堀江ほりえメール問題もんだい

堀江ほりえメール問題もんだい（ほりえメールもんだい）とは、2006年ねんの日本にっぽんの第だい164回かい通常つうじょう国会こっかいにおいて、民主党みんしゅとう所属しょぞくの衆議院しゅうぎいん議員ぎいん永田ながた寿ことぶき康やすしが、ライブドア事件じけんに絡からんで堀江ほりえ貴文たかふみと自民党じみんとう幹事かんじ長ちょう・武部たけべ勤つとむの間あいだに不当ふとうな金銭きんせんの授受じゅじゅがあったと追及ついきゅうした政治せいじ騒動そうどう。当時とうじ、粉飾ふんしょく決算けっさん事件じけんの渦中かちゅうにあった元もとライブドア社長しゃちょうの堀江ほりえが、2005年ねんの衆院しゅういん選せん出馬しゅつばに関連かんれんして武部たけべにコンサルタントという名目めいもくで多額たがくの金銭きんせんを送おくったというものであったが、疑惑ぎわくの証拠しょうことされた堀江ほりえによるものとされた電子でんしメールが捏造ねつぞうであったことが判明はんめいし、永田ながたは議員ぎいん辞職じしょくし、民主党みんしゅとう執行しっこう部ぶは総そう退陣たいじんに追おい込こまれた。

当初とうしょから証拠しょうことされた電子でんしメールの真偽しんぎが焦点しょうてんとなったため、メール疑惑ぎわく、永田ながたメール問題もんだい、永田ながたメール事件じけん、ガセメール問題もんだい、偽にせメール問題もんだい、ライブドア送金そうきんメール騒動そうどうなど、様々さまざまな名称めいしょうで呼よばれた。

当時とうじの政治せいじ状況じょうきょう

2005年ねん（平成へいせい17年ねん）の郵政ゆうせい解散かいさんに伴ともなう第だい44回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょにおいて自民党じみんとうが大勝たいしょうし、高たかい支持しじ率りつを持もっていた小泉こいずみ内閣ないかくであったが、年末ねんまつには耐震たいしん偽装ぎそう問題もんだい、米国べいこく産さん牛肉ぎゅうにく問題もんだい、ライブドア事件じけんのいわゆる「三さん点てんセット」によって内閣ないかく支持しじ率りつは急落きゅうらくした。第だい164回かい通常つうじょう国会こっかいにおいて野党やとうから厳きびしい追及ついきゅうがされると予想よそうされる中なか、さらに防衛施設庁ぼうえいしせつちょう談合だんごう事件じけんが発覚はっかくし、政府せいふは「四よん点てんセット」と呼よばれる危機ききに陥おちいっていた。一方いっぽう、最大さいだい野党やとうの民主党みんしゅとうは郵政ゆうせい解散かいさんの大敗たいはいを受うけて、新あらたに党首とうしゅとなった前原まえはら誠司せいじの下したで立たて直なおしを計はかっており、絶好ぜっこうの機会きかいであった。

この中なかでライブドア事件じけんは、本来ほんらいは私企業しきぎょうの粉飾ふんしょく決算けっさん事件じけんに過すぎなかったが、ライブドア社長しゃちょうの堀江ほりえ貴文たかふみ（当時とうじは既すでに辞職じしょく済ずみ）が有名人ゆうめいじん、かつ前年ぜんねんに実質じっしつ的てきに自民党じみんとう側がわの候補こうほとして衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょに出馬しゅつばしていたこと、ライブドアの躍進やくしんが小泉こいずみ政権せいけんによる規制きせい緩和かんわ策さくの恩恵おんけいを受うけたと見みなされたこと、それらによって堀江ほりえ個人こじんと自民党じみんとう要人ようじんとの個人こじん的てきな関かかわり合あいが、世間せけんの注目ちゅうもくを浴あびていたことなどが重かさなっていた。

