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差別化戦略 - Wikipedia

差別さべつ戦略せんりゃく(さべつかせんりゃく、えい: differentiation, product differentiation)とは、マイケル・ポーターによって提唱ていしょうされた競争きょうそう戦略せんりゃくのうちのひと[1]で、特定とくてい商品しょうひん製品せいひんやサービスをふくむ)における市場いちば同質どうしつとみなし、競合きょうごう他社たしゃ商品しょうひん比較ひかくして機能きのうやサービスめんにおいて差異さいもうけることで、競争きょうそうじょう優位ゆういせいようとすることである。

概要がいよう

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差別さべつ戦略せんりゃくは、同種どうしゅカテゴリーのある他社たしゃないし自社じしゃ製品せいひんサービスぐんにおいて、基本きほん機能きのうおなじであっても、斬新ざんしんなデザインやブランドイメージ、あるいは広告こうこくなどによって、その製品せいひん・サービスなど、価値かち活動かつどう一部いちぶすぐれているということを強調きょうちょうすることで、競争きょうそう業者ぎょうしゃ差別さべつはかることで競争きょうそう優位ゆういせい発揮はっきしようとする戦略せんりゃくである。

同種どうしゅカテゴリーにある商品しょうひんとなる製品せいひんやサービスが市場いちば共有きょうゆうしている(「おなじパイを分配ぶんぱいしている」状態じょうたい)という前提ぜんてい経営けいえい戦略せんりゃくで、これによりあたらしい製品せいひんやサービスによりシェア(=売上うりあげ)を拡大かくだいしようというのがねらいである。

これにたいして、他社たしゃ類似るいじ製品せいひん戦略せんりゃく同質どうしつといい、また市場いちば異質いしつであるととらえ、市場いちば細分さいぶん(セグメント)してかくセグメントにてきした製品せいひんとう投入とうにゅうする戦略せんりゃく市場いちば細分さいぶん戦略せんりゃくという。

差別さべつ製品せいひん・サービス

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差別さべつ戦略せんりゃくいては、戦略せんりゃくという方針ほうしんって戦術せんじゅつてき様々さまざま手段しゅだんがあり、目的もくてきって使つかけられる。

差別さべつ方法ほうほう

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差別さべつおこなうえでの手段しゅだんには、以下いかのようなものがげられる[よう出典しゅってん]。なお以下いかれいでは競争きょうそう内容ないようは「製品せいひん」としているが、サービスの場合ばあいおおむ似通にかよっている。

  1. 機能きのう高級こうきゅう - 競争きょうそう製品せいひん区別くべつできるような副次的ふくじてき機能きのう品質ひんしつ特徴とくちょう創造そうぞうする[よう出典しゅってん]
  2. 付加ふか価値かち・ネームバリュー - 製品せいひん宣伝せんでん有名人ゆうめいじん起用きようしたり製品せいひんシンボルつくるなど象徴しょうちょうてきなイメージにうったえて強調きょうちょうする[よう出典しゅってん]
  3. ブランド - 製品せいひんいろデザインブランド製品せいひんパッケージ競争きょうそう製品せいひんより魅力みりょくてきなものにする[よう出典しゅってん]
  4. 付加ふか価値かちサービス - 製品せいひん保障ほしょう無料むりょう配送はいそうするなどのサービスおまけてき要素ようそ)を競争きょうそう製品せいひんより手厚てあつおこな[よう出典しゅってん]

これらの差別さべつ戦略せんりゃく失敗しっぱいした(または差別さべつがなされていない)場合ばあいは、市場いちば需要じゅよう供給きょうきゅう関係かんけいもとづき製品せいひん価格かかくのみでれるかずまる価格かかく競争きょうそうとなる。ただ価格かかく競争きょうそうでは、利益りえきはば圧縮あっしゅくしてでも多売たばいはしらざるをないてんで、企業きぎょう体力たいりょくけず傾向けいこうつよい。

機能きのう高級こうきゅうは、消費しょうひしゃにとってもっとわかやす差別さべつ戦略せんりゃくで、いくつかの要素ようそわせから消費しょうひしゃのぞわせが選択せんたくされるなどして、コモディティ商品しょうひんがありふれてしまいどこの製品せいひんでも大差たいさなくなっている状態じょうたい)のすすんだ家電かでん製品せいひんしろぶつ家電かでんなど)ではよくられる戦略せんりゃくである。こういった差別さべつ戦略せんりゃくでは、やりすぎるともと製品せいひんとしての機能きのうそこなうケースまであるが、停滞ていたいした市場いちば活性かっせいさくつながり、またあたらしい価値かち創造そうぞうされる場合ばあいもある。

