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威嚇 - Wikipedia

威嚇いかく(いかく)は、実際じっさい攻撃こうげきではなく、それに姿すがた様子ようすせることで対象たいしょうおびやかすことである。往々おうおうにしてみずからのまもるためにみずからのちから誇示こじする行為こういである。しかし、攻撃こうげき糸口いとぐちとして威嚇いかく使つかわれる場合ばあいもある。

威嚇いかくするネコ

カタツムリカメにみられるような専守防衛せんしゅぼうえいとはちがい、攻撃こうげきてき防衛ぼうえい手段しゅだんとしてられる。

威嚇いかく手段しゅだん

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  • みずからのからだまたはその一部いちぶおおきくしてみずからのちから誇示こじする(おも鳥類ちょうるいおおくみられる)。
  • おときゅううごきで相手あいておどろかす(ぞくう『ねこだまし』のようなもの)。
  • どくなどの武器ぶきっていることをしめす。
    • 動物どうぶつには、実際じっさいにはっていないものが、もっているもののしめ行動こうどうたことをする場合ばあいもある。これは一種いっしゅ擬態ぎたいである。
  • いつでも攻撃こうげきできることをしめす。

人間にんげん場合ばあい

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対人たいじん関係かんけい

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個人こじんたい個人こじん交渉こうしょうにおいて、威嚇いかく様々さまざま場合ばあいられ、その表現ひょうげん多様たようである。

直接ちょくせつ暴力ぼうりょく想起そうきさせるものとしては、怒鳴どなる、いかりを表情ひょうじょうあらわす、うえからにらける、からだ一部いちぶつかむ、なぐるなどの攻撃こうげき予備よび動作どうさをする、(しずかなこえで)おどす、(至近しきん距離きょりに)るなどがある。

しかし、より表現ひょうげんとしては穏便おんびんかたちり、見掛みかけでは威嚇いかくれないれいすくなくない。ときには笑顔えがおわらでさえ威嚇いかく使つかわれる。

武器ぶき使用しよう

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武器ぶき場合ばあい、これを誇示こじし、あるいは使つかってみせることで威嚇いかくとするれいがある。たとえばじゅうしめし、それで相手あいてねらわずに発射はっしゃする。これを威嚇いかく射撃しゃげきという。具体ぐたいてきには、相手あいてちかくや足下あしもとつ、周囲しゅういにつくものをつ、あるいはうえけて発射はっしゃするなどがある。軍事ぐんじてき順序じゅんじょとしては、まずかたひらまえしてまれのジェスチャーしめし、それでもまらなければ銃口じゅうこうけ、上空じょうくう発砲はっぽうする。

ただし、うえけて発射はっしゃするのは、てきたまてないこと、および銃弾じゅうだんそらにすることをしめ友好ゆうこう表現ひょうげんとする場合ばあいがある。大砲たいほうそらげきちや礼砲れいほうもこれにちかれいであるが、いずれもそれをらない場合ばあい威嚇いかくなされる危険きけんがある。

集団しゅうだんあいだ

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軍事ぐんじにおいても、威嚇いかく射撃しゃげきなど、かならずしも相手あいて殺傷さっしょうしない砲撃ほうげきばくげきによって相手あいて攻撃こうげき行動こうどうひかえさせる目的もくてきおこなわれることがある。しかし、たい個人こじんであればとにかく、国家こっかあいだにおいては、このような行為こういたいしてゆるめるとあなどられるとのかんがえから、より関係かんけい険悪けんあくになり、本格ほんかくてき攻防こうぼうすすんでしまうれいすくなくない。冷戦れいせん時代じだい軍拡ぐんかく競争きょうそうや、中国ちゅうごく台湾たいわんあいだみなみ北朝鮮きたちょうせん軍事ぐんじ演習えんしゅうなどはその典型てんけいである。

日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい9じょうでは、武力ぶりょくによる威嚇いかくは、国際こくさい紛争ふんそう解決かいけつする手段しゅだんとしては放棄ほうきされている。

動物どうぶつ威嚇いかく

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動物どうぶつ場合ばあい威嚇いかく動物どうぶつ行動こうどうがく領分りょうぶんである。威嚇いかくたねないおこなわれる場合ばあいと、たねあいだおこなわれる場合ばあいがあり、それぞれにことなった様相ようそうをもつ。