騒動そうどうの経過けいか

役職やくしょく・肩書かたがきは、いずれも当時とうじのものである。

永田ながたによる追及ついきゅうと小泉こいずみ首相しゅしょうによる即日そくじつ否定ひてい

2006年ねん2月がつ16日にち。衆議院しゅうぎいん予算よさん委員いいん会かいで民主党みんしゅとうの永田ながた寿ことぶき康やすしは、「（ライブドア事件じけんに絡からみ）証券しょうけん取引とりひき法ほう違反いはんで起訴きそされたライブドア元もと社長しゃちょうの堀江ほりえ貴文たかふみ被告ひこくが、2005年ねん8月がつ26日にち付づけの社内しゃない電子でんしメールで、自みずからの衆院しゅういん選せん出馬しゅつばに関かんして、武部たけべ勤つとむ自民党じみんとう幹事かんじ長ちょうの次男じなんに対たいし、選挙せんきょコンサルタント費用ひようとして3000万まん円えんの振込ふりこみを指示しじした」などと指摘してきし、政権せいけん与党よとうである自民党じみんとうの責任せきにんを追及ついきゅうした。この時とき、武部たけべは国務大臣こくむだいじんではなかったため予算よさん委員いいん会かいへの出席しゅっせき義務ぎむはなく、代かわりに選挙せんきょ当時とうじに自民党じみんとう総務そうむ局長きょくちょうとして衆院しゅういん選せんの候補者こうほしゃ選考せんこうに携たずさわった二に階かい俊博としひろ経けい産さん相しょうが答弁とうべん席せきに立たち「（堀江ほりえ候補こうほには）党とうとして公認こうにんも推薦すいせんもしていないので、選挙せんきょ開始かいし時点じてんで（堀江ほりえに対たいする）党とうとして踏ふみ込こんだ調査ちょうさはしていない。指摘してきの金銭きんせん問題もんだいについては全まったく関知かんちしていない」と回答かいとうした。

永田ながたの追求ついきゅうが事実じじつであれば、渦中かちゅうの人物じんぶつによる政権せいけん与党よとう幹部かんぶとの金銭きんせん事件じけんの構図こうずになり、マスメディアは即日そくじつ、武部たけべにコメントを求もとめたが、彼かれはその事実じじつ関係かんけいを一切いっさい否定ひていした。また、小泉こいずみ純一郎じゅんいちろう首相しゅしょうも、当日とうじつ夕方ゆうがたの首相しゅしょう官邸かんていでのぶら下さがり会見かいけんにおいて、永田ながたの指摘してきを「ガセネタ」と明言めいげんし、完全かんぜんに否定ひていした。さらに堀江ほりえを逮捕たいほ・拘留こうりゅうして捜査そうさをしている東京とうきょう地検ちけんも次席じせき検事けんじ名めいで「当該とうがいメールや指摘してきされる事実じじつ関係かんけいは把握はあくしていない」と個別こべつの捜査そうさ案件あんけんに関かかわる異例いれいの否定ひていコメントを当日とうじつに発表はっぴょうした。また、ライブドアも「堀江ほりえ前ぜん社長しゃちょうの選挙せんきょ活動かつどうは、堀江ほりえが個人こじん的てきにしたことで会社かいしゃとは関係かんけいない。振ふり込こみや電子でんしメールについては、会社かいしゃとして把握はあくをしていない」と声明せいめいを出だした。

一方いっぽう、永田ながたは、疑惑ぎわくは事実じじつであること、証拠しょうことなる電子でんしメールを持もっているとメディアの取材しゅざいに答こたえた。民主党みんしゅとうも、党首とうしゅの前原まえはら誠司せいじから、証拠しょうこの確度かくどは高たかく、永田ながたの指摘してきは妥当だとうだとし、党とうとして後援こうえんする旨むねのコメントを出だした。さらに野田のだ佳彦よしひこ国対こくたい委員いいん長ちょうは、国政こくせい調査ちょうさ権けんの発動はつどうについても言及げんきゅうし、指摘してきが不当ふとうというなら与党よとうは同意どういすべきだと述のべた。

なお、マスコミは当初とうしょより慎重しんちょうであり、小泉こいずみ政権せいけんに批判ひはん的てきだった朝日新聞あさひしんぶんも、社説しゃせつでこの問題もんだいの信憑しんぴょう性せいを疑うたがっていた。後述こうじゅつの通とおり、後のちに電子でんしメールの仲介ちゅうかい者しゃと判明はんめいする西澤にしざわ孝たかしは、数々かずかずの捏造ねつぞう記事きじを持もち込こむことで業界ぎょうかいでは有名ゆうめいな人物じんぶつであり、西澤にしざわを出入でいり禁止きんしにする出版しゅっぱん社しゃも複数ふくすう存在そんざいするほどだった。そのため、情報じょうほう提供ていきょう者しゃが西澤にしざわと判わかると、この件けんがデマだとみなされた。

メールの真偽しんぎ攻防こうぼう

2月がつ18日にち。民主党みんしゅとうはメールの写うつしを公表こうひょうした（党とうの公式こうしきホームページでPDFとしても公開こうかい）。しかし、後述こうじゅつする疑問ぎもん点てんを次々つぎつぎと指摘してきされ、証拠しょうこの信頼しんらい性せいが疑問ぎもん視しされる形かたちとなり、偽造ぎぞうの可能かのう性せいも指摘してきされた。自民党じみんとう側がわも、武部たけべらに対たいする名誉めいよ毀損きそんで告訴こくそを検討けんとうすると反撃はんげきし、一転いってんして民主党みんしゅとうは窮地きゅうちに陥おちいる事態じたいとなった。これを受うけて2月がつ21日にち、前原まえはらは翌よく22日にちの党首とうしゅ討論とうろんで新あらたな証拠しょうこを提示ていじすると会見かいけんし、「期待きたいしておいてください」と、疑惑ぎわく解明かいめいに期待きたい感かんを持もたせる発言はつげんをした。

