岡部おかべ又右衛門またえもん

岡部おかべ 又右衛門またえもん（おかべ またえもん、生なま没年ぼつねん不ふ詳しょう）は、室町むろまち時代ときよから安土あづち桃山ももやま時代じだいの番匠ばんしょう。正せい七なな位い上うえ修理しゅうり亮あきらの官位かんいを得えたという。諱いみなは以言、吉方えほうとも伝つたわる。

岡部おかべ家か跡あと（名古屋なごや市し熱田あつた区く）

経歴けいれき

尾張おわりの大工だいくで、熱田あつた神宮じんぐうの宮大工みやだいくの棟梁とうりょう。『岡部おかべ家か由緒ゆいしょ書しょ』に拠よれば、岡部おかべ家かは室町むろまち幕府ばくふ将軍家しょうぐんけの修理しゅうり亮あきらを勤つとめた家柄いえがらとされる。

天正てんしょう元年がんねん（1573年ねん）に近江おうみ・佐和山さわやまの山麓さんろくで長ながさ30間あいだ、幅はば7間あいだ、櫓ろ100挺ていの大型おおがた軍船ぐんせんを建造けんぞう（『信長のぶなが公こう記き』巻まき六ろく）。天正てんしょう3（1575年ねん）、信長のぶながの熱田あつた神宮じんぐう造営ぞうえいに被官ひかん大工だいくとして参加さんかした。

安土あづち城じょう築城ちくじょうでは大工だいく棟梁とうりょうとして、5重じゅう7階かいの天守てんしゅ造営ぞうえいを子この岡部おかべ以俊（岡部おかべ又兵衛またべえ）と共ともに指揮しきし、その功こうにより織田おだ信長のぶながより「総そう大だい匠たくみ司し」の位いと「日本にっぽん総そう天主てんしゅ棟梁とうりょう」の称号しょうごうを与あたえられ小袖こそでを拝領はいりょうした。

本能寺ほんのうじの変へんの際さい、本能寺ほんのうじに信長のぶながと同宿どうしゅくしており、以俊と共ともに戦死せんししたとの説せつがあるが、変へん後ごは織田おだ信雄のぶおに仕つかえ、天正てんしょう11年ねん（1583年ねん）8月がつ27日にちに尾張おわり国こく中島なかじま郡ぐん赤池あかいけ郷さとを、さらに9月17日にちに熱田あつたにて200貫ぬき文ぶんの地ちを宛あてがわれている（張ちょう州しゅう雑ざつ志こころざし・分限ぶげん帳ちょう）。没年ぼつねんは不明ふめいだが、死後しごに以俊の子この宗そう光ひかりが相続そうぞくし、「岡部おかべ又兵衛またべえ」を名乗なのった。

なお、現在げんざいの名古屋なごや市し熱田あつた区くにあった岡部おかべ屋敷やしき跡あとには名古屋なごや市し教育きょういく委員いいん会かいによって史跡しせき表札ひょうさつが立たてられている。

参考さんこう資料しりょう

• “岡部おかべ又右衛門またえもん”. コトバンク. 2015年ねん8月がつ17日にち閲覧えつらん。
• 「織田おだ信長のぶなが家臣かしん人名じんめい事典じてん【第だい二に版はん】」 谷口たにぐち克広かつひろ 吉川弘文館よしかわこうぶんかん　ISBN 4642014578　

関連かんれん項目こうもく

• 火ひ天てんの城しろ
• 岡部おかべ宗光むねみつ（岡部おかべ又兵衛またべえ） - 又右衛門またえもんの孫まごで、豊臣とよとみ秀吉ひでよしの方広寺ほうこうじ大仏だいぶつ殿しんがり（京きょうの大仏だいぶつ）の造営ぞうえい、徳川とくがわ家康いえやすの二条城にじょうじょう造営ぞうえいなどに参加さんかした。
• 穴太あのう衆しゅ