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学際 - Wikipedia

学際がくさい

いくつかのことなる学問がくもん分野ぶんやをまたがっている様子ようす

学際がくさい(がくさい、英語えいご:interdisciplinary)とは、研究けんきゅうなどがいくつかのことなる学問がくもん分野ぶんやにまたがってかかわることである[1]

学問がくもん分野ぶんや学際がくさい

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学問がくもんとは、知識ちしき概念がいねん体系たいけいてて整理せいりするものであり、内容ないよう一貫いっかんせい整理せいりあるいは理解りかいのしやすさなどの観点かんてんから対象たいしょう限定げんていしてあつかうのが一般いっぱんてきである。これが学問がくもん分野ぶんやあるいは学問がくもん領域りょういき(Discipline)とばれる。とくに、教育きょういくにおいては、学問がくもん比較的ひかくてきまとまった単位たんい分割ぶんかつすることで、はつ学者がくしゃ理解りかいのしやすさは格段かくだん向上こうじょうする。また、学問がくもん研究けんきゅうおこなうにあたっても、特定とくてい学問がくもん領域りょういき背景はいけいとして研究けんきゅうすすめられることがおおいが、このことは学問がくもん分野ぶんやごとにけるこのやりかた一定いってい機能きのうたしていることを意味いみする。とく研究けんきゅう機関きかんとしての大学だいがくにおいては、教育きょういく機関きかんとしての役割やくわりから、研究けんきゅうしゃ教員きょういん)が教育きょういく担当たんとうする学問がくもん分野ぶんやごとのグループにかれて所属しょぞくしているが、これが研究けんきゅうグループにもなっている場合ばあいおおく、従来じゅうらい学問がくもん分野ぶんや範疇はんちゅうおさまった研究けんきゅうおこなわれる土壌どじょうになっている。

一方いっぽう最先端さいせんたん研究けんきゅう進展しんてん方向ほうこうせいかんがえるとき、従来じゅうらいとはことなった観点かんてん発想はっそう手法しゅほう技術ぎじゅつなどがあらたな成果せいかれい非常ひじょうおおい。これは従来じゅうらいはあまりむすびつかなかった複数ふくすう学問がくもん分野ぶんやにわたって精通せいつうしている研究けんきゅうしゃや、複数ふくすう学問がくもん分野ぶんや研究けんきゅうしゃらが共同きょうどう研究けんきゅうたる、などによってもたらされる。これが学際がくさいてき研究けんきゅうばれる。その学際がくさいてき研究けんきゅう発展はってんすれば、場合ばあいによってはその、それは体系たいけいてられた知識ちしきとして整理せいりされ、あらたな学問がくもん分野ぶんや形成けいせいする可能かのうせいがあるが、そうなった時点じてんでは、その研究けんきゅう学際がくさいてき研究けんきゅうとはいえなくなる。

なおこのようにあらたに形成けいせいされつつある学問がくもん分野ぶんや境界きょうかい領域りょういきぶ。

分類ぶんるい

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赤司あかし[2]によると、学際がくさいてき研究けんきゅうはその発展はってん段階だんかいから以下いかのように分類ぶんるいできる。

Trans-disciplinary 既存きそん学問がくもん体系たいけい枠組わくぐみがくずれ、あたらしい学問がくもん体系たいけいしょうじる
Cross-disciplinary 複数ふくすう学問がくもん体系たいけいおよあたらしい専門せんもん分野ぶんやしょうじる
Inter-disciplinary 複数ふくすう学問がくもん体系たいけい共同きょうどう作業さぎょうにより、あらたな共有きょうゆうする
Multi-disciplinary 複数ふくすう学問がくもん体系たいけい共同きょうどう研究けんきゅうおこな