2月がつ22日にち。党首とうしゅ討論とうろんにおいて前原まえはらは前日ぜんじつに予告よこくしていた新しん証拠しょうこは提示ていじせず、国政こくせい調査ちょうさ権けんの発動はつどうを担保たんぽに（メールの写うつし公表こうひょう時じには隠かくしていた）口座こうざを明あかすと持もちかけたが、小泉こいずみは拒否きょひする。前日ぜんじつに前原まえはらは疑惑ぎわく追及ついきゅうに期待きたいを持もたせる発言はつげんをしていたため、マスコミの批判ひはんを受うける。また、有権者ゆうけんしゃからの反感はんかんも買かい、民主党みんしゅとうや永田ながた、および前原まえはらへの抗議こうぎの電話でんわが殺到さっとうした。

一方いっぽう、当事とうじ者しゃの永田ながたは2月がつ19日にちから公おおやけの場ばに一切いっさい姿すがたを現あらわさず、雲隠くもがくれしたと批判ひはんされていた（後ごの民主党みんしゅとうの内部ないぶ調査ちょうさ報告ほうこく書しょによると、これまで調査ちょうさ等とうを支ささえてきた手塚てづか仁ひとし雄ゆう前ぜん衆議院しゅうぎいん議員ぎいんとともに引ひき続つづき調査ちょうさを続つづけていたという）。その後ご、2月がつ23日にちになり、永田ながたは民主党みんしゅとうの鳩山はとやま由紀夫ゆきお幹事かんじ長ちょうに辞職じしょくの意向いこうを述のべたが、鳩山はとやまの判断はんだんで心神喪失しんしんそうしつを理由りゆうに入院にゅういんすることとなり、手塚てづかの親族しんぞくが経営けいえいする病院びょういんに入院にゅういんし、辞職じしょくについては保留ほりゅうとなった。

2月がつ27日にち。証拠しょうことされたメールは、送受信そうじゅしんが同一どういつのメールアドレスだったと判明はんめいする（すなわち自作じさく自演じえんだった）。さらに翌よく2月がつ28日にちにはライブドアは社内しゃない調査ちょうさにより、この電子でんしメールを送おくった従業じゅうぎょう員いんがいないと報告ほうこくした。

2月がつ28日にち、永田ながたは一連いちれんの問題もんだいについて事情じじょう説明せつめいを行おこなうとして記者きしゃ会見かいけんを行おこない、証拠しょうことして信頼しんらい性せいが不十分ふじゅうぶんなメールを提示ていじして国会こっかい審議しんぎを混乱こんらんさせ、関係かんけい者しゃに迷惑めいわくを掛かけたと謝罪しゃざいした。しかし、同時どうじに「疑惑ぎわくはまだ消きえていない」と主張しゅちょうしたため、小泉こいずみは「何なにのための謝罪しゃざいなのかわからない」、武部たけべは「全まったく謝罪しゃざいになっていない」と批判ひはんした。また、武部たけべは永田ながたの謝罪しゃざい申もうし入いれも拒否きょひした。

前原まえはらの代表だいひょう辞任じにんと永田ながたの議員ぎいん辞職じしょく

3月2日にち。永田ながたは一転いってんして「メールは誤あやまりだった」と述のべ、一連いちれんの疑惑ぎわく追及ついきゅうの非ひを認みとめる。しかし、自民党じみんとうやマスコミから求もとめられた、仲介ちゅうかい者しゃの実名じつめいは公表こうひょうしなかった。同日どうじつ、衆議院しゅうぎいん本ほん会議かいぎは永田ながたに対たいする懲罰ちょうばつ動議どうぎを懲罰ちょうばつ委員いいん会かいに付託ふたくし審査しんさすることを、民主党みんしゅとうも含ふくむ全会ぜんかい一致いっちで議決ぎけつした。この中なかで、永田ながたが議員ぎいん辞職じしょくするかが取とり沙汰ざたされたが、永田ながたは辞職じしょくを否定ひていした。民主党みんしゅとうは永田ながたに対たいし半年はんとし間あいだの党員とういん資格しかく停止ていし処分しょぶんを下くだし、野田のだは責任せきにんをとって国対こくたい委員いいん長ちょうを辞じした（後任こうにんは渡部わたなべ恒三こうぞう）。一方いっぽう、前原まえはらはこの件けんの責任せきにんをとって党首とうしゅを辞任じにんする可能かのう性せいを否定ひていした。翌よく3月がつ3日にち、永田ながたの「カネで魂たましいを売うった」という国会こっかい発言はつげんが不適切ふてきせつとして自民党じみんとうが抗議こうぎし、議事ぎじ録ろくから削除さくじょされた。