たねない関係かんけい

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たねない場合ばあい攻撃こうげきりょくつよしゅでは、いのちかかわる攻撃こうげきのやりとりはける傾向けいこうがある。そのようなことが必要ひつようになる場合ばあいというものは、配偶はいぐう行動こうどう縄張なわばあらそいなど、そのたね生活せいかつふかかかわる場合ばあいおおく、毎度まいどいのちのやりとりになるようでは、いのちがいくつあってもりない。たね生存せいぞんにおいてもこのようなことがなんつづくのは不利ふりである。いくらつよ個体こたいであっても、いのちがけのたたかいで無傷むきず、とはかないので、攻撃こうげきしあったものはどちらも生存せいぞんじょう不利ふりこうむる。そのようなことがけられるように進化しんかすすむのはありることである。

おおくの場合ばあい威嚇いかくまりった形式けいしきてきやりとりでおこなわれる。おおくの場合ばあい対決たいけつ先立さきだって、たがいに接触せっしょくせずににらみい、まったかたち誇示こじ行動こうどうがおこなわれる。このときに武器ぶきになる部分ぶぶん誇示こじするのもよくられる行動こうどうである。このような儀礼ぎれいてきなやりとりだけで、片方かたがたくことでたたかいが終了しゅうりょうする場合ばあいもある。

たねあいだ関係かんけい

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たねあいだ場合ばあい捕食ほしょく-しょく関係かんけいなど、たがいのちから関係かんけいははじめからまっていることがおおい。つよほう威嚇いかくをする必要ひつようはなく、よわほうげるか、いのちがけの反撃はんげきることになるが、げるまえすための威嚇いかくをおこなう、というのがよくあるかたちである。これらの威嚇いかく肉体にくたいてき精神せいしんてき刺激しげきあたえてひるませるなどでつよほう攻撃こうげき意欲いよくくさせて、げる時間じかん確保かくほすることを目的もくてきとしたものがおおい。たとえば、カマキリ昆虫こんちゅうつかまえる場合ばあい、そっとしのって、素早すばやかま獲物えものつかまえるだけである。しかし、乳類にゅうるいがカマキリにせば、カマキリはからだこし、かまきつけながら左右さゆうひろげ、はねてて威嚇いかくをする。さらにちかづけばかまはさんでいたみをあたえる。

このように、ある程度ていど武器ぶきつものは、その武器ぶきをさらし、おおきくせる行動こうどうるものがおおい。ほ乳類にゅうるいでは、そのさいうしあしがるものがあるが、これは、たかさをもって相手あいておおきさを判断はんだんするものがおおいからだともわれている。つまり、あたま位置いちたかほうおおきくえる、というわけである。同時どうじに、きばつめせるのもよくあることである。また、おおきなこえげてえたりうなったりするのも、威嚇いかく行動こうどうによくられる。有毒ゆうどく動物どうぶつ派手はでいろ模様もよう場合ばあい、これを警告けいこくしょく一般いっぱんには警戒色けいかいしょく使つかれいおおい)というが、威嚇いかくのためにこれを強調きょうちょうする行動こうどう場合ばあいもある(れいとしてヒョウモンダコが、普段ふだん褐色かっしょく一色いっしょく皮膚ひふをしているが、危機ききせまるとむらさきしろしま模様もようになる)。また、これに擬態ぎたいする無毒むどくしゅも、同様どうよう行動こうどう場合ばあいがある。

昆虫こんちゅう場合ばあいも、あしり、はねひろげるといったよく行動こうどうられるものがある。また、唐突とうとつおとてるものもある。そのようなおと警戒けいかいおんといわれる。

いくつかの昆虫こんちゅう共通きょうつうられるパターンとして、目玉めだま模様もようじょうもん)がある。チョウ、あるいはイモムシなどにられるもので、黄色おうしょくくろ同心円どうしんえん模様もようである。これらの昆虫こんちゅう攻撃こうげきけたさいにこれを強調きょうちょうする行動こうどうれいおおい。一説いっせつによると、この模様もよう小鳥ことりにとって猛禽もうきん想像そうぞうさせるため、警戒色けいかいしょくとして作用さようするとうが、その効果こうかについては諸説しょせつあって明確めいかくではない。

関連かんれん項目こうもく

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