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原始惑星 - Wikipedia

原始げんし惑星わくせい

惑星わくせい形成けいせい過程かてい

原始げんし惑星わくせい(げんしわくせい、えい: Protoplanet)とは、惑星わくせいけい誕生たんじょうする過程かてい原始げんし惑星わくせいけい円盤えんばんなか形成けいせいされる天体てんたいである。「惑星わくせい胚子はいし」(planetary embryo) がとくおおきく成長せいちょうしたもので、おおきさは地球ちきゅうつき程度ていどかんがえられている。一般いっぱんてき理論りろんでは、原始げんし惑星わくせいは、キロメートルサイズのほろ惑星わくせい衝突しょうとつ集積しゅうせきして形成けいせいされるとかんがえられている。原始げんし惑星わくせい同士どうしたがいの重力じゅうりょく影響えいきょう軌道きどう交差こうさこし、巨大きょだい衝突しょうとつ最終さいしゅうてき惑星わくせいになるとされている。

概要がいよう

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太陽系たいようけい形成けいせいされるとき、まずほろ惑星わくせい衝突しょうとつ合体がったいによりすうひゃくの「惑星わくせい胚子はいし」が形成けいせいされた。これらの天体てんたいは1022 から 1023 kgの質量しつりょう、2,000 - 3,000kmの直径ちょっけいで、現在げんざい冥王星めいおうせい相当そうとうするサイズだったとかんがえられている。そのやく1おくねんあいだ惑星わくせい胚子はいしたがいに衝突しょうとつかえし、次第しだいかずらしながら巨大きょだい惑星わくせい胚子はいし原始げんし惑星わくせい)となった。地球ちきゅうがた惑星わくせい形成けいせい最終さいしゅう段階だんかいでは比較的ひかくてき少数しょうすう原始げんし惑星わくせい巨大きょだい衝突しょうとつこし、現在げんざい惑星わくせいになったとかんがえられている[1]

原始げんし惑星わくせい惑星わくせい成長せいちょうする過程かていで、原始げんし惑星わくせい内部ないぶ溶融ようゆうし、内部ないぶ構造こうぞう分化ぶんかきるとかんがえられている。放射ほうしゃせい元素げんそ崩壊ほうかい隕石いんせき衝突しょうとつなどがその熱源ねつげんである。地球ちきゅう落下らっかした隕石いんせき組成そせい調しらべることで、小惑星しょうわくせい一部いちぶ分化ぶんかていたことがかっている。

ジャイアント・インパクトせつでは、地球ちきゅうつきは、テイアづけられた仮説かせつじょう原始げんし惑星わくせいが、原始げんし地球ちきゅう衝突しょうとつして形成けいせいされたと説明せつめいされる。

原始げんし惑星わくせいという言葉ことばはもともとは惑星わくせい形成けいせいろん使つかわれる用語ようごだが、現在げんざい太陽系たいようけい存在そんざいするじゅん惑星わくせいケレスや、小惑星しょうわくせいパラスベスタ原始げんし惑星わくせいぶこともある。これは、これらのしょう天体てんたい原始げんし惑星わくせいのこりとみなしたものである[2]じゅん惑星わくせいも、同様どうよう理由りゆう原始げんし惑星わくせいばれることがある[3]

原始げんし惑星わくせいから惑星わくせい

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惑星わくせい形成けいせいはじめの段階だんかいにおいて、ほろ惑星わくせい暴走ぼうそう成長せいちょうばれる様式ようしきおおきくなっていく。これはより成長せいちょうはやほろ惑星わくせい加速度かそくどてき成長せいちょうはやめていくという過程かていで、これによってほろ惑星わくせいは、惑星わくせい胚子はいしあるいは原始げんし惑星わくせいとよばれるおおきさにまで巨大きょだいする。天体てんたいがある程度ていど質量しつりょうたっすると成長せいちょう速度そくどにブレーキがかかるようになり、やがてたようなおおきさの原始げんし惑星わくせい多数たすうなら状態じょうたい寡占かせん成長せいちょう)になる。Nからだシミュレーションもとづいた計算けいさんでは、寡占かせん成長せいちょうによって地球ちきゅうがた惑星わくせい範囲はんいまれる原始げんし惑星わくせいは、現在げんざい太陽系たいようけい惑星わくせいより質量しつりょうちいさくかずおおいと予測よそくされているため、太陽系たいようけい現状げんじょう説明せつめいするには寡占かせん成長せいちょう原始げんし惑星わくせい同士どうし巨大きょだい衝突しょうとつ考慮こうりょれなければならないとかんがえられている[4]