メール問題もんだいの真相しんそう究明きゅうめいは懲罰ちょうばつ委員いいん会かいに移うつり、民主党みんしゅとう内部ないぶでも疑惑ぎわく解明かいめいや事態じたい収集しゅうしゅうのために、永田ながたに仲介ちゅうかい者しゃの実名じつめいを公表こうひょうするよう圧力あつりょくがかけられたが、永田ながたは頑かたくなにメール仲介ちゅうかい者しゃの実名じつめい公表こうひょうを拒こばんだ（当初とうしょの記者きしゃ会見かいけんでは、情報じょうほう提供ていきょう者しゃについて「名前なまえを出だすとエッチエス証券しょうけんの野口のぐちさんみたいにされると本人ほんにんが恐おそれているので出だせない」とコメントしていた）。

永田ながた自身じしんも、この仲介ちゅうかい者しゃに騙だまされた被害ひがい者しゃという立場たちばを取とれる余地よちがあるにもかかわらず拒否きょひしたことに、永田ながたと仲介ちゅうかい者しゃとの間あいだで金銭きんせんのやりとりがあったのではないかという疑惑ぎわくが提示ていじされることとなる。なお、自民党じみんとうの平沢ひらさわ勝栄かつえいは、民主党みんしゅとうが証拠しょうことされる電子でんしメールを公開こうかいした当時とうじから、同どう時期じきに問題もんだいとなった電子でんしメールを入手にゅうしゅしていたと公表こうひょうし、後のちに仲介ちゅうかい者しゃは雑誌ざっし『Dumont』発行はっこう元もと、デュモンマーケティング社長しゃちょうの西澤にしざわ孝たかしだと既すでに指摘してきしており、同様どうように『週刊しゅうかん新潮しんちょう』など週刊しゅうかん誌しも西澤にしざわを挙あげていた。

3月24日にち、懲罰ちょうばつ委員いいん会かいにおいて永田ながたは、電子でんしメールの仲介ちゅうかい者しゃが西澤にしざわであることを公表こうひょうし、また、自身じしんは彼かれに騙だまされたと語かたった。これを受うけて同どう委員いいん会かいでは4月がつ4日にちに西澤にしざわの証人しょうにん喚問かんもんを行おこなうことが決きまり、同日どうじつに西澤にしざわは弁護士べんごしを通とおし、証人しょうにん喚問かんもんを行おこなわないように申もうし入いれを行おこなった（この証人しょうにん喚問かんもんは後述こうじゅつの通とおり、永田ながたの議員ぎいん辞職じしょくに伴ともない開催かいさいされず）。また、永田ながたは変かわらず議員ぎいん辞職じしょくの可能かのう性せいを否定ひていした。

3月31日にち、前原まえはらは記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、永田ながたを議員ぎいん辞職じしょくさせられなかったとして、党首とうしゅを辞任じにんする考かんがえを表明ひょうめいした（合あわせて鳩山はとやまも幹事かんじ長ちょうを辞任じにん）。これを受うけて、頑かたくなに辞職じしょくを否定ひていしていた永田ながたも、即日そくじつでメール問題もんだいの責任せきにんを取とって議員ぎいん辞職じしょくした。このため、永田ながたに対たいする懲罰ちょうばつ動議どうぎ審議しんぎも途中とちゅうで打うち切きりとなり、仲介ちゅうかい者しゃである西澤にしざわの証人しょうにん喚問かんもんも中止ちゅうしとなった。また同日どうじつ、民主党みんしゅとうは、「民主党みんしゅとう 「メール」問題もんだい検証けんしょうチーム報告ほうこく書しょ」を公式こうしきウェブサイトで公開こうかいし、事ことの経緯けいいや党とうの責任せきにんについて言及げんきゅうした。

影響えいきょう・その後ご

小泉こいずみ首相しゅしょう及および自民党じみんとうは「四よん点てんセット」による支持しじ率りつの下落げらくに歯止はどめがかかり、内閣ないかく支持しじ率りつはほぼ横よこばいのまま、自由民主党じゆうみんしゅとう総裁そうさい任期にんきによる9月がつ26日にちの内閣ないかく総そう辞職じしょくまで安定あんていした政権せいけん運営うんえいを続つづけることができた。

