太陽たいよう柱ばしら

太陽たいよう柱ばしら（たいようちゅう）、サンピラー（英語えいご：sun pillar）^[1]は、大気たいき光学こうがく現象げんしょうの一種いっしゅであり、日出ひのでまたは日没にちぼつ時ときに地平線ちへいせんに対たいして垂直すいちょく方向ほうこうへ、太陽たいようから炎ほのおのような形かたちの光芒こうぼうが見みられる現象げんしょうを言いう。ダイアモンドダストでも同様どうようの現象げんしょうが起おきる。

日本にっぽんの大阪おおさか市しから見みて六甲山ろっこうざん方面ほうめんに現あらわれた太陽たいよう柱ばしら（2008年ねん7月がつ6日にち撮影さつえい）

アメリカ合ごう衆しゅアラスカ州しゅうフェアバンクスで撮影さつえいされた白銀はくぎん色しょくの光ひかり柱ばしら

概要がいよう

雲くもの中なかに六ろく角かく板いた状じょうの氷こおり晶あきらがあり、風ふうが弱よわい場合ばあい、これらの氷こおり晶あきらは落下らっかの際さいの空気くうき抵抗ていこう（抗力こうりょく）のために地面じめんに対たいしてほぼ水平すいへいに浮うかぶ。このほぼ水平すいへいに浮うかんだ板いた状じょうの氷こおり晶あきらの表面ひょうめんで太陽たいようからの光線こうせんが反射はんしゃされ、太陽たいようの虚像きょぞうとして見みえるのが太陽たいよう柱ばしらである。太陽たいよう柱ばしらの中心ちゅうしんは太陽たいようと地平線ちへいせんをはさんで対称たいしょうの位置いち、つまり、地平線ちへいせん下かにあり、氷こおり晶あきらの水平すいへいからのずれのためにその上下じょうげに広ひろがって見みえている。

屈折くっせつがない単純たんじゅんな反射はんしゃのため、分光ぶんこうせず、太陽たいようなどの光源こうげんの色いろ（夕日ゆうひならオレンジ色しょくなど）に輝かがやく^[2]。

雲くも中ちゅうの氷こおり晶あきらによる太陽たいよう柱ばしらや光ひかり柱ばしら（後述こうじゅつ）などは、巻層雲けんそううんや高こう層雲そううんのときが多おおい。これは氷こおり晶あきらが層状そうじょうにまんべんなく分布ぶんぷしてきれいに見みえるためで、巻雲けんうん、巻積雲けんせきうん、高こう積雲せきうんなどでは光ひかりが途切とぎれ途切とぎれになって見みえにくい。

氷点下ひょうてんか10 - 20度ど以下いかの空気くうき中なかで発生はっせいするダイアモンドダストでも同様どうようの現象げんしょうが起おこる。日本にっぽんでは冬季とうきの北海道ほっかいどうなどで見みることができる^[3]。

寒さむい地方ちほうで寒さむい時期じきのみではなく、季き節ぶしを問とわず各地かくちで見みられる。これは、夏なつでも上空じょうくうの雲くもは氷こおり晶あきらで構成こうせいされているためで、氷こおり晶あきらの雲くもの下したに光ひかりを遮さえぎるほかの雲くもが無なければ観測かんそくできる。

映うつ日ひ

太陽たいようの高度こうどが高たかい場合ばあいは、反射はんしゃを起おこす氷こおり晶あきらを含ふくむ雲くもが地平線ちへいせんよりも下したになければ、この反射はんしゃ光こうを見みることはできない。このような条件じょうけんは飛行機ひこうきや高山こうざんなどに限かぎられる。そのため、太陽たいよう柱ばしらが見みられるのは、通常つうじょう、日出にっしゅつまたは日没にちぼつ時じのみである。太陽たいようの高度こうどが高たかい場合ばあいに飛行機ひこうきや高山こうざんから見みえる反射はんしゃ光こうは太陽たいようと離はなれて、太陽たいようと地平線ちへいせんをはさんで対称たいしょうの位置いちに見みえるので映うつ日ひという別べつの現象げんしょう名めいで呼よばれる。

月つき柱ばしら

太陽光たいようこう以外いがいに月つきの光ひかりでも同様どうようの現象げんしょうが起おこり、これは月つき柱ばしら（げっちゅう、英えい: moon pillar^[4]^[5]^[6]）、あるいは月光げっこう柱ばしら^[7]と表現ひょうげんされることがある。

光ひかり柱ばしら

遠とおくの地上ちじょうの街灯がいとうなどが同様どうようの現象げんしょうを起おこすこともあり、光ひかり柱ばしら（こうちゅう）もしくはライトピラー（英語えいご：light pillar）と呼よばれる。太陽たいようや月つきの光ひかりがほぼ平行へいこう光線こうせんなのに対たいして、地上ちじょうの街灯がいとうなどは広ひろがりがあるため、光ひかり柱ばしらは太陽たいよう柱ばしらや月つき柱ばしらに比くらべて高たかく見みえる。

例たとえば、夜間やかんに行おこなわれる漁撈ぎょろうの漁火ぎょか（いさりび）を光源こうげん^{[注ちゅう 1]}として発生はっせいする光ひかり柱ばしら（漁火ぎょか光こう柱ばしら^[8]、漁火ぎょかの光ひかり柱ばしら）がそれであり、遠とおく洋上ようじょうにある漁火ぎょかがその上空じょうくうに光ひかり柱ばしらを発生はっせいさせる様子ようすは、日本にっぽんであれば日本海にほんかい沿岸えんがん各地かくちで観測かんそくされることがある。光源こうげんが複数ふくすうであれば、その数かずだけの光ひかり柱ばしらが生うまれる。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

^ 白しろ、黄色おうしょく、青あおなどの色いろがある。

出典しゅってん

^ 村井むらい昭夫あきお, 鵜山うやま義晃よしあき『雲くものカタログ空そらがわかる全ぜん種たね分類ぶんるい図鑑ずかん』草くさ思おもえ社しゃ、2011年ねん、138頁ぺーじ。ISBN 978-4-7942-1823-0。
^ リチャード・ハンブリン訳やく・村井むらい昭夫あきお『驚おどろくべき雲くもの科学かがく』(Richard Hamblyn "Extraordinary Clouds; Skies of the Unexpected from the Beautiful to the Bizarre",2009) 、草くさ思おもえ社しゃ、2011年ねん ISBN 978-4-7942-1852-0 p.85 太陽たいよう柱ばしら
^ 『サンピラー現象げんしょう』（岡崎おかざき竜りゅう城じょうライオンズクラブ）
^ moon pillarの意味いみ・使つかい方かた - 英和えいわ辞典じてん WEBLIO辞書じしょ
^ リーダーズ英和えいわ辞典じてん第だい2版はん、研究けんきゅう社しゃ、1999年ねん5月がつ。ISBN 978-4-7674-1413-3
^ Rings Around The Moon
^ moon pillarの意味いみ・使つかい方かた｜英えい辞じ郎ろう on the WEB：アルク
^ “夜空よぞらに無数むすうの光ひかりの筋すじ「光ひかり柱ばしら」が出現しゅつげん　福井ふくい”. ウェザーニュース (2021年ねん5月がつ7日にち). 2021年ねん5月がつ7日にち閲覧えつらん。