岩石がんせき惑星わくせい寡占かせん成長せいちょうは、原始げんし惑星わくせいけい円盤えんばんにガスやほろ惑星わくせいのこった状態じょうたいすすむことが推測すいそくされている。これらには惑星わくせい軌道きどう円軌道えんきどうするはたらきがあり、この過程かていでは原始げんし惑星わくせい同士どうし軌道きどう交差こうさ衝突しょうとつきにくい。しばらくしてほろ惑星わくせいやガスがれて安定あんていのメカニズムがかなくなると、原始げんし惑星わくせいたがいの重力じゅうりょく軌道きどうゆがめあい、巨大きょだい衝突しょうとつこすことが可能かのうになる。地球ちきゅう金星かなぼしのような質量しつりょうおおきい岩石がんせき惑星わくせいはこのようにして誕生たんじょうしたと推測すいそくされている[4]

ただしじょうのような理論りろんでは、太陽系たいようけい岩石がんせき惑星わくせいえんちか軌道きどうっている事実じじつ説明せつめいしがたいという問題もんだいがある。軌道きどう交差こうさ軌道きどうはなれしんりつ増大ぞうだいさせるが、この時代じだいでははなれしんりつ低下ていかをもたらす原始げんし惑星わくせいけい円盤えんばんはほとんど消失しょうしつしている。そのため、円盤えんばんガスがある程度ていど残存ざんそんしている時代じだいに、(原始げんし惑星わくせい同士どうし重力じゅうりょくではなく)木星もくせい永年えいねん共鳴きょうめい原始げんし惑星わくせい軌道きどう楕円だえんすることで、巨大きょだい衝突しょうとつこされたという説明せつめい提案ていあんされている[5]。また、原始げんし惑星わくせい同士どうし巨大きょだい衝突しょうとつによって周囲しゅうい多数たすう破片はへんがばらまかれ、その破片はへんとの力学りきがくてき摩擦まさつによって惑星わくせい軌道きどうはなれしんりつ軌道きどう傾斜けいしゃかく低下ていかしたというせつ提案ていあんされている。

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ McBride, Neil; Iain Gilmour, Philip A. Bland, Elaine A. Moore, Mike Widdowson, Ian Wright (2004). An Introduction to the Solar System. Cambridge: Cambridge University Press. pp. 56. ISBN 9780521837354 
  2. ^ BIG PIC: 2 Pallas, the Asteroid with Protoplanetary Attitude”. Discovery Space. Discovery Communications (2009ねん10がつ8にち). 2009ねん10がつ8にち閲覧えつらん
  3. ^ Alan Boyle (2009ねん10がつ8にち). “Protoplanet frozen in time”. MSNBC. 2009ねん10がつ10日とおか時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2009ねん9がつ12にち閲覧えつらん
  4. ^ a b 井田いだしげるけいがい惑星わくせい東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱんかい、2007ねんISBN 978-4-13-060749-0 
  5. ^ Nagasawa, M et al. (2005). “Dynamical Shake-up of Planetary Systems. I. Embryo Trapping and Induced Collisions by the Sweeping Secular Resonance and Embryo-Disk Tidal Interaction”. The Astrophysical Journal 635 (1): 578-598. doi:10.1086/497386. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2005ApJ...635..578N/abstract. 

関連かんれん項目こうもく

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