一方いっぽうの民主党みんしゅとうも、かねてより期待きたいされていた小沢おざわ一郎いちろうが党首とうしゅとなり、それまで経済けいざい成長せいちょう路線ろせんだった党とうの方針ほうしんを、社会しゃかい福祉ふくしへと転換てんかんすることで、民主党みんしゅとうの支持しじをつなぎ留とめた。4月の千葉ちば県けん第だい7区くの補欠ほけつ選挙せんきょでも勝利しょうりを収おさめる。また、武部たけべに対たいしては多大ただいな迷惑めいわくを掛かけたとし、直接ちょくせつの謝罪しゃざい並ならび、新聞紙しんぶんし面めんを割さいた謝罪しゃざいを行おこなった。

この一いち件けんにおいて被害ひがい者しゃとなった堀江ほりえは、2009年ねん3月がつに、名前なまえが勝手かってに使つかわれた為ため自分じぶんは被害ひがい者しゃであり、しかも民主党みんしゅとうは武部たけべには謝罪しゃざいしたにもかかわらず、自分じぶんには一切いっさいの謝罪しゃざいがなかったとして、名誉めいよ棄損きそんの民事みんじ訴訟そしょうを東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょに提起ていきした。堀江ほりえは、永田ながたの国会こっかいでの発言はつげんだけではなく、テレビでの出演しゅつえんなどで繰くり返かえし発言はつげんしていたことや、民主党みんしゅとうの執行しっこう部ぶである前原まえはらや野田のだの発言はつげんも問題もんだい視ししていた。これを受うけて、民主党みんしゅとうは堀江ほりえに「電子でんしメールは事実無根じじつむこんだった」と認みとめる謝罪しゃざい文ぶんを正式せいしきに送付そうふし、同時どうじに300万まん円えんの和解わかい金きんを支払しはらう旨むねの和解わかい案あんを提示ていじした。このことにより、2009年ねん12月、堀江ほりえと民主党みんしゅとうとの間あいだで和解わかいが成立せいりつした。また堀江ほりえは自身じしんのブログで、上記じょうきの民主党みんしゅとうの謝罪しゃざい文ぶんを公開こうかいした。

当事とうじ者しゃである永田ながたは、国政こくせい復帰ふっきを模索もさくしたが、民主党みんしゅとうから除籍じょせきされ、無所属むしょぞくでの衆院しゅういん選せん出馬しゅつばなどを試こころみたが適かなわなかった。親族しんぞくが経営けいえいする会社かいしゃに入社にゅうしゃするも、勤務きんむが長続ながつづきせず転々てんてんとし、夫人ふじんからの離婚りこん調停ちょうていや略式りゃくしき起訴きそなど、数すう多おおくのトラブルに巻まき込こまれて精神せいしんに支障ししょうをきたし、精神せいしん科か病院びょういんに入院にゅういんする。その後ご、2009年ねん1月がつ3日にちに自殺じさつした。

もう一人ひとりの当事とうじ者しゃである西澤にしざわは、この件けんで刑罰けいばつは無なかった。ただし、2014年ねんに別件べっけんにおいて詐欺さぎ罪ざいで逮捕たいほされている。

「堀江ほりえメール」の疑問ぎもん点てん

証拠しょうことされたメールは公開こうかい当時とうじから、以下いかのような疑問ぎもん点てんが指摘してきされていた。

• 信頼しんらい性せいを保証ほしょうするはずのメールヘッダーが塗ぬりつぶされている。
• 「何なにか問題もんだいがあったら」「@堀江ほりえ」といった隠かくす必要ひつようのない場所ばしょが隠かくされている。さらに糾弾きゅうだんする相手あいての名前なまえである「武部たけべ」も隠かくしている。
• 上記じょうき「武部たけべ」があったとされる塗ぬりつぶし箇所かしょが1字じ分ぶんの幅はばしかない。
• 堀江ほりえが利用りようしていたEudora最新さいしん版ばんとは違ちがう形式けいしきのメール表示ひょうじになっている。
• 「シークレット」の「ー」が「―」（ダッシュ）になっている。
• 堀江ほりえが送おくるメールの特徴とくちょうとされるメール本文ほんぶんの最さい後尾こうびに表示ひょうじされる堀江ほりえのフッター広告こうこくが無ない。
• 文中ぶんちゅうに「宮内くないの指示しじを仰あおいで」と、当時とうじの取締役とりしまりやくであった宮内みやうち亮治りょうじの名前なまえが出でているが、堀江ほりえは宮内くないを社内しゃないでは「さん付づけ」で呼よんでいた。
• 数字すうじ部分ぶぶんが全角ぜんかくであるが堀江ほりえは数字すうじを半角はんかくで打うつ。
• 印字いんじされている送信そうしん時刻じこくの時とき、堀江ほりえは広島ひろしまで遊説ゆうぜいしていた。

