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壺 - Wikipedia

つぼ

食糧しょくりょう貯蔵ちょぞう飲料いんりょう運搬うんぱんもちいられるうつわ
つぼから転送てんそう

つぼつぼ、つぼ)は、どうがふくれて頸がありこうせまくなっている形状けいじょう陶磁器とうじき[1]ぶたきのものもあり液体えきたい貯蔵ちょぞうなどにもちいられる[1]。ただし、金属きんぞくつぼなど陶製とうせいでないものもある(古墳こふん時代じだいにはカキメ調整ちょうせいなどにもちいられた)[2]

丹波たんばしょうつぼ(12世紀せいき

中期ちゅうき青銅器せいどうき時代じだい地中海ちちゅうかい沿岸えんがんレヴァントで「カナーンつぼ」が製作せいさくされるようになった[3]

そのエジプトアンフォラ製作せいさくされるようになり、当初とうしょは「カナーンつぼ」の模倣もほうにすぎなかったが、そこすぼみがた寸胴ずんどうがたのものがあらわれるなど独自どくじ発展はってんげた[3]しん王国おうこく時代じだいのアンフォラは、ワイン輸送ゆそう貯蔵ちょぞう利用りようされていたケースが多数たすう確認かくにんされたことから「ワインつぼ」ともばれているが、ビール牛乳ぎゅうにゅう蜂蜜はちみつあぶら軟膏なんこうにくとりさかなむぎまめ果物くだものなどの容器ようきにも使つかわれていたことがあきらかになっている[3]

うつわしゅ

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日本語にほんごには「つぼ」と「びん、かめ)」があり区別くべつ困難こんなん場合ばあいがある[1][4]考古学こうこがくじょう便宜べんぎてきに、人類じんるい学者がくしゃ長谷部はせべげんじん考案こうあんした正方形せいほうけいきゅう等分とうぶんして土器どきだてめんとし、どうと頸部のせっする部分ぶぶんはば全体ぜんたいの3ぶんの2以上いじょうのものを「」、3ぶんの2にたないものを「つぼ」とする目安めやすしめされている[4]長谷部はせべ分類ぶんるいつぼふかはちあさはちさら高坏たかつきけるが、あくまでも目安めやすであり、実際じっさい現場げんば報告ほうこくしょではこれとはことなる呼称こしょうもちいているものもある[4]

テオティワカン遺跡いせき出土しゅつどひんは、Olla大型おおがたつぼ)、Jarつぼ)、Tecomate(テコマテ)などに分類ぶんるいされている[5]

美術びじゅつ

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生命せいめいりょく象徴しょうちょうとしてつぼ自体じたい装飾そうしょくのモチーフとされた[6]古代こだいオリエントでは生命せいめいりょく象徴しょうちょうする生命せいめいばれる文様もんようがあったが、ヨーロッパに伝播でんぱする過程かていで「生命せいめいいずみ」をあらわつぼなかから植物しょくぶつがのびた図像ずぞう変化へんかし、装飾そうしょく図柄ずがらとしてこのまれた。初期しょきキリスト教きりすときょう世界せかいでは、つぼはキリストの復活ふっかつ再生さいせい象徴しょうちょうする洗礼せんれいばん暗示あんじし、キリストきょう信徒しんと象徴しょうちょうする鳥獣ちょうじゅうつぼ左右さゆうからみず文様もんようは、キリストと信徒しんと関係かんけいしめすモチーフとして重要じゅうよう役割やくわりった[6]中世ちゅうせいになると生命せいめい象徴しょうちょう宗教しゅうきょうてき意味いみうしなわれたが、アラベスク染織せんしょく文様もんようなどで、はなとともにデザイン構成こうせいぶつとしてこのまれつづけた。

漢字かんじ字体じたいは、下部かぶを「」とする「つぼ」および、「」とする「つぼ」という2種類しゅるい表記ひょうきもちいられる。2000ねん12月8にち国語こくご審議しんぎかい答申とうしんにおいては、常用漢字じょうようかんじみに常用じょうようされる印刷いんさつ標準ひょうじゅん字体じたいとしてのひょうがい漢字かんじ字体じたいひょうとして「つぼ」を採用さいようしており、ウィキペディア日本語にほんごばんにおいてもひょうがい漢字かんじ字体じたいもちいる基準きじゅん採用さいようされている(Wikipedia:表記ひょうきガイド#漢字かんじ参照さんしょう)ことから、固有名詞こゆうめいしなどをのぞいては「つぼ」をもちいることが妥当だとうである。

ただし、かん字典じてんには「つぼ」がせい字体じたいとしてかかげられている[7]。これにしたがい、『角川かどかわだい字源じげん』では「つぼ」を見出みだしにもちいている[7]ほか、朝日新聞あさひしんぶんでは1950年代ねんだい[8]から2007ねん1がつ15にちづけ[7]まで「つぼ」をもちいていた。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e f g h i j k 神野かみの 善治よしはるみん名称めいしょうについて―共通きょうつうめい基本きほん形態けいたい」『国際こくさい常民じょうみん文化ぶんか研究けんきゅう叢書そうしょだい6かん神奈川大学かながわだいがく 国際こくさい常民じょうみん文化ぶんか研究けんきゅう機構きこう、2014ねん3がつ1にち、19-33ぺーじ 
  2. ^ つぼ”. 九州きゅうしゅう国立こくりつ博物館はくぶつかん. 2023ねん9がつ4にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c 有村ありむら 元春もとはる古代こだいエジプトしん王国おうこく時代じだい流通りゅうつうした寸胴ずんどうがたアンフォラにかんするいち考察こうさつ」『早稲田大学わせだだいがく大学院だいがくいん文学ぶんがく研究けんきゅう紀要きようだい68かん早稲田大学わせだだいがく、2023ねん3がつ15にち、579-597ぺーじ 
  4. ^ a b c 鷹野たかの 光行みつゆき. “だい12かい館長かんちょう講座こうざなわもん土器どき がた用途ようと”. 東北とうほく歴史れきし博物館はくぶつかん. 2023ねん9がつ4にち閲覧えつらん
  5. ^ 土器どき分析ぶんせき-1”. 富山国際大学とやまこくさいだいがく. 2023ねん9がつ4にち閲覧えつらん
  6. ^ a b 視覚しかくデザイン研究所けんきゅうじょへん『ヨーロッパの文様もんよう事典じてん視覚しかくデザイン研究所けんきゅうじょ、2000ねん、170-177ぺーじISBN 4-88108-151-9
  7. ^ a b c 比留間ひるま直和なおかず朝日あさひ字体じたい時代じだい 6』ことばマガジン(朝日新聞あさひしんぶん)、2013ねん9がつ25にち
  8. ^ 比留間ひるま直和なおかず朝日あさひ字体じたい時代じだい 1』ことばマガジン(朝日新聞あさひしんぶん)、2013ねん4がつ24にち

関連かんれん項目こうもく

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