付加ふか価値かちサービスてき著名ちょめいじんにちなんだ付録ふろくをつける場合ばあいなどは、またべつ意味いみ人気にんきあつめる。機能きのう高級こうきゅうなどであらかじおこなわれた差別さべつ戦略せんりゃく消費しょうひしゃにアピールするためによくられる戦術せんじゅつである。

付加ふか価値かちサービスでは、商品しょうひんそのものに添付てんぷするおまけのほか、耐久たいきゅう消費しょうひざいなどでは保証ほしょう期間きかん延長えんちょうするなどの方法ほうほうられる。には、iMacべいアップルコンピュータしゃおこなったような、てい金利きんりローンのような「購入こうにゅうやすいように便宜べんぎはかる」場合ばあいもあり、消費しょうひしゃにその商品しょうひん関心かんしんたせるためにくことがおこなわれる。消費しょうひしゃ購入こうにゅうさいしてある程度ていど検討けんとうしてうものなどにしばしばおこなわれる。

分類ぶんるい

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差別さべつ戦略せんりゃく以下いかのような分類ぶんるいがなされている[2]

垂直すいちょくてき差別さべつ
一般いっぱん品質ひんしつがあることを意味いみし、カテゴリーない商品しょうひんあいだ選好せんこう順位じゅんいすべての消費しょうひしゃ共通きょうつうしている場合ばあいである。価格かかくがなければ、たとえば風邪かぜやくならはやなおるほうが、電池でんち長持ながもちするほうが、パソコンは処理しょり性能せいのうたかいほうがだれにとってもい。
水平すいへいてき差別さべつ
さらに以下いかの 2 つに分類ぶんるいされる。ニッチ戦略せんりゃく水平すいへいてき差別さべつ一種いっしゅである。
  • デザインやファッション、いろなど、選好せんこう順位じゅんい消費しょうひしゃによってことなる場合ばあい
  • 個々ここ消費しょうひしゃがそれらをわせて購入こうにゅうすることをこの場合ばあい特定とくてい一人ひとり消費しょうひしゃでも、たとえばあかふくばかりでなくあかあおふくけることをこのむことがある。多様たようせいがもたらす効用こうようである。

同質どうしつてんえい: point of parity)はある市場いちば競合きょうごう同等どうとう評価ひょうかされている機能きのう特徴とくちょうである[3]同質どうしつポイント類似るいじポイントともやくされる。

顧客こきゃく評価ひょうかされる機能きのう A が自社じしゃ競合きょうごうそなわっていた場合ばあい顧客こきゃく機能きのう A の観点かんてんでは自社じしゃ競合きょうごう同質どうしつとみなす。ゆえにこのようなてん同質どうしつてんという。がないため同質どうしつてんえら理由りゆう (reason why) にはならないが、ぎゃく競合きょうごう同様どうようそなわっているため、えらばない理由りゆうにはならない (no reason why not)。いいかえれば、同質どうしつてん必要ひつよう条件じょうけんとしてはたらく。これをべつ観点かんてんからると、競合きょうごうえら積極せっきょくてき理由りゆうてんともえる[4]

たとえば定食ていしょく白米はくまいおかわり無料むりょう顧客こきゃく評価ひょうかされるサービスである。もし定食ていしょく A のみが白米はくまい無料むりょうキャンペーンをしていた場合ばあい、この特徴とくちょうは A を積極せっきょくてきえら理由りゆうになる。しかし定食ていしょく B も白米はくまい無料むりょうはじめた場合ばあい白米はくまい無料むりょうという観点かんてんで A と B は同質どうしつである。ゆえに白米はくまい無料むりょうみせえらびの積極せっきょくてき理由りゆうではなくなる。同時どうじに A のウリを効果こうかたしている。これが同質どうしつてんである。

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ 板倉いたくら宏昭ひろあき経営けいえいがく講義こうぎ』勁草書房しょぼう、2010ねん、55ぺーじISBN 978-4-326-50334-6 
  2. ^ 小田切おだぎり宏之ひろゆき企業きぎょう経済けいざいがく』(2はん東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ、2010ねん、158ぺーじISBN 978-4-492-81301-0 
  3. ^ "as favorable as those of competing brands ... function as points-of-parity (POPs) in consumers’ minds" Keller. (1998). Strategic Brand Management.
  4. ^ "some brand associations can be roughly as favorable as those of competing brands, so they function as points-of-parity (POPs) in consumers’ minds —and negate potential points-of-difference for competitors. In other words, these associations are designed to provide “no reason why not” for consumers to choose the brand." Keller. (1998). Strategic Brand Management.

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