これら理由りゆうにより、堀江ほりえのことをよく知しらない第三者だいさんしゃによる捏造ねつぞうではないかと疑うたがわれた。

メールの実物じつぶつについても、当初とうしょから堀江ほりえは東京とうきょう地方ちほう検察庁けんさつちょうの取とり調しらべに対たいし、送おくっていないと答こたえていた。東京とうきょう地方ちほう検察庁けんさつちょう特別とくべつ捜査そうさ部ぶは、ライブドア事件じけんの捜査そうさにおいて同社どうしゃのメールサーバーを押収おうしゅうしていたため、当初とうしょからメールが存在そんざいしないことを確証かくしょうしており、小泉こいずみが即日そくじつ否定ひていできたのはこの報告ほうこくを受うけていたためとされる。また、先述せんじゅつの通とおり、平沢ひらさわ勝栄かつえいは、永田ながたと同どう時期じきにメールを入手にゅうしゅしており、この電子でんしメールが複数ふくすう出回でまわっていたことから、当初とうしょから信頼しんらい性せいが低ひくいとみなしていた。

永田ながた寿ことぶき康やすしの責任せきにんの所在しょざいについて

日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい51条じょうにおいては「国会こっかい議員ぎいんが議院ぎいん内ないで行おこなった演説えんぜつ、討論とうろん又または表決ひょうけつについて、院外いんがいで責任せきにんを問といはれない」とあり、院内いんないでの発言はつげんによって生しょうじた武部たけべや堀江ほりえへの名誉めいよ毀損きそんは、刑事けいじ・民事みんじ問とわず、永田ながたの責任せきにんが問とわれることはない。ただし、永田ながたはテレビのワイドショーでも同様どうようの発言はつげんを行おこなっており、この院外いんがいでの発言はつげんについては同どう条項じょうこうは適用てきようされない。

また、これは国会こっかい議員ぎいんによる無分別むふんべつな答弁とうべんを無条件むじょうけんで認みとめるものではなく、国会こっかい法ほう第だい119条じょう及および第だい120条じょうでは、このような答弁とうべんを行おこなった議員ぎいんを処罰しょばつできる余地よちを残のこしており、同どう法ほう第だい15章しょう「懲罰ちょうばつ」において懲罰ちょうばつ委員いいん会かいの結成けっせいなど、議員ぎいんに対たいする懲罰ちょうばつが認みとめられている。これに基もとづき、3月2日にちに懲罰ちょうばつ委員いいん会かいが立たち上あがり、永田ながたの責任せきにんが追及ついきゅうされた。

