんほうにおける使役しえきがた

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漢文かんぶんほうではおも使つかいれいきょうひとし使役しえき助字じょじ助動詞じょどうし)としてもちいられる。

  • 天帝てんてい使つかいわがなが百獣ひゃくじゅう。;天帝てんていわがヲシテ百獣ひゃくじゅうちょうタラシム
天帝てんていが、わたしきつね百獣ひゃくじゅうちょうにしたのです。『戦国せんごくさくすわえさく
  • 従者じゅうしゃふところ璧間行先ゆくさき。;従者じゅうしゃヲシテ璧ヲふところキテあいだぎょうさきラシム
きょうものたせてみちとおらせてさきかえらせた。『史記しきれんしょう列伝れつでん
  • あい如顧ちょうしょ曰...;あい如顧ミテちょう召シしょセシメテ曰ク...
しょう如は、かえってちょう史官しかんまねき...とけさせた。同上どうじょう