半はんクラッチ

半はんクラッチ（はんクラッチ）は、自動車じどうしゃおよびオートバイのクラッチを完全かんぜんにつないでいない状態じょうたいのこと。また運転うんてん用語ようごおよび動力どうりょく伝達でんたつ状態じょうたいを表あらわす語かたりのひとつである。狭義きょうぎには、運転うんてん者しゃが自みずからの手足てあしを用もちいてのクラッチ操作そうさ中ちゅうのそれを指さす。略りゃくして半はんクラとも言いう。

この状態じょうたいではエンジンからの駆動くどう力りょくを変速へんそく機き、トランスファー、デフギアなどの駆動くどう列れつ（ドライブトレイン）、および車輪しゃりんに加減かげんして伝つたえることができる。そのため、車両しゃりょうの進行しんこう速度そくどとエンジンの回転かいてん数すうが合致がっちしない低速ていそく走行そうこう時じや停車ていしゃ時ときにも駆動くどう力りょくを車輪しゃりんに伝つたえることができる。

MT車しゃ（マニュアル車しゃ）の運転うんてん者しゃは必かならず習得しゅうとくしなければならない必修ひっしゅう技術ぎじゅつのひとつである。

概要がいよう

通常つうじょう、MT車しゃでは一旦いったんこの状態じょうたいを経由けいゆしないと停車ていしゃ状態じょうたいからの発進はっしんや変速へんそくを滑なめらかに行おこなうことができない。車両しゃりょうの状態じょうたいに応おうじて適切てきせつなアクセル操作そうさと半はんクラッチ操作そうさを行おこなわないと、乗員じょういんに衝撃しょうげきを感かんじさせたり、クラッチジャダーやエンストを起おこす。こうした操作そうさを多用たようしすぎると、クラッチ板ばんのダンパースプリングの破損はそんやフライホイール固定こていボルトの破断はだんといった重大じゅうだいな事態じたいを招まねくことにもなる。操作そうさの仕方しかたはエンジンやシャーシ、車体しゃたいのおかれている状態じょうたいによって変化へんかするため、習得しゅうとくするには訓練くんれんを行おこなう以外いがいに有効ゆうこうな方法ほうほうはない。

なお半はんクラッチ中ちゅうの入力にゅうりょくと出力しゅつりょくの動力どうりょく差さは熱ねつとなる。このため多用たようしすぎるとクラッチに異常いじょう発熱はつねつ・異常いじょう磨耗まもうを起おこす。急激きゅうげきなトルク変動へんどう下かや長時間ちょうじかんの半はんクラッチを行おこなうと、フライホイール・クラッチ板ばん・クラッチカバーが過熱かねつし、発煙はつえんや異臭いしゅうが発生はっせいすることもあるので、必要ひつよう以上いじょうの多用たようは避さけることが望のぞましい。

レース

自動車じどうしゃやオートバイレース等とうにおいて、スムーズで素早すばやいスタートを行おこなう場合ばあいには必須ひっすの技術ぎじゅつである。こと近年きんねんの電子でんし制御せいぎょ化かされたフォーミュラカーのレースでもローンチコントロール（発進はっしん補助ほじょ装置そうち）は規制きせいされており、このテクニック如何いかで序盤じょばんの順位じゅんいが決きまるといってもよい。

短時間たんじかん・短距離たんきょりのレースでは車両しゃりょうをギリギリまで酷使こくししてでも成績せいせきが求もとめられるが、一方いっぽうの、車両しゃりょうに対たいして配慮はいりょを求もとめる耐久たいきゅうレースやラリーでは、レース中ちゅうのクラッチの磨耗まもう・破損はそんを避さけるため、負荷ふかを考慮こうりょしたクラッチ操作そうさ及および半はんクラッチ操作そうさが求もとめられる。

関連かんれん項目こうもく

• クラッチペダル
• 坂道さかみち発進はっしん
• 運転うんてん免許めんきょ