メール仲介ちゅうかい者しゃと永田ながたおよび民主党みんしゅとう議員ぎいんの関係かんけい

• メール仲介ちゅうかい者しゃの西澤にしざわ孝たかしと永田ながたは元々もともと知人ちじんではなく、民主党みんしゅとう内ないの議員ぎいんまたは議員ぎいん秘書ひしょの紹介しょうかいにより知しり合あいになったと永田ながた自身じしんが語かたっている。
• この事ことより永田ながたが堀江ほりえメールを信用しんようしたのは、西澤にしざわを単純たんじゅんに信用しんようしたのでなく、紹介しょうかいを受うけた議員ぎいんと議員ぎいん秘書ひしょを信用しんようしていたから堀江ほりえメールも疑うたがわなかったのではないか、永田ながた一人ひとりの問題もんだいでなく、紹介しょうかいした議員ぎいん秘書ひしょならび、民主党みんしゅとう自体じたいにも問題もんだいがあったとの考かんがえがメディアから生うまれていった。なお、その後ご、民主党みんしゅとうから紹介しょうかいした議員ぎいん秘書ひしょおよび議員ぎいんの氏名しめいは公開こうかいされずに終おわった。
• 藤ふじ末まつ健三けんぞうはブログ内うちで、「西澤にしざわと『Dumont』編集へんしゅう長ちょうの佐藤さとう晶あきらに同僚どうりょうの議員ぎいん秘書ひしょの紹介しょうかいで会あった」とコメントしている。紹介しょうかい者しゃの議員ぎいんとその秘書ひしょの氏名しめいは「民主党みんしゅとうの方針ほうしんにより今いまは明あかせないが、後日ごじつ、民主党みんしゅとうから発表はっぴょうがある」としていたが、2008年ねん11月時点じてんでも、民主党みんしゅとうはもとより、藤ふじ末まつ自身じしんからも一切いっさい発表はっぴょうは行おこなわれていない。
• このことにより、『Dumont』よりインタビューを受うけた民主党みんしゅとう議員ぎいんの藤ふじ末まつ以外いがいの、馬淵まぶち澄夫すみお、石関いしぜき貴史たかし、北きた神かみ圭けい朗ろう、松本まつもと大輔だいすけの4人にんの中なかの誰だれかの秘書ひしょでは、とネット上じょうのマスメディアで取とり上あげられたが、『Dumont』発行はっこう元もとのデュモンマーケティングはすぐに解散かいさんし事務所じむしょを畳たたんだため、同社どうしゃの関係かんけい者しゃにインタビューしたマスメディアは無なく、紹介しょうかいした議員ぎいん秘書ひしょの名なは不明ふめいなままで終おわる。
• インタビューを受うけた松本まつもとはブログ（3月がつ7日にち）内ないで、「知人ちじんを通とおしての申もうし込こみで、デュモンのインタビューに答こたえた、デュモンの編集へんしゅう長ちょう（佐藤さとう晶あきら）と、知人ちじんが友人ゆうじんであった」その知人ちじんの紹介しょうかいであると、ブログ内ないに記載きさいしている。
• なお、馬淵まぶちの秘書ひしょ・大西おおにし健介けんすけが佐藤さとう晶あきらと京大きょうだいの同期どうきということでマスコミの取材しゅざいを受うけるが、馬淵まぶちはブログで「オニケン（大西おおにし）は、京大きょうだいの同期生どうきせいではあるが学部がくぶが違ちがう」と否定ひていしている。
• 大西おおにし健介けんすけはこのことについて、自身じしんが「メール騒動そうどうの黒幕くろまくにされる」との題材だいざいで『政策せいさく空間くうかん』に掲載けいさいしている。この掲載けいさい文ぶんにWebフリーライター「サイバッチ」という人物じんぶつが登場とうじょうするが、これはメール提供ていきょう者しゃを「西澤にしざわ孝たかし」と最初さいしょにい当いあてた人物じんぶつで、この事件じけんで注目ちゅうもくを浴あびることになった。
• 『政策せいさく空間くうかん』の文中ぶんちゅうの通とおり、大西おおにし健介けんすけが国民こくみんに説明せつめいしないまま「サイバッチ」に直接ちょくせつ抗議こうぎしたため、騒動そうどうが発生はっせいすることとなる。
• 当初とうしょは西澤にしざわの証人しょうにん喚問かんもんに意欲いよく的てきであった民主党みんしゅとうであったが、上記じょうきのように永田ながた以外いがいにも多数たすうの党員とういんが関かかわっていたため、民主党みんしゅとうは頑かたくなに議員ぎいん辞職じしょくを拒こばんでいた永田ながたを説得せっとくして自みずから辞職じしょくさせて幕まく引びきを図はかったという。

電子でんしメールの仲介ちゅうかい者しゃ：西澤にしざわ孝たかし

• 雑誌ざっし『Dumont』発行はっこう元もと、デュモンマーケティング社長しゃちょう（当時とうじ）
• かつて週刊しゅうかんポストにおいて清原きよはら和博かずひろに対たいする捏造ねつぞう記事きじを書かき、当時とうじの最高さいこう額がくとなる1,000万まん円えんの賠償金ばいしょうきんを命めいじられる。
• 週刊しゅうかん現代げんだいにおいてもテレビ朝日てれびあさひ従業じゅうぎょう員いんの龍りゅう円まどか愛梨あいりに対たいする記事きじを書かき、2001年ねん9月がつ、損害そんがい賠償ばいしょう770万まん円えんの支払しはらいと、週刊しゅうかん現代げんだいに謝罪しゃざい広告こうこくを掲載けいさいすることを講談社こうだんしゃに命めいじられている（東京とうきょう地ち判ばん平成へいせい13年ねん9月がつ5日にち、判はん時じ1773-104、判例はんれいタイムス 1070-77〈上訴じょうそなし、確定かくてい〉）。
• 永田ながたと同どう時期じきに電子でんしメールを入手にゅうしゅしていた平沢ひらさわ勝栄かつえいは、当初とうしょから独自どくじに西澤にしざわを身辺しんぺん調査ちょうさしていると明あかしており、「西澤にしざわは週刊しゅうかんポストで『清原きよはらの嘘うそ記事きじ』を作つくったり、プロレス業界ぎょうかいでも興行こうぎょう約束やくそくを破やぶったりした人ひとだ」と指摘してきしていた。
• 上記じょうきのことから業界ぎょうかいでは、西澤にしざわは数々かずかずの捏造ねつぞう記事きじを持もち込こむことで以前いぜんから有名ゆうめいであり、このことから、西澤にしざわを出入でいり禁止きんしにする出版しゅっぱん社しゃも複数ふくすう存在そんざいしていた。メール問題もんだいが持もち上あがり、各かくメディアも取材しゅざいを始はじめたものの、電子でんしメールの出だし元もとが西澤にしざわと判わかると、一斉いっせいに取材しゅざいを引ひき上あげた。
• 西澤にしざわはその後ご2014年ねん5月がつ、2ちゃんねる上うえの中傷ちゅうしょう記事きじを削除さくじょするとして金かねをだまし取とった、として詐欺さぎ罪ざいで警視庁けいしちょうに逮捕たいほされた。逮捕たいほ時じは人材じんざい派遣はけん会社かいしゃ役員やくいんの松島まつしま隆寿たかとしと報道ほうどうされた。
• かつては修おさむ斗とにおいて1991年ねん8月がつ3日にちにプロデビューしたらしい（結果けっかは敗北はいぼく）。その後ご、戦績せんせきは94年ねんまでで1勝しょう2敗はい。