学際がくさい領域りょういき研究けんきゅう評価ひょうか

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こういった学際がくさいてき研究けんきゅう成果せいかおおきいことはつね認識にんしきされているが、日本にっぽんにおいてはかならずしも学際がくさいてき研究けんきゅうがしやすい環境かんきょうにはなっていない。上述じょうじゅつ組織そしきめんくわえ、研究けんきゅう獲得かくとくめんでも、その研究けんきゅう評価ひょうかするべきそのみちプロ存在そんざいしないため、一定いってい成果せいかがるまでは評価ひょうかけにくい。科学かがく技術ぎじゅつシステムのうち研究けんきゅう助成じょせいシステム(ファンディングエージェンシー)における学際がくさい研究けんきゅう助成じょせい阻害そがいする要因よういんをいくつかまとめる[3]

学際がくさい領域りょういき研究けんきゅう助成じょせい阻害そがい要因よういん
  • 複数ふくすう分野ぶんや研究けんきゅうしゃによる学際がくさい研究けんきゅうチーム体制たいせい構築こうちくむずかしく研究けんきゅう機関きかんからしつりょうともに十分じゅうぶん研究けんきゅう申請しんせいしょ(プロポーザル)があつまらない。
  • だい規模きぼ審査しんさチームによる審査しんさ必要ひつようため審査しんさコストが比較的ひかくてきたかくなること。
  • 専門せんもんによる評価ひょうか限界げんかいにより学際がくさい研究けんきゅう成果せいか十分じゅうぶん評価ひょうかできず、結果けっかてき学際がくさい研究けんきゅうたいする研究けんきゅう助成じょせいプログラム全体ぜんたいてい評価ひょうかにつながる可能かのうせいがあること。

また、世界せかいてきても、実際じっさい分野ぶんや専門せんもん参加さんかして学際がくさいてきアプローチ実施じっしした評価ひょうか調査ちょうさ非常ひじょうすくない。

数少かずすくないれいの1つとして「JICAインドネシア母子ぼし手帳てちょうプロジェクト」の学際がくさいてき調査ちょうさがあげられる。対象たいしょうのプロジェクトは1998ねんから2003ねんにかけておこなわれ、2004ねん8がつにその調査ちょうさインドネシア中部ちゅうぶジャワしゅうおこなわれた。参加さんかした研究けんきゅうしゃ中村なかむら安秀やすひで日本人にっぽんじん8めいとインドネシアじん2めいであった。かれらの方法ほうほう以下いかのようなものであった。

  1. 調査ちょうさまえには、全員ぜんいん参加さんかし、評価ひょうか調査ちょうさデザインを策定さくてい
  2. 期間きかんちゅうのインタビューは分担ぶんたん研究けんきゅういん全員ぜんいん同席どうせきもとおこない、その各自かくじ個別こべつ関心かんしんからききと
  3. 1だいマイクロバス同乗どうじょうし、おな宿舎しゅくしゃまり、行程こうていおな
  4. 訪問ほうもんさきは、しゅう衛生局えいせいきょく病院びょういん保健所ほけんじょじょ産院さんいん、ポシアンドゥなど
  5. インタビュー調査ちょうさ学際がくさいてき研究けんきゅう質問しつもん調査ちょうさ最終さいしゅうばん確定かくてい

この調査ちょうさでは2つのすぐれたアプローチがなされていた。

呉越同舟ごえつどうしゅう」アプローチ
ピンポイント・アプローチ
  • 焦点しょうてんしぼった学際がくさいてき研究けんきゅうにより、途上とじょうこく多様たようなリアリティーをふくあいてきとらえ、多面ためんてき解釈かいしゃくし、包括ほうかつてき戦略せんりゃく提示ていじすることができる(多様たよう複雑ふくざつ、かつ膨大ぼうだい対象たいしょう多面ためんてき分析ぶんせきすることは実質じっしつてき困難こんなんである)。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Higher education at the crossroads of disruption, the university of the 21st century, アンドレアス・カプラン, Emerald, 2021
  2. ^ 1.『学際がくさい研究けんきゅう入門にゅうもんちょう情報じょうほう時代じだいのキーワード』赤司あかし 秀明ひであきちょ ISBN 978-4906361540
  3. ^ 三菱みつびし総合そうごう研究所けんきゅうじょ. 2 学際がくさい研究けんきゅうとその評価ひょうか. 三菱みつびし総合そうごう研究所けんきゅうじょ, 2011, pp.240-241.

関連かんれん項目こうもく

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