類似るいじ事件じけん

この問題もんだいと類似るいじした問題もんだいとして、当時とうじの衆議院しゅうぎいん議員ぎいん楢崎ならさき弥之助やのすけが1983年ねんに衆議院しゅうぎいん予算よさん委員いいん会かいで喧伝けんでんした自衛隊じえいたいクーデター計画けいかく問題もんだいがある。こちらは楢崎ならさきに情報じょうほう提供ていきょうした自称じしょう自衛じえい官かんは自衛じえい官かんではなく、詐欺さぎで当時とうじ全国ぜんこくに指名しめい手配てはいされていた人物じんぶつだと判わかり、自衛隊じえいたいクーデター計画けいかく自体じたいが存在そんざいしていないことが判明はんめい。楢崎ならさきは国会こっかいを混乱こんらんさせたとして新聞しんぶんに謝罪しゃざい広告こうこくを掲載けいさいし、この影響えいきょうで同年どうねんの総そう選挙せんきょで落選らくせんした。なお、楢崎ならさきは堀江ほりえメール問題もんだいに対たいしては民主党みんしゅとうの対応たいおうに苦言くげんを呈ていしており、2006年ねん3月がつ4日にち放送ほうそうの『ブロードキャスター』では、永田ながたと比くらべて楢崎ならさきの国会こっかい発言はつげんは的確てきかくであったような報道ほうどうがされていた。

その他た

後のちに民主党みんしゅとうの政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょによると、2007年ねん5月がつ28日にちに上述じょうじゅつの永田ながた議員ぎいんが5日間にちかん入院にゅういんした八幡やはた厚生こうせい病院びょういん（北九州きたきゅうしゅう市し八幡西やはたにし区く）に対たいして、政治せいじ活動かつどう費ひから渉外しょうがい費ひと言いう名目めいもくで1千せん万まん円えん（1日にち当あたり2百ひゃく万まん円えん）が支払しはらわれた事ことが判明はんめいしている。

関連かんれん項目こうもく

• 国政こくせい調査ちょうさ権けん
• 証明しょうめい責任せきにん（挙証きょしょう責任せきにん、立証りっしょう責任せきにん）

外部がいぶリンク

• 「メール」問題もんだいについてのお詫わび（民主党みんしゅとうweb-site）
• 自民党じみんとうからの公開こうかい質問しつもん状じょうに対たいする回答かいとう（民主党みんしゅとうweb-site）
• 民主党みんしゅとう 「メール」問題もんだい検証けんしょうチーム報告ほうこく書しょ（民主党みんしゅとうweb-site）
• 平野ひらの総合そうごう調整ちょうせい局長きょくちょう、「メール」問題もんだいの外部がいぶ調査ちょうさ報告ほうこく書しょを発表はっぴょう
• 「Dumontのフリージャーナリストの件けん」（ 民主党みんしゅとう 藤ふじ末まつ健けん三さん 公式こうしきウェブサイト）
• 「雑誌ざっしデュモンについて」（ 民主党みんしゅとう 松本まつもと大輔だいすけ ブログ 2006/03/07）
• 「政策せいさく空間くうかん」内ない「題材だいざい：メール騒動そうどうの黒幕くろまくにされる」（2006年ねん09月がつ10日にち 大西おおにし健介けんすけ）
• 「まぶちすみおの「不易ふえき塾じゅく」日記にっき」内ない「題材だいざい：メール問題もんだいのその後ご」（2006/3/08 馬淵まぶち澄夫すみお）
• 「民主党みんしゅとうと遂ついに和解わかい。そして来年らいねんの参院さんいん選せん」（2009/12/29 元げんライブドア社長しゃちょう 堀江ほりえ貴文